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カテゴリ:映画/香港・アジア( 147 )

ホワイト・バレット

年明け早々、ジョニー・トーも公開されてめでたいことです。

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ホワイト・バレット(三人行)』監督:ジョニー・トー/杜琪峰

強盗団のメンバーである男性(ウォレス・チョン/鍾漢良)が、頭に銃弾を受けた状態で救急病院に搬送されてくる。女医のトン(ヴィッキー・チャオ/趙薇)は至急手術を行おうとするが、男はなぜかそれを拒否。いっぽうで男を監視する警部(ルイス・クー/古天樂)は、逃走中の仲間の情報を聞き出そうとするのだが……

病院の中だけで展開する88分。犯人はなぜ頑なに手術を拒否するのか。犯人を監視する警察チームも何かを隠しているようなのだが、それは一体何なのか。

あちこちに伏線をはって、溜めに溜めて最後にどかんと派手に持ってきたスローモーション場面はなかなか面白くて、CSIシーズン10のエピソード1を思い出したりもしたのですが(あちらはスローモーションというか静止だったかも)、通常のスピードで再生したものと比較して観てみたいなー。ただせっかくスローモーションになっているというのに、途中で誰が犯人グループだったか顔がごっちゃになっちゃったのよね。不覚……(私はスローモーションをさらにスローで見たほうがいいのかもしれない)

脳外科医のトンは、これまで気負って頑張ってきたけれど、いくつかの出来事が重なって自信を失いつつあった。そんな彼女のフラストレーションも、最後の銃撃戦の場面で一気にはじけて吹っ飛んでいった感じがする。

余談ですが、「ビルから吊るされた人はどのように助かるのか、みんなで想像してね!」っていう演出は、最近他の香港映画でも観ましたけど、投げやりというか潔いというか、ほんと真面目にみなさんどうやって助かったのかしら。あれこれ想像しちゃうよ。



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by rivarisaia | 2017-01-23 16:34 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

鑑賞直後は、いろいろなアクションもりだくさんで豪華フルコース!という気分でしたが、今あらためて振り返ってみると、あちこちにスパイスのように細かい見どころがあって、ひとつひとつ思い出して堪能しちゃうし、それぞれのキャラクター設定が大変よかったですね。じわじわくる。
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ドラゴン×マッハ!(SPL 2 殺破狼II)』監督:ソイ・チェン/鄭保瑞

右の水墨画のようなポスターが気に入ってるので、並べてみました。およそ10年以上前に公開された『SPL:狼よ静かに死ね』の2なのですけれども(10年……げにおそろしき時の流れよ…)、ストーリーが続いているわけではないので、1を観てなくてもだいじょうぶです。

私、予告も観てなければ、あらすじもろくにチェックしてなかったので、「え、え、いったいどうなっちゃうの」とかなり緊張してしまった120分ですが、ざっくりしたあらすじは、こんな感じ。

香港で闇の臓器売買ビジネスを捜査していた潜入捜査官(ウー・ジン/呉京)は、正体がバレてタイの刑務所に送られてしまう。いっぽう、その刑務所には、骨髄ドナーの提供を待つ白血病の一人娘をもつ、刑務官(トニー・ジャー)がいた……

ざっくりしすぎて、だからなんなんだ、という話みたいですみません。これ以上は本編みてください。

潜入捜査官を救うために、上の命令そっちのけで動く香港警察チーム(リーダーはサイモン・ヤム/任達華)、臓器売買を仕切る謎の男(ルイス・クー/古天樂)、極悪非道の華麗なる獄長(マックス・チャン/張晋)をはじめ、さまざまな人物が入り乱れて、命がけの熱き戦いが繰り広げられる。力技的な展開もあるし、謎のオオカミが出現したりもしますけど、いいんだよ、細いことは。

本作でひとつ学んだのは、Twitterでも言いましたけど「ボンベイ型」という珍しい血液型が存在すること。あとバイオレンスな物語の中で、ほっと一息つける子どもの場面が物語上、大変重要な役割を果たしていたのもポイント。絵文字、大事!


