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わたしを離さないで

最近、図書館で借りる小説が軒並みハズレ、さらに本屋で買った小説もどうも今ひとつ...というパッとしない読書生活・小説編を送っていましたが、久々に読み応えのあるすばらしい小説が!
さすがですね、カズオ・イシグロ氏。
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わたしを離さないで』カズオ・イシグロ著 土屋政雄 訳 早川書房

イシグロ氏本人が「隠さないといけない情報があるミステリーじゃありませんから、謎の種明かしは重要じゃありません」とおっしゃっているので、内容に触れていいのかもしれませんが、この小説の場合は、あらすじ読んでも良さがわかんないと思うんですよねえ。とりあえず、読んでみて!としか言いようがないというか...。

文学系の本の場合、「話の筋」だけ聞いても良さがわからないことって多いですよね? 泉鏡花の小説だって、読まずに筋だけ聞いたってあの世界観は伝わんないものねえ。そんな私は「あらすじで読む日本文学」とか「5分でわかる世界の名作」とか、そんな本が大キライです! 筋だけ知って読んだ気になれると思ったら大間違いだーーッ!

ああ、すみません....。つい本題からそれてしまいましたが、気をとりなおしてカズオ・イシグロの新作です。謎めいた設定に気をとられるかもしれませんが、途中ですぐに察しがつきますし、その部分は著者の言う通り、私も重要だと思いません。そうではなく、この小説が暗示していることが、そりゃあもう奥が深いのです。ここ最近でもっともおすすめの小説。

カズオ・イシグロは英文がとても美しく、そんなに難しくないので、英語で読むのもいいかもね。
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by rivarisaia | 2006-08-31 23:57 | | Comments(2)

田舎の日曜日

もう8月も終わり...というとこは、今日、明日は夏休みの宿題の追い込みですね。小学生の頃は毎年8月30日と31日はほったらかしてた宿題を半泣きで仕上げる日と決まってました。嫌な思い出です...。大人は夏休みの宿題こそないものの、休みに関係なく仕事の締め切りに追われたりするのでした。ああ。

いずれにしても、楽しく過ごした休日が終わりに近づくと、何となく心に哀愁が漂ってきて淋しい気分になるのは子どもの頃も大人になってもあいかわらず。

そんなわけで、思い出した映画が、『田舎の日曜日(UN DIMANCHE A LA CAMPAGNE)』。監督はベルトラン・タヴェルニエ(Bertrand Tavernier)、1984年の映画です。
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あらすじは、田舎で暮らす年老いた画家のもとに、息子一家と娘が訪ねてくる、ある日曜日の光景。

本当にただそれだけの話ですが、印象派の絵を見て過ごすような1時間半。1912年のパリの郊外が舞台。けっこう好きな映画なので、何度も観てるのですが、これを勧めた友人がみな口をそろえて「眠かった」というのはどうしたわけでしょう。

たしかに淡々としてるけど、フランスの田舎の家の調度品やら細々したものを見てるだけでも楽しいし、何よりたった1日の出来事のなかで登場人物のそれぞれの人生をうまく描き出しているのがすごいと思うんだけどなー。

そして最後が、にぎやかな日曜が終わってしまった...という哀愁が漂いつつも、「心機一転がんばろう」というささやかに前向きな終わり方なのがいい。

おじいちゃん役のルイ・デュクルー(Louis Ducreux)がすばらしいです。
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by rivarisaia | 2006-08-30 23:55 | 映画/洋画 | Comments(0)

怪猫岡崎騒動

夏も終わりだというのに、入江たか子の化け猫映画『怪猫岡崎騒動』を観てしまいました。監督は加戸敏です。

妾腹の子であるため家督も継げず、悶々としていた仏像マニアの弟が、奥女中に毒を盛らせて兄を殺害。しかし兄の側室・萩の方が男子を産んだため、せっかく手に入れた家督を譲らなくてはならなかった。命を狙われたこの男の子は、密かに家老の家にかくまわれる。一方、萩の方は奥女中に殺されてしまう。その死体の側には、かわいがっていた飼い猫が....

