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チェイサー

そういやこの映画って、去年の5月頃の公開ではありませんでしたか。劇場で観るつもりだったのに、「ものすごくいい映画だけど、かなり落ちるよ」と口々に言われて腰が引けているうちに、公開が終了していたのでした。で、すこし前にようやく意を決してDVDで観たわけですが…

落ちたね。絶望という名の底なし沼に。でも、すごくいい映画ですよね。未見の人は鑑賞したらいいと思う。落ちるけど。
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チェイサー(The Chaser)』監督:ナ・ホンジン

2004年に韓国で実際に起きた連続猟奇殺人事件をもとにした映画。
デリヘルを経営している元刑事のジュンホは、店の女性が相次いで失踪したことに頭を悩ませていた。ある晩、ジュンホは女の残した携帯電話の着信履歴から、顧客のひとりであるヨンミンが関わっているのではないかと疑いを抱く…。

デリヘル経営者が執念で殺人犯を追う話と思いきや、確かに大筋はそうなのかもしれませんが、そう単純な話ではなかった。

もともとは正義感からではなく、「女には手付け金払ってんだよ、勝手にいなくなられちゃとんだ迷惑だ!」という動機で犯人を追うはめになったジュンホ。そして意外にあっさり捕まり、警察に連行されるヨンミン。しかし、ここからが本当の悪夢のはじまり。

監督は犯人の動機も、どうしてそんな人物になってしまったのかという背景も明確には描かない。そこを出したら、きっと観客が安心するからだ。「ああ、そういう育ち方をした人がそういう理由で人を殺してるのね、恐いわねー」と他人事になっちゃうからだ。この映画はそういう安心感をぜんぜん与えてくれない。

さらに警察が肝心なときにまったく役に立たない。だから犯人が捕まってひと安心ということにもならない。だれの努力も報われない。些細なことが積み重なり、なすすべもなくひたすらずぶずぶと絶望という名の底なし沼にはまっていくしかない。

これは…なんと言えばいいんでしょうね。

少し先に光がさしこんでるのは見えるのに、どうしてもそこにはたどりつけない、あるいは差しのべられた救いの手に届いたと思った瞬間、つかんだ手がずるりとすべって、ドーン!と奈落の底に落ちていく、そんな感じ。

とくに後半のある場面で、ああもうだめだ…絶望ってこういうことか、と嫌でも追体験させられる箇所があり、私は久々にかなり落ちました。3日くらい引きずりました。だってまさかあんなことになるとはふつう思わないじゃん!

しかもその場面の描かれ方が、とてつもなく効果的で、ぐりぐりと脳裏に刻み込まれた感じですよ。目をつむるといまでも蘇るよ。私はあれでかなりどっと来てしまい、ラストなんてもぬけの殻の虚脱状態になってましたからね(遠い目)。

えーっと、本作はディカプリオがリメイク権買ったという話でしたが、欧米人にはあのじめっとした画面は出せないだろうなあと推測するので、たぶん同じ絶望底なし沼でもちょっと違った印象になるんじゃないかと思います。
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by rivarisaia | 2010-04-30 01:13 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

三匹の小熊さん

あの名作アニメーション『茶目子の一日』が好きな人なら、たぶんこのアニメーションも好きなはずなので、自信をもっておすすめできる。絵柄、ストーリー展開ともにすばらしい! 1931年(昭和6年)の作品です。

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三匹の小熊さん』作:村山籌子/画:村山知義

昨年、ギャラリーTOMでも上映されているのでご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

3匹の小熊さんたちの奇抜でモダンで愉快な物語。昭和初期のこうしたセンスって本当にモダンで、ある意味うらやましい限りです。いま描こうと思っても、余計な装飾がついた絵になったり、変にカワイイ系に走った絵になったりしてしまって、この味わいを出すのは無理だろうなー。やはりその時代ならではの雰囲気なんだと思う。

絵を担当した村山知義氏は、1923年に前衛芸術集団マヴォを結成した人。本作のストーリーは奥様の籌子さんがつくられたものです。

茶目子さんの目覚まし時計もすばらしい造形(と機能)でしたが、3匹の小熊さんの目覚まし時計も腕がにゅうっと伸びるタイプでなかなか捨てがたい。

そして3匹の小熊さんはちょっとした冒険に出て、アヒルさん失踪事件の謎ときを無事に解決、お礼に「どぜう」をいただいたのだが…
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ぷーっとふくらまして気球に! ちなみにまたがってる部分もプロペラも「どぜう」。その発想はなかった!

