「ほっ」と。キャンペーン

フラッシュ・ゴードン

久々に、「みんなが見てるのに、機を逸すると、そのまま一生見ないで終わるんじゃないかという映画」特集。前回は昨年の『ランボー』もとい「トラウトマン大佐」でした。覚えてますか。

今回は、主題歌が有名なこちらの作品です。

ダダダダダダダダ フラッシュ!アッアー!セイバーオブザユニバース!
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フラッシュ・ゴードン(FLASH GORDON)』監督:マイク・ホッジス

「初めて観たとき、俺は衝撃を受けたね」という家人より「観てないことが信じらんないので、DVD借りときましたから」と強制的に鑑賞することに。どうでもいいけど、ここまでまったく前回とパターンが同じ。

いやもうね、私もかなり衝撃を受けた。やばいね、これ。すばらしいね!
もうなんとコメントしていいのかわからないけど、とにかく脳裏に「負けた!」という言葉が浮かんだんですよ。

ここでallcinemaの散々な解説を一部引用してもよござんすか?
…かのジョージ・ルーカスも映画化を切望したアメコミお馴染みのヒーローが堂々たる大作に! と言いたいところだが、イタリア人製作者ディノ・デ・ラウレンティスの趣味の悪さが完全に裏目に出た失敗作。クィーンの音楽も虚し。…

確かに失敗作にも見えなくはない。しかし、ディノ・デ・ラウレンティスの趣味の悪さが完全にはるかナナメ上を突っ切って、失敗とか成功とかそんな次元は超越してるんじゃないかという気がする。キンキラキンの豪華セットなのに、特撮は異様にチープだとか、皆さん派手な衣装をまとってるのに、主役のフラッシュはなぜか「FLASH」と書かれた白Tシャツだとか、そもそもフラッシュ役は大根役者なのに、脇役がマックス・フォン・シドーにトポルにティモシー・ダルトンとか、そんなカオスっぷりがすてき!

さらに私は「予想通りの展開を予想外に展開させる」というわけのわからない技も見た。

たとえば。

フラッシュが博士に無理矢理ロケットに乗せられるのは予想通りだけど、もみあってるうちに頭がゴーンとスイッチにぶつかるというドリフのようなオチは予想外、ミン皇帝につかまったフラッシュが暴れ回るのは予想通りだけど、いくらフラッシュがアメフト選手だからって、球のような物体を投げながらタックル合戦をはじめるとは、しかもそれを見たヒロインがトチ狂ったように「GO! フラッシュ! GO!」と応援しだすとはまったく想像だにしなかった…といった具合に、想定内の展開が想定外。

ちなみによく見るとディテールも変。地球を攻撃するボタンに「地震」や「噴火」があるのはいいとして、「熱いあられ」って何? 拷問に使われる「穴掘り虫」って何?(いちいち挙げるとキリがないので以下略)

あまりのカオスっぷりにくらくらして、これはDVD買うべきかもしれないと悩みました。とりあえずQUEENの主題歌は買っておこうと心に決めた私に、家人が「DVD観たらさー、つい主題歌買っちゃったよ。てへ!」とか言ってきやがった...。おそるべし、フラッシュ・ゴードン。
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by rivarisaia | 2010-03-30 03:39 | 映画/洋画 | Comments(2)

b0087556_2138849.jpgずいぶん前に2期目を観に行ったのに、感想書くの忘れてたー!
そしてこちらは明日(3月28日)まで。


「戦後フランス映画ポスターの世界」
第1期:2010年1月7日(木)〜2月14日(日)
第2期:2010年2月17日(水)〜3月28日(日)
東京国立近代美術館フィルムセンター展示室
入館料:一般200円



個人的には1期のポスター群のほうが見たことないせいかおもしろかったけど、もちろん2期のポスター群も好き。見たことある絵柄であっても、実物大で見ると印象がだいぶ違うなーと思いました。写真ではなくイラストと文字をうまく組み合わせたコラージュのようなリトグラフのポスターっていいなあ。それぞれ書体のデザインも工夫されてるし。

いちばん好きなのは横位置の『ルイ・ブラス』のポスター。『ルイ・ブラス』は縦位置の別デザインのポスターもあり、こちらも怪しげでなかなかいいデザインでした。

おもしろかったのは、一部の映画は日本公開時のポスターを並べて展示してあること。明らかに本家フランスのほうがデザイン・センスが断然上なんですけどね。日本公開時の妙に語呂のいいキャッチコピーも手伝って、なんでこんなに違うんでしょうね…と首をかしげたくなるくらい雰囲気が違う。

