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パンズ・ラビリンス

今年観た映画の中で、間違いなく私のベスト10に入る傑作。

た〜だ〜し、世間の評価は大きくわかれるだろうと予想。特に、女の子が主人公のファンタジーだし、オスカーだし、と期待した人はぼうぜんとするかもしれません。
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パンズ・ラビリンス(Pan's Labyrinth)』ギレルモ・デル・トロ監督

1944年、内戦後のスペイン。内戦で父親を亡くした少女オフェリア(イバナ・バケロ)は、母親(アリアドナ・ヒル)が独裁政権派の残忍なビダル大尉(セルジ・ロペス)と再婚したため、妊娠中の母とともに大尉がいる山奥の駐屯地で暮らすことになった。ある晩、オフェリアは、迷宮の守護神「パン」に出会う。「あなたは王国のプリンセスの生まれ変わりではないか」とパンに告げられたオフェリアは、それを証明するために3つの試練に挑むことになる......


ファンタジックな世界が独特なので、この段階でふるい落とされる観客も多そうですが、でも「ダーク」ファンタジーですからね。しかもギレルモ・デル・トロですからね!(出てくる妖精が、最初ギチギチ飛ぶ「虫」であるところがイイ)。オフェリアにとっての迷宮はグロテスクかもしれないけれど、それは現実の反映だから仕方ないのです。

とはいえ私も、この展開には驚いた。多くは語りませんが、お見事です。

過酷な現実とファンタジーの世界が表裏一体となって相互に作用しながら話が進むなか、ファンタジーのもつ力に圧倒されたし、ファンタジーの本質とは本来そういうものなんだと思う。おとぎ話の解釈なんてやっぱり後づけでしかない。映画ではおとぎ話は現在進行形であり、観客であるはずの私自身も2つの世界の間で大きく揺り動かされて、動揺させられることもしばしば。自由のためにレジスタンスやその支援者たちが戦っているように、オフェリアもまた現実と戦っていました。そして迎える深い余韻を残すラストシーン。これも感想がわかれそうですが、どうとらえるにせよ、少なくとも「希望」はあったと思う。

目指すところは『デビルズ・バックボーン』と似ています。

ところで、本筋とは関係ないんですが、劇中の子守唄について。

大尉の世話係であるカルメン(マリベル・ベルドゥ)が、「歌詞を覚えていない」から、メロディーだけを歌うんですが、あれはもしかすると、覚えていないというより、歌えなかったのでは、と深読みする私。

内戦終了後にフランコ将軍が行った弾圧の中に、カタルーニャ語やバスク語の使用禁止がありました。

有名なチェリストのパブロ・カザルスはカタルーニャ人で、彼のレパートリーに『鳥の歌』があります。これは、禁止されたカタルーニャ語で歌われていたクリスマス・キャロルが元になっていて、言葉で歌えない歌をチェロで歌うことに、カザルスの想いが込められています。あの子守唄はそんなことの象徴かな、とも感じました。

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by rivarisaia | 2007-10-10 23:10 | 映画/洋画 | Comments(0)