「ほっ」と。キャンペーン

あの子を探して

「泣ける映画」というのは売り文句であり、泣けりゃいいのかよ、泣けりゃあよお!とつい苛立ってしまうのですが、最初から「泣ける!」と凄まれると「よしっ!それじゃあ、ガンガン泣くぞー!」と泣く気満々で挑んでしまい、結局泣けずじまいに終わるということがあります。

まあ、泣くと言っても、悲しいのか、嬉し泣きなのか、男泣きなのか、とバリエーションがありますからね。映画の感想なんて十人十色だし。ちなみに友人Mは、『死霊のえじき』で「感情のないハズのバブ君(ゾンビ)が、博士のために〜」と号泣だったそうですし、そんな私も『2001年宇宙の旅』でHAL 9000が「デイジー、デイジー」と歌うシーンで号泣です。しかし、『死霊のえじき』や『2001年宇宙の旅』は泣ける映画とは言いません。

もちろん、泣けると言われて本当に泣けた映画もある。中でも意表を突かれたのはチャン・イーモウ(張藝謀)の『あの子を探して(一個都不能少)』。未見の人のためにあらすじを簡単に書きます。
b0087556_23392156.jpg


中国の田舎の小学校。先生が1ヶ月学校を離れることになり、13才の少女ミンジが代用教員に指名された。「生徒が1人もやめなかったら褒賞金をあげる」と言われて、子どもたちを見張るミンジだが、ある日少年ホエクーが都会に行ってしまう。

で、タイトル通り「あの子を探して」となるわけですが、公開時のコピーが「遠い遠い空の下、元気でいてね。迎えにいくから」ですよ。ほのぼのした話を思い描いたわけですが、ところが、だ。中国の農村の事情がよくわかる、素朴で良質な物語でほとんどの子どもたちはかわいいのだが、肝心の主人公ミンジが憎たらしい。なぜなら始終仏頂面で、性格も図々しく頑固で強引で生意気で、ひたすら金、金、金、金よこせ。

そもそもホエクーを探しに行くのも「元気でいてね」というよりも「報奨金がもらえなくなるから」という理由。どこが泣けるのさと冷めた目で観ていたはずなのに、「墨汁」のエピソードあたりから、がむしゃらなミンジのペースにすっかり乗せられ、どうしたことかクライマックスでは目から水が滝のようにジャーッと....。

b0087556_23392832.jpg

よく考えてみれば、ミンジは13才なんですから生意気で当たり前なのでした。可愛さ余って憎さ100倍とは言いますが、これは憎らしさ転じて可愛さ100倍。最後の黒板の前のミンジは本当に可愛い。一生懸命になった人が何かを取り返した表情とでもいうのでしょうか。同じ子どもとは思えないほどです。

最初に観たのはずいぶん前ですが、ミンジもホエクーも今はどうしているのやら。ミンジ役の女の子は将来は先生になりたいと言ってたそうだけど、先生になれるといいですね。
[PR]
by rivarisaia | 2007-01-30 23:49 | 映画/香港・アジア | Comments(0)