この楽しさは観ないと伝わらないかもしれないので、ぜひとも機会があったら観ていただきたい作品でございます。そうそう、婦人之友社より『3びきのこぐまさん』という大型絵本も出てますよ。
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by rivarisaia | 2010-04-28 22:28 | 映画/日本 | Comments(2)

銀座二十四帖

何かの本で、江戸の町は水路がはりめぐらされ、まるでヴェネツィアのような水の都であった、という記述を読んだことを思い出しました。何の本だったっけ…。
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銀座二十四帖』監督:川島雄三

主人公(月丘夢路)が少女時代に描いてもらった自分の肖像画の作者探しを主軸にしたミステリードラマ。そこに暗黒街のボスの謎が加わり、さらにちょいと『第三の男』のような味付けがされています。

ヒロインとともに謎解きに奔走するもうひとりの主人公は、銀座で花屋を営むコニイ(三橋達也)。彼はしがない花屋だけど「銀座の顔役」。とはいえ表の顔役、つまりヒロポンなどは大嫌いで、ポンを一掃し、銀座を明るくいい町にしたいと思っている好青年です。そんなコニイはあくまで表の顔役なので、銀座の裏の顔役のことは全然知らない。裏の顔役とは果たして誰なのか!?

…と謎が謎を呼ぶ展開ですが、筋書きよりもおもしろかったのは、本作の真の主役である銀座の町と昭和30年代当時の風俗でした。

ジョッキー(ナレーション)の森繁の言うことに、へええと感心したり、首都高の場所が築地川だったのかと感慨にふけったり、昔のみゆき通りって本当にパリみたい!と思ってみたり。

30年代の銀座にちょっと行ってみたい気分ですよ。ボートにも乗れたのね。浜離宮まで水上バスが出てたようす。そして路面電車も走っていました。東京が埋め立てしないで水の都のまま現代に至っていたら、そして路面電車もバンバン走っていたら、楽しいだろうなあ。でも川じゃなくて水路だから、水が淀んで匂ったり、夏には蚊が発生したりして、美しくないのかもしれないけど。

そうそう、夢路の従妹役で北原三枝、コニイの花屋できびきびと働く花売り娘ルリちゃん役で浅丘ルリ子が出ています。北原三枝のファッションセンスとルリ子のかわいらしさも見どころ。
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by rivarisaia | 2010-04-26 16:16 | 映画/日本 | Comments(0)

オーケストラ!

私も楽器を弾くのですが、うまくないせいもあるけど、独りで弾くよりもみんなで合奏するほうが断然好き。気持ちがひとつになったときの、舞台が消え去って音楽に包まれる感覚がすごく楽しい。この映画からはそんな楽しさが伝わってきました。

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オーケストラ!(Le Concert)』監督:ラデュ・ミヘイレアニュ

元ボリショイ交響楽団の天才指揮者アンドレイは、30年前のある事件をきっかけに楽団を解雇され、いまは清掃員として働いている。そんなある日、パリのシャトレ座からの公演依頼のFAXを目にした彼は、当時自分と一緒にクビになった仲間を集めて偽のボリショイ交響楽団を結成し、パリに行こうという計画を立てる…。


偽オーケストラ結成を決意してからパリに行くまで、てんやわんやしながら進んでいくようすが愉快です。みんなで飲み食いしながらウィリアム・テル序曲をハミング合唱したり、生き生きと演奏するジプシーの人たちと躍ったり、いいなあ。

ただ正直に言うと、パリに着いてからのほとんどカオスのようなドタバタっぷりに辟易したのも事実。傍若無人なロシア人だとはいえ、あまりに全員が勝手すぎないか? ソリストを別途指名しでおいてゲネプロなし、30年ぶりなのに簡単なリハすらしないなんて考えられない。いくら映画だからって、それはないだろう、と思ったんですよ。

それが、しかし。

映画のラスト、コンサート本番のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調op.35の演奏シーンで、そんな気持ちも何もかもすべて吹っ飛びました。なぜリハなしだったのか、よくわかった。

そうですよ、リハーサルなしだったからこそ、この本番の演奏が可能になるんですよ。そして演奏シーンと過去の映像のはさみこみ方がうまい。おそらくそれぞれの団員が抱えてきたであろう30年の想いが重なりあい、昇華されて生まれたハーモニーがそこに。

いや、ほんとすばらしかったです。

ソリストのアンヌ=マリー・ジャケ役のメラニー・ロランがよかったのも一因かもしれません。確かに、大人数で合奏すると、ああいうふうにみんなの魂がひとつになる瞬間と、それによって心に届くハーモニーが生まれることってあるんだよね。

