「ほっ」と。キャンペーン

シュールな小説の第2弾。今回もペーパーバックの紹介ですが、短編集です。このなかの2篇は、講談社から出ている岸本佐知子さん編訳の『変愛(ヘンアイ)小説集』(恋愛"レンアイ"じゃないところがポイント)に邦訳が収録されています。

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Meet Me In the Moon Room』Ray Vukcevich(レイ・ヴクサヴィッチ)著 
small beer press刊

『変愛小説集』に収録された、皮膚が宇宙服に変わる病気の話やセーターの中に広がる異世界の話を書いたヴクサヴィッチに興味津々になり、ペーパーバックを買いました。

本書に収録された33のショートストーリーが見事にすべて奇妙で風変わりで、どう転がってオチがつくのか想像つかない。SFあり、ホラーあり、ファンタジーあり、笑える話あり、悲しい話あり。どれも変なんだけど、人間関係のすれ違いを描いた、不思議な後味を残す話が多い。1篇が短いせいもあって、あらすじだけ話しても「変なの!」と言われて終わっちゃいそうなので、あらすじは割愛します。

これは丸ごと邦訳を出すべきだ、というか邦訳を出してほしい1冊です。あるいは前述した通り、ひとつの話が短いもの(3〜5ページ)が多いので、ペーパーバックに挑戦するのもいいかも。

私が好きなのは、不穏な気分にさせられる幽霊の話「Pretending」、フリーウェイ下の摩訶不思議な変身ピクニック譚「Fancy Pants」、巨大な金魚鉢を持ち歩かなくてはならない世界にテレポートする話「A Holiday Junket」など。

岸本さんが『変愛小説集』のあとがきでも書いていた、鼻の下にガーター蛇を接着剤ではりつけた男の話「My Mustache」は、オチに大笑い。機会があったら、これだけでも読んでほしい〜。
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by rivarisaia | 2008-10-30 19:06 | | Comments(0)

ここ最近、現実逃避したいせいなのか、なんだか理由はよくわかんないのですが、シュールな小説ばっかり読んでいて、気が変になりそうな私です。おかげで夜に見る夢でもとんでもなくナンセンスな事態が展開されて、毎日、朝っぱらからやや疲れ気味。

映画の感想も書きかけのものがたまってるんですが、それは後回しにして、しばらくは本の話でいこうかと思います。みんなも読んでシュールな夢を見るといいよ!

さて、本日の1冊はペーパーバックです。英語かよ…と思われる方もいらっしゃるでしょうが、たぶんそのうち邦訳が出ますので、少々お待ちください。

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Eeeee Eee Eeee』Tao Lin(タオ・リン)著 Melville House刊

ユリイカで紹介されてて気になった本。なかなかおもしろかった。

大学は出たけどドミノピザでバイト中というアンドリューの空虚な人生に、クマとイルカとハムスターとヘラジカとエイリアンが絡んでくる話(本当です)。「eeeee eee eeee」と鳴く、大きなハンマーをもったイルカがイライジャ・ウッドを殴り殺し、別のイルカは斧で王家衛を殺す。イルカは悲しいけど、ハムスターもまた悲しい…。

何だそりゃ?と思われるでしょうが、そういう話です。

この部分だけ抜き出すと、バイオレンスに満ちているようにもみえますが、じつはそうでもない。全体的に空虚で宙ぶらりんでシニカルな話でした。うまく言えないけど、あーこういう感覚わかるなあとも思った。

とくに最後のほうで、アンドリューと彼の知り合いが、アメリカ大統領と一緒にスシ・バーに行き、ポルトガルの作家フェルナンド・ペソアについて話す場面が好き。そこにはイルカとクマとヘラジカとエイリアンも同席しており、イルカとクマとヘラジカとエイリアンも含めて全員がフェルナンド・ペソアを読んだことがあるというのが笑える(「ペソアって誰?」と発言した人間1名は、追い出される)。

そこでの大統領の発言はこんな具合です。

"Life is meaningless. Everyone knows this. Look at Fernando Pessoa. He knew the most that life was meaningless. But he was always worrying about things. If life was really meaningless you wouldn't worry about things."