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by rivarisaia | 2017-01-18 21:08 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

東京国際映画祭で上映される、動物がテーマあるいは重要な役割を果たしている作品を、私のまわりでは密かに「今年の動物枠」と呼んでいるのですが、おそらく今年の動物枠メインは『サファリ』(私は未見)、そしてこちらのフィリピン映画も動物枠の1本です。

どんな話なのか見当もつかずに観たので、謎が謎を呼ぶ展開にたいそうどきどき(というかびくびく)してしまった。

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バードショット(Birdshot)』監督:ミカイル・レッド

フィリピン。田舎の山奥で、乗客を乗せたまま行方不明になっていたバスが見つかる。新米警官ドミンゴと、型破りな上官メンドーサが捜査を開始するが、はたして乗客がどこへ消えてしまったのか、皆目わからない。唯一見つかった手がかりは、赤いシャツの切れ端だけだった。

農場の娘マヤは父親とふたりで森林保護区のそばで暮らしていた。ある日、マヤは保護区の中へ入り込み、絶滅危惧種のフィリピンワシを撃ち殺してしまう。父親はこのことは誰にも言ってはいけないと固く口止めし、ワシを食べたあとの残骸や銃を埋めて隠してしまう。

バス失踪事件解決の糸口はつかめないまま、ドミンゴとメンドーサは担当を外され、新たに絶滅危惧種のフィリピンワシを殺した犯人探しを命じられるのだった。

「土地の件で何か不正が行われており、それを訴えるために出かけていった家族の行方がわからない」と白黒写真を持って警察署にやってきた女性がいた。彼女から写真を受け取ったドミンゴは、担当を外されてもバス事件の捜査を続行しようと試みるが、署長から叱責され、さらには正体不明の人物から恐喝を受ける。

正義感に満ちていたはずのドミンゴが、自分の家族に危険が及ぶことを恐れ、バス事件の解決を断念するあたりから人が変わったようになってしまうのが恐ろしい。バス事件に向けるはずだった義憤はにっちもさっちもいかない状況でフラストレーションに変わり、フィリピンワシ殺しの容疑者であるマヤの父親へと向かい、間違った形で暴発する。

大自然に囲まれて自由に生きるマヤと、警察というしがらみにとらわれて生きているドミンゴの対比が切なく悲しい。

純粋な精神の持ち主であるマヤも、また本当は純粋だったはずのドミンゴも、超自然的な何かを感じ取る力を持っているんだけれども、道を踏み外してしまったドミンゴにはもはや失踪事件の謎を解くことは永遠にできない、と上映終了後のQ&Aで監督は語っていた。だから、無垢な世界に踏みとどまることのできたマヤだけが、行方知れずとなった人々の居場所を知ることができるのだった。




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by rivarisaia | 2016-11-13 23:34 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

世の中、いろいろ起きてますが、とりあえず私は粛々と東京国際映画祭の感想をアップしていきますよ! 話はその後だ。

こちらの作品、めっぽう面白いです。なるべく早めに公開してください。

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メコン大作戦(湄公河行動)』監督:ダンテ・ラム

麻薬の密造地帯として有名な「ゴールデン・トライアングル」を流れるメコン河で中国船が襲撃され、13名の乗員全員が惨殺される。中国当局は捜査のための特殊部隊を派遣、またラオス、ミャンマー、タイの警察とともに合同捜査を開始するが…

2011年に実際に起こった「メコン河中国船襲撃事件」を描いた作品。事件のあらましについては「メコン川中国船襲撃事件」で検索すれば、いくつもニュースがヒットしますので、興味のある方は調べてみてください。

上映後にダンテ・ラム監督が言っていましたが、映画なのでアクション部分は7割くらい大げさに盛ってるけど、基本的な出来事はほぼ実話ベース、とのこと。テンポよく話が進み、次から次へと息もつかせぬ展開にはハラハラするし、アクションは豪快だし、非常に劇場映えする作品なので、ぜひ公開しましょう! 私はもう1回観たいし、今回時間が合わずに観られなかった家人や友人にもぜひ観せたい。

きっと公開されるはずだよな〜、公開されなきゃおかしいよな、という気分になってきたので、詳しいあらすじはこれ以上書きません。ひとつだけ記しておきたいのは、犬映画でもあるということです。警察犬の活躍にも注目ですよ!