これまでの話は、すべてこの本番コンサートの前フリであり、映画本編はこのラスト12分と言ってしまってもいいかもしれません。

さて、個人的にツボだったのは、コンマスがジプシーのおっちゃんだった!ということと、チェリストのおっちゃんが重要な役どころとしていい味出してたところ(同志としてチェロ弾きには親近感が湧く)、ガス会社社長のアマチュア・チェリストが私よりもヘタクソだったという点(同志として言わせてもらえば、私もかなりヘタだけど、あれはひどい!)でした。


「オーケストラ!」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
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by rivarisaia | 2010-04-22 22:17 | 映画/洋画 | Comments(0)

新街口

先日の『門徒』は、スタイリッシュな雰囲気のDVDジャケとは全然違う内容だったわけですが、そういえば、DVDのジャケから連想されるイメージと映画の内容が全然違うといえば、これもそうでした。
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新街口』監督:雪村

ずいぶん前に入手したDVD。黒っぽいスーツの人々がクールな表情で決めてまして、後ろのほうにはエリック・ツァンもいる。てっきり北京の新街口を舞台にした黒社会の話なのだろうかと思ったら、180度イメージ違います。チンピラの話といえばチンピラの話なんですけど、もっと泥臭い庶民の話。しかも時代は80年代。エリック・ツァンなんてほんと一瞬しか出てないし。でもおもしろかった!

80年代の北京。仲間と一緒に路上で包子を売って日銭を稼いでいる男(雪村)が、好きな女性の夢を叶えてあげるために奔走するという、北京の裏町とそこに暮らすしたたかな庶民たちの物語。


80年代の北京、なつかしい。そうそう、街も人もこんな感じだったよ!

主人公たちの包子売りは無許可なうえに暴利をむさぼろうとするかなり怪しげな商売で、周囲からは「まともな職につけ」としょっしゅう怒られているんだけど、全然気にしない。あれやこれやと手を変え品を変え、せこせこと小金をためるべくがんばっている。

みんなでつくる包子もおいしそうなんだけど、途中で出てくるサンザシ飴も食べたい(サンザシ飴は私の大好物)。そして皆のたまり場になっている安っぽくケバケバしくダサい食堂のご飯もなぜかおいしそうにみえる。しかし絶対に旅行などでは入りたくないヤバいセンスの店である。

仲間と一緒に商売に精を出すなか、ときには警官とやりあったり、敵対するグループと喧嘩したり、笑いもあるけど、悲しい悲しい事件も起こる。そして時代はだんだんと移り変わっていくんだろうなあという気配を匂わせて映画は終わる。

オリンピックでけっこう壊されてしまったであろう北京の裏通りの雰囲気がとてもいい。登場する人々のファッションも、半ズボンに靴下にサンダルとか、お腹までまくりあげたポロシャツとか、ああ昔の中国ってこうだったよなあ、となんだか懐かしさ満載。

さらに時折はさみこまれる、昔のリアル映像があまりにもダサくて、これまたおもしろいのだった。北京はしばらく訪れてないけど、だいぶ変わっちゃってるよね。私の頭の中では、この映画のイメージのままだけど。
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by rivarisaia | 2010-04-21 00:45 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

プロテージ/偽りの絆

彦祖さん結婚おめでとう!ということで、先日の『新宿インシデント』はあんまりな感想でしたので、同じ監督の作品で彦祖がとてもよかった映画を。
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プロテージ/偽りの絆(門徒)』監督:イー・トンシン/爾冬陞

スタイリッシュな雰囲気のDVDジャケとは全然違う、重く、考えさせられる社会派映画。テーマは麻薬です。麻薬撲滅映画ともいえる。

香港のヘロイン市場をとりしきるボス(アンディ・ラウ/劉徳華)は、自分や家族の病気の治療という理由から事業の引退を考えており、腹心の部下リッキー(ダニエル・ウー/呉彦祖)に跡を継がせようとする。しかし、リッキーは潜入麻薬捜査官だった…。


潜入捜査官という正体がバレるのか、バレないのかというハラハラ感も保ちながらも、麻薬の売人vs警官の息もつかせぬ駆け引きというありがちな話におさめず、麻薬を売る人、つくる人、買う人というそれぞれの立場をえぐるように描き出していて、とくに麻薬中毒者の描写は並のホラーよりも怖いです。私は恐ろしさにドン引きしました。

彦祖はアパートの向かいの部屋に住む貧しい母と幼い娘と親しくなるのですが、この母親(チャン・チェンチュー/張静初)は麻薬中毒者であり、彼女の別れた夫(ルイス・クー/古天樂)もまたジャンキー。ルイス・クーなんて本当にイッちゃってるし、禁断症状に苦しみ、やめたくてもやめられないチャン・チェンチューは、まさに「人間やめますか」という壮絶な状態だ。