その後、なぜかサルマン・ラシュディが登場したり、全員の食事がベジタリアンだったり(スシ・バーなのに、ナゼ?)と、相変わらず意味がわからないんですが、夏でも冬でもないあいまいな11月に読むにはぴったりの、物悲しい、でもそれもまたよし、という気分になる話でした。
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by rivarisaia | 2008-10-29 00:12 | | Comments(0)

巨匠とマルガリータ

どうしたことかロシア文学とはいまひとつ相性が合わない私。罪と罰も、カラマーゾフも、何度トライしても途中で挫折してしまう、ロシア文学は鬼門中の鬼門のわたくしが、あっという間に読了した。

ということは、相当変です、この本。

「ローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」にインスピレーションを与え、20世紀最高のロシア語文学と評される究極の奇想小説」だそうです。

巨匠とマルガリータ』ミハイル・アファナーシエヴィチ・ブルガーコフ著
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翻訳が中田恭(郁朋社)、法木綾子(群像社)、水野忠夫(河出書房新社)、と3種類も出てます。私は郁朋社の中田恭訳版を読みましたが、河出書房新社もよさそう。

あらすじ
モスクワに突然現れた謎の男。彼の予言通り首を切断される作家協会の議長。そう、謎の男の正体は悪魔ヴォランドだったのだ。一部始終を目撃した詩人は、精神病院に送られてしまう。

悪魔ヴォランドは二本足で歩く大きな黒猫や裸の魔女といった仲間と一緒にモスクワのアパートの一室に居を構え、劇場にて黒魔術ショーを開催、モスクワ市民をパニックに陥れる。いっぽうで、精神病院の詩人の前には「巨匠」と呼ばれる男があらわれ、自分の小説や人生について語りはじめる。

そんな巨匠を助けるべく、巨匠の愛人マルガリータは、ヴォランドの力を借りて悪魔の大舞踏会へ飛び立つのであった。


書いてて、わけわかんないですが、かようにシュールで奇想天外な話です。私は、言葉を話すこともできる巨大な黒猫ベゲモートがお気に入り。茶目っ気があって、なんとも最高のキャラクターである。

作者のブルガーコフはスターリン政権下では反体制と見なされて長い間作品が発禁とされてきたけれど、じつはスターリンはブルガーコフの作品をけっこう気に入っていたらしい。そうとすれば、『巨匠とマルガリータ』のなかで、巨匠が書いたという小説が「イエスを磔刑にしてしまい、苦悩する総督ピラト」であることが興味深い。社会的にやむを得ず、自分の意に反する決定を下さねばならない「官僚の苦悩」の象徴なのかも。最後、ピラトが救われるのは、ブルガーコフなりのスターリンへの気もちだったりして(勝手な憶測ですので、実際には全然違うかもしれないけど)。

本作で、もっとも感動的なのは、燃えてしまったはずの巨匠の原稿が、悪魔ヴォランドが「原稿は燃えないのです!」と言うやいなや、灰の中からよみがえるシーン。物語は決して失われることはない! ここにブルガーコフの作家としての想いがドドーンと注入されているような気がしました。
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by rivarisaia | 2008-10-27 19:15 | | Comments(2)

ゴモラ

カモッラの件は非常に混沌としているのですが、映画でもそんなカオスっぷりが表現されておりました。したがってスッキリとわかりやすい映画ではないですが、現実がそうだから映画もそれでいいのです。そういう意味で、とてもよくできてると思います。
そうそう、カンパーニャ州の話って、こういう風にカオスなんだよ!

