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パッション

昨日はイースターでした。多くの人が驚きますが、実は私はカトリックだったりします。ひじょうにゆるい、ゆるゆる思考で、思考というより嗜好でしょ、単に聖人とか天使とかマリアとか、要はカトリックの美術というか見映えが好きなんだろ、と言われると、ハイ、その通りですと答えるしかありません。

でもね、「人間は小さい存在で、広大な宇宙は人知が及ばない」というコアの部分はどの宗教も同じで、仏教、神道、イスラム教、キリスト経...という違いはコアを包むパッケージの違いだと考えるのです。そんなわけで、聖書の一語一句が真実だとは思ってない私は、ファンダメンタルな思想にはついていけない。少なくとも生物の教科書に「人間は神様がつくりました」と書くのは、どうかと思う。アメリカの友人が通ってた高校の教科書はそうなっており、私との間で不毛なダーウィン論争が起きたのであった。

前置きが長くなりましたが、マグダラのマリアとイエスの間に子どもがいたらスッゴクおもしろいかもね〜と余裕もかましている、ゆる〜い私が語るこの映画。私とは対極に位置するファンダメンタルなメル・ギブソンが私財をつぎ込んでつくった映画が、

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パッション(The Passion of The Christ)

最後の晩餐、ユダの裏切り、ゲッセマネの祈り、ピラトの判決、ゴルゴダの丘...とイエス・キリスト最後の12時間を描く。


当然のことながら劇場で観ております(笑)。隣の席の熟年夫婦は泣きっぱなしで、私は前の席に座っている小学生児童は大丈夫かと気が気ではありませんでした。非常によく出来ていますが、ひたすら痛い拷問映画でもありますので、再度観るのはごめんこうむりたい気分。

よく出来てると思ったのは、そうだよね十字架は重いよねえ、磔って痛いよねえ、と再認識した点です。幼稚園児のころから「イエスさまはじゅうじかにかけられました」と何も考えずに言わされており、イエスときたら十字架にかかってるもんだと思ってますから、それって痛いことなのよ!という点を忘れていたのね。

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十字架にかかってるのはデフォルトですからねえ。こちらはラファエロの『Mond Crucifixion』(1502-3)。


でもね...むち打ちのシーンで肉片が飛んでたのは...痛すぎやしませんか?

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主演のジム・カヴィーゼルが、一般的なイメージ通りのキリスト顔だったとは気づきませんで、今後カヴィーゼルのことはキリストと呼んでしまいそうです。

さて、ちょうど公開時はイラク事情がヒートアップしていた時期。ファンダメンタルな人々が多いアメリカでも大ヒットだったわけですが、そもそも「こんなに痛い目にあってる人が、敵を愛せ〜と言ってんだから、ちょっとくらい言うことを聞いたらどうか」と思ったのでした。流れ出るキリストの血は、繰り返されたくだらない戦争で流された血と重なる。2000年経ってもあんまり世の中変わってなくてすみません、と反省したほうがいいと思うんですけど。

それにしても、最後の復活のシーンはストレートな表現すぎて、取って付けたかのようでした。あれは別に無くてもよかったのでは...と思ってしまった私はやはりユルイでしょうか。ユルイのかな、やっぱり。まあ、いいか。
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Commented by 森と海 at 2007-04-09 21:57 x
>コアを包むパッケージの違い
まさしく!ボクの妄想では、原初は全く同じものであり、時がたつに連れて変遷していったという流れでございます。では何時か?それは文明発生以前の記憶であり、その時折の事象を取り込みつつ・・・以下略。
リアルゴルゴダの丘ならこうなるんでしょうなあ。「ダヴィンチ・コード」とセットで観ると感慨深いものがあるはず。ボカー観てませんけど。
Commented by minaco. at 2007-04-10 01:35 x
ガチ映画でしたねー(ガチにはプロテスタントの方が多い気もするけど)。カトリックではありませんが、劇場で観た時rivarisaia さんの書かれてるのと同じような事を思いました。まさしく!
他の観客が明らかにウルウルしてる中、気の弱い私はムチ打ち肉片で目を瞑り、ど、どうやって撮ってるの、まさか・・・とジム・カヴィーゼルのガチっぷりを思いますます「ひ~っ」状態でしたが。でも劇場で観てよかったです。