たとえば『オルフェ』のポスターは、フランス版はモノクロ写真のコラージュに、タイトルとコクトーの名前だけが赤い色、とシックなデザインなんですけど、日本公開版は劇画タッチのカラーイラストに妙にふるえている手描き文字で何だかおどろおどろしい。

映画ポスターはいかんせん大きいので保存・保管も大変だろうなと思いつつ、貴重なポスターをたくさん見ることができて大満足でした。展覧会カタログもおすすめ。巻末にポスター・デザイナーの略歴がついてます。
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by rivarisaia | 2010-03-27 22:18 | 展覧会ほか | Comments(0)

こちらもフランス映画祭。公開が決まっている作品は、基本的には映画祭では観ないことにしてるんだけど、マチュー・アマルリックが絶対に来るはずだと踏んでチケット取ったのだった。生でマチューが見られてよかった。カッコイイ!さらにアンヌ・コンシニ本人もお茶目でかわいかったし、デプレシャン監督も頭のいい、おもしろい人でした。
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クリスマス・ストーリー(UN CONTE DE NOEL)』監督:アルノー・デプレシャン

どういうわけだかデプレシャン監督の映画には、真っ当に見えるにも関わらず、まったく共感できずにイラッとさせられる人たちが必ず登場する、というのが私個人の感想で、今回も予想通り、「お前なあ」と文句を言いたくなるような人たちが出てくるのみならず、季節はクリスマスということもあって、彼らが一堂に会してカオスな事態を引き起こすのだった。

そしてまた、デプレシャン監督の映画では、私がイラッとする人自身をイラッとさせている真っ当ではない人という役割の人物がいて、なぜかその混乱の元凶ともいうべき人物が私にしてみればいちばんマシにみえる、という奇怪なことが起こり、今回もそれは予想通り、マチュー・アマルリック扮する厄介者のアンリがいちばん真っ直ぐな人に思えるのだった。

さらに今回はアンリの恋人のエマニュエル・ドゥヴォスが、クリスマスで集う家族のなかで異質な輝きをもって登場する。彼女は、登場人物のなかでひとりだけユダヤ人であるため、「クリスマス」の輪には入れないけど、さばさばしていて好印象(アンリはいい人見つけたね、と心から思った)。

一族が集うと必ずと言っていいほど、喧嘩があり、モメごとがあり、でも一族としてつながりがあるから、最終的にはまあいいかと納得するというドタバタ劇が繰り返されるもので、本作品ではそこに「母親の骨髄移植」という重大な問題が絡んでさらに大きくモメることになるのだけれど、クリスマスには必ず奇跡が起こることになっていて、もちろんこの映画でも奇跡が起きる。

ある意味、登場人物全員が問題児なんだけど、映画の後のトークショウでマチュー・アマルリックが「登場人物全員がギリシャ神話の英雄のようだ」と言っていたように、人間臭くて、何かと問題を起こす英雄たちが織りなす、エネルギッシュな群像劇という感じで、「人生いろいろあるけど、いいじゃない!」と妙に前向きな気分になったのでした。
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by rivarisaia | 2010-03-24 16:15 | 映画/洋画 | Comments(2)

週末はフランス映画祭でした。公開が決まっている作品も多いので、待ちどおしいですね。こちらはシネカノンが配給予定だったので、どうなるのか未定のようですが、公開されるといいなあ。たぶん公開されるよね。ということで、感想は箇条書きで。

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アンプロフェット(Un prophète)』監督:ジャック・オディアール

・2009年のカンヌグランプリ。とはいえ、150分あるし、刑務所の話か...ということで、正直に言って観るかどうか悩んだことを告白するが、結論から言って、観てよかった。すごくおもしろい!2時間半はあっという間。

・あらすじを1行で言うと「6年の刑で刑務所に入ったアラブ系の青年マリックが、ムショで生き残るために処世術を学んで、大きく成長していく話」。はじめのうちはあまりに頼りなく無力な青年だったマリックが、だんだんと世渡り上手になっていく様、そして彼の表情の変化がすごい。

・何気ないディテールにもこだわる監督だという気がしたが、そのせいかリアルに刑務所ライフが伝わってくる。ゆえに、2時間半、まさに私はマリックと一緒にムショにいた、という気分に。映画が終了したあと、「すげえいろいろあって大変だったぜ!ふぅ〜」と思ったのだった。