ゴモラ(Gomorra)』監督:マッテオ・ガローネ
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ナポリ郊外のセコンディリアーノやスカンピア地区の日常ってこんな感じなのか…と、心底くらい気分に。本当にこれはイタリアなの?と疑うほどのスラム街。おまけにナポリ訛りもサッパリわからない。まるでブラジルやコロンビアのようだ。そのせいか、なんとなく『シティ・オブ・ゴッド』を思い出しました。

本作は大きくわけて5つの物語が交錯しながら進行します。
少年トト:
ふつうの少年がカモッラの一員になっていく過程を描いた話

ドン・チーロ:
服役中のメンバーや死亡したメンバーの家族に、毎週、クラン(組)からの生活費を届けている運び屋の話

マルコとチロ:
組織に属さず、自由にやっていこうとする2人の若者ギャングの話

パスクワーレ:
腕のある裁縫士の話。彼は中国人の経営する縫製工場にこっそり技術を教えに行くが…

ロベルトとフランコ:
ゴミ処理請負人のフランコと、彼の下で働く若者ロベルトの話

どのエピソードも、その場所で生まれて、そこで暮らしていくかぎり、カモッラの影響下からは逃れられない、という現実を描き出しています。映画自体はフィクションかもしれませんが、同じようなことが実際に起きていることを考えると、ホントうんざり。

たとえばゴミ処理の話では、土壌が汚染しようがかまわずに有害物質を埋め立てていく経緯が語られますが、あれも実際に、借金まみれで土地を貸し出すしかない農民、そこにつけ込む請負業者、産業廃棄物をもてあます北部の企業、そして映画には出てこないけど政府などの事情が複雑に絡み合っていて、簡単に解決できそうにない問題です。

お婆さんからもらった桃を道ばたに捨てるよう命令するフランコは、桃が汚染されてると感じてるわけですよね。ひどいと思いつつも、フランコの気持ちもわからないでもない。そんななか、ロベルトが「こんなことは間違っている」と気づいたところに多少の希望を感じましたが、彼はあのあとどうするのかなあ。

ところで、サヴィアーノさんの一件があるので、カモッラの本拠地での撮影は大変だったのではないかと気になっていましたが、地元の人たちは撮影に協力的だったようです。10月23日付「Japan Times」にサヴィアーノさんの記事が1ページ使って掲載されており、それによると、地元民がぜひこの場所で撮ってほしいと望んだので、映画自体は快く思ってないカモッラも、許容せざるを得なかったと書いてありました。

おまけに、

本作には指名手配中だったカモッラの一員が出演していて、映画をきっかけに逮捕されています…(どうやら刑務所内で上映会をした際に、囚人が「仲間が出てる!」と発見したらしい)。

7月に逮捕されたジョバンニ・ヴェノーザのニュースはコチラ(イタリア語)ですが、誰かと思ったら、アンタおもいっきり重要な役の人じゃないの!(若者を殺害するボスのうちのひとり)

さらに、こちらニュース(イタリア語)をみると、ちゃんと読んでないんですが、上の人物とはまた別の人がつかまってて、「映画の出演者で逮捕されたのは彼で3人目」とか書いてあるんですけど…。もう、それは一体どういう事態なんですか(苦笑)

カモッラは出たがりなのか? 
映画に出演するくらいなら、サヴィアーノさんのことも大目に見てやりなよ…。

まあ、よくわからないので調べておきます。また別の機会に書くかも。
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by rivarisaia | 2008-10-24 23:55 | 映画/洋画 | Comments(0)

夏の嵐

先日、悶絶オペラの話でちらりと書いたヴィスコンティの映画。オペラの場面やお屋敷、衣装などにゴージャス感が漂う映画ですが、どうにも腹立たしい気分になるので、私はあんまり好きじゃないです。

b0087556_1945569.jpg夏の嵐(Senso)』監督:ルキノ・ヴィスコンティ

普墺戦争のころ。ヴェネツィアを支配する敵国オーストリア軍将校マーラーと恋に落ちてしまうイタリアの伯爵夫人リヴィア。ふたりの不倫の恋の行方を描いた話ですが、もう「あーあ…」としか言いようのない想像通りの悲惨な結末が待ってます。

相手が敵国の将校という時点ですでに「社会状況を考えなさいよ」と忠告したいくらいの許されざる恋物語ですが、ヒロインのリヴィアときたら、中盤でさらにとんでもないことをしでかすのである。

リヴィアには、イタリアのために戦う気満々の愛国者の従兄ロベルトがいた。ロベルトは、リヴィアに軍資金を託し、同志に渡すよう依頼する…が、しかし、この貴重なお金をあろうことか、リヴィアはマーラーに貢いじゃうんだよね!

