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夏の嵐

先日、悶絶オペラの話でちらりと書いたヴィスコンティの映画。オペラの場面やお屋敷、衣装などにゴージャス感が漂う映画ですが、どうにも腹立たしい気分になるので、私はあんまり好きじゃないです。

b0087556_1945569.jpg夏の嵐(Senso)』監督:ルキノ・ヴィスコンティ

普墺戦争のころ。ヴェネツィアを支配する敵国オーストリア軍将校マーラーと恋に落ちてしまうイタリアの伯爵夫人リヴィア。ふたりの不倫の恋の行方を描いた話ですが、もう「あーあ…」としか言いようのない想像通りの悲惨な結末が待ってます。

相手が敵国の将校という時点ですでに「社会状況を考えなさいよ」と忠告したいくらいの許されざる恋物語ですが、ヒロインのリヴィアときたら、中盤でさらにとんでもないことをしでかすのである。

リヴィアには、イタリアのために戦う気満々の愛国者の従兄ロベルトがいた。ロベルトは、リヴィアに軍資金を託し、同志に渡すよう依頼する…が、しかし、この貴重なお金をあろうことか、リヴィアはマーラーに貢いじゃうんだよね!

マーラーは最初から胡散臭い人物なんですが、メロメロになってるリヴィアは、全然気づかない。軍隊から除籍するにはお金が必要だと言い出すマーラーに、「あなたが戦争で死んだらイヤだから」と預かった軍資金を全部あげちゃうのである。

あのさあ、リヴィアさん、ロベルトはお金を預けるときに

「イタリアが勝つには各自の行動にかかっている。
いまは自分のことは忘れなくてはならない」


って言ってたよねえ!?ちゃんと聞いてた?

しかも、それは"ちょっとした大金"というものではなくて、イタリアが勝つか負けるかの一大事に使用される重要な"軍資金"なんだよ、わかってんのか、このバカ女! 愛とか恋とか、そんな言い訳が通用すると思うなよ!

しかも、このマーラーという男は、床にこぼれ落ちた金貨を拾い集めながら
「君がくれたのは心だ。取らないと悪いと思う」

と抜かすのである。なんだその言い草は。
大体からして、軍人のくせに、医者に大金をつかませてニセの診断書を作成してもらい軍から抜けたいなどと、しょっぱいことを言ってる男は男じゃないことに、気づいてくださいよ、リヴィア〜!

私が勝手に思うに、本作は「イタリア人にとって、国の行く末よりもアモーレが大切」という趣旨ではないと思います。むしろ、イタリア統一を目指して一丸となるべき非常時に、イタリア人としてあるまじき愚か者の悲惨な末路を、同じ貴族であるヴィスコンティが冷たい視線で描いた、という気がします。そういうことにさせていただかないことには、何かスッキリいたしません。

なにせ、冒頭のオペラシーンでは快活そうだったリビアが、物語が進むにつれてだんだんとやつれ衰えていくところは、本当に悲惨です。

最終的にはマーラーに「お前なんか転んで首の骨でも折って死んじまえ!」とまで言われ、そんな男に復讐すべく医師買収の件を軍司令部に密告するリヴィア。ラストは発狂しちゃったんじゃないかと心配になるほどです。

ヘタレ男マーラーは銃殺されて当然ですが、あのあと、リビアはどうなったんでしょうね。イタリア女のそこぢからを発揮して、絶望の淵からみごとに立ち直っていたとしても、私としてはそれはそれで構わないんですけれど。
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by rivarisaia | 2008-10-22 20:10 | 映画/洋画 | Comments(0)