耳ラッパ

1936年から40年代初頭、スペイン内戦や第二次世界大戦の影響で、ヨーロッパからメキシコに亡命した人たちは結構います。こうしたヨーロッパからの亡命者たちが、メキシコの芸術にも大きな影響を与えたと思いますが、私の中では特にメキシコといえばシュールレアリスムの印象が強い。なので、『パンズ・ラビリンス』のデル・トロ監督がメキシコ人なのは、なんだかとても納得しちゃうのでした。理由はわかんないけど、なんかわかるわ〜という感じ。

で、「メキシコといえばシュールレアリスム」という印象を私に植え付けたのが、2003年にBunkamura ザ・ミュージアムで行われた展覧会「フリーダ・カーロとその時代」で、それまでは、フリーダ・カーロだけ特殊な(ある意味異端的な)存在かと思ってたけど、まだまだいたよ、こんなに!という気持ちになったわけです。なかでも強烈な光を放っていたのが、カタロニア生まれのレメディオス・バロ(Remedios Varo)と、イギリス生まれのレオノーラ・キャリントン(Leonora Carrington)です。特にキャリントンの絵は、わけがわからないけどファンタスティックでいいです。

そのキャリントンが書いた、これまたわけがわからないけど、超ファンタジーなめくるめく老婆アドベンチャーがこちら。
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耳ラッパ 幻の聖杯物語』レオノーラ・キャリントン著、野中雅代訳 工作舎
92才のマリアンは、親友のカルメラからプレゼントされた耳ラッパのおかげで、息子夫婦が自分を施設に入れようとしていることを知る。そこは70才以上、100才未満の老婆たちが、毒キノコや長靴の形をしたバンガローに暮らす施設だった......


不思議の国の老婆、老婆と円卓の老婆、老婆の大冒険、老婆のラビリンス。ビバ! 老婆!という物語です。こんな説明ではサッパリわからないだろうと思いますが、サッパリわからなくていいのです。どうやら小説の舞台はスペインなんですが、聖杯探求あり、殺人事件あり、謎めいた尼僧院長の本あり、さらに狼人間も出てくるし......とてんこ盛り。かなりシュールで突拍子のなさでは群を抜いている、怒濤のような1冊。

最近、再び読み返しまして、映画化するなら(しないだろうけど)デル・トロかもな...と思いました。ジュネ&キャロでもいいかもしれないけど。ここは、メキシコつながりってことで。

参考までに、著者キャリントンのプロフィールは工作舎のサイトに出ています。
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Commented by ゆずきり at 2007-10-16 23:35 x
「92歳のマリアンは・・・」という一文だけで笑ってしまいました。
老婆はやっぱり老婆だ!って感じなんでしょうか、それとも意外にギャルっぽかったりするんでしょうか?なんだかおもしろそうですねー。

ところで、Bunkamura。「・・とその時代」って展覧会が多いような気が・・・。
Commented by rivarisaia at 2007-10-18 22:58
歯は1本もないけど入れ歯はしてない、でもやわらかいものを食べるから
問題ない!と語るマリアンは、イメージとしてはギャルっぽいです。
ときどき老婆ということを忘れてました.....。

Bunkamura、言われてみれば、「〜とその時代」系が多いかも。
今やっている『ヴェネツィア絵画のきらめき』ももうじき終わってしまうわ。きらめいているか見に行こうと思っているのに。
by rivarisaia | 2007-10-16 20:00 | | Trackback | Comments(2)

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