「ヤク中は薬を手に入れるために平気で嘘をつくから、あいつらの言うことなど信じるな」というアンディ・ラウの台詞が後になってグサリと実感できる場面があり、細かい伏線の貼り方とその活かし方もうまいなーと背筋が凍えながら思いました。

伏線といえば、「うちの部屋にネズミが出るのよ」という台詞が、あんな形で活かされるのも恐ろしすぎる。何もそこまでしなくても…と顔がひきつったほどですよ。

潜入捜査官として麻薬を売る側に立たなくてはならない状況で、中毒者である隣人の境遇を目の当たりにして葛藤する彦祖。人はなぜ麻薬に手を出してしまうのか。きっかけはちょっとした虚無感かもしれないというラストに、私も虚無感にさいなまれそうになってしまったのですが、あのあと彦祖は救われたのかなあ。そこにいる小さな存在に救われてほしい。
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by rivarisaia | 2010-04-19 01:49 | 映画/香港・アジア | Comments(2)

新宿インシデント

先日書いた『野良犬たちの掟』の続きみたいなものですが、どうにも惜しいといえば、これもそうだった。
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新宿インシデント(新宿事件)』監督:イー・トンシン/爾冬陞

ジャッキー・チェン演じる密入国した中国人が歌舞伎町を舞台に裏社会でのしあがっていくというあらすじで、日本に渡ってから音信不通になっていた恋人(シュー・ジンレイ/徐静蕾)がヤクザの幹部の奥さんになってたという設定も悪くはないと思うんですよ。ただし、その幹部である加藤雅也が「俺は人種差別などしない」と言う時点で死亡フラグが立ってしまうという、わかりやすい展開もありますが。

私はこの映画の前半の雰囲気はけっこう好きなんですよ。一軒家に皆でひしめきあって、ちんけな仕事をしながらもわいわいとたくましく暮らしているところが。移民同士でも出身地によって派閥があったり、華僑との間でモメたり、したたかに生きていくところはよかったのに、後半になればなるほどなんとも微妙な展開になっていったのは残念。

後半がもっとよければ、「あのころは貧しかったけどよかったなあ」という前半との対比が生きてきてしんみりした気分になったと思うんですが、ごめん、「ジャッキーは流されていっちゃったね…」としか思わなかったのよ。

やはりジャッキーはどうしても悪人になれないというか、善人すぎるのかも。とことんのしあがっていくというわけでもなかったのは別にいいとしても、最後の展開は急に現実味が遠のくというか、あんまりにも唐突で乱暴だと思いました(そりゃそうとシュー・ジンレイと子どもはあのあとどうなったのか)。

そういや裏社会デビューを遂げた彦祖のファッション(およびメイク)も、ビジュアル系バンドにでも入ったのか?というセンスであんまりでしたね…。途中までいい役まわりだったのにね…。

本作を観て、『黒社会(エレクション)』の1&2は本当によくできてるなあと思った次第です。トーさんとくらべるな、という話かもしれませんが、でもそれくらいとことんやってほしかったなあ。
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by rivarisaia | 2010-04-15 19:58 | 映画/香港・アジア | Comments(3)

野良犬たちの掟

当たり前のことだけど、ストーリーがおもしろいとか、登場人物に共感できるか、というのは映画にはあんまり関係ない。筋書きがなくても、登場人物にまったく共感できなくても、おもしろい映画はあるし、またその逆もあります。

この作品も、話はおもしろいのに、映画としては微妙でした。
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野良犬たちの掟(Romanzo Criminale)』監督:ミケーレ・プラチド

ドナテッロ賞で8部門受賞か…。ふーん。

幼い頃からの悪ガキ仲間が大人になってギャングになり、あれこれ手がけて荒稼ぎしたり、敵と戦ったり、仲間割れしたり、仲間が死んだり、敵討ちしたり、ムショに入ったり、出てきたり、といろいろあるものの、所詮チンピラはチンピラ、巨大な黒幕の掌で転がされていたようなもので、野良犬は野良犬のように野たれ死ぬのだった、という物語で、ローマのマフィアの成り立ちを描いています。舞台はイタリアなので、当然ながら実際の政治背景も絡んできて、それなりにおもしろくなりそうなものなんですが。

60年代から現代までとカバーする時間の幅が広いせいなのか、盛り込みたいことがたくさんあるせいなのか、とにかく展開が恐ろしいスピード、しかも画面の切り替わりが早い、いくらなんでも早すぎやしませんか(特に前半)。