入り江たか子の役どころは、当然「萩の方」。

個人的に興味深かったのは、猫が黒猫じゃないところ。化け猫といったら黒猫が定番かと思っていたら、ブチか三毛っぽい毛並みです。名前はみぃちゃんで、猫の出番はそんなにありません。
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恐ろしい形相の化け猫・入り江たか子はなぜか十二単すがたで大活躍です。
化け猫にあやつられた奥女中が、琴か三味線の音色にのって着物で宙返りをする場面がけっこう長いのはサービスなのでしょうか。着物の裾がはだけることもなく、くるりくるりと回転するのにちょっと感心。

怪談というよりは、全体を通してアクション色が濃い映画ですが、行灯の油をなめて「見〜た〜な〜」というお約束シーンはありますよ!
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by rivarisaia | 2006-08-29 23:44 | 映画/日本 | Comments(2)

ガラスの茶杯

うちにはガラスのティーポットはないのですが、ガラスの茶杯ならあります。
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ころんとしていて見た目もかわいらしいのですが、中が2層になっているので熱いお茶を入れても問題なく持てるのが長所。

しかし万物長所有ればこれ短所も有り。お茶が入る部分と外側との間は空洞になっているわけですが、杯の底に小さな穴が空いており(制作時にできる穴だと思われる)、茶杯を洗うとそこから中に水が入っちゃう。さて、どうしたものでしょう。自然蒸発するまでほったらかすしかないんだけどね。
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by rivarisaia | 2006-08-28 23:58 | モノ | Comments(0)

国立天文台観望会2

さて、天文台訪問の夜のイベントは観望会。国立天文台三鷹キャンパスでは、毎月2回(第2土曜日の前日と第4土曜日の夜)に観望会を開催しています。誰でも参加可能で無料なんて太っ腹な感じ。
火星大接近の時は2000人近く来た!という驚きの観望会。昨日も親子連れで混んでました。
観望会は、受付 → 会議室でその日に見る星の説明を聞く → 実際に望遠鏡で星を観察 という流れ。

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   写真は観望会とは関係ない「アインシュタイン塔」です。有形文化財。

残念なことに曇り空のため、星は見られなかった....。本当は、北天の宝石と呼ばれている「はくちょう座のアルビレオ」を見るはずでした。オレンジと青のふたつの星が30万年の周期でお互いの周りをまわってるんだって。天球上で最も美しいコントラストを放つ星だそうですよ(遠い目)。

会議室での解説の最後に、もっともホットな話題として冥王星の話も出ました。小学生の女の子が「ドワーフだって!」と嬉しそうに反応してたのが印象的。冥王星規模の天体が太陽系には実はたくさん存在するなんて、太陽系もまだまだ新しい発見がありそうで楽しい。

アルビレオは見られなかったけど望遠鏡を見せてもらって、残念ねえと言いながら大学院生の方々が主催する「サイエンスカフェ」に参加する。これはいろいろ分からないことや疑問をコーヒー片手に気楽に研究者に聞けるというもの。

しょうもないSF的な質問をして苦笑されつつも、「星の一生」を写真付きで詳しく教えてもらったので、今ならもれなく他人に説明できます! ただし専門用語は使えません。「ガスシューシューの星の赤ちゃん」とか「シュワシュワ消滅」とかそんなレベルの低い表現でもいいですか...。

天文台は新宿から思ったより近く、帰りはあっと言う間に都会の雑踏に戻ってきてしまい「何だか天界から下界に降りてきた感じがするわね...」とそれぞれ帰路についたのでありました。

天文台の若手研究者の方々、本当にありがとうございました!
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by rivarisaia | 2006-08-27 19:53 | 旅行・お出かけ・さんぽ | Comments(0)

冥王星が降格!と騒がれている天文界ですが、そんな中、国立天文台の見学+夜の観望会に行ってきました。

最初に断っておくと、「冥王星は降格したのではありません」よ!
惑星の定義からは外れたけれど、冥王星は「dwarf planet」なのです。詳しくは国立天文台のサイトを熟読してね。惑星よりも小さな天体の扱いになっただけ。今日はそんな星が太陽系にいっぱいあることも知りました。

先月、帽子の展覧会で若き天文学者さんと知り合う機会がありました。2006年7月8日のエントリで紹介した「ATP:天文学トイレットペーパー」を教えてくれた方々です。今日は彼らを訪ねて、大人数で国立天文台を訪れたのでした。
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調布駅からバスに乗って天文台まで。本当に東京?と思うこの門構え。何だかワクワクしますね。

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受付をしていると、看板犬(?)のおばあちゃん犬ラッキーがお出迎え。こんにちは。