・それほどリアルな刑務所生活とはいえ、フランスの刑務所事情に疎いので、ちょっと驚いた箇所もいくつか。食事は食堂でみんなで一緒に取るんじゃないのね、とか、他の人の部屋へ簡単に行き来できるのか?など。

・刑務所でもバゲットは1人1本配給されているところが、フランスらしい。

・コルシカ系囚人のコルシカ語はイタリア語にちょっと似ていた。フランス映画なのに、台詞が聞き取れる!とか思ってしまった。それ、フランス語じゃないから。

・コルシカ系、アラブ系など刑務所内のパワーバランスの移り変わりは、そのままフランスの世相を反映しているのかも。主人公のマリックがアラブ系でありながらイスラム教徒ではないことも重要なポイントだったと思う。

・タイトルは「預言者」という意味で、劇中にも超自然的な描写はあるけれど、あれは本当にそういうことがあったというよりは、いろいろなことを示唆しているある種の象徴のような気がするし、「預言者」とは、マリックのような「先が見通せる人、先見の明のある人」という意味もあるかもしれない。

いやー本当におもしろかったので、ぜひとも公開されますように!
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by rivarisaia | 2010-03-22 21:08 | 映画/洋画 | Comments(0)

先日はカトリーヌ・ブレイヤの『青髭』について書いたので、今日は別の「青ひげ」映画を。それも1901年の映画です。ときたら、監督はもちろんメリエス。

青髭(Barbe-bleue)』監督:ジョルジュ・メリエス

9分と短いですが、いろいろな要素がうまく盛り込まれている感じです。主人公は金持ちの青ひげと結婚することになり、青ひげの屋敷では盛大な結婚式が行われます。巨大シャンパンボトルが運ばれていく結婚式の準備のようすはコミカルであると同時に、青ひげの金持ちっぷりが強調されています。

そしてお約束どおり、青ひげは旅に出ることになり、カギを渡された主人公は禁断の部屋を開けてしまうことになるのですが、このあたりからの演出がちょっと変わってる。

そもそもカギがけっこうデカイ。さらに突然巨大になったりもする。そして悪魔やよい精霊が登場する。といった具合に、主人公の心の動きを伝えるかのような工夫がされていておもしろい。いちばん印象的なのは、部屋を覗いてしまった主人公が悪夢にうなされるシーン。殺された女性、何本ものカギ、そして青ひげが、眠る主人公の上に現れては消え、「夢でうなされる」というのがうまく表現されてます。

そういえば、暗い部屋に殺された女性たちが吊るされている様子は、先日のブレイヤの映画の表現と似ているなーと思いました。

こちらパブリックドメインでYouTubeにも全篇あがってますので、ぜひご覧ください。


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by rivarisaia | 2010-03-19 01:28 | 映画/洋画 | Comments(0)

フランスの民話のなかでも子どもの頃からかなり好きな話が「青ひげ」。開けてはならない部屋は血みどろの部屋!そして洗っても洗ってもカギから落ちない血!追い打ちをかけるように「見〜た〜な〜」という展開!

小学生の時分からこれは好きなおとぎ話ベスト10にはランクインしてますが、そんな私は健全に育成された青少年の部類に入るかと思いますよ。

で、本日は「青ひげ」をベースにした映画です。
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青髭(La Barbe Bleue)』監督:カトリーヌ・ブレイヤ

"現代"の幼い姉妹が「青ひげ」の本を読んでいるという設定になっており、現代と物語の世界を行ったり来たりしながら話は進みます。物語の世界は多少アレンジされていて、不慮の事故で父親を失ったために寄宿舎から追い出された姉妹のうち、妹のほうが青ひげと結婚するが…という流れ。

時代設定がいまひとつナゾで、妙なダンスシーンもあるけど、衣装はなかなか綺麗です。現代のほうも物語のほうも、アグレッシブなのは妹のほう。現代の妹は「怖いからやめて〜」というお姉ちゃんに「青ひげ」を読んできかせ、物語の妹は「私はお城に住みたいの!」と皆から嫌われている青ひげと結婚する(そして青ひげに対してもかなりワガママな言動だったりする)。

そして開かずの部屋のくだりへと展開していくのですが、この辺りからの盛り上がりは物足りない感じ。ただ、現代の姉妹に訪れる終盤の展開にはびっくりいたしました。いや、気がゆるんでたからさ、突然あんなことになって驚きだよ...。

ラストはまるでサロメのように、盆にのせた青ひげの脇にたたずむ妹の姿で終わります。全体的にはさして変わった演出はなくて、とりたてて絶賛するほどでもないんですが、このラストシーンは絵画的でとても綺麗。あとは、寄宿舎時代の姉妹の制服がなかなかかわいいです。
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by rivarisaia | 2010-03-17 19:55 | 映画/洋画 | Comments(0)

ショックプルーフ

WOWOWのフィルム・ノワール特集で放映した際に録画したのをいまさら観たんですけど、話の展開がまるきり読めなかったよ!

