「ほっ」と。キャンペーン

チャラチャラしたいいかげんなオヤジ(でも頭はいい)がヒーローで、しかもそれがよりによってロバート・ダウニーJr.だという点が見どころと思って観に行ったんですが、一番の見どころは別の部分でしたよ!

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アイアンマン(Iron Man)』監督:ジョン・ファヴロー

もうね、私にはアフガニスタンがどーのとか、主人公が正義に目覚める心境の変化とか、悪を倒すとか、もはやどーでもいいので、あらすじ割愛。

個人的に、今回の注目ポイントは、工作過程!

パワードスーツ製作プロセスには、モノづくり派、工作派はグッときちゃうと思う。製作→破壊→改良→テスト→改良→実戦…もう延々と製作舞台裏を見せていただいてもよござます!ガシャンガシャンと装着するシーンにも心躍るし、製作お手伝いのロボットも便利そうだし、立体ホログラフを操作するマシンも欲しい。下のほうにMacのゴミ箱のようなものがあって、手でひゅいん!と画像をもってきて捨てていましたね。ああいうのMacで実現しないかな〜。わくわくするねー。

家人は断然マーク1がいい!と言い、私はマーク1も捨てがたいけど、装着するならシルバーに輝くマーク2がいいです(マーク3は配色がイヤだ)。

ただこれさあ、空飛ぶときのディスプレイを見ると、操作が難しそう。そして飛び上がるよりも、着地のほうが絶対に難易度高し。QFOですらうまく着地させられない私には到底無理な気が…。

ところで、主人公の家もカッコイイんですけど、あれはマリブの岬にデジタルの家をくっつけたのだと監督が答えてたので(参照)、ゆずきりさんのところのコメントにもそう書いたのですが、その後、そうは言っても家自体はジョン・ロートナーの建築じゃないか?という話になりました。

ロートナー財団のサイトを見に行ったところ、「アイアンマンのトニー・スターク邸はロートナーの建築ですか?という質問がきています」というコーナーがあった(笑)。

財団の回答は、「確かにロートナーの特徴が見受けられますが、セットデザイナーを担当したRiva氏が、過去の映画でロートナーの建築を実際に使用したことがあることを思えば不思議ではありません(チャーリーズ・エンジェル1&2、リーサル・ウェポン2)。アイアンマンの家はフィクションですが、映画のマジックが生んだすばらしい作品です」。

ジョン・ロートナーは、フランク・ロイド・ライトのもとで働いてたこともあるアメリカの建築家です。彼の建築を映画で見たことある人もいるかと思う。

ココにいくつかロートナーの建築の写真があります(黒丸のついた太字をクリック)。
トニー・スタークが住んでそう。

「アイアンマン」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
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by rivarisaia | 2008-09-30 00:04 | 映画/洋画 | Comments(6)

優柔不断の秋いろいろ

TIFFのプレリザーブが始まってますが、いまだに予定を立てられないわたくしです。1週間前に「よし、決定!」と思った日程をあらためてながめてみれば、重苦しく暗い映画ばかり。TIFF終了後にはウツになっちゃいそうなので、組み直したんですよ。そしたら、ほのぼのまったりムード満載になってしまった。あらら〜?

もう自分でも何が観たいのかわかんなくなってきちゃいましたよ!

同じ時期に香港カルトシネマ・フェスティバルと香港エンタテインメントシネマ・ウィークがシアターNにて開催されたり、東京中国映画週間があったり、中国映画の全貌2008があったりするのですが、なにせ10月は、仕事はともかく、楽器の合奏練習会で土日もかなり埋まってる状況なので、何をどうしたらいいのか混乱してきました。

とにかくもう少し厳選しよう。厳選。そしてギヨンの『下女』でTIFFをしめくくるべきかどうかも要検討。

とりあえず、プレリザーブの手数料には納得いかない、とだけ書いておきます。

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庭にきた蝶。これで見納めでしょうか。今晩はけっこう寒くなってきた。衣替えもしないといけないね。
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by rivarisaia | 2008-09-28 23:59 | 映画や本の雑記 | Comments(0)

イタリア人ならほとんど皆が読んでいる、ダンテの『神曲』と並ぶ名作がこれ。

いいなづけ―17世紀ミラーノの物語
アレッサンドロ・マンゾーニ著、平川 祐弘訳、河出書房新社

まだイタリアが建国されていないときに、いまのイタリア語に近いイタリア語で書かれた小説(つまり、1800年代に教養のある人々が使っていた"話言葉"のフィレンツェ語)。
したがって、本作が現代イタリア語の礎を築いたともいえます。
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そんな偉大なる物語なので、イタリアの高校生は全員読んでいるといっても過言ではない(らしい)。疑り深い私は「本当にイタリア人は皆読んでいるのか」と周囲のイタリア人に聞き回ってみましたが、本当に本当みたいですよ! 少なくとも文系なら高校の必修で全部読み通すそうだ。

