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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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落下の王国

さて、コチラでも書いたように、とても楽しみにしていた『The Fall』を観ました。よかった! そしてさらに言うなら邦題のセンスもいい。

落下の王国(The Fall)』監督:ターセム・シン

病院に入院しているルーマニア移民の少女に、同じく入院中の青年が物語を語る、というのがざっくりとしたあらすじ。この女の子が、愛嬌があってすごくかわいい!
落下の王国_b0087556_19492492.jpg
「青年の語る物語」に少女が介入していくところがなかなかおもしろい。「こう言ったけど、やっぱりじつはこうだった」と後から変えちゃったり、「そんな展開イヤだ!」と言われて徐々に軌道修正したり、一緒に物語をつくりあげていくことが、このふたりにとって大切なことでした。物語のファンタジー度が低いと感じる人もいそうですが、青年が5歳の少女に語っているお話なのですから、私はいいと思います。


落下の王国_b0087556_18274640.jpg今回も映像がすごくきれいなんですが、冒頭の白黒の映像からして凄いです。
ブルース・ウェバーの写真を思い出しましたが、蒸気機関車の煙、つり上げられる馬、すべてが美しいです。そして物語部分の幻想的なシーンでは、石岡瑛子さんのセンス(特に風景と衣装の配色)が炸裂してました。個人的にグッときたのは、クエイ兄弟のような人形アニメーションが挿入されるところ。その場面でそう使うのかー。

ターセムさんは、映像のコラージュ作家と言ってもいい。
ということは、もうゼッタイ「帳面派」に違いない!(※帳面派とはコチラ

ところでわたくし、コルベール展のエントリで、「そこはかとなく80年代パルコの宣伝を思わせる」とこきおろしましたが、「ターセムにはパルコの香りはしないワケ?」と突っ込まれたら、「そりゃ石岡さんが関わってるんだもん、もちろんしますよ」と答えざるを得ません。

しかし、コルベールの匂いとターセムの匂いは質が違う。ターセムは石岡瑛子さんが70年代から手がけてきた王道のイメージがさらに進化した感じ。だから古さやいやらしさがないのです。

映画の中の現実世界である病院の風景を眺めながら、以前紹介した本『The Circus in Winter』はターセムが映像化してくれたらいいのになあ!と思いました(洪水と象、というエピソードなんていいと思う)。まあ、この本の映画化はナイでしょうけどね…。

真実がどうなのかわからないけど、子どもの楽観的な想像なのかもしれないけど、無声映画に貢献した名もなきスタントたちに思いをはせるようなエンディングもよかったです。

ちなみにこの映画のテーマ曲は、ベートーヴェン交響曲第7番 イ長調 作品92 第2楽章。
これまたしっくりくる選曲でしたよ。

「落下の王国」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
Commented by minaco. at 2008-09-21 01:55 x
「ザ・セル」が結構好きで、ずーっと楽しみにしてましたコレ。そうですねコラージュ好きにはたまりませんね。おそらく帳面派ですよね。前作の犯人(ヴィンセント・ドノフリオ)なんか絶対。
東京で観ようか迷ったんですけど、結局行かず…もし行ってたらニアミスしてたのかもしれませんね!それから船越桂も行けず、せっかく教えていただいたのに申し訳ありません。

>80年代パルコ
この例え何となく解りやすいです。当時はいいけど後からしょっぱく感じる…ターセムはガチかなあ。REMのLosing My ReligionのPVも好きだったです。
Commented by rivarisaia at 2008-09-23 00:11
セルほどおどろおどろしくないんですが、やっぱりターセムには馬が欠かせないようですよ! そして今回の主人公の少女は「箱派」でもありました。あの女の子がすべてをさらっていった感じですね。すごくかわいい!(クエイ兄弟をもってきたところもナイス)

船越桂、勧めておいた私も結局行けずに終わりそうです。評判いいのにー!

80年代の香りはさじ加減が難しいですよね。ほんの少しでしょっぱくなっちゃいますからねえ。そういう意味では、ターセムはガチかもしれませんね。REMのPVもいいですよねえ。DEEP FORESTの「Sweet Lullaby」も好きですー。
Commented by minaco. at 2008-11-27 00:58 x
やっと観ましたよー。アレクサンドリアちゃん、ぷにぷにしててかわいかった!撮影中、彼がほんとに歩けないと思って(思わせて)たそうですが、確かに演技じゃないですよね。鸚鵡返しに尋ねたりするのが素でしたもん。
「セル」が暗黒的妄想コラージュだとしたら、こちらは希望的妄想コラージュかしら。そうだ、どっちも「箱派」だ!冒頭の馬、病院の風景(レントゲン技師がツボ)、エンディングなど、たいそう満腹でした。そういえば、ジュリー・テイモア監督「フリーダ」にクエイ兄弟のアニメーションが使われてましたよ。よろしければどうぞ~。
Commented by rivarisaia at 2008-11-27 19:25
アレクサンドリアちゃんの「でへ」という笑顔がイイですよねー。たしかに演技にしては素でしたよねが、そうか、ほんとに歩けないと思わせていたのか。大人は嘘つきだなあ(笑)

帳面派=コラージュ派=箱派、ということですね。きっと。
そして箱派としては、病院とかレントゲン技師とか薬棚とか超ツボです。

フリーダ・カーロは好きなので、逆に「フリーダ」観るのを躊躇しちゃったんですが、クエイ兄弟のアニメーションが出てくるのか。しかも舞台はメキシコ。イメージぴったりですね。やっぱりガイコツでしょうか。こんど観てみますー。

by rivarisaia | 2008-09-20 20:03 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(4)