主演のチャン・ハンユー/張涵予やエディ・ポン/彭于晏をはじめ、特別捜査チームのメンバーの方々はみんなかっこいいし(女性のメンバーがよいのよ)、麻薬組織の面々も濃ゆい人たちばかりで、すばらしいキャスティング。『オンリー・ゴッド』のカラオケ刑事を怪演したタイの俳優、ヴィタヤ・パンスリンガムも出てました。

中国大陸の資本が入っていると、作品自体に大人事情が反映されちゃったりするのかな…と考えてしまいがちなのですが、本作はダンテ・ラムがそれを逆手に取った感じというか、がっつり交渉して思う存分やりたいことやらせてもらいました!という印象。ほんとよくやった、と感心しました。

あーもう1回観たい! とりあえず予告どうぞ!



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by rivarisaia | 2016-11-11 19:51 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

大阪アジアン映画祭で観た人たちの間で、とても評判が良かった映画で、何度か機会を逸してたけど今回ようやく観ることができました。

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ラブリー・マン(Lovely Man)』監督:テディ・スリアアトマジャ

敬虔なムスリムの少女チャハヤは、幼い頃に生き別れとなった父サイフルに一目会いたくて、母には内緒でジャカルタへと向かう。ようやく見つけた父親は、名前を変え女装して道で客を取る男娼だった。ショックを受けて泣き出してしまうチャハヤに対して最初は冷たくあたるサイフルだったが、一晩だけの約束で一緒に過ごすことになる。

父親は、おそらく元締めのお金に手を出していて、それを持って遠くへ行こうと考えている。いっぽう、娘のほうも、誰にも言えない秘密を抱えていた(父親にはお見通しなのだけれども)。

夜のジャカルタの映像がとても情緒的で美しく、今晩だけは付き合うけど、明日になったら親子の縁を切るのよ、と言う割には、きっとサイフルはずっと娘のことを忘れずに想っていたんだろうなとわかる、さりげない場面もあって、本当に切ない。翌日、駅での別れ際にサイフルがチャハヤに渡すものは、彼の運命を暗示するかのようで、サイフルは自分の未来をその昔捨てた娘に託すことにしたのかもしれないし、またそれは彼なりの罪滅ぼしでもあったのだろうけど、それ以上の何かもあったような気がする。

サイフルがあの後どうなったのかはわからない。でも「雨をよけるんじゃなくて、楽しみなさいよ」という彼のことだから、うまく切り抜けることができるかもしれないという淡い期待もあって、できれば私はそうであってほしいなと思う。

70分と短い作品だけども、大阪アジアンでの評判を聞いていた通り、本当によい映画。私の座っていた列では、はじのほうからすすり泣きが聞こえてきて、それが伝染して、たぶん一列並んでみんなで泣いてた。本作は「親密さについての3部作」の1作目で、残りの2作を観ることができなかったのがとても残念だったので、どこかでまた機会がありますように。

予告編



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by rivarisaia | 2016-11-08 22:12 | 映画/香港・アジア | Comments(4)

東京国際映画祭の2本目は佃典彦の『ぬけがら』が原作の香港映画。ジャンユーと(そのお子様)とルイスという豪華ゲスト付きでした! けっこう間近で二大スターにお目にかかれたので幸せ〜。

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シェッド・スキン・パパ(脫皮爸爸)』監督:ロイ・シートウ/司徒慧焯

仕事もない、お金もない、借金取りに追われ、妻からは離婚を迫られる、というにっちもさっちもいかない映画監督(ルイス・クー/古天樂)が主人公。

母親が亡くなった後、残された父(フランシス・ン/呉鎮宇)はアルツハイマーでボケてしまっていた。そんな父と暮らす映画監督の主人公(ルイス・クー/古天樂)は、仕事もない、お金もない、借金取りから追われ、妻からは離婚を迫られているという、ドン詰まりの状態にあった。
そんなある日、とつぜん父親が脱皮する。そしてちょっとだけ若返ってしまう。驚く主人公を尻目に、父親は脱皮を繰り返し、そのたびに若返っていく…

