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エノケンのとび助冒険旅行

私の中では中川信夫といえば怪談映画、という感じなんですが、戦前はエノケンの映画を結構撮ってるんですよね。こちらは戦後1949年のエノケン映画。

エノケンのとび助冒険旅行』中川信夫監督
あやつり人形師のとび助(榎本健一)が、母と生き別れになった少女・お福(ダイゴ幸江)と出会う。お福を連れ去ろうとした人さらいと格闘し、頭を殴られたとび助は、数が数えられなくなってしまう。これじゃあ商売にならない、ということで、2人はお福の母の里にあるという、どんな病気も治る「黄金(こがね)の果実」を探して旅に出ることに。ナレーションは徳川夢声。


原作とセットの画案は、黄桜のかっぱっぱ〜で有名な清水崑。子ども向けのファンタジックなミュージカル時代劇(なのか?エノケンが歌ってるからミュージカルってことにしておきたい)で、道中さまざまな難関(土蜘蛛とか鬼婆とかお化けキノコとか.....)に遭遇するという、どうってことない話なんですけど、書割りのセットがなかなかイイ味を出しているのが楽しい見どころ。

やはり中川信夫は中川信夫であった、と思うのは、目がピッカー!と光る土蜘蛛とか、障子に映る包丁を研ぐ鬼婆の姿でしょうか。全体に紙芝居を観ているかのようなメルヘン調なので、そんなに怖くないんですけど。

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それにしてもエノケンといえば、当然リアルタイムでは知りませんが、ひと頃ヘビーローテーションでエノケンの歌を聴いてた時代がありまして、なぜだかとても懐かしい〜。芋づる式に、トリロー(三木鶏郎)とかべーちゃん(二村定一)とかも思い出しちゃって、ひとりオンパレードで歌っちゃいましたよ。お前はいくつだ。

懐古趣味みたいでとってもイヤなので、あえてレトロを好んでるわけではないと強く言っておきますが、昔の邦楽のメロディーや歌詞のほうが何だか気分にしっくり来るもんだから仕方ありません。高校生以降、「最近の邦楽」というものをあんまり聴いてない私。滅多に行く機会もないですが、カラオケで歌える曲は、当然「アンタ、いつの時代の生まれなんだよ!」という曲しかないのねー。まあ親父(というか老人)ウケはするが。

ちなみに当時は太平洋戦争前の日本のジャズ・エイジあるいは上海租界のバンスキングな雰囲気にもはまりこんでおりましたから、全部ひっくるめて、これが私にとっての青春=、ひいては日本の夏!と言っても過言ではありません。そう、サザンでもレゲエでもなく、昭和初期のモダンな歌が濃厚な夏の気配を発しているとでも言っておきましょうか。

いずれにしても、エノケンの「ラブ双紙」を聴いてなければ、尾崎紅葉の『金色夜叉』も徳冨蘆花の『不如帰』も読んでなかっただろうと思うのでした。それもどうかしてますけどね。
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Commented by minaco. at 2007-08-17 01:17 x
こんばんは。rivarisaiaさんにはとても及びませんが、私の青春時代も時代錯誤でした。マルクス兄弟のグッズを集め、「円タク」「ガクブチショー」なんてのが会話に出てくる、そんな女子高生・・・(遠い目)。当時の友達の影響でもありました。
当然、滅多に行かないカラオケで歌うのは「東京ブギウギ」「東京の花売り娘」・・・(さすがに「カチューシャの唄」「月光値千金」までは遠慮しますがw)

>日本のジャズ・エイジ
良い歌が沢山ありますよね。歌詞もメロディもツボにはまります。当時、洋楽の訳詞もイカシてました。♪ダーイナ~教えてちょうだいな~とか。
あ、ちょっと新しめでしたね。
Commented by rivarisaia at 2007-08-17 23:01
>minaco.さん、こんばんは。

なんであんなに時代錯誤だったのか、私自身とんと見当がつきません。何がきっかけでったのでしょうか。私のカラオケのレパートリーも似たようなものですが、「月光値千金」は歌ったことないですねー。カラオケにあるんでしょうか。ナゾ。

でも、マルクス兄弟グッズを集める女子高生も.....(笑)

日本のジャズ・エイジはちょうど時代にマッチしてたんでしょうね。最近の人が当時の曲のアレンジなどを歌っても、何か違うんですよねえ。「ダイナ」はディック・ミネよりなんだかエノケンのほうが好きです〜。
Commented by peque-es at 2007-08-20 11:40
エノケンをリアルタイムで見た事のあるぺけです(笑)。テレビで、だったけど。ある意味、最近のタレントよりも西洋的(…国際的と言った方がいいかも?)で、洒落てましたね。当時既に過去のものになっていた「浅草オペラ」の歌も、あの時代によくこれだけと思うくらい洒落てた。そういうのを時々、エノケンや益田キートンが出て来て歌う、そんなテレビ番組が、年に1,2回はあったと思う。
私がスペインに行ってる間に、日本のミュージック・シーンは大きく変わってしまいましたが、はっきり言って、昔の方が「本物の音楽」だったと思います。でも私が言うと、「最近の歌が歌えない」オバのシットになっちゃうので、あまり言えないんだけど…と言いながら、時と場所を選んで(?)懲りずに言っておりますけどね。
歌だけじゃなくて、「作り物」で消費者をノセようとするような傾向、そして日本は西洋を真似なくていいんだ→日本はこのままでいい、という間違った開き直りのようなもの、日本社会全体の傾向として感じる…と言ったら大袈裟でしょうか?
でも、私より数世代(?)若いと思われる春巻さんが、昔の歌の方がしっくり来ると言ってくださったので、少し意を強くしましたよ!(笑)
Commented by rivarisaia at 2007-08-20 23:32
>ぺけさん
エノケンをリアルタイムでは見てないけれど、
そんなに世代は変わらないと思われる、若づくり?の私です(笑)

当時は何だか黄金期って感じがするんですよねえ。
逆に最近は良くも悪くも「使い捨て」な感じがします。それだけ時代の進むスピードが速いのかもしれないですね。まあ、私のテンポがのろいだけかもしれないですがー。

あとは作り手の意識の違いかもしれないですね。「イイ物を」よりも
「よく売れる物を」が先に立っちゃうのかしら。
by rivarisaia | 2007-08-16 23:54 | 映画/日本 | Comments(4)