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奥に進むと、わあ、古い天文台がー!登録有形文化財の「第一赤道儀室(20cm 望遠鏡)」です。大正10年の建設ですよ! 中に入るとこれまた楽しい。太陽の黒点のスケッチ観測が行われていた場所です。ここから奥の「大赤道儀室(天文台歴史館)」までの1本道が太陽系ウォーキング。道の脇に太陽や惑星のパネルがあって、大きさや距離の比較ができます。確かに冥王星はあまりに小さい。

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そして「大赤道儀室」に入るとデッカイ望遠鏡が! いろいろな資料も置いてあるので、説明を聞くとさらに楽しい。かなりスペースが広いのに、床が上下に動くしくみになっているというのには驚き。

さて、夜の観望会までは時間があるので、特別に研究室にて「4次元デジタル宇宙ビューワー "Mitaka" (ミタカ)」なるものを見せてもらったのですが、これスゴイよ! だって4次元だよ! Windowsユーザなら、こちらのサイトからダウンロードもできますので、お試しあれ。Macでもムービーなら見られるかも。これはGoogle Mapの宇宙版とでも言いましょうか。入っている太陽系や銀河のデータは本物のデータだそうです。地球を出発して、かなり宇宙の果ての方まで旅することが可能です。楽しい!

それにしても宇宙は広いですね...。

さらに「ダークマター」という「そこにあるんだけど見えない物質」だとか「ダークエネルギー」や「ブラックホール」などの話を聞く。あまりに壮大な話にボーッとしてしまい、仕事の〆切がヤバいことなどはもはやどうでもいい気分になってきた...。

さて、夜の観望会の話はまた明日に続きます。
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by rivarisaia | 2006-08-26 23:58 | 旅行・お出かけ・さんぽ | Comments(0)

これを話すと多くの人に「アンタ、いつの時代のどこの生まれよ!?」と驚かれるのですが、私の生まれ育った町(東京です)には、1980年代半ばまで「きびだんご屋」のおじさんが存在していました。「日本一のきびだんご〜。冷たい、冷やしわらび〜もち」と言いながら、公園まで屋台が来るのです。人気があったのはわらびもち。きびだんごは串にささっているのをおじさんが雑巾のような布でふいてから、きなこをまぶしてくれるので、「汚いから食べちゃだめ」と大人はあまりいい顔をしてませんでした。子どもはおかまいなしですけどね!

同年代もしくは若干上の年代の方々と話をすると、同じ東京でも子ども時代の様相が全然違うので面白い。特にお祭りの屋台の種類には違いが出るので、下町系統に属する人は新興住宅地派から「アンタ、いつの時代の生まれよ!?」と言われることが往々にして起こります。

戦後ウン十年後に生まれた人も懐かしいと思えるかもしれない「子どもの遊び風景」が描かれた本が、
向こう横町のおいなりさん』(長崎源之助 作、梶山俊夫 画、偕成社)です。

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戦時中の横浜の下町を舞台に子どもたちの生き生きした日常を描いた、小学上級以上向けの児童書。天気のいい日は境内でビー玉やめんこで遊んだり、雨の日は駄菓子屋でもんじ焼きを焼いたり...など、子どもの世界はいつの時代も変わらないですね(外で遊ぶ子どもが減った現代は、また違うかもしれないけど)。大きな違いは、楽しい子どもの世界にも戦争の影が着実に忍び寄ってくるところです。

この本の子ども世界では、紙しばい屋がかなり大きなウェイトを占めています。きびだんご屋は来ても、さすがに紙しばい屋は来なかったなあ。余談ですが、私は小学生の頃、この本で「怪談累が淵」を知りました。まあサワリだけなんですが、ちょっと怖かった...。

残念なことに今はもう絶版。図書館にはあるかもしれないね。
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by rivarisaia | 2006-08-25 23:46 | | Comments(0)

木柵正欉鐵観音

お茶在庫が減ってきたこともあり、何か新しいお茶が飲みたい...と思って注文したお茶が届いた。そのうちのひとつが木柵正欉鐵観音。
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鐵観音は何度も飲んだことがありますが、これにはあまりの美味しさにびっくりしました。口の中から喉までふわーっと広がる香りと、ほのかな甘み。飲んだあとにスッキリするので、何杯でも飲みたくなるね〜と言いつつ、すでにがぶ飲みしています。この調子では再び追加発注する日も近いかも。購入先は台湾茶ドットネットです。2006年の春茶を試したのですが、これは去年の冬茶も飲んでみたい。