舞台劇らしいシュールなコメディで、最初あらすじを読んだ時には、脱皮するとはどういうこと?と首かしげたんですけど、文字通り「脱皮」していて、脱皮したあとには人型のぬけがらがそっくりそのまま残されるわけなので、それをどうしたらいいのか、ほとほと困ってしまう主人公なのであった。父親はさほど困っておらず、むしろ脱ぎ捨てて放置してきちゃったりして、主人公を慌てさせる。

父親が若返るたびに、その年代の父親がどんな人生を送っていたのかを振り返ることにもなり、また、大陸から香港に渡ってきたという父親の人生は、そのまま香港の歴史とも重なりあっていく。

同時に主人公も子どもの頃からこれまでの半生を思い返し、自分のいたらなさやふがいさなさを省みたりして、希望や情熱を取り戻していくのだった。

最終的にはそれぞれ年齢の違う六人の父親と、若かりし日の母親とともに円卓を囲んで麺を食べるという大円団で、笑いつつもしんみりしちゃうんですけど、映画の帰り道、自分の身に置き換えてよくよく考えてみたら、しんみりどころか、うわああ嫌だー!ってなったよね…。

まったく知らない遠い昔のご先祖なら会ってもいいけど、よく知る身内の若い頃とか別に会いたくないですよね…。自分の身内でもそうだし、家人の身内も嫌だ。若い頃の義父とか義理の叔母とかが目の前に現れたら、私、絶対に喧嘩になってケリ入れると思うんだよね…。ケリどころじゃ済まないかもしれない。やばい、しんみりする話どころか、バイオレンス映画になっちゃう。危険!


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by rivarisaia | 2016-11-05 23:51 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

12人姉妹

忘れないうちに、恵比寿映像祭2016で観たカンボジア映画の感想を書いておく。
1968年に製作され、長い内戦で失われなかった数少ないカンボジア映画黄金期の作品。G・メリエスを意識した特殊効果と、カンボジアの民話が融合したファンタジー映画。
ということで、今回の上映のために日本でデジタル化された作品です。面白かった!

3月の大阪アジアン映画祭でも上映されるので、これから観る人は、以下内容にふれてますので、ご注意ください。オリジナルはカンボジア語だけど、現存していたフィルムはタイ語でした。

12人姉妹(Puthisean Neang Kong rey/The Twelve Sisters)
監督:リー・ブン・イム

むかしむかし、12人の美しい姉妹がいて、野山をさまよっていたところを女の人に拾われる、というのが話のはじまり。

ただしその女は人食い鬼で、正体を知って驚いた12人姉妹は命からがら逃げ出し、今度は王様にひろわれて、全員が王妃の座につくのだけれども、人食い鬼が美女に化けて王宮にやってきて、まんまと13番目の王妃になってしまう。

人食い鬼である王妃は、魔術で王様をたぶらかし、妊娠している12人を王宮から追い出す。姉妹たちを魔女だと思い込まされている王様は、罰として12人姉妹の目をえぐり出すように命じるのであった。ただし末っ子だけは、片目だけですんだ。

このえぐり出しシーンをそんなに丁寧にアップで見せなくてもいいのよ、監督!っておののいたのですが、そのあとも、うっすら半開きになった青黒く腫れてるまぶたの隙間から真っ黒い眼窩が覗くという特殊メイクの12人姉妹がわらわらと蠢めく演出。怖い! 怖いよ! ふつうに目を閉じているだけじゃダメなの、監督!って震えた私です。

さて、洞窟に閉じ込められた12人姉妹は子どもを産むが、食べるものがないので、どうやら生まれてくる子を次々と食べて生きのびたようす。しかしやがて洞窟でカエル(!)が取れるようになり、末っ子の産んだ息子だけは食べられずにすんだのでした。

ここから、物語の主役は息子に移ります。

母と11人の叔母の食料をゲットするために頑張る息子。闘鶏だの、石投げ競技だの、どのギャンブルでも負け知らず。でもいつも希望する賞金は「米の包み12個」です。そのうちに王様の家臣になった息子ですが、人食い鬼王妃の策略にハメられそうになるも、仙人の助けもあって、

人食い鬼の王妃の娘(娘は王国の女王なのだった)と結婚する。

しかし、気がかりなのは、洞窟に置き去りにした母と11人の叔母。彼女らを助け出すべく、ここからラストに向かって息子が怒涛の大活躍!

