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ドゥームズデイ・ブック(上・下)』コニー・ウィリス 著、大森望 訳(ハヤカワ文庫)

ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞とSF三大タイトルを受賞したコニー・ウィリスのタイムマシーン・シリーズ。
過去へのタイムトラベル技術が確立された近未来。研究者が歴史調査のために過去へ旅することが可能になった。史学部の女子学生キヴリンは、21世紀のオックスフォードから14世紀に向かうが、到着と同時に病に倒れてしまい、元の世界に帰るための場所が分からなくなってしまう。いっぽう21世紀の世界では、正体不明のウイルスが猛威をふるいオックスフォードに隔離宣言が出されてしまう。キヴリンは無事未来へと戻ることができるのか。

SFというよりも、歴史小説と言ったほうがピッタリくるかも。中世のイヴリンと21世紀のダーンワージー教授の話が交互に展開していくのですが、なにせ中世イギリスの描写が秀逸。やたらとリアリティがある。翻訳機があるのに、最初言葉がなかなか通じなかったりとか、中世のお屋敷内の雰囲気とか。閉塞感のある小さな村と、そこに暮らす人々に親近感さえ湧くのですが、おかげで後半の怒濤の展開には、
「うわー、やっぱアレだったの? もうどうしよう!」と主人公よりも慌てふためきました。

長いですが、後半に入ると途中で止められなくなって一気に読める。おすすめ。
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by rivarisaia | 2006-04-30 21:13 | | Comments(0)

SPL:狼よ静かに死ね

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3月に見た映画。
イタイ〜。呉京(ウー・ジン)、イタイよ...と背中がゾワゾワしましたよ。

甄子丹(ドニー・イェン)が主役だと思って見にいった『SPL:狼よ静かに死ね』ですが、どう考えても主役は任達華(サイモン・ヤム)でした。それなのに、強烈な印象のドニーさん。まあ、それはいいとして...。おそらく、私と同世代の人にとって、「身軽なデブ」という強烈な印象を与えた洪金寶(サモ・ハン)の初の悪役 vs ドニーのガチンコ対決と聞いたら、映画館で見るしかないですよね!しかも歌舞伎町という何とも言えない最高のロケーションで。

それにしても、ドニーさんのあのシーンには大爆笑でした。映画館に響き渡る大声で笑った直後に、アレが起きて、その笑顔のまま引きつってしまったのも事実。警察なのに、なんだかイカすいでたちのドニーさんは最高だ。全身黒で白いベルトが光っていました。
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by rivarisaia | 2006-04-29 23:50 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

英単語タイトルはブームなんですか? HERO、LOVERS、PROMISE、MYTH...と続く中華映画ですが、それならいっそのこと「Fearless」のママでいいじゃん!とギモンの『SPIRIT』ですが、主題歌が『罪』になっちゃったという罪つくりなこの映画をワザワザ元の主題歌を入れたi-Pod持参で見に行きました。

映画が終わった直後にi-Podのスイッチを入れなくてはならないのが理不尽です。ジェイ・チョウの主題曲はすばらしい。ついでにMVもすばらしい。『頭文字D』では「ふぅ〜ん台湾の人気歌手かぁ」という程度の認識だったジェイ(いや、映画は面白かったです)のCDまで購入してしまったほどだ。映画終了後に日本版主題歌のクレジットが大写しになるのが、不愉快極まりないので、速攻目をそらすべし。

映画は、「とにかく戦いが見たいぜ」という格闘男子にとって、おそらく雲南省のシーンがちと退屈かもしれないが、いや、あののどかな田植えシーンで「稲と稲の間に隙間をあけないといけない」=「相手を敬うことが大切」と少数民族の少女が説くシーンは重要なのだ。
リンチェイが奥さんに頭が上がんないので、とにかくラブシーンは御法度だから、なんだか淡い場面だぞ、と思われるかもしれないが、こののどかな田園場面は良い場面だ、と力説したい。

映画の構成として、もうちょっと最後に盛り上がりを...という気もしないではないですが、リンチェイの言いたいことは直球で伝わってくるので、もはや問題はありません。中村獅童もいい役どころ。日本武士の精神とは本来そーですよね、うんうん、とうなずけたし。(悪役じゃない日本人役って画期的だ)。

パンフレットに書いてあった、
『武』という漢字は、『戈=争い』と『止める』という二つの意味をもつパーツで成り立っているのです....武術とは暴力ではなく、平和をうながす修練なのです
には、深く感心しました。それにしても、何でこんなに辮髪が似合うんだ...、そして、何でこんなにカッコいいんだ、リンチェイ。それなのに、やはり惜しいのは、主題歌の問題なのでした。映画関係者は何を考えているのか、本当に理解不能です。