そいうえば(全然違う映画だけど)パゾリーニ「奇跡の丘」のキリストが、痩せたカントナに見えてしまうんです。
Commented by rivarisaia at 2007-04-10 23:16
>森と海さん、
まさしく!とおっしゃっていただける方がいて、よかった。パッケージは好みと相性ですけど、中身は人知の及ばないものとしておいてもらいたいです。文明発生以前の記憶ですから...。
リアルゴルゴダは壮絶でスプラッタでした。アメリ4...じゃなかったダヴィンチはまだ観てなかった〜。
Commented by rivarisaia at 2007-04-10 23:22
>minaco.さん
ガチでした。めちゃくちゃガチでした。そして私もいろんな意味でプロテスタントの方がガチだと思います。こんなこと書くと怒られるかもしれませんが、カトリックはプロテスタントにくらべて意外にゆるいです。

ムチ打ちの肉片はそんじょそこらのスプラッタ映画より恐ろしかったです。どうやって撮ったんですかね...。
「奇跡の丘」のキリストがカントナ...。あっ、でもヒゲ面のカントナはキリスト顔かも! 
Commented by minaco. at 2007-04-11 00:52 x
本気と書いてガチでしたね・・・ブルブル。でもベルッチ様をマグダラのマリアにしたのが、せめてものメルギブのサービス精神だったりして(汚れれば汚れるほど美しいわン)。

私見ですが、やはりガチは北部、寒冷地方に多く分布するからかと思われます。(失礼ながら)カトリックは確かにゆるいですよね。南のラテンの人とか見てると。でもそのくらいのゆるさ(柔軟さ)でいいんじゃないかなあ、羨ましいなあと思います。

Commented by rivarisaia at 2007-04-11 23:13
ベルッチ様はやっぱり観客サービスですかねー。美しい人を投入することで肉片と相殺。

ガチは北部に分布説に私も同感です。デンマークあたりもガチっぽいです。カトリックは、偶像は禁止とか言っておきながら、崇拝しなきゃいいという理屈でボカボカ像をつくったり、神様は一人だけど聖人をやたらつくったり...という点にゆるさを感じて、人間ってそんなものよね!と微笑ましく思います。
Commented by minaco. at 2007-04-12 01:34 x
しつこくすみません。結局、これは現代の宗教を取り巻く現状に「初心忘るべからず!渇!」っていう映画じゃないかと思ったんですよね。うん、そういう意味では痛快でもありました(違うかな)。
勿論、最新記事のイタリア映画(軟派系キリストだw)もアリだと思います。
Commented by rivarisaia at 2007-04-13 00:04
そうですよねえ。メル自体はガチなので思うところが別にあったかもしれませんが、普通に観れば「初心忘るべからず」なんですよねー。

それにしても、どうなの、ジムにくらべてこの軟派系キリスト(笑) さすがイタリア。そんなイタリアは大好きです。
Commented by cazorla at 2007-04-16 05:12
この映画のあと 娘が学校で友達に教えてもらった事。
「ユダヤ人は 悪い人種だ。 キリストを殺したから」

だから言いました。
「あほやん キリストさんもユダヤ人でしょ?」

最近はキリスト関係ミステリーもいっぱいですね。(そーいうわけで スペイン人作家の本が合衆国で売れてるらしい。 史上初めてのことかも)
Commented by rivarisaia at 2007-04-16 14:36
cazorlaさん、
ユダヤ人は酷いという反響もありましたね。その見方も間違ってますよね〜。
>「あほやん キリストさんもユダヤ人でしょ?」
そう、その通りですよ。ダヴィンチ・コード以来、キリスト関係のミステリーが続々登場してきて、このブームはまだ続くのでしょうか。
スペイン人作家の本が売れてる現象はおもしろいです。日本でもスペインの小説の翻訳がどんどん出ないかしら(キリスト関係以外でも)。

前にフリオ・リャマサーレスの『黄色い雨』を読んだときに、この人の他の本も読んでみたいと思ったけど、なかなか邦訳は出ません....。
by rivarisaia | 2007-04-09 20:32 | 映画/洋画 | Comments(10)