空飛ぶ馬にイノシシ、回る王冠、巨大化する人食い女!と盛りだくさんなのですが、地割れシーンにはびっくりしました。どうやって撮ったのかな。最終的に、12人姉妹は目玉も取り戻すことができて、めでたしめでたし、といきたいところですが、「ええ!?そんな!」というラストが待っていて、唖然としたまま映画が終わった…。あとで調べてみると、確かに民話通りなんだけど。切ない。

タイ語バージョンがオリジナルとどのくらい異なるのか(編集とか音楽とか)よくわからないみたいだけれども、女王様が歌うシーンがぶちっと切れた気がする。おそらくあの歌の場面は本来はもっと長い見せ場だったんじゃないかなー。


以前観た『怪奇ヘビ男』もそうだけど、民話ベースのカンボジア映画、独特な面白さがあるので、またどこかでフィルムが発見されて、観る機会がありますように。

もとになった話は、カンボジア民話集の第5巻16「プノム・ニエン・コンレイ(コムポン・チュナン州)」で読むことができます。

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by rivarisaia | 2016-03-03 23:11 | 映画/香港・アジア | Comments(3)

Bajiao Mastani

観る機会を逸していたら、キネカ大森で上映会が開かれたので行ってきました。歴史上の人物を主人公にした映画です。私は知らなかったけど、あとで調べてみると世界史の有名カップルとしてたまに取り上げられる人たちでした。

Bajiao Mastani バージーラーオ マスタニー』監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー

映画の前後に、史実を忠実に映画化したのではないという説明が出るんですけど、まあそうですよね。歴史にありがちですが、女性のほうは記録があまり残っていないみたい。

18世紀のインドが舞台です。ムガル帝国と対立していたマラーター王国で、バージーラーオが新たな宰相に決まったところから映画はスタート。

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固有名詞が呪文のように聞こえても気にするな! ランヴィール・シン演じるバージーラーオーはこんな人です。

バージーラーオが戦いで遠征していたある日のこと。ブンデールカンドの領主の娘マスタニーが助けを求めにやってきました。

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ディーピカー・パードゥコーン演じるマスタニー。

マスタニーは武芸に秀でており、バージーラーオは感銘を受ける。ふたりは共に戦い、彼女に惹かれたバージーラーオは、自分の短剣をプレゼントするのだが、ブンデールカンドでは、

男が女に短剣を贈る=結婚の申し入れ

という意味になるのだった。そこでマスタニーは、バージーラーオの求婚を受け入れる決意をして、彼のもとに赴くのですが、ところがしかし、ここでひとつ問題が。

マスタニーの母親がイスラム教徒だったのである。

バージーラーオには彼を心から愛する正妻カーシーバーイーがおり、突然の愛人の出現に心かきみだされ、マスタニーに嫉妬を抱きます。

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プリヤンカー・チョープラー演じる正妻カーシバーイー。正妻として堂々と立ち振るまい、悲しみ、苦しみつつも最終的にはマスタニーを受け入れようと決意していくという難しい役どころ。

いっぽうでバージーラーオの母親や弟、ヒンズーの僧侶たちは、マスタニーに敵意をあらわにし、半分イスラム教徒の踊り子を受け入れることなどできないと憤り、何かにつけて嫌がらせをする。

そうした状況で、バージーラーオとマスタニーは愛を深めていくのだが……

という、悲恋物語+異なる宗教に対する寛容/不寛容の話です。

衣装や宝飾品のデザイン、建築物やインテリアや小道具の意匠が美しくて、今回は英語字幕での上映だったんですけども、画面の隅々にまで目を奪われてしまい、字幕をちゃんと読むヒマなかった。。。

あとこの映画をきっかけに、ムガール帝国(イスラーム)が力を失いつつある時代の、ヒンズーとイスラームの力関係にもちょっと興味がわいたし、マラーター同盟とかまったく覚えてなかったし(※私、高校は世界史専攻である)、ムガール朝のデザインもやっぱりすてきだなーとうっとりしたので、いずれいろいろと調べてみよう!という気になりました。ムガール朝の服飾の豆本作ろうかな〜(→なんでも豆本にしようとする癖)。