この件に関して、詳しくは以下をご覧ください。ワーナーの解答がどうもスッキリしないですね...。
SPIRITの魂はジェイ・チョウの霍元甲にある。
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by rivarisaia | 2006-04-29 22:07 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

何だか社会派映画鑑賞会のようになってしまった3月。

シリアナの「世界で最も恐ろしいタブー」というキャッチコピーに惹かれて見に行ったものの、石油の利権争いってドロドロしているのは分かっていたので、どこが「最も恐ろしいタブー」なのか今ひとつ分からなかった...。私には分からない意図されたタブーがあったのかもしれない。気づかなかったよ。いかんせん複雑なストーリーがころころと場所を変えて展開していくので疲れました...。個人的には、もうちょっと何かに焦点を絞ったほうが映画として面白かったのではないか、と思うのですが、あえて現実感を出すための構成なのかもしれません。

交錯するエピソードの中で印象深かったのは、テロリストへと変貌していく少年と、アメリカの石油企業と手を切ろうとしたことでテロリストとされてしまったナシール王子。「なんで石油の取引所が中東にないんだ」というナシール王子のセリフはもっともで、そりゃそうだ、と納得。巨大な石油企業に翻弄されていく少年の運命にも哀しいものがありました。

石油利権という大きな構造の中に飲み込まれていく人々。疲れることは確かですが、いろいろと考えさせられる映画ではあります。
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by rivarisaia | 2006-04-29 15:33 | 映画/洋画 | Comments(0)

ミュンヘン』は実はDVDになるのを待つ予定だった。

しかし、WOWOWで『ブラック・セプテンバー』をたまたま見たところ、あまりに内容が衝撃だったため気分が盛り上がり、『ミュンヘン』も見るぞーと、公開直後に映画館に足を運ぶことに。

『ブラック・セプテンバー』が衝撃だったのは、オリンピックでテロがあったという事実よりも、人質が取られている建物のすぐ外で呑気に卓球をしている選手がいる映像であり、建物への突入作戦がテレビ中継されていたため犯人にバレバレであったという「どうして誰も気づかないの?報道規制しろよ」という対応策であり、飛行機に突入するハズの部隊が「危険だからやめよう」と勝手に判断して帰っちゃったことを別の部隊が知らなかったという、とんでもない事実だった。何やってんのか!?ということが、悪の連鎖反応のように次々に起きる。その結果が、人質全員死亡という現実だった。

さて、『ミュンヘン』ですが、上映時間の長さが意外と気にならなかったのは、さすがスピルバーグのなせるワザなのでしょう。最終的に、祖国のために暗殺を行なってきた主人公は、イスラエルを捨てて米国に移住することになってしまう。そしてラスト。主人公が今まで自分に暗殺指令を出してきた人物を食事に誘って断られるシーン。背景に映るWTCがさりげなく象徴的でした。映画見て、うわぁモサドってひどいわーとか思ってるアメリカ人に、でもさお前らもアフガンやイラクをやっちまえーって思ったんじゃないの、やってることは同じじゃん!とツッコミを入れている感じ。世界は結局どこも変わってないということか。

ところで、この映画で一番注目してしまったのが、フランスの情報屋ルイの存在。のっけから怪しいオーラを発していて、いつかコイツが何かやらかすに違いないとずっと期待してました。ちょっと見方が間違っているような気もするが...。

しかし後に原作の『標的は11人 モサド暗殺チームの記録 』 (ジョージ・ジョナス著 新庄哲夫 訳 新潮文庫)を読んで、映画では描いてなかったルイ親子の凄さに改めて驚きを覚えました。イギリスのホテルでとある人物が殺されるのですが、本では主人公がルイに電話をかけてその後始末を頼むのです。主人公が電話をしてから15分後、ルイのパパから「ホテルに戻り、こちらの配下が行くまで待て」との電話があり、さてそのわずか30分後ホテルに遺体収納袋と運搬車を持参した「パパの配下」の3人組が駆けつけた...。そして遺体の始末も、血の付いたシーツも、ホテルのチェックアウトもすべて問題なく引き受けるので、指定された場所で待っていろ、と主人公に伝える...。

ひーえー。ルイ親子のこのスゴさは何ですか? 

