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旗本退屈男シリーズ

東京・京橋のフィルムセンターのスケジュールを見ていて、市川右太衛門が2月25日で生誕100周年だったということを知る。

よッ!旗本退屈男! 私は右太衛門バージョンが一番好きです。

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このシリーズは何本も観ているけど、30作もあるのでどれを観たのか自信がない(笑)。どの作品も旗本退屈男こと早乙女主水之介(さおとめもんどのすけ)が事件の謎に挑み、最後にチャンバラがあって一件落着という流れです。

当たり前なんですが、旗本退屈男の行動原理はすべて「退屈」という点で一貫しているんですよね。「またぞろ退屈の虫が疼き出したわ...ふはははは」とよく言ってますが、本当にすべてがこの調子。なんてお節介な男なんだと毎度思わされるのも、悪者退治に精を出すのも、ぜーんぶ本人がヒマを持て余しているから。

ある時など、「おぬしは何でこんなことをしているのか。武士の正義感からか」というような質問をされ、ハッキリと「退屈だからだ」と答えてました。おい!

正義のヒーローにしては、肩の力が抜けててイイ。

そして、めまいするほどのド派手な衣装。着流しで、そんな所をウロウロしてていいんですか?と逆に心配になります。出かけるたびに着替えたりもしているのですが、旅先にまで何着衣装を持参しているのか。クライマックスではピッカ〜と光り輝いている(ように見える)のがポイント。

こそこそ隠れて探りを入れるのではなく、目立っても構わん!という気概が潔い...のか?


「この眉間に冴える三日月型、天下御免の向こう傷。直参旗本、早乙女主水之介、人呼んで旗本退屈男、たはったはったはははは!!」の額の傷は、31才の時に浅草雷門にて7人の剣客と戦った際にできたものです。諸羽流奥義の正眼崩しで斬り伏せたことで、江戸中に名を轟かせたらしい。フィルムセンターのサイトによると「どこから撮ってもカメラの枠に美しく収まるよう編み出した技」とありました。

チャンバラらしいチャンバラ。市川右太衛門特集は3月4日まで。
旗本退屈男の上映は3月3日です。詳しくはコチラ
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by rivarisaia | 2007-02-28 15:07 | 映画/日本 | Comments(2)

アカデミー賞つづき

えーっと、もはや今年のアカデミーのことは忘れたくなってきたのですが、「あとで冷静に推測してみる」と書きましたっけね。

よく考えてみれば、アカデミー賞はハリウッド映画人がハリウッド映画人を評価する祭典で、作品の完成度よりも業績とか映画界への貢献度のようなものが大きく影響するのでした。そんなわけで、アメリカ国内の興行成績およびメディアの批評などから考えると、確かに『ディパーテッド』が最有力ではあった。でもね、心底ガッカリ。

私がオリジナルの『無間道』のファンだからということもあるが、これが仮に他の作品だったとしても、リメイクに作品賞と脚色賞をやるなよ...という気分は変わらないのよ! 

ざっとアメリカのメディアの記事を眺めると、軒並み「マーティがついに取った!わ〜い!!」という雰囲気なんだけど、そのスコセッシに、よりによって本人が「撮りたくなかった(ソース)」リメイクでオスカーを取らせている状況をもうちょっと真剣に考えたほうがいいのではないか、と思うのであった。

『リトル・ミス・サンシャイン』が作品賞だったら、活気づいたかもしれないのになあ。(『バベル』は、Rotten Tomatoで60%台とそんなに評価が高くないし、『硫黄島からの手紙』は残念なことに興行成績がやや低めなので)

本当はスコセッシも『ディパーテッド』より先に撮る予定だった遠藤周作の『沈黙』か、ディカプリオ主演で撮る予定のルーズベルト大統領の映画あたりでもらえたらよかったのかもしれないけど、先のことはわかんないから、とりあえず今回のヒット作でオスカーやっとけ!ということ? 『タクシードライバー』でも『グッドフェローズ』でも取れなかったのにねえ...。ううむ。スコセッシは好きだが、複雑な心境だ。