マーラーは最初から胡散臭い人物なんですが、メロメロになってるリヴィアは、全然気づかない。軍隊から除籍するにはお金が必要だと言い出すマーラーに、「あなたが戦争で死んだらイヤだから」と預かった軍資金を全部あげちゃうのである。

あのさあ、リヴィアさん、ロベルトはお金を預けるときに

「イタリアが勝つには各自の行動にかかっている。
いまは自分のことは忘れなくてはならない」


って言ってたよねえ!?ちゃんと聞いてた?

しかも、それは"ちょっとした大金"というものではなくて、イタリアが勝つか負けるかの一大事に使用される重要な"軍資金"なんだよ、わかってんのか、このバカ女! 愛とか恋とか、そんな言い訳が通用すると思うなよ!

しかも、このマーラーという男は、床にこぼれ落ちた金貨を拾い集めながら
「君がくれたのは心だ。取らないと悪いと思う」

と抜かすのである。なんだその言い草は。
大体からして、軍人のくせに、医者に大金をつかませてニセの診断書を作成してもらい軍から抜けたいなどと、しょっぱいことを言ってる男は男じゃないことに、気づいてくださいよ、リヴィア〜!

私が勝手に思うに、本作は「イタリア人にとって、国の行く末よりもアモーレが大切」という趣旨ではないと思います。むしろ、イタリア統一を目指して一丸となるべき非常時に、イタリア人としてあるまじき愚か者の悲惨な末路を、同じ貴族であるヴィスコンティが冷たい視線で描いた、という気がします。そういうことにさせていただかないことには、何かスッキリいたしません。

なにせ、冒頭のオペラシーンでは快活そうだったリビアが、物語が進むにつれてだんだんとやつれ衰えていくところは、本当に悲惨です。

最終的にはマーラーに「お前なんか転んで首の骨でも折って死んじまえ!」とまで言われ、そんな男に復讐すべく医師買収の件を軍司令部に密告するリヴィア。ラストは発狂しちゃったんじゃないかと心配になるほどです。

ヘタレ男マーラーは銃殺されて当然ですが、あのあと、リビアはどうなったんでしょうね。イタリア女のそこぢからを発揮して、絶望の淵からみごとに立ち直っていたとしても、私としてはそれはそれで構わないんですけれど。
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by rivarisaia | 2008-10-22 20:10 | 映画/洋画 | Comments(0)

世間は映画祭ですが、私はここしばらく死ぬ気で楽器を練習せねばならない事態に陥っています。グリーンカーペットなんて見てないよ(泣)。そこで自分への景気づけに超ひさびさにオペラの話。前にパルジファル鑑賞談パヴァロッティとわたくしなどという、どうしようもない話を書きましたが、先に断っておくと今回もそんな内容です。

オペラのアリアに関しては、みなさん好みはいろいろでしょうが、私には聞くたびに悶絶するアリアがいくつかあり、それらを「悶絶アリア」と呼んでいます。ガツンと行きたい日やヤル気を出したい日に聞けば、心拍数が上がり、たちどころに力がみなぎるのが悶絶アリア。

今日はその男性篇。マイ・悶絶アリア・ランキングで長年にわたる不動の1位はコレ。

「Di quella pira(見よ、恐ろしい炎を)」
〜ジュゼッペ・ヴェルディの『イル・トロヴァトーレ(Il Trovatore)』より


初めて聞いたのは、高校生のときに買ったオペラアリア集のレコードに収録されていた、フランコ・コレッリのバージョン。「この歌すごい!」と血湧き肉踊りました。

『イル・トロヴァトーレ』は物語だけをみると、火あぶり!白骨死体!ロマンス!決闘!勘違い!殺人!人違い!戦い!自殺!処刑!衝撃の真実!復讐!絶命!と、張徹あたりが映画化しててもおかしくないほどの激情ドラマ。私は大好きだよ!