ショックプルーフ(Shockproof)』監督:ダグラス・サーク

殺人罪で刑務所に入っていたジェニー(パトシリア・ナイト)が仮釈放となり、保護観察官グリフ(コーネル・ワイルド)のもとにやってくる。保護観察期間中は毎日グリフと面接しなければならいジェニー。さっそくグリフから、恋人のハリー(ジョン・バラグレー)と会うことを禁じられる。ジェニーは悪党ハリーのために殺人を犯したのだった。


とまあここまではありがちの出だし。ジェニーはハリーと密会し、保護観察期間をばっくれるために、闇組織にお金を払ってサンフランシスコに逃げようと画策します。しかしグリフはやり手の保護観察官であり、ジェニーがハリーと会っていることを知り、それを止めさせるばかりか、仕事が見つからない彼女を更生させるべく、盲目の母の世話係として自分の家に住み込みで雇い入れます。

……。グリフは親切なの? それとも何か下心があるの?

どうやらジェニーに下心惚れてしまっていたようす。そんなジェニーもグリフの優しさにふれ、悪党ハリーと善人グリフの間で揺れ動くのですが、このあたりから予想だにしない展開に。

以下、ぶっちゃけてしまいますが、よござんすか?

・ジェニーとグリフはベガスで極秘結婚をする。
観察官と仮釈放中の犯罪者が保護観察期間中に結婚するのは違法らしいよ、グリフ、ちょっと落ち着け!

・それを知ってグリフを脅そうとするハリーをジェニーはうっかり銃で撃ってしまう。

・ジェニーとハリーに騙されたと勘違いしたグリフはジェニーをムショ送りにしようとするが、彼女の涙ながらの告白を聞き、「ここで出頭させたらジェニーは終身刑になってしまう。よし、ジェニーは俺が守る!ふたりで逃げよう、メキシコへ!」と逃亡。
…マジですか。グリフは真面目人間だったんじゃないんですか。真面目な人ほど捨て身になると向こう見ずですよね。

どうでもいいけど、残された盲目の母と小さい弟はどうすんのよ、グリフ!

・指名手配されメキシコには行けず、逃げ回るふたり。最終的にはグリフは油田で働くことに。しかし逃げ回ったふたりは疲れ果て、そもそも貧乏なれしてないグリフはイライラしっぱなしでケンカの耐えない日々。

もうこの辺りで私はこの話がどう転ぶのかよくわからなくなってきました。

・ついに逃げ回るのをあきらめたふたりは自首することに。
ところが、死んだと思っていたハリーは生きており、病院のベッドで「ありゃ事故だった」と証言。事故なので、ジェニーはおとがめなし。ま、逃走したけど、それも保護観察官が同行してたんだから問題なし!ということに。

おふたりとも幸せにね!—The End—

どうやら映画会社の意向でこのようなハッピーエンドになったようですが、なんと言いましょうかねえ、早合点しないで、とにかく落ち着けとグリフに言ってやりたい気分でいっぱいになりながらも、悪党ハリーが突然イイ奴になっていて、狐に化かされたような幕切れでございました。途中まではおもしろいんですけどね。

IMDbによると、サークもこの変更は気に入ってなかったらしい。オリジナルは破滅的な終わり方だったようで、私もそっちのほうがフィルムノワールな気がするよ、と思ったのでした。
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by rivarisaia | 2010-03-15 00:56 | 映画/洋画 | Comments(0)

ハート・ロッカー

これは反戦とか戦争賛美とかじゃなく、ガチな仕事人の映画とみた。そしてなぜ作品賞なのかといえば、当初は劇場公開されるかどうかも不明だったけど、低予算でガッチリつくられてるからじゃないかと推測。

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ハート・ロッカー(The Hurt Locker)』監督:キャスリン・ビグロー