なるほど。では、イタリア語を習っているなら読まないとねえ…と思って、読みました。日本語で。

本書のあらすじは、ひとことで言うと
「結婚を誓ったふたりの恋人が、さまざまな妨害にあい、はなればなれになるものの、最後はめでたく結婚式を挙げる」

という、あんまりおもしろくなさそうな、ありがちな内容です。実際、上巻なかほどまではちょっとダルかった、と告白しておきます。

しかし、妙に腹黒い尼僧が登場するあたりから、だんだんおもしろくなってきました。そして中巻から登場する悪党インノミナートや、偉大なボルロメーオ枢機卿など、次々に登場する脇役が魅力的。もはや主人公のカップルはどうでもいい、と思う私であった。

ボルロメーオ(ボロメオ)枢機卿は実在の人物で、ミラノのアンブロジアーナ図書館を設立した人。本書で描かれるように偉大な面も確かにあったけど、実際には魔女狩りも積極的に行なっていたらしいよ。また、悪党インノミナートは、フランチェスコ・ベルナルディーノ・ヴィスコンティという、これまた実在の人物がモデル。悪党のはずが、改心してイイ人になっちゃうのに驚いた。それもどうやら実話らしい。

個人的に本書でいちばん興味深かったのは、下巻のペスト流行の描写です。
ペスト小説というジャンルがあるなら、ベスト5に入れてもいい。当時の一般大衆のパニックぶりは、現代にも通じるものがあります。

当時の人々は、ペストの毒を塗って病気を広めている「塗屋(ぬりや)」が存在すると信じており、そういう陰謀めいたことはありえないと主張すると、頭が固いと非難されたばかりか塗屋の一味と疑われた、というくだりなど、災害時に本当に恐ろしいのはヒステリックな大衆だよね、と『ミスト』を思い出した私です。

そのほかにも、マンゾーニさん、まさしくおっしゃる通りですよ!というのは、たとえばこんな文章。

人心が戦々兢々としている時によく起こることだが、そうした時は話を聞いただけで見たような気になるものである。(中略)というのも怒れる人は常に懲罰を望むからであり、(中略)怒れる人は憎悪の根源を邪悪なる人間性に求めがちなものである。それというのも相手が人間である限りは報復することが出来るが、憎悪の根源が人間以外の原因であるとなると、もはや諦めるよりほか仕方がないからであろう。


ごもっともでございます。人間は、恐ろしいことが起きると、さも見たような気になっちゃうし、誰かのせいにしたいのです。

さらに、これ。
変な事態が生じたと皆が皆信じこんで長い時間が経ったとき、俺がそれをやらかしたと思いこむ人間が登場しないなどということはまずあり得ないことである。

そうね。確かに「俺がやりました」と言い出す人は必ず登場しますね。いまも昔も変わらないってことね。

さて、主人公たちにややイライラしていた私ではありますが、ペスト流行のあたりで、"短気は損気"な男主人公と頑固で泣き虫の女主人公が、それぞれ神父さんからガツン!と説教されていて溜飲が下がりました。最後はハッピーエンディングですが、主人公たちの後日譚に味があっておもしろい。

17世紀イタリアの歴史や文化に興味がある人、ペストの話に興味のある人などで、未読の人にはおすすめです。
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by rivarisaia | 2008-09-27 19:11 | | Comments(2)

ちょっと前の話ですが、蔵書整理をしたらしい父親からこのような本をもらいました。

Prison Architecture』Architectural Press刊
UNSDRI (United Nations Social Deffence Research Institute) 編著

ズバリ「世界の刑務所の建築」の本。副題に「典型的な閉ざされた機関の国際的調査および刑務所設計における近年の流行の分析」とあります。ヨコ42.5cm×タテ30.5cmと、横型のかなり大きい本です。

内容は大きく2つの章に分かれています。

パート1は「刑務所の建物の機能と設計」で、昔の刑務所(たとえばバスティーユとか)の図版や写真なども紹介しつつ論文がメイン。面倒なので、テキスト(英文)をちゃんと読んでないんですけど、歴史などに触れていると思われます。