台湾茶ドットネットのサイトはコチラです。ひとつひとつ詳しい説明を読んでいると、どれも飲みたくなります。あと、買った後にちょっと質問があって尋ねたら、とても丁寧な返事をいただきました。感謝。
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by rivarisaia | 2006-08-24 23:43 | 中国茶 | Comments(0)

今日のショウブラは、1960年の『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(倩女幽魂/Enchanting Shadow)』。ジョイ・ウォンとレスリー・チャン主演の『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』のオリジナルとなった作品です。
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あらすじは書くまでもないのですが、一応ざくっと説明すると、

旅の途中で荒れ果てた古寺に泊まった寧采臣は、小倩という美しい女性と出会い、心惹かれる。しかし、小倩は妖怪の老女に操られた幽霊で、男を次々と餌食にしていたのだった。

監督はリー・ハンシャン(李翰祥)、小倩はベティ・ロー(楽帝)、彼女に心奪われる若者、寧采臣がチャオ・レイ(趙雷)です。ショウブラの看板女優だったベティ・ローは太い顔立ちの美人。しっかりした顔をしているので、なよっとした儚い幽霊には見えないんですけど、ま、いいか。

荒れ果てた寺院の裏に広がる美しいお屋敷のセットや、妖怪婆さんの恐怖メイクなど、割としっかりつくられていて、丁寧な感じがする映画でした。
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原作は言わずとしれた『聊斎志異』の「聶小倩」なのですが、資料探しで図書館に行ったついでに探して読んでみました。ちなみに聶小倩は幽霊のフルネームです。エンディングが違うとは聞いてましたが、本当に全然違います。

若者が小倩の骨を供養するまでは同じですが、その後、小倩は若者について彼の実家まで行き、姑に「幽霊を唯一の息子の嫁にするわけにいかない」と言われます。しかも若者には病にふせる妻がいた。ところが、小倩は彼の家においてもらってかいがいしく家事をしたりしているうちに姑に気に入られ、本妻が病気で亡くなった後、若者と結婚。そんなある日、2人を追ってきた妖怪ババアに襲われるが、古寺で剣士からもらった剣のおかげで2人とも助かる。若者は出世し、2人の間には男の子が生まれてめでたし、めでたし。

あらー。結婚して子どもも産んでる...。

小倩は幽霊だったはずなんですが、「久しく生気を受けて居ます」というセリフがあるので、いつの間にか人間になっていたのでしょうか。

(参考図書)
『ザ・聊斎志異 聊斎志異全訳全一冊』 蒲松齢 作、柴田天満 訳 2800円 第三書館

それにしてもこの本、字が小さくて書体が読みにくいので、老眼の人泣かせだと思われますよ。1冊にまとめたのはいいけど、版型も中途半端に大きいし、もうちょっと読みやすいレイアウトにすればいいのに...。
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by rivarisaia | 2006-08-23 23:56 | 映画/香港・アジア | Comments(4)

プライスコレクションを見た日、東京国立博物館のミュージアム・ショップにて家人が購入した本が興味深かったのでご紹介しましょう。
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全日本刀匠会から出版されている『写真で覚える日本刀の基礎知識』です。ページ数や装丁(A4、48ページ、平綴じ)からするとちょいとお値段が張るような気がしますが、ところがどっこい。たいそう読み応えがあり、なかなか良い本なので、納得の定価1500円です。おまけに英文併記。

家に日本刀もなければ購入の予定もないのに、なぜこの本を買ったのか家人に聞いてみたら「カッコイイひもの結び方が出ているから」だそうです。たしかに「太刀緒結び」とか「浪人結び」とか、日本の伝統美ともいえる「結び」が写真入りで丁寧に説明されてます。これは何かの機会に応用できそう!

しかし本書がずば抜けているのは、日本刀を所持する方法から始まって、手入れの仕方、各種ひもの結び方、製作工程、各部の名称など、あらゆる情報を48ページ内で網羅していて無駄がないところ。しかもカラー写真が豊富でとてもわかりやすい。刀鍛冶が自ら企画、編集を手がけたというだけあります。個人的には、手入れ方法の説明写真にスーツ姿の女性が起用されているのがシュールだったのですが、若い女性でも簡単に手入れができるというアピールなのかもしれませんね(袴姿の初老の男性の方が私としてはグッときますが)。


そんなわけで、これから時代劇を見る時には刀に注目しそうです。

全日本刀匠会のサイトはコチラ。小品販売のコーナーに本書の詳しい説明が載ってます。連載のコーナーが面白い。
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by rivarisaia | 2006-08-22 23:47 | | Comments(2)