2017年 08月 03日 ( 1 )

Man V. Nature:シュールでダークで居心地が悪くなる短編集

シュールでダークで居心地が悪くなる話が12編詰まった短編集。夏のビーチでの読書にはあんまり向かない。夜に読むのはおすすめ。

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Man V. Nature』Diane Cook著、Harper

表題作は、魚釣りに行ったはずがなぜかゴムボートで漂流するはめになった三人の男性の話。幼い頃から仲良しの三人組と思いきや実際は……という事実が漂流中に徐々に明らかになっていって、なんともいたたまれない心持ちに。

配偶者を亡くした者は新しいパートナーをあてがわれるまで強制的に施設に収容されるという、ちょっとアトウッドっぽい「Moving On」、洪水で2軒だけ家が残された世界の話「The Way the End of Day Should Be」、産んだばかりの子どもを謎の男に奪われる恐怖を描く「Somebody's Baby」、一歩でも外に出ると襲撃される世の中で、主人公は強い男と結婚し巨大な赤子を生むんだけれども……という「Marrying Up」など、全般的にディストピアな話が多いのですが、どの話も私たちの不条理な社会や日常に潜む不安や無力感、欲望や葛藤を暗喩していると考えると、いくらでも深読みできて、それぞれの話が意味するところをじっくり反芻するととても楽しいのでおすすめです。

コミカルで異色だったのは、人を食い殺すモンスターが襲来し右往左往するエグゼクティブたちを描いた「It's Coming」(これたぶんタイトルはシャレになってるのでは?)。

そしてゴールディングの『蝿の王』を思わせる「The Not-Needed Forest」のラストには戦慄しました。10歳になって社会的に不要とされた少年たちが、装置に入れられてどこかの森に送られるんだけど……という話。途中まではありがちと思っていたけど、最後の最後で、え、そういうことかとわかった時に「うわー」と背筋凍った。地味に怖い。



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by rivarisaia | 2017-08-03 19:01 | | Trackback | Comments(0)

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