ちいさなマフィアの話

コチラのエントリで『イタリア・マフィア』を勧めましたが、他にもわかりやすい本があったじゃないか!と思い出したので追記。それは、1989年に亡くなったシチリア出身の作家、レオナルド・シャーシャの小説です。

一般にイメージされるマフィアと、イタリアの人が言うシチリアのマフィアとの間には微妙なズレがあって、今ひとつ理解しにくい。シャーシャの描くマフィアはいわゆるマフィアとは違う。生活に溶け込んでいて、人々を見えない網で捕らえている日常的な存在だ。

ちいさなマフィアの話』レオナルド・シャーシャ著 武谷なおみ訳 白水社

本書には2つの話が収録されていて、表題作はとても短い物語なのに、とてもとても奥が深い。解説で訳者の武谷さんが、「日本の読者のために、あえて禁句を口にするのを承知のうえで、マフィアという言葉をタイトルに使用した」と書いているように、原題は「ありきたりの話」という印象を与える『Una Storia Semplice(単純な話)』となっています。人々はマフィアという言葉を口にしないし、何かが起きても見なかったことにして、何かに気づいても知らないふりをする。しかし、そこには必ず真実を見抜く人、あるいは見抜こうとする人が登場する。

作中、教師のフランツォ先生が、検事になったかつての教え子に向かって言う。

「国語は、たんに国語であるだけではありません。
ものごとを理性的に考えることです」


あなたがもっと国語ができたなら、今より上の地位にいたでしょうね、という皮肉につながる台詞だけれど、フランツォ先生はシャーシャの分身なのではないですか。理性的に考えて本質を見なくてはいけないと訴えているのではないですか。

シャーシャの本は数冊しか読んでないけど、どれを読んでも彼がシチリアの、そしてイタリアのオピニオン・リーダーであったという点に納得がいきます。『真昼のふくろう』もおすすめなんだけど、なんでどれも絶版なんだろう。
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by rivarisaia | 2008-02-02 00:18 | | Trackback | Comments(0)

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