本日のおまけ:うわーきれいー。






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by rivarisaia | 2016-02-15 15:27 | 映画/香港・アジア | Comments(8)

華麗上班族

だいぶ遅ればせながら、フィルメックス。みたい作品がいっぱいあったのに、諸般の事情により1本だけです。

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華麗上班族』監督:ジョニー・トー

とある大企業を舞台に、欲望に駆り立てられる社員たちの人間模様と、リーマンショックが引き起こす悲劇を描いたミュージカルです。

前評判からさほど期待せずに観たのですが、私としては可もなく不可もなく、というか、あまり印象に残らない作品ではありました。踊りがないせいなのか、音楽が頭に残らなかったせいなのか、テーマが暗いせいなのか、メインの若者男女2人の印象が薄いせいなのか、どうもパッとしなくて、本作に比べたら同じトーさんの『文雀』のほうが、歌も踊りもないけどよっぽどミュージカルっぽい。

(と、思って過去記事をみたら『文雀』は「ミュージカルみたい」って書いてました)

ただ、本作でよかった点もいくつかあって、その一つは、摩訶不思議な雰囲気を醸し出す舞台セットと、経理の女性を演じるタン・ウェイちゃんです。

もうね、タン・ウェイちゃんを愛でる1本だったといっても過言ではないくらい、かわいい。不幸な役なので、なんともかわいそうなんだけども。

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この眼鏡よく似合ってない? 彼女は首から肩のラインが、高野文子の絵のようにするんとしてて、いいなー。

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by rivarisaia | 2015-12-08 01:15 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

百日草

東京国際映画祭の3本目は心に沁みる映画でした。思い出すだけでしんみりする……。

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百日草(百日告別/Zinnia Flower)』監督:トム・リン

交通事故で、婚約者を失った女性と、妊娠中の妻を失った男性。ある日突然、大切な人を亡くしてしまった二人が、喪失感に苛まれながらも、なんとか現実を受け入れて生きていこうとする100日間の物語。

百日というのは、初七日、五七日、四十九日……という法要の日数で、百日目は泣くのをやめる日(卒哭忌)だそうです。仏教の習わしに疎い私は、なるほど台湾ではそういう習わしなのかと興味深く思ったけれども、日本にも百ヶ日法要があることを後で知る。

事故では軽傷ですんだミン(カリーナ・ラム)。婚約者の母親は、息子の死に対する怒りをミンにぶつけてくる。葬儀では遺族側で参列させてもらえず、出せなくなってしまった結婚式の招待状をぼんやり眺め、料理人だった婚約者が残したレシピカードを見ながら食事を作り、そして新婚旅行で行くはずだった沖縄へ、彼女はひとりで旅立つ。

この映画は帳面派でもあるのですが、ミンと婚約者は沖縄で美味しいものを食べ歩くつもりだったらしく、行きたいカフェやレストランをまとめた旅の帳面が登場するんですよ。それを手に、ミンはひとりで黙々とまわっていくのね。曇り空の沖縄を。切ない……。

いっぽうで、怪我を負ったもののやはり自分だけ助かってしまったユーウェイ(シー・チンハン)は、事故を起こした加害者の家に怒りの電話をかけ(でも加害者は死んでしまっているのだった)、クリスチャンだった妻の友人たちの、無神経な言葉に憤り、腫れ物に触るように接してくる同僚に苛立ちを覚える。

やがて彼は、自宅でピアノを教えていた妻が受け取っていた月謝を返すために、妻の教え子たちの家を一軒一軒訪ねてまわるようになる。

ミンとユーウェイは、山のお寺で行われる法要の場で顔を合わせ、少し言葉を交わすだけの間柄で終わります。

百日の間に、淡々と時は流れていくようでいて、じつはいろいろなことがあり、自暴自棄になったり、自殺を考えたり、なんとか踏みとどまったり、怒ったり、泣いたり、そうしていくうちに時間が少しずつ傷を治していくのでしょう。傷痕は決して消えることがないにしても。

ハンカチ忘れると劇場で大変なことになりますが、本当にしみじみとよい映画なので公開されるといいなあ。では、予告をどうぞ。




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by rivarisaia | 2015-11-12 23:28 | 映画/香港・アジア | Comments(0)