薔薇物語:中世からの恋愛マニュアル

今も昔も、そうそう人間の精神構造は変わらないものですよ。

b0087556_21504982.jpg薔薇物語』ギヨーム・ド・ロリス&ジャン・ド・マン著 
篠田勝英訳 平凡社

薔薇の蕾に心を奪われた若者が、さまざまな苦難を乗り越えて薔薇との恋愛を成就する、という中世ヨーロッパの古典文学。思ったよりも読みやすかったのは、ひとえに篠田先生の訳のおかげです。解説にて篠田先生は以下のように語っています。

『薔薇物語』は古典である。古典は万人に開かれている。「読み方」というものがあるわけではない。各人が自分の流儀で好きなように接すればよい。(中略)一気に読了しようとすれば、途中で放り出したくなるかもしれない。それならば、飛ばし読み、拾い読みをすればいい


お言葉に甘え、私も拾い読み、前に戻ったり、先に進んだり、とまあ、ぐだぐだ読んだんですが、訳註も充実していて面白かった。

要はこれは、いかにして若者が彼女をゲットするかという話ですね!
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「悲哀」「強欲」「中傷」「嫉妬」「理性」「貧困」「富」「悦楽」...という概念が擬人化されて登場し、いちいちもっともな教訓を垂れるのがおかしい。さらに後編の「友の忠告」の章「女性との付き合い方」では、二股をかけるときや浮気がバレたときの対処法まで伝授してくれる親切ぶりですが、
「女は貧しい男が相手の場合には、言うことを聞かないとみると、ちょっとしたことですぐ見限ってしまう」

とか、
恋人に別の女性がいると知った女ときたら
「残忍さにおいては猟犬に吠えたてられて毛を逆立てた老いたる猪に勝り、残虐、獰猛においては仔らに乳をやっているところを猟師に襲われた牝獅子を凌ぎ、意地悪さにかけては、踏まれるのが大嫌いなのに尻尾を踏みつけられた蛇も顔負けというほどです」

と、かなりイイところを突いてます。さすが!

女性向けのアドバイスは、「老婆の忠告」の章に盛り込まれています。
特に老婆いわく「男はみな年季の入った嘘つきだよ」だそうです。

「友」と「老婆」が伝授する恋愛ハウツーの元ネタは、オウィディウスの『愛の技法』だそうで、古代ローマの時代から皆変わらず。オウィディウスもいずれ読んでみたい。

それにしても、この本の最大の笑いどころ(と書いたらダメでしょうか、でも本当に吹いた)は、オチです。ついに薔薇を手に入れるという予想通りの展開ですが、何だそのあからさまな比喩は!という描写があり、唐突にハッピー・エンド。これは....。

ところで、「老婆の忠告」に以下の文章がありましたよ。

「悪魔が魔法の秘薬か解毒剤(テリアカ)で奇蹟を起こさなければ〜」


あら、ここにもテリアカが!
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by rivarisaia | 2008-04-12 22:12 | | Trackback | Comments(0)

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