だいぶはしょったあらすじですが、吟遊詩人のマンリーコと恋人のレオノーラ、そしてレオノーラに横恋慕したルーナ伯爵という三つ巴の恋愛話…と思いきや、第2幕でマンリーコのお母さんが衝撃的な発言をかます。

「私の母親は、先代の伯爵によって火あぶりの刑に処せられたんだよ。
そこで母の復讐のため、伯爵家の子どもを誘拐して火に投げ込んだのさ…というつもりが、間違えて自分の子どもを焼き殺しちゃったんだよね」(←恐ろしい間違いっぷりである)


それを聞いて「自分の子どもを殺したって言うけど…じゃあここにいる俺は誰よ? 」と当然不安になるマンリーコ。そのときはうまくはぐらかされてしまうが、そう、マンリーコこそ先代の伯爵の子ども、つまり恋敵ルーナ伯爵の実の弟なのであった。

さて、いろいろあったすえ、恋人と無事に結婚式を挙げることにしたマンリーコ。しかしそこに、母が伯爵に捕われたというしらせが。このときマンリーコが歌うのが、今回注目の「Di quella pira」です。

曲調も熱いが、歌詞も熱いよ!

「火刑台の炎をさっさと消さないと、
俺がてめえらの血で消してやるぜ!
母さん、今から俺が助けに行くぜ!
助けられなかったら一緒に死のう!」
(超意訳)


そういえば、ヴィスコンティの映画『夏の嵐』も、劇場でこの歌が歌われる場面から始まりますよね。さすがヴィスコンティ。この歌で血液が沸点に達した人々が「イタリア万歳!」と叫ぶのであった。なんかわかる気がしますよ。

そんな熱き血潮の男マンリーコは、軍勢を引き連れて伯爵と戦うが負けてしまい、母親とともに捕われの身に。彼を助けようとした恋人レオノーラも服毒自殺。ついにマンリーコまでも母親の目の前で伯爵に処刑されてしまう。
その瞬間、母親が伯爵に向かって

「なんてことを!あれはお前の実の弟だったのに!
おお、お母さん、私、ついに復讐をはたしました!!」


と狂乱&絶叫。いきなり衝撃の真実が明かされ、呆然と立ち尽くす伯爵
—完—

…なんだろ、この唐突なエンディング。殺されたマンリーコの立場は!? と突っ込みたくなるほど、よく考えると突拍子もなくわかりにくい話ですが、劇的でおもしろいし、なによりヴェルディの曲が全体的にすばらしいので無問題です。

では、悶絶アリア「Di quella pira(見よ、恐ろしい炎を)」をお聞きください。

YouTubeにはフランコ・コレッリ(Franco Corelli )版もあったのですが(検索してみてね)、今回はフランコ・ボニソッリ版の、文字通り燃えさかる炎のバージョンに大笑いしたので、そちらをはりつけておきます。日本語字幕つき。



熱いね!BRAVO!
しかし、この曲で調子づいた私は、本日の練習で激しく音を出してしまい、「そこ、音大きい!ピアニッシモですよ」と先生に二度も注意されました。ううう。
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by rivarisaia | 2008-10-19 20:56 | 音楽の話 | Comments(0)

今年のTIFFは、結局時間の都合がつかず『ゴモラ』しか観られない(と思う)。
(*映画の感想はコチラ

そして『ゴモラ』といえば、過去にもココとかココに書きましたが、昨日、著者のサヴィアーノさんがイタリアを離れるかも、というニュースが出てましたね。著書が世界中で出版され、映画化もされて、それがカンヌで話題になり、さらにアカデミー賞のイタリアからの出品作品になったことで、カモッラが激怒し、クリスマスまでに彼(と護衛官たち)を暗殺する指令を出したという情報があったのだそうだ(警察は真相確認中)。