その他の印象としては、そのうちアメリカ主導の環境ファシズムが来るか?とも思わされた。環境問題は大切だが、極端な方向に進みそうなのが怖い。

最後にお口直しに、フォレスト・ウィテカーの主演男優賞はステキ! スピーチもとても良かったわよ、フォレスト! しかもアミン大統領の役ときたもんだ。

追記:『パンズ・ラビリンス』と『善き人のためのソナタ』の受賞もうれしい。すっかり忘れてたよ。
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by rivarisaia | 2007-02-27 03:13 | 映画や本の雑記 | Comments(5)

本日はアカデミー賞でしたね。ゴアが人気者で面白かったです。ハリウッドはリベラルですよ!という雰囲気でした。

そりゃそうと、ええっと、脚色賞の時だったか、アナウンスで「based on the Japanese film...」とか言ってませんでしたか? 『ディパーテッド』の原作は香港映画ですよ! その後、訂正されてたのかしら。

驚きの展開もありましたが、予想通りで納得だったのは、この2つ。

主演男優賞:フォレスト・ウィテカー『ラストキング・オブ・スコットランド』
主演女優賞:ヘレン・ミレン『クィーン』


これは予告編を観た時にオスカー取りそうな気配を感じました。特にフォレスト・ウィテカーの迫力が...。この2本は楽しみです。日本での公開は、『ラストキング・オブ・スコットランド』は3月10日、『クィーン』は4月末です。

えーっと、監督賞は、個人的にはイーストウッドにしてほしかったけど、アカデミーはどーせ「そろそろスコセッシに...」ってことにしたいんでショ、という流れになりそうという悪寒、もとい予感がしてました。まったく腑に落ちないけど、世の中には大人事情ってのもあるだろうから、ここはわかった。私が百歩譲る。

でもさあ...作品賞が『ディパーテッド』っていうのはどうして〜??????
ナゼ???????ナゼ???????????

「unbelievable」という単語しか浮かばん。個人的な感想はココで書いたので繰り返しませんが、単純に1本の作品として出来が良くなかった...と思うけどね!

あとね、やっぱり最近の状況を省みて、「リメイク物にはオスカーはやらん! 」というハリウッドの意地を見せてもらいたかった。

あとで冷静に推測してみてから追記します....。
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by rivarisaia | 2007-02-26 18:02 | 映画や本の雑記 | Comments(2)

山椒大夫

私には映画・ドラマ・マンガすべてに共通する苦手なジャンルがあります。
それは...「生き別れ」モノ。

とにかく性に合わないので、子どもの頃からできる限り避けてきましたが、溝口健二の映画はやはり劇場で観なくては意味がない。となると必然的にコレも劇場で、ということに。

山椒大夫』(1954年)
出演:田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎 ほか  
撮影:宮川一夫
1954年ヴェネチア映画祭で銀獅子賞を受賞

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意地でも泣くものか、と思ってましたが、田中絹代と香川京子を前にそんな決意はもろくも崩れ去った。50年を経てもなお、現代社会に通用するテーマ。それだけ世の中変わってないということか...。そんなことも含め、あらゆる点で衝撃的な映画でございました。

もっとも衝撃的なのが映像の美しさであるのは言うまでもありませんが、改めて「もうこういう映画は出てこないだろうなあ」という気がする。

溝口健二に限らないのですが、どうしてこうリアルなのか。最近の時代物はどれも「現代人がいかにも昔っぽくやってます」としか見えない。それに対し、「その時代に行って撮影してきました!」と言わんばかりの雰囲気。

白黒だから余計にそう感じるのかもしれませんが、美術や風景、台詞、カメラワークに加えて、役者の顔つきや体型がどれも今とは違うんですよね。そうしたリアリティに加えて、余計なモノが削ぎ落とされた画面から生まれる余韻の迫力は一体...。

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たとえば『山椒大夫』で安寿が入水する場面。ここで泣かせる台詞のひとつでも言われたなら、出る涙も速攻で乾くと思うが、木々の間をゆっくり進む安寿、静かに広がる波紋、これだけで訴えてくるものがあります。やっぱり溝口健二、恐るべし。

ところで、少年時代の厨子王は津川雅彦だったんですね。ハツラツとしてた少年は、あんな青年になっちゃったのね...と変なところで別の衝撃も受けました。鴎外の原作通り、姉と弟という設定のほうがしっくりきたかもしれません。でも、香川京子の妹が健気なのと、最後の田中絹代の姿に圧倒されて、もう兄でも弟でもどうでもよくなりました。
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by rivarisaia | 2007-02-24 23:36 | 映画/日本 | Comments(4)