ビグロー監督らしい男臭いガチ映画。政治的なメッセージがあるかどうかは深読みするかしないかだという気もするけど、それなりにいろいろ考えてしまうところもありました。

というのも、私には米軍勤務の知人が何人かいるからで、それは昔のクラスメートだったり、友人の兄弟だったり配偶者だったりするわけですが、経済的な理由で入隊している彼らの大半はイラクに行っていた。

イラク戦争には批判的な私ですが、彼らは「仕方ないよね、仕事だから」という感じでイラクに行くので、私も「無事に帰ってきなね」としか言いようがなく、何とも微妙で複雑な心境になったものです。そうなんだよ、それが仕事なんだよなあ。

戦争の恐怖や狂気というよりは、むしろ「慣れ」を描いてる気もしました。冒頭で「war is drug」という言葉が出るけど、命の危険や恐怖にはすっかり慣れてしまい「仕事だから」と淡々と仕事をこなす「職場が戦場の仕事人」がそこにいる。だって仕事だから。非日常のほうがむしろ日常。それはそれで辛いことだと思う。

もちろん仕事とはいえ、人には向き不向きがあり、不向きな人は何のためにここにいるのかと葛藤したり、死にたくないと恐怖心に襲われたり、悲惨な状況にトラウマを抱えたりする。でも中には仕事と割り切れる人もいるかもしれない。

主人公にとってもはやこの仕事は天職であり、爆弾処理をするのは、そこに爆弾があるからで、それ以上でもそれ以下でもない。敵と戦うとか、誰かを救うとか、英雄になるとか、そういうんじゃないの。俺の仕事なんです、という感じ。

もちろんそんな主人公も、たまにやりきれない思いを抱えて正義に目覚めた行動を取ったりもするけど、結果はうまくいかない。なぜなら彼は「仕事人」だけど、ヒーローではないからだ。大体からして顔見知りの(と彼が思っている)イラク人の子どもの顔ですら、彼には見分けがついてないのだった。

職場ではバリバリのお父さんが、日曜に自宅でゴロゴロしていて居場所がないと虚しくなっているかのごとく、仕事人の主人公はアメリカに戻ってくると、コーンフレークの箱を前にボンヤリしてしまう。イラクでバリバリ働いていたときとは違う人のようだ。

本作は、戦争の悲惨さを全面に打ち出して反戦メッセージを込めてるわけでもなければ、ヒーローが派手に立ち回って活躍してアメリカ万歳というわけでもなく、本当に淡々と戦場という職場を描いている気がして、それはそれでアリではないかと思いました。

爆弾処理もイヤだけど、こりゃ自分には無理だとつくづく思ったのは、炎天下でひたすらじっと固まった状態で長距離射撃です。しかしそういう仕事が日常になっている人がいまもいるわけで、そして、この非日常のほうがむしろ日常という状況は、兵士たちにとってあまりに過酷だ。そしてもちろん、イラクの人々にとってあまりにも哀しすぎる。

「ハート・ロッカー」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
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by rivarisaia | 2010-03-11 22:08 | 映画/洋画 | Comments(0)

第82回オスカー雑感

昨日はアカデミー賞でした。最初から巻きが入ってるかのごとく、サクサク進んで、歌や踊りも少ない割にはいつも通り長かった。なぜなんだ。ナゾだ。

そんなわけで、今年の感想をざっくり箇条書き。

・アバター祭りになるんじゃないかと思いきや、やっぱりCG中心の作品にはアカデミーは手厳しいのか、監督賞も作品賞も『ハート・ロッカー』。アバター祭りどころか『ハート・ロッカー』祭り&『プレシャス』祭りだった。『ハート・ロッカー』は今日鑑賞したので感想はまた後日。

・主演男優賞は『Crazy Heart』のジェフ・ブリッジス。ジェフ・ブリッジスはいい俳優だと思うけど、「カウボーイ」「カントリー」というテーマで哀愁が漂っている映画は、個人的には非常に気持ちがしんみりしてしまうので観ないかも…。ごめん。

・主演女優賞はラジー賞とのW受賞すごい!のサンドラ・ブロック姐さん(『しあわせの隠れ場所』)。これまた私は、スポーツをテーマにした映画はホッケー以外ほとんど観ない。しかし、モデルになったアメフト選手オアーのポジションがレフトタックル、だから原題が『The Blind Side』と気づいて(遅いよ!)、ちょっと観たくなった。