以前は、サヴィアーノさんがナポリで家が借りられないという話を書いたんですけど、その後の話では家を借りるどころの話じゃなくなっていて、危険が及ばないように友人や家族から離れて、警察と一緒に次々と拠点を変えながら暮らすはめになっていました。2年間も。だから
「人生を取り戻すためにしばらくイタリアを離れて、ようすをみたい。……自分自身、自分の本、自分の成功のせいで捕われの身のように生きている。どうしてこんな生活を続けていかなくちゃいけないのかわからない。成功なんてくそくらえだ」

と言う気持ちはよくわかるし、本当に耐えられないだろうと思う。国外に出れば安全なのかはやや不安ですが、少しでも平穏に暮らしてほしい。そしてサヴィアーノさんは、自分のことをまるで息子のように思い粘り強く護衛してくれる警察官たちにもとても感謝していると言ってました。

彼が若くして背負ってしまったものが大きすぎて、あまりにも気の毒だ。

カモッラ問題、どうにも解決策がなさげにみえますが、いっぽうで今年の6月、カモッラのカザレージ・クランの大ボス、フランチェスコ・"サンドカン"・スキアヴォーネら16人に終身刑の判決が下っています。これはちょっと画期的(判事もカモッラに脅迫されてたはずだし)。ただし、そのうち2名のボスが逃走中。指名手配されてます。

カザレージは、『死都ゴモラ』の感想でも書いたように、廃棄物ビジネスを手がけ、セメント市場を独占し、流通販売ルートやビジネス、選挙などをコントロールするなど、経済を牛耳ってる厄介な存在なのでした。

余談ですが、10年続いたこの裁判は、ローマ帝国の圧政に対抗したスパルタクスのように、カザレージに立ち向かおうということで、「スパルタクス裁判」と呼ばれてます。そうだね、こうやって政府と市民ががんばって少しずつ解決していくしかないですね…。

ところで、ロイターの記事でイタリアの新聞「La Repubblica」が「レパブリカ」になっているのが気になる〜。英語圏では英語読みするだろうけど、日本の報道でのカナ表記はイタリア語にあわせてレプッブリカ、またはレプブリカにしたほうがよいのではないだろうか。

●参考までに

・英国Telegraphの"スパルタクス裁判"判決記事(英語)はコチラ
・サヴィアーノさんイタリアを離れたい、というLa Repubblicaの記事はコチラ(イタリア語です。読んだら泣けてきた。でも、すみません、私の語学レベルが低すぎて日本語に抄訳できません。英語版の抄訳ならコチラにあります)
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by rivarisaia | 2008-10-17 03:04 | 映画や本の雑記 | Comments(2)

ブータンのお土産

先日はケルト土産の話でしたが、今回はブータン土産。

トニーとカリーナの挙式の地、ブータンに行ったという知人からいろいろいただきもの。うれしい!

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右上の箱はヒマラヤングースベリーとサフラン&シナモンのハーブティー、中央の黄色と青の物体は織物のしおり。しおりは素朴で妙に味があります。裏面には糸出てるし(それがブータンの織物の特徴らしい)。そして切手がたくさん!

知らなかったけど、ブータンって切手収集家には有名な切手王国なんですってね。まるでサンマリノのようだ。「切手といえば西洋にサンマリノ、東洋にブータン」というスタンスなのでしょうか。サンマリノでは切手が重要な財源のひとつで、収集家向けの切手がたくさん発行されてますが、ブータンもそうなのかも。

だってさ、こういう切手はわかるんですよ。

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ブータンの偉い人たち。周囲を飾る模様もブータンらしい。
でもさ、これはブータンとは何の関係が?