名探偵ポワロ

昨日はホームズだったので、気分的にポワロについても書かないといけない気がしてきた。そんな私はクリスティー・ファン。

推理小説を読むときに、犯人像やトリックよりも探偵のキャラと舞台設定に注目しちゃうせいなのか、殺人自体がジメジメと暗い要素だから、できれば他の要素は華麗で洒落っ気があってほしいと思うせいなのか、そういう意味でクリスティー・ワールドはかなりツボです。

そんな私の初クリスティーと言いますか初ポワロは、小さい頃に親に頼み込んで映画館に連れて行ってもらった『ナイル殺人事件』。映画についてはまた別の機会に書くとして、この時のポワロはピーター・ユスティノフでした。

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小男というより大男だったユスティノフさん。これはこれでよかったですが、いまにしてみると全然「ベルギーのキザな小男」じゃないですね。


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こちらは映画『オリエント急行殺人事件』のアルバート・フィニー。イメージには合ってますが、やや愛嬌が足りないか。それにしても『ビッグフィッシュ』のパパとは別人みたいです。


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やっぱり最高の配役はこの人しか考えられない。ドラマ版のデヴィッド・スーシェです。

卵形の頭に妙な口ひげ、小太りで几帳面で自信過剰だけど愛嬌があるので憎めないときたら、スーシェのポワロが完璧に近い。そもそも、ポワロの夢は「引退したらカボチャを栽培すること」でした(本当です)。ユスティノフもフィニーもカボチャづくりなんてやらなそうでしたが、スーシェのポワロは嬉々として育ててそうなんだよ...。

原作と違って、毎回ヘイスティングスが出てくるのも、凸凹コンビを見ているようで楽しい。おかげでポワロの愛嬌度がさらにアップしています。スーシェ自身も全作品の映像化に意欲満々だそうなので、これはぜひ最終作『カーテン』まで行ってほしいものです。

ホームズといい、ポワロといい、そしてその脇役たちといい、あまりにピッタリすぎて他の役者がまったく考えられないという気にさせる、この完成度の高さは恐るべし。世界的に有名なキャラクターなので気合いも違うのでしょうが、それにしてもよくぞここまで...と感心するのであった。
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by rivarisaia | 2007-02-23 16:20 | 海外ドラマ | Comments(2)

最近の我が家では、アレが欲しいコレが欲しいと言い合ってウサ晴らし(何のだ?)をしているわけですが、かなり上位にランクインされているのが、このDVDセット。

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グラナダTV版『シャーロック・ホームズの冒険』完全版DVD-BOX

ミステリチャンネルでも頻繁に再放送をしてくれるのですが、観れば観るほど欲しくなる〜。今もやってますが、もうじき最終回なのでしばらくお別れかと思うと、欲しくなる〜(なんで全部録画しなかったんだろ...)。

さて、実はわたくし、シャーロキアンに怒られることを覚悟で白状すると、小説版はそんなに好きではなかった。でもね、このドラマは大絶賛です。頻繁に再放送していただいて構いませんよ! いや、また再放送してください。

NHKで初めて放映されたのが20年以上も前になるのか...と考えるとクラッとしますが、ちっとも色あせないし、何度観ても飽きないのは、ストーリー展開がうまい、緻密に再現されたヴィクトリア朝の世界が楽しめる、そして何よりホームズ役のジェレミー・ブレットが完璧、と三拍子揃っているためでしょうか。

エキセントリックなのに品がある英国紳士という点で、もはやジェレミー・ブレット以外にホームズは考えられません。原作全60話をすべてドラマ化する前に、彼が亡くなってしまったのは残念で哀しいのですが、逆に考えれば41話も完成している、ということを喜ぶべきでしょうか。

で、DVDセット欲しいんだけど、資金が...。また第1シリーズから再放送してほしいわ。
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by rivarisaia | 2007-02-22 23:47 | 海外ドラマ | Comments(2)

妲己

久々のショウブラです。たまたま輸入DVDバーゲンにて、何気なく買った1枚。妲己は「封神演義」でおなじみの傾国の悪女ですが、さて映画ではどんな感じでしょう。
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妲己(The Last Woman of Shang)』(1964)
監督:岳楓   出演:林黛、申榮均、丁紅