・まったく興味のなかった『プリンセスと魔法のキス』の主題歌録音風景に、歌うDr.Johnの姿が! 舞台がニューオリンズなだけに、Dr.Johnなのか!ということで、俄然観る気まんまんに。

・外国語映画賞の『瞳の奥の秘密』は、以前さらっとあらすじを聞いてとても観たくなった作品。公開されるそうでよかった。

・短編アニメーションはフランスの『Logorama』が受賞。企業のロゴでできてる町で、企業のロゴが活躍する作品。けっこうおもしろくて、好きだったので嬉しい(ロゴは無許可で使ってるらしいと聞いたので、そこも痛快だったりする)。警察官・ミシュランのビバンダムが、悪人・マクドナルドのドナルドを追う!という設定なので(さすがフランス人である)、受賞は無理かと思ってた〜。おめでとう!

・長編ドキュメンタリーは、『ビルマVJ』が取るといいなと思ってたけど、『コーヴ』だった。観てないのでノーコメント。ただ『コーヴ』よりも『The Most Dangerous Man in America』のほうが観たい。

・短編ドキュメンタリー『Music by Prudence』のプロデューサーとディレクターがスピーチの際にモメていた。両者の言い分はコチラの記事で読めます。制作時の意見の相違から挙げ句裁判にまでなってたようで…。

・追悼コーナーでファラ・フォーセットが映らなかったのは、なんでだろう。

・ジョン・ヒューズ追悼コーナーで、モリー・リングウォルドが登場したけど、なんだかドカーンと迫力のある人になっていた。エミリオ・エステベスはどこー?と思ってしまった。

・いちばん盛り上がるはずの作品賞発表が、なんの間(ま)も、タメもなく、さらっと発表になってしまったので、「え!?(ポカーン)」としてるうちに終了してしまった。あの演出は、いくらなんでもそりゃないだろう。


今回は作品賞ノミネートが10作品あったわけですが、数を増やせばいいってもんでもないなと思いました。増えた分だけ、印象が薄まっちゃう気がする。来年からやはり5作品に戻すべきなんじゃないかしらね。
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by rivarisaia | 2010-03-09 23:22 | 映画や本の雑記 | Comments(4)

今回の旭川旅行のいちばんの目的は旭山動物園です。
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朝一番で行くと並ぶらしいと聞いていたけど、「開門してから到着するようにしたら別に並んでないさ」と言われたので、そのようにいたしましたら、平日だしすんなり入れた。

11時からペンギンのさんぽ。これは別にショーではなくて、何キロもの道を狩りのために歩くというペンギンの習性を利用した行動展示です。散歩前の飼育員さんのプレゼンテーションはバッチリだった(何回もやってるのもあるだろうけど、うまい!と思った)。
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ぞろぞろと。ペンギンが。がしがし歩いたり、自由人な1匹がバタバタ雪をふりまいたりしてました。こんなに間近で観られるなんて、ものすごく楽しい

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茶色はヒナです。3月から1日1回になるのは、換羽が始まるからで、換羽の時期はペンギンはじっとしていることが多くなるのだそうですよ。ヒナの前に換羽中の方がいますね。

旭山動物園に感心したのは、各飼育館のつくりと動線がうまく考えられていること、飼育員さんや関係者がつくった手書きの説明パネルがよくできていることです。説明パネルを熟読している人は少なかったけど、わかりやすいうえに、いろいろな問題を考えさせられる非常によくできたパネルだと思います。「しれとこシカ絵巻」とかアザラシと漁業被害の問題とか、野生動物と人間の共存について考えるよい機会になると思う。

ペンギン館の水中トンネルも、アザラシ目線でホッキョクグマを見るカプセルも、真下から見るユキヒョウも、アザラシ円柱水槽もどれもおもしろかった! かなり満喫したのでまた行きたい。

動物に夢中で写真はあんまり撮らなかったのよね。
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ホッキョクグマは超活動的でした。いつも思うが首が長い。

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要所要所にある案内パネルは、元飼育員で絵本作家のあべ弘士さんのイラスト。
かわいい。

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こども牧場で「めちゃかわいい!」と女子高生に密かに人気だった、生まれたばかりのヤギの赤ちゃん。

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うにょ〜〜ん。アザラシはえらく楽しい動きをしていた。腹側を見る機会はそうそうないので、じっくり観察させていただきました!

旭山動物園公式サイト
旭山動物園チャンネル
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by rivarisaia | 2010-03-07 18:42 | 旅行・お出かけ・さんぽ | Comments(0)