ゾマーさんのこと

パトリック・ジュースキントといえば、前にサクッと書いた「香りの映画」(観る前の雑談はコレで観た後の感想はコレ)が公開になりましたね。それしにても驚いたのは「PG-12」だったという点です。見間違いかと思いました。まあ確かにドン引きするかもしれないけど、過激というほどではないのですが、いいのかそれで。

さて、ジュースキント氏はマスコミ嫌いであんまり表に出てこないし、インタビューも私は見たことない。しかも寡作な人であった。そんな彼の本でもう1冊印象に残るのがこれ。
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ゾマーさんのこと』パトリック・ジュースキント著 池内 紀 訳
ジャン・ジャック・サンペ絵

ゾマーさんはリュックを背負ってステッキをつきながらいつも歩いている。朝から晩まで、雨が降っても、雹が降っても。村の人はゾマーさんのことを知っているが、ゾマーさんは一体どんな人なのか、誰も知らない。ファーストネームもわからない。少年の「僕」は、そんなゾマーさんがとても気になっていた。

主人公の「僕」の初恋やピアノのレッスンといった、少年時代の日々を描いた童話のような雰囲気で、つまり『香水』とはまったく違うテイストなわけですが、でも非常にジュースキントらしい。あくまでも主人公は「僕」であり、子どもの頃のノスタルジックな思い出が展開されていくストーリーにも関わらず、最後まで謎めいた人物であるゾマーさんの狂気とか哀しさが静かに、しかし波紋のようにじわじわと広がっていきます。

読み終わった後には、ああ、やっぱりこの本は「ゾマーさんのこと」なんだなあと思わされるのでした。湖の情景では、ハッとさせられること必須。これでもう、ゾマーさんのことがいつまでもいつまでも忘れられなくなるに違いない。ジュースキント、あなたって人は...。

で、次の邦訳はいつ出るんでしょう? 2006年に『On Love and Death』ってエッセイが出ているようなんですけど...。

追記:んも〜!! 私も悪いんですけどね、映画のネタバレというかワンシーン重視のTBを送ってこないで〜。ということで、若干書き方を修正しました。『ゾマーさんのこと』に関するTBは来ないわね...。
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by rivarisaia | 2007-03-06 23:02 | | Trackback | Comments(0)

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