商王朝の紂王は政をかえりみず連日のように宴に明け暮れ、さらに諸侯から貢ぎ物を取り立てていた。洪水のために貢ぎ物を出せなかった蘇護を、逆臣と決めつけ殺害する紂王。蘇護の娘・妲己(林黛)は父の後を追おうとするが、侍女の智妍(丁紅)の「1人の女によって滅亡した夏王朝にならって、仇討ちのために商王朝を滅亡させるのです」という進言によって、紂王への復讐を誓う。

悪女ではなく、壮大な復讐計画を心に秘めた悲劇のヒロインという設定もいいかもしれません。妲己は後に紂王を倒すことになる青年・姫発と偶然に出会い、一緒に琴など弾いちゃって思いを寄せるも、泣く泣く紂王の元へ...という展開です。

復讐心にメラメラ燃えてたのは妲己よりも智妍。「私のためにお星様を取ってくださいな」と妲己が言ったがために、紂王は摘星楼という高い塔を建設することになるのですが、これも智妍が密かに妲己をそそのかしていました。とにかく智妍が大活躍。

いっぽうで、紂王は「暴君」というより「宴会大魔王」でした。歌い踊る女官を見て「ワハハ、ワハハ」と笑い続けていた印象しかない。残虐シーンもあるにはあるけど、宴シーンの割合が多い。したがって「炮烙(ほうらく)」は出てきませんが、「酒池肉林」はちゃんと出てきます。肉を焼いてる親父が映ったので、これはもしや...と思ったら、手前の木に焼き肉がぶらさがっており池の水が酒でした。まさに「酒を以て池となし、肉を懸けて林となす」ですよ!

衣装もいいし、なかなか楽しみましたが、特筆すべきは、ものすごく唐突なエンディング。これまでも唐突なエンディングは数々目にしてきましたが、これまた余韻のかけらもなしで、呆然とすること請け合いです。
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by rivarisaia | 2007-02-20 21:30 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

随園食単

昨日は餃子で頭がいっぱいになってしまったので、やる気を出して水餃子を皮からつくり、たらふく食べました。満足です。イキオイあまって、湯圓もつくろうかと思いましたが、それはやめた。でも中華菓子をいただいたので満足です。

すっかり中華料理モードの1日を過ごしたので、料理の本でも紹介しましょう。と言っても実用書じゃなくて、清の時代の詩人、袁枚(えんばい)が記した古典中の古典、ブリア・サヴァランの『美味礼賛』と並び称されるというこの本。ちょっと前まで絶版だったけど復刻されました。
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随園食単』袁枚 著   青木 正児 訳注 岩波文庫(青)

袁枚はもともとお役人でしたが、官僚に嫌気がさして38歳で職を辞し、南京の小倉山に自分が購入したお屋敷を「随園」と名づけて、そこで隠遁生活を送りました。生活費は売文で稼いでいました。かなり悠々自適だった様子。

食通としても有名だった袁枚が記した本書ですが、予備知識、警戒事項から始まり、食材別レシピから点心やお茶、お酒まで網羅しています。レシピと言っても、ざっくりした書き方なので、これを参考に料理をつくるというよりも、頭の中で想像して楽しむわけですが、なかなか読んでいて楽しい。手許に置いておき気が向いたときにパラパラ読むのに最適だったりします。食欲出るしねー。

毎回ページを開いてハッとするのは、予備知識と警戒事項の章です。とくに飲食において警戒すべきことには、200年前の袁枚先生から時空を超えて叱られる感じです。一例を挙げると、「耳餐(じさん)を戒む」という項目では次のようなことが書いてあります。

「何を耳餐というか、耳餐とは名を重んずることをいうのである。むやみに貴い物の名を並べて客に対して大いに敬意を表するもののごとく見せかける。これは耳をもって餐わすので、口で餐わすのではない」

ああ、私もたまにありますね...。どこそこのナニナニだから美味しい!と言ったりするもんなあ...。本当に美味しい場合はいいと思うけど。自分に自信がナイ...。

さて、肝心の「随園」ですが、本書にはお孫さんの記した後日談が収録されておりまして、それによると1853年に長髪賊が南京を占領した際、賊に占領され、やがて捨てられて荒廃し、たくさんの蔵書や絵などもすべて灰になってしまったとのこと。長髪賊とは太平天国のことです。それは残念! ありし日の「随園」が見てみたかったなあ。
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by rivarisaia | 2007-02-19 19:18 | | Comments(2)

恭喜発財!