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月面着陸25周年記念のホログラム切手。写真ではわからないけど、ちゃんと立体で見えるよ、なにげに豪華! しかし、どう考えてもこれは収集家向けだよね…と思って検索してみたら、やはり「変な切手をつくることで有名なブータン」という認識になっていた。切手は外貨獲得の一端を担っているのだそうだ。

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これは一瞬「黒猫だ、かわいい〜」と思ってよくみたら、ネズミだった…という、今年のネズミ年記念切手。

ブータンは秘境というイメージがありましたが、切手王国と聞いてますます興味が湧いてきました。いつか行ってみたいなー。

最後におまけ。お茶の箱にひっかかってるシュールで不気味な顔は…クリスマスのオーナメントらしいです。仏教国ブータンなのにクリスマスの飾り、という点だけでもじゅうぶんシュール。なぜクリスマス…。
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こうやって吊るすのかな。ツリーにこれがいっぱいぶらさがってたらちょっと恐い。今年のクリスマスにはどこかに飾ることにいたしますよ!
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by rivarisaia | 2008-10-16 09:30 | 切手・郵趣 | Comments(0)

ちょっと前に、ダブリンに出張に行った父親に、「ダブリンか…じゃ『ケルズの書』見ないと!ついでに何か関連グッズでも買ってきてー」と言ってみたところ、土産に『ケルズの書』がやってきた。といってもDVD-ROMですが、これすばらしいですよ!

アイルランドの国宝『ケルズの書 (The Book of Kelks)』は、8世紀に製作された聖書の写本で、これでもかというほどの描き込みで有名なケルト文様で豪華に飾られた1冊。ダブリンのトリニティ・カレッジ所蔵です。

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DVD-ROMは1枚。Windowsはもちろん、Mac OS 9とOS Xにも対応。

QucikTimeで映像が見られるんですけども、メニューは以下のようになっています。

About The Book:装飾や使用しているインクの種類など、本全体についての説明や所蔵先であるトリニティ・カレッジの説明。あと関連地図(もともとケルズの書はスコットランドのアイオナで制作が始まり、その後ヴァイキングの襲撃などもあって、アイルランドのケルズに移されて完成した。そのあたりの地理を説明してくれる)。
Themes:ケルト文様や、描かれたシンボル(動物、人物、飾り文字など)の説明。
Featured Pages:代表的な有名ページの説明。
The book:写本全ページの複写画像


説明も簡潔で、さらに特徴的な画像を、動物であれば種類別といった具合に分類してピックアップしてるので、わかりやすいつくりになってます。特筆すべきはメニュー最後の「The book」のコーナー。

1ページから339ページまで、全ページ見られるんですよ!
「見開きで見る」を選択すると画面はこんな感じ。
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下の方の横線がページ数になっているので、カーソルで矢印を動かせば好きなページに移動可能。さらにページの見たい部分を拡大することもできます。

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ちなみに、これが最後の339ページの右上を拡大した画面。ページの破れた部分を補修してありますね。

全ページ入ってるのに、DVD1枚だから場所を取らないっていうところがいいです。
書籍の体裁だと、ファクシミリ版にでもしない限り全ページを複製するわけにもいかないし、選んで抜粋しても分厚いビジュアル書になってしまって重いくてかさばるし…。

このDVDですが、ネットでも販売してました。日本からも注文できるみたい。興味のある人はコチラです。

『ケルズの書』、じっくり見ると動物や天使の絵柄がかなりおもしろい。いくつか絵を写しちゃったよ。
たとえば、こんなの↓
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文字をくわえてます。文字部分は装飾が入り組んでるので写生不可能でした。
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by rivarisaia | 2008-10-14 14:24 | | Comments(2)

ノーベル文学賞も発表されましたし、読書の秋ですね。年中読書で現実逃避してる私は自重すべきかもしれませんが。

本日は久々にミステリ小説のご紹介....なんですが、本よりも探偵の紹介です。とにかく昔からこの探偵が気になって気になってしょうがないんですよ。実際に身近にいたらむかつくかもしれませんが、友だちになりたいくらい。

それが、ヴァン・ダイン著作のシリーズに登場するファイロ・ヴァンスさん。

ニューヨークの東38番街にある屋上庭園付きマンション在住のヴァンスさんは、叔母さんの莫大な財産を相続したのであくせく働く必要はないらしく、じゃあ何してるかというと、自分の興味のある文献を翻訳したり、興味のある人の伝記を執筆したり、興味がなくなると中断したり......ま、要は趣味の生活を送っています。何だかうらやましい身分です。

「スポーツなんて体力の無駄な消耗にすぎない」とか言っている割には、スイスにスキーに行くし、ゴルフもやる。スポーツ万能、ハンサム、物知り、金持ち、と何拍子も揃っている人物です。ステキ!