本書で注目すべきは、パート2「刑務所設計の国際的調査」。なぜならさまざまな国の27の刑務所の平面図がたくさん紹介されてるから。大まかな平面図(間取り)ですけど。
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たとえばこちらはイタリアのレビッビア刑務所。イタリアの哲学者で政治活動家のアントニオ・ネグリ氏が収監されていた場所です。

ネグリ氏は、今年3月に日本で講演する予定だったのに日本政府に入国拒否されるという事態が起きたので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。モロ首相の誘拐・暗殺容疑で逮捕され、獄中で選挙に立候補し当選、釈放、その後フランスに亡命、再び帰国して刑務所に収監、現在は釈放という激動の人生を送っていらっしゃるお方です。

ものによっては室内写真がついている案件もあります。
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ほら、ページ右上に。これは米国ワシントンのパーディー刑務所。

ところで。なにゆえこのような本を入手したのかと、父に聞いてみたところ
「いやー、外国の刑務所に入れられるようなことがあった際、脱獄に役立つかと思って。わはは」と言いながら去っていきました。

しかし、もし真剣に脱獄を試みたい方がいらっしゃいましても、本書はそれほど役には立たないかと思われます。なにぶん1975年発行ですので、監視カメラなど、ハイテク機器の設置場所に関しては触れておりませんし、なにより脱獄の定番中の定番、下水道の位置が記されておりません。あしからず。
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by rivarisaia | 2008-09-25 22:44 | | Comments(4)

サラゴサ手稿』という小説があります。18世紀後半から19世紀初頭にポーランドの貴族ヤン・ポトツキが書いたという寄書で、ポーランド版千夜一夜物語、とかデカメロンと評されている本です。

日本語版は、国書刊行会から出ていた『世界幻想文学大系19巻 サラゴサ手稿』(工藤幸雄訳/絶版)の抄訳版しかありません。
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上の絵が作者のポトツキさん。本書のあらすじはこんな感じです。

ナポレオン戦争の際、あるフランス人将校がサラゴサにて奇妙な手稿を発見した。それはスペイン人の騎士アルフォンスが記したものだった。

マドリッドに向けてシエラ・モレナ山を越えようとしていたアルフォンス。しかし、そこは絞首刑になった山賊・ゾト兄弟の幽霊が出るという噂の土地だった。廃れた宿屋で夜を明かそうとしたアルフォンスは、美しく妖しいムスリムの姉妹に出会う。姉妹とめくるめく甘美な一夜を過ごしたアルフォンスだったが、目が覚めるとそこはなぜか絞首台の下であり、かたわらにはゾト兄弟の死体が横たわっていたのだった。

さらに道を進むアルフォンスはある隠者に出会う。そこで聞いた不思議な物語は、アルフォンスの体験と似ているのだった…。

はたして謎の姉妹の正体は?これは夢なのか、現実なのか?

1章が1日、全部で66日間の物語。話の中に話が挿入されて、語り手が次々に変わる入れ子構造になっており、どういうわけだかどいつもこいつも「目が覚めると必ずそこは絞首台の下」という状況に…。

ナゾがナゾを呼ぶ展開なんですが、「世界幻想文学大系」には66日のうち14日目までしか収録されていないため、続きが気になるところでブツリと終了。
この読者生殺し状態のまま、20年以上が経過してます。

昨年読んだ、翻訳家の工藤先生の『ぼくの翻訳人生』(中公新書)にて、工藤先生が『サラゴサ手稿』を全部訳し終わってることを知る。いつ、どこから出るのだろうかと思っていたところ、今年の春先、東京創元社のメルマガで、完訳版が6月に出るというアナウンスがあった。

キターーー!きた、きた、きた、きた、ついにきたー!

と小躍りした人は私以外にもたくさんいたはず。

しかし!

6月になっても、新刊リストに入ってない。創元に問い合わせてみたところ、秋に延期予定という返事をいただきましたが、7月5日に翻訳家の工藤先生が亡くなってしまった。ううむ。その後、どうなったのでしょうか。そろそろ秋ですが、いかがでございましょうか。
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英語なら完訳版がペンギン・クラシックから出てるんだけど、656ページも英語で読むのはちょっとなあ。日本語で読みたい。工藤先生の訳で。がんばれ、創元!