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吉祥如意! 春節おめでとう〜! 特に何をするわけでもないんですけど、春節といえば、そうだ餃子だ、餃子を食べなくては。あと湯圓も食べたいなー。
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by rivarisaia | 2007-02-18 00:12 | モノ | Comments(4)

カリギュラ

歴史上の人物は見方によって極悪人になったり、悲劇の人になったりしますね。塩野七生さんの『ローマ人の物語VII 悪名高き皇帝たち』を読んでいて、封印した記憶が蘇ってしまった。それが映画『カリギュラ(Caligula)』。残虐非道なカリギュラ像は、後年の創作物から生まれたねじ曲がったイメージとも言えますが、その原因のひとつがお前じゃー!と言いたくもなるのが本作品です。

戦犯の名前を挙げてみようと思う。監督はティント・ブラス、ジャンカルロ・ルイ、製作総指揮はボブ・グッチョーネ(特にコイツが悪いと思う)。ペントハウスが制作したことからも容易に想像できる内容ですが、しかし、出演はマルコム・マクダウェル、ピーター・オトゥール、ヘレン・ミレンと豪華キャストなのであった。

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こんな映画になるとはつゆ知らず、意欲的に役づくりをしたマルコム・マクダウェル。役柄としては『時計じかけのオレンジ』に通じる部分もあるんですが...。


で、わたくし、大昔に異国にてノーカット版を観ました。発端は友人Aが歴史大作だと思って借りてきた「通常版」。「噂に聞くほどでもなかった」とその場にいた全員がホッとしたのですが、映画が終わると1人の男性が画面に現れた。おそらくボブだと思うのだが、そいつが次のように言うのである。

「私は今、怒っています。こんなにカットされてしまって、オリジナルが観たかったと怒りを感じる人も多いはず。そんな方は以下の住所にビデオを送ってくだされば、ノーカット版をお送りします!」

何だそりゃ? 後日くだんの友人Aがノーカット版を知人から借りたので私の家で上映会をやると言う。なぜうちで?という疑問を抱きつつ、監督があんなに怒るほどのノーカット版とはいかなるものかと興味津々の総勢7〜8名が集まることに。結論から言うと全員ドン引きであった。


     「あのね、見せりゃいいってもんじゃないんだよ!」
     「エロシーンが無駄に長いよ!」
     「ストーリーとまったく関係ないじゃん!」
     「っていうか、ノーカットの方が怒りを感じるよ!!」


濃厚シーンを演じているのは、豪華役者陣ではなく、無名俳優によるものです。今では日本でもノーカット版が出ていますが、「ゲンナリ」したい人はどうぞ、という感じ。昔は「こんな映画になぜ出たの、オトゥール...」と思ったものですが、私が間違っていました。俳優陣は全員が歴史大作になると信じていて、完成作品を見て激怒したと....。そりゃそうだよね。

ドラマ部分にはまあまあおもしろい面もある。衣装も豪華だし、恐怖の首切りマシーンのセットも見応えがあるといえばある。しかし、ボブ、君は蛇足という言葉を知っているか。

さて、前述の塩野さんの本からモンスター的カリギュラ像についての記述を抜粋。

「百年も後に巷間の噂を集めて書かれた、スヴェトニウスの『皇帝伝』の中のカリグラから材をとったにちがいない。しかし、カリグラは、幸か不幸かモンスターではなかった。頭も悪くなかった。彼にとっての不幸は、いや帝国全体にとっての不幸は、政治とは何かがまったくわかっていない若者が、政治をせざるをえない立場に就いてしまったことにある」

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美青年だったというウワサのカリグラさんはこんな顔。波瀾万丈流転の人生でした。

最初は民衆から喜んで迎え入れられたのに、わずか3年10ヶ月で失墜した、ある意味不幸な若者カリギュラ。そこでリメイク嵐の吹き荒れるハリウッドに提案。どうせなら新たなるカリギュラを撮影し、カリギュラの汚名挽回を図ってはどうでしょうか。
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by rivarisaia | 2007-02-16 22:47 | 映画/洋画 | Comments(0)