文庫に付いている「取材ノート」には、元カナダ連邦警察保安局長官が、本書で最も信憑性が薄いのは、ル・グループ(ルイ親子の組織)というアングラ組織だと言っているのに対し、
イギリスの情報問題専門家のイアン・ブラックは「本書で最も興味をそそるのは—そして私見によれば最も説得力ある個所は—暗殺チームがル・グループと称するフランスの犯罪組織に依存したくだりである」
と書いてあります。本当に存在するのか、それとも作り話なのか、ナゾがナゾを呼び、ますます興味深いルイ親子。映画では、Mathieu Amalric(マチュー・アマルリック)がルイを好演しています。ちなみに、6月公開の『キングス&クイーン』で2004年にセザール賞の主演男優賞を受賞しています。
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by rivarisaia | 2006-04-28 22:46 | 映画/洋画 | Comments(2)

ふと、2月から3月にかけて映画館で観た映画をふり返ってみました。


ホテル・ルワンダ
アカデミー賞を見ていて、「おお、よし、これはゼッタイ見たい!」と思っていた私。
『ジェノサイドの丘(上)(下) フィリップ・ゴーレイヴィッチ 著、柳下毅一郎 訳 WAVE出版』を読みながら、公開を心待ちにしていました。その後ですよ。日本での公開がないというニュースを目にしたのは。どうして?と息巻いていた私に、知人が言った。「そんな映画見たい人あんまりいないよ」。日本の映画関係者も同じ意見だったようですね。ああ。日本公開に向けて動いた皆さん、ありがとうございました。私も署名に参加いたしました。

映画は、いわゆる社会派映画にありがちな押し付けがましい表現などがなく、あくまでも1人のホテルマンの視点から描いている点が逆に共感を呼びました。公開しないつもりだったなんて信じられませんよ。多くの人が見に行ったようで、評判も上々で喜ばしい限りです。前述の知人は、そんな発言をしてしまったせいか、この映画の話をふっても何も言いません。別に怒ってないから、観に行ってほしい。いっぽう、イタリア人の知り合いも見に行ったようで、興奮して語りまくり、私に「ゼヒ見に行け」と。だから、あんたより2週間も前に見た私が、あんたに「ゼヒ見に行け」と言ったんぢゃないの(笑)。

これは多くの人が見て考えるべきだと思うので、感想はここでは書きませんが、映画を見ながら私が思い出していたのは、ルワンダの隣国ブルンジ出身の友人。ブルンジでも同様に民族間の争いがあったわけですが、その後彼とは連絡が取れなくなってしまった。今、彼は元気なのだろうか。


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by rivarisaia | 2006-04-28 21:05 | 映画/洋画 | Comments(0)

Paradise Lost

17世紀の詩人ジョン・ミルトンの壮大な叙事詩『失楽園』がついに、
といっても、いつになるか分からないけど、映画化されるらしい。
Varietyより)

監督は『エミリー・ローズ』のスコット・デリクソン。

映画化されるらしい→結局ダメになった

ということは往々にして起きるので、これもどうなるのか分かんないものの、
どこまで本気を入れてつくるのか、という点に興味があります。

まあ、映画化は難しいと思うんですけどね...。

主人公は堕天使ルシファー。神に逆らって戦うハメになったものの、
結局敗北して、神が愛している人間に嫉妬心を抱き、
エデンの園にまんまと忍び込んでイブをそそのかす...というストーリーなワケですよ。

とりあえず、宗教的または文学的な解釈やら意義やらはおいといて、
あらすじだけに注目すれば、

堕天使軍団 vs 大天使軍団との天界大戦争
ルシファー vs ミカエル ガチンコ勝負
地獄での宮殿でのルシファー大演説
エデンの園からアダムとイブが追放される

あたりが見どころかもしれません。
戦い部分は映像なしでセリフのみ、という方法もありますが。

いずれにしても、ルシファーをはじめ、とにかく悪魔も元は天使なワケですから、
美しい配役が望まれるところ。(美貌の堕天使ベリアルっていうのもいるしさ)
それにミカエルとかラファエル、ガブリエルといった天使だって重要な役どころ。

誰がやるの...という役者の問題もさることながら、


アダムとイブは禁断の果実を食べるまでは素っ裸である


という問題がありゃしませんか。
R指定を付けますか。それともCGでなんとかうまくやるのでしょうか。
そこのところがもっとも気になります。

壮大な映像美(コレを期待したい)を誇る作品になるのか
SFXを駆使したダメ映画になるのか、やっぱりナシってことになるのか、
さあどうなる!?

ハッキリするまでは、これまでの書籍の挿絵などを眺めて期待してるのがいいかもね。
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by rivarisaia | 2006-04-27 20:25 | 映画や本の雑記 | Comments(4)

新しく雑記帳をつづることにしました。
1カ月ほど前に見た夢に 「ハルマキ」 という言葉が出てきて、
頭から離れないので雑記帳の題名はコレで行きます。


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by rivarisaia | 2006-04-26 21:26 | 雑記帳事始