本作はポーランドで映画化もされていて、リンチもブニュエルも大絶賛。ちょっと観たい。でもまずは日本語版の本を先に〜!
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by rivarisaia | 2008-09-23 21:40 | | Comments(8)

落下の王国

さて、コチラでも書いたように、とても楽しみにしていた『The Fall』を観ました。よかった! そしてさらに言うなら邦題のセンスもいい。

落下の王国(The Fall)』監督:ターセム・シン

病院に入院しているルーマニア移民の少女に、同じく入院中の青年が物語を語る、というのがざっくりとしたあらすじ。この女の子が、愛嬌があってすごくかわいい!
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「青年の語る物語」に少女が介入していくところがなかなかおもしろい。「こう言ったけど、やっぱりじつはこうだった」と後から変えちゃったり、「そんな展開イヤだ!」と言われて徐々に軌道修正したり、一緒に物語をつくりあげていくことが、このふたりにとって大切なことでした。物語のファンタジー度が低いと感じる人もいそうですが、青年が5歳の少女に語っているお話なのですから、私はいいと思います。


b0087556_18274640.jpg今回も映像がすごくきれいなんですが、冒頭の白黒の映像からして凄いです。
ブルース・ウェバーの写真を思い出しましたが、蒸気機関車の煙、つり上げられる馬、すべてが美しいです。そして物語部分の幻想的なシーンでは、石岡瑛子さんのセンス(特に風景と衣装の配色)が炸裂してました。個人的にグッときたのは、クエイ兄弟のような人形アニメーションが挿入されるところ。その場面でそう使うのかー。

ターセムさんは、映像のコラージュ作家と言ってもいい。
ということは、もうゼッタイ「帳面派」に違いない!(※帳面派とはコチラ

ところでわたくし、コルベール展のエントリで、「そこはかとなく80年代パルコの宣伝を思わせる」とこきおろしましたが、「ターセムにはパルコの香りはしないワケ?」と突っ込まれたら、「そりゃ石岡さんが関わってるんだもん、もちろんしますよ」と答えざるを得ません。

しかし、コルベールの匂いとターセムの匂いは質が違う。ターセムは石岡瑛子さんが70年代から手がけてきた王道のイメージがさらに進化した感じ。だから古さやいやらしさがないのです。

映画の中の現実世界である病院の風景を眺めながら、以前紹介した本『The Circus in Winter』はターセムが映像化してくれたらいいのになあ!と思いました(洪水と象、というエピソードなんていいと思う)。まあ、この本の映画化はナイでしょうけどね…。

真実がどうなのかわからないけど、子どもの楽観的な想像なのかもしれないけど、無声映画に貢献した名もなきスタントたちに思いをはせるようなエンディングもよかったです。

ちなみにこの映画のテーマ曲は、ベートーヴェン交響曲第7番 イ長調 作品92 第2楽章。
これまたしっくりくる選曲でしたよ。

「落下の王国」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
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by rivarisaia | 2008-09-20 20:03 | 映画/洋画 | Comments(4)

今年もTiFFの季節です

東京国際映画祭のラインナップが発表されましたね。もう秋ですねえ。

ワールドシネマではこのエントリでもふれた『ゴモラ』が上映されるね!(イタリア映画祭じゃないのね。『Il Divo』はイタリア映画祭でやるのかな)。『パルケ・ヴィア』と『ハンガー』も観たいな〜。『ウォーリー』と『ブラインドネス』は超観たいけど、公開が決まっているので、何もTiFFで観なくてもいいや。

「アジアの風」も悩みどころ。パン・ホーチョンは絶対観たいけど、それ以外はスケジュールをみながらこれから悩みます。

※後で直るでしょうけど、東京・中国映画週間のリンク先が間違ってますよ!
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by rivarisaia | 2008-09-18 18:36 | 映画や本の雑記 | Comments(6)

すいません、皆さん。私、大嘘つきました。

先日書いた『The Medici Aesop』で、アリとキリギリスの絵が変だ、という件で、「もとはコオロギ」と書きましたが、それは本書の英文テキストがそうなっていたからということで、

原典では「セミとアリ」(No.373)でございました。(岩波文庫『イソップ寓話集』)

ヨーロッパに伝わった際にセミがコオロギなりキリギリスなりに変化したということでございますね。そういえば、そんな話を遠い遠い昔に聞いたようなおぼろげな記憶が。
とはいえ、ラテン語訳は「セミ」になっているのが多いみたいですね。(参考:イソップサイトはコチラ。英語です)

同じような話で「アリとセンチコガネ」(No.112)というのもございます。センチコガネって糞虫のことだそうです。糞虫…。

そうか、どうみてもゴ…(以下略)みたいなアレは、じつはセミなのかなー。英文テキストが間違ってるのかも。だって原典テキストはギリシャ語だしなー。いずれにしてもセミにはとても見えない。どちらかといえば、センチコガネのほうが近いのでは…。(センチコガネはWikipediaに写真がありますよ、コレ

と思いつつ、再度本を見る。

おお!?
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ちょっと、右の樹の上に!
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セ、セミ!?セミなの?

