2017年 11月 29日 ( 1 )

おクジラさま ふたつの正義の物語

ハーブ&ドロシー』の佐々木芽生監督が手がけた、捕鯨をめぐるドキュメンタリー。家人がクラウドファンディングにちょこっと協力していて、楽しみにしてました。でも、なんだかんだで観に行くのがギリギリになり、感想書くのも遅れちゃった。

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おクジラさま ふたつの正義の物語』監督:佐々木芽生

『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞したことをきっかけに、いきなり”捕鯨問題”の中心地となってしまった、小さな漁村・太地町。農作物もうまく育たない土地で人々は昔から捕鯨に頼ってくらしてきたという歴史がある。戦後の食糧難の時期も、GHQの認可を得て鯨肉で飢えをしのいだ。代々、鯨漁で生計を立ててきた漁師も多い。

静かで穏やかだった田舎の町は、ある日突然世界からの非難の的になってしまった。

小さな町に反捕鯨運動の活動家たちが世界中からやってきて、カメラで撮影し、インターネットでバンバン情報を発信していく。

当然ながら町の人たちは困惑するのだが、うまく対処できない。自分たちなりの意見があっても、それを上手に世界に向けて発信することもできない。両者の溝は深まるばかり。

唯一、片言の英語でシーシェパードとコミュニケーションを取っているのは、街宣車を乗り回している右翼のような男性だけ。これはとても意外で、「考え方は違うけど相手のことを尊敬してるし、意見が違うなら話し合えばいいじゃないか」と主張していたのはこの人だけだった。

真っ向から意見が対立する相手を尊重するというのは、とても大切なことなんだよね。それができないと議論は成立しない。

佐々木監督は、じつにさまざまな立場の人々の、それぞれ異なる主張をカメラにおさめていて、俯瞰してみると、どちらの言い分もそれぞれに納得できるところとできないところがある。最終的には話し合って、おとしどころを探っていくしかないんだけれども。

この映画は「捕鯨」についてだけど、対立する世界について考えるドキュメンタリーでもあり、これと似たような構図は世界のどこにでも見られる。だから、どちらの意見が正しいかという単純な答えはこの映画では提示されない。

やがて年月が経ち、かつては伝統捕鯨の技術の継承が話題の中心だったけど、現在は鯨肉に含まれる水銀の量が問題になっている。鯨肉自体も売り上げが落ちている昨今、太地の人たちも鯨とのこれからの関わりについて考える時にきているのかもしれない。

最後に太地の町長が言っていた、世界から研究者が集まるような研究施設をつくりたいというのは良いアイデアかも。湾全体を活かして、最終的には外洋との囲いのない、鯨が自由に泳げるような研究施設。実現したら面白いね。

一度、太地町に観光に行ってみたい。とても綺麗な町だった。

(イルカとクジラは基本的に同じで、大きくならないクジラをイルカと呼んでいるだけなので、今回はぜんぶ「鯨」で通しています)

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by rivarisaia | 2017-11-29 23:31 | 映画/日本 | Trackback | Comments(0)

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