俺はムショに入るかもしれないぜ、といってるシーンの次が、いきなりムショでの面会シーンという具合に、なんのためらいもなく一瞬で展開。そういう展開もアリなんですが、どうもシーンとシーンのつなぎがうまくいってない気がする。ひたすら駆け足という印象なんですよ。大体からして、お前のいるその場所はどこなんだ?とそもそもの「場所」がよくわからなくなったりもするし、心の動きもうまく伝わってこない。

なんていうんでしょうね。連続ドラマを切り貼りしてダイジェストで見せられてるような感じなんですよね。しかもやや早送り気味で。

私をやや置き去り気味で映画は進み、そのまま終了しましたので、終盤、イタリアにありがちな「政府の実力者に黒幕がいるらしい」という流れになった時点で、実際にそうだったのかもしれないけど、またそこに丸投げかよ…と正直うんざりしたのも事実。

本作を見て、『ゴモラ』や『イル・ディーヴォ』ってよくできてたなーと思った次第です。もっと言うなら、『ゴッド・ファーザー』ってホントよくできてるよねーとつくづく実感。ちょっと内容は違うけど、『あるいは裏切りという名の犬』だってすばらしいよねー(遠い目)。

というわけでして、『野良犬たちの掟』はもっとよくがんばりましょう、という出来具合でございました。
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by rivarisaia | 2010-04-13 23:13 | 映画/洋画 | Comments(0)

しとやかな獣

この映画は本当に凄いよねえとしみじみ思いました。台詞も凄いんだけど、音の使い方もカメラワークや画面の構図も凄い。
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しとやかな獣』監督:川島雄三

思わずぷっと吹き出したはいいけど、そのまま笑顔が凍りついて顔にはりついてしまうこと間違いなしのブラック・コメディ。戦後の高度成長期の日本人の負の部分をあからさまに見せつけられているかのようだ。醜悪で怖い。そして滅法面白い。でも心底おそろしい。

とにかく登場人物全員が悪人であり、悪ければ悪いほどあっけらかんとしているのだった。そんな人々が狭い文化住宅の中で入れかわり立ちかわり、狂乱の1日を過ごすわけで、とにかく逃げ場がない。窓は全開なのに、息苦しい。助けてー!

真っ赤な夕焼けをバックに踊り狂う若者のシルエットに、私は地獄を見ました。

さて。

若尾文子もしたたかだけど、山岡久乃はさらにその上をいっている気がします。ベランダから下を見てすべてを悟り、客間を振り返ったときの山岡久乃の表情に、むしろ彼女がいちばん「しとやかな獣」だったのではないかと思わずにはいられません。

公開時は興行的には大惨敗というのはわかる気もするけど、これを正月映画にもってくる大映ってステキ。誰がなんと言おうが名作だと思います。

川島雄三はやっぱり天才だ…。
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by rivarisaia | 2010-04-11 00:45 | 映画/日本 | Comments(0)

暖かいんだか寒いんだかよくわからない春。昨年、どうしたことかやたらとアゲハを育てることになった私ですが、こちらの「アゲハようちえん2009夏:まとめ」にも書いたように、サナギの状態で冬を越す「越冬蛹」を最終的に12匹も抱えるハメになりました。

越冬組は家でもっとも寒い部屋にほったらかし状態(乾燥しないようにたまに水をかける程度)でしたが、寒い寒い雨の日の昨日、保管部屋に入ったところ、アゲハ蝶が床に!

えええー!もう羽化しちゃったの?

春とはいえ、寒かったので油断してました。なんの心の準備もできてないー。
ちなみに羽化したのは、昨年の8月28日に蛹化した、越冬蛹第1号です。

うまく飛び上がることもできず、仕方ないので砂糖水入れた器にとまらせてみました。
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死んじゃうかもしれないなーと思ってたけど、小1時間ほどしたら、ヘロヘロヘロ〜と飛べるようになったので(でもすぐに落下する)、雨のあたらない花壇の花の影に移動。力なくマーガレットの花弁にぶらさがるアゲハ。あんた、大丈夫?

そして、今朝、花壇を見にいったら、別人(いや別蝶?)のように元気になっており、パタパタパタ〜と遠くに飛んでいきましたよ。よかった!

…しかし、残り11匹も続々羽化するってことか。今年はどうしようかなーと思ってたけど、たぶん多少は飼育するだろうなという気もするよ…。
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by rivarisaia | 2010-04-08 14:02 | 生きもの | Comments(0)