まあ、セミでもセンチコガネでもどちらでも私は受け入れますよ!
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by rivarisaia | 2008-09-16 19:15 | | Comments(2)

じつは白状すると、買った本はメディチのイソップだけじゃなかった。やですね、超過勤務って。今週連休だってことも、さっき知りましたからね!明日はもちろん休みです、ラッキー!

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The Prayer Book of Michelino da Besozzo』(ミケリーノ・ダ・ベソッツォの祈禱書)George Braziller, Inc.刊

ミケリーノ・ダ・ベソッツォの手による小さな祈禱書の写本、というのがあるらしく(よく知らない…)、そのビジュアル書です。前書きによると、いくつかのボーダーおよび聖人の絵はベソッツォのアシスタントが手がけたのではないかとのこと。

解説では、ボーダーを飾る植物の絵がすばらしい!と書かれていますが、確かにその通りだと思います。全ページ、ボーダーが花の絵柄なんですが、ページごとに色味を統一しているせいか、たいそう洗練されてます。しかも、花のボーダーが挿画やテキストをぐるりと取り巻いて、下中央部分では金色の根っこが描かれているのもおもしろい。
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これは聖ルチアのページ。燃えるオイルのあかりを手にしています。まわりを囲むのは紫の花。ボーダーの下が根っこになってますね。ほかのページの花も紫や青、ピンクが多くて、全体的に落ち着いた雰囲気。

そして相変わらず、この本の出版社、George Brazillerのこだわりはすばらしいなと思うのは、本のサイズが原書の写本とほぼ同じというだけでなく、本体表紙も原書を模しているという点です。ファクシミリが買えない人にも少しでも実物の雰囲気伝えたい、というその気配りがすてき。本書もカバーを取ると、ほら。
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深緑のベロアのような布張りに、金の箔押しときたもんですよ。
定価もそんなに高くないんだけど、何部くらい刷ったんでしょうねえ。古本価格もそんなに高くないです。

いつかこれは実物を見てみたいものです。

●メモ
写本の制作年代:1420年
写本の言語:ラテン語
原書サイズ:170 × 120 mm
現在はモルガン・ライブラリー(ニューヨーク)が所蔵
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by rivarisaia | 2008-09-14 23:17 | | Comments(4)

さて、こんにちは。仕事ばかりで遊んでないとダメな人になる〜!という言葉が脳裏をかけめぐる今日この頃。仕事ばかりで出かけてないと衝動買いも増えるんですよねえ!

というわけで、またも海外古書サイトで写本の本を買いました。
だって、メディチですよ、奥さん。メディチ!わ~い!
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The Medici Aesop』(メディチ家所有のイソップ物語) Harry N. Abrams刊

ロレンツォ・ディ・メディチの息子ピエロのライブラリにある15世紀のイソッブ物語写本のビジュアル書。大型本。なぜか印刷は日本です。
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中ページは、このように、中央に見開きで写本のページが掲載され、物語の英語訳が両サイドについています。これは便利!という気がする。

ラテン語を読解して英訳と付け合わせれば、勉強になるわね、使える!役立つ!自習、自習!とウキウキしてたんですが、よーく見てみると…
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ハッ!これはギリシャ語…。

そうだよね、イソップだもんね、ギリシャ語だよね。ははは…。

当然と言えば当然のことですが、ラテン語をヒイヒイ言いながらやってると、必ずギリシャ語に遭遇いたします。先生もスラスラとギリシャ語を書いたりするのが驚異的。でも、私はギリシャ語はやるつもりないですから! ま、やる気があったとしても能力的に不可能です。

気をとり直して、「アリとキリギリス」ってイソップだよなあ、と探してみました。
確かにあったんですけど、この挿絵はいったい!?
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 ナニ、これ!?

おそらく「アリ」は、中央のアリ塚らしきものの右側にいる小さめの三匹。ええっと、左側で円陣くんでるヤツらと右側のデカイ一匹がキリギリスなんでしょうか? これじゃ、まるでゴキ…(以下略)。

そうか、もともとはキリギリスじゃなくてコオロギ(Cricket)だからか。それにしてもちょっとびっくりした。


9/16追記:おいおい、コオロギじゃないってば!という訂正エントリはコチラ
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by rivarisaia | 2008-09-12 21:24 | | Comments(2)