そんなヴァンスさんは、気に障る野郎と書いてキザ男。注目すべきはその発言。

「だれがコマドリ殺したの?」というマザーグースの歌にのっとって殺人事件が起きる名作『僧正殺人事件』の出だしをみてもこんな調子。

ヴァンスに事件を教えるべく電話をしてきた検事に向かって

「ぼくはいまオムレツ・オー・フィーヌ・ゼルブを食べているさいちゅうだ。やってこないかね。それとも、ただ、ぼくの声の音楽にご執心だっただけかね」


何ですか、「声の音楽にご執心」って。

ちなみにオムレツ・オー・フィーヌ・ゼルブとはハーブ入りオムレツです。ハーブを入れればいいだけですから、誰でもつくれます。朝っぱらから食卓でヴァンスごっこが可能ですね!

さて、弓術に関係した殺人事件が起きたと知るや、友人に向かって弓術について何か知ってるかと尋ね、よく知らないと返答されると、

「きみに訊いたってしかたがないってところか」


と、さりげなく、イラッとする発言をかましつつ、追い打ちをかけるように、もの憂げに高級トルコ葉巻レジーをスッパーとふかしながら

「ぼくはオクスフォードにいた時分、少しばかり、弓をいじくったことがある。熱をあげるほど、刺激のある遊びじゃないけどね」


などとぬかします。じゃあ人に聞くなよ!と言いたい。さらに友人に、やれ図書室から弓術の本を取ってこい、ドイツ語の辞書を取ってこい、などと命令するヴァンス。自分で取りに行けばいいのに....。辞書なんてわざわざ取りに行かせておきながら、一語調べて傍らに押しやったりしてますよ。どうなのその態度。まあ、後で一応は役に立つ(?)けどさ。

とまあ、周囲の人間がかわいそうになるほど傍若無人のヴァンスですが、いつもこの調子で我が道を突き進む。ヨーロッパかぶれのアメリカ人であるがゆえ、時折フランス語やイタリア語、ラテン語を織り交ぜたりするのはもちろん、蘊蓄やらご自慢の知識をひけらかすことも忘れません。

たとえば『ドラゴン殺人事件』では、ドラゴンに関する蘊蓄を延々と8ページにもわたって披露した挙げ句、「それが今回の事件とどう関係あるのか」と人から突っ込まれると

「それが僕にもとんと見当もつかないんだよ」


と言ってのけました。これには読者の私も腰抜かした。ええ!? じゃあ今までしゃべってたことは何だったのよ、またもや自分の蘊蓄自慢か?

肝心の推理ですが、本人が大げさに興奮する割には何となくこじつけ感が漂ったり、それはアリなのか?と思えるようなトリックだったり、そんなに容疑者が死んじゃったら必然的に犯人も絞られるだろうよ、なんていう傾向もなきにしもあらず。

でも、ヴァンスのセリフを楽しむためにシリーズを読みすすんだ私が、とやかく言えたものではないですね。そのあたりは本格ミステリに詳しい方々がいろいろ書いてると思うので、検索してそちらを参考にしてください。

ちなみにファイロ・ヴァンスの声はホームズの露口茂さんで脳内変換されています。

●S・S・ヴァン・ダイン著のファイロ・ヴァンスシリーズ

ベンスン殺人事件
カナリヤ殺人事件
グリーン家殺人事件
僧正殺人事件
カブト虫殺人事件
ケンネル殺人事件
ドラゴン殺人事件
カジノ殺人事件
誘拐殺人事件
ガーデン殺人事件
グレイシー・アレン殺人事件
ウインター殺人事件

創元推理文庫から井上勇さんの訳で出版されてます。
映画化もされてるんだよね。今度探してみようかなー。
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by rivarisaia | 2008-10-10 22:44 | | Comments(2)