「ほっ」と。キャンペーン

トレマーズ3

もうみんなあきれはててるだろうけど、絶賛トレマーズ祭の第3弾。でもちょっとご覧くださいよ。DVDのジャケに軍オタ親父バートの勇姿が! 影の主役からついに表の主役にのしあがりましたよ。相変わらず彼の車のナンバープレートは「UZI 4U」。

あと、グラボイズから生まれるニワトリ状の怪物はシュリーカーという名前であることがわかりました。どうでもいいムダ知識ですね。

b0087556_0412827.jpg

トレマーズ3(Tremors 3: Back to Perfection)』監督:ブレント・マドック

のっけからアルゼンチンの某所にてなぜかマスコミ取材受けてる軍人姿のバート。武器もパワーアップして、すっかりモンスターハンターの地位を確立しているようすで、私、安心しました。妻に去られても幸せそうでよかった。「ヤツらとの戦いにおいては、シッティング・ブルやロンメル将軍を参考にしたのだ」と語るバート。さすが歴史から学んでる親父は違うね。どこがシッティング・ブルやロンメル将軍なのかサッパリわかんなかったけど。

ひと仕事終えて故郷のネバダに戻るバート。『トレマーズ1』から11年後。懐かしいアノ人やコノ人も出てきます。もう、すっかり大人になっちゃって。

11年間なりをひそめていた怪物グラボイズですが、どうしたことか再び町に姿を現します。いざ退治に行かん、と出動体勢をとるバートと町の仲間たちですが、そこへ政府の役人とスミソニアンの博士が登場し、「希少な生物は保護しなくてはならん」などと言い出すわけですよ。

でも早く退治しないと、ネズミ算式にシュリーカーが生まれちゃうんだが。そして本作では、さらに新型が登場。シュリーカーは脱皮するんですよ。誕生した怪物は…怪物は…なんと屁で空を飛ぶ! ええと、これ、本当です。ケツから火を吹いて飛ぶんです。だからアスブラスターと呼ばれてました。バカです。バカすぎます。ホメてます。

本作のバートも前2作をしのぐほど愉快です。出血大サービス状態。アルビノのグラボイドに何故かつけ狙われているバート(理由は後で判明する)は、「我が名はイシュマエル」とか言ってました。「白鯨」かよ!

ところで、グラボイズに追われてみんなで岩場に逃げたはいいが、無線機が車のボンネットに~というピンチの際にですね、メキシカンな親父が枝とデンタルフロスで釣り竿をつくるんですよ。字幕では「TVで見たんだ」となってましたが、「マクガイバーでやってた」って確かに言ってましたよ。

これ伏線だったのね。後半、怪物に囲まれて絶体絶命なのに武器がひとつもねえよ!という状態になりまして、後半はほとんど「冒険野郎マクガイバー」状態でした。やだ、すっごく頼りになる~。世の草食男子は見習ったほうがいいですよ。いざと言うときに頼りになるのは、マクガイバー男子ですよ(キッパリ)。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-30 00:49 | 映画/洋画 | Comments(0)

相変わらず世知辛い世の中な上に、時期が梅雨だし暑いしうっとうしい。こういう時には気分的にパァッとしたいので、トレマーズ祭、絶賛開催中でございます。続編ってTV映画として製作されたのね。へええ。

b0087556_231850.jpg

トレマーズ2 グラボイズの逆襲(Toremors II: Aftershocks)
監督:S・S・ウィルソン

今度はメキシコの油田にヤツが現れた! やはり、怪物退治は経験者に頼むのがいちばんだよね!と、前回活躍したコンビの元に油田会社が助けを求めにくるわけですが、どうやらケヴィン・ベーコンは「妻もいるんで、もう危険なのは嫌です」と断ったらしく(という設定である)、ひとり侘しくダチョウ農園を営んでいるアール(ケヴィン・ベーコンの相棒だったおっさん)が報奨金のために渋々メキシコに行くはめに。

ケヴィン・ベーコンの代わりに、ハイパー気味な若者が登場しますが、こいつはどうでもいい。むしろ、助っ人が必要だと呼び出されたあの男、そう武器マニアのバートですよ。このシリーズの真の主役はこの人。

ソ連が崩壊したのにいつまでアンタそんなことやってんの、と妻には家出され(あんなにお似合いの夫婦だったのに…)、心底くさっていたバートは必要以上に生き生きとして怪物退治にやってくる。登場シーンからして笑える。例のシェルターのようなバートのお部屋が映るんですけど、

b0087556_234434.jpg

ちょっ…壁に…猫!? 飼い猫でも剥製にしたの?

b0087556_241717.jpg

うわ、グラボイドも剥製になってるよ(笑)

なんとなく妻が家出したのもわかるような気がしました…。
そんなバートですが、前作以上にランボーっぷりを発揮。
あまりに発揮しすぎて、たとえば、

怪物を一発ズドンと仕留める→やったーとみんな狂喜乱舞→銃の威力がすごすぎて、塀だの小屋だのを貫通した弾が、逃げるのに使おうと思ってた車のエンジンも破壊→みんな一気にドヨ〜ン

などというお茶目っぷりも連発で披露してます。カオスの原因はバートでもあるけど、収拾付いたのもある意味バートのおかげだよね!

本作では、怪物が先カンブリア時代から地球上に生息していた生物だったということが判明するほか、新種も出現。1匹のグラボイズから3匹のニワトリ状の怪物が生まれ、これが雌雄同体でエサを食うと口からさらに1匹生むという、ザ・ネズミ算状態に。ニワトリ状の怪物も目は見えないが、赤外線で獲物を判別する。したがって高オニにかくれんぼ要素が加わってますよ。

そうそう、アールと若者が全速力で走って逃げる際に、アールの帽子が吹っ飛ぶという、前作へのプチ・オマージュ場面もございました。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-29 02:05 | 映画/洋画 | Comments(0)

トレマーズ

缶ケリ、色オニ、氷オニ…と、バリエーション豊富な鬼ごっこの中でも、バカと煙は高いところに上るという言葉もあるように、高オニが大好きだった私です。ちなみに高オニのバリエーション違いとして流行したのが、ジョーズごっこ。地面にいると鬼につかまっちゃうぞ。早く、早く高いところへ逃げてー!

ということで、ずいぶん前に久々にこれをみたのですが、やっぱり最高だった。

b0087556_03117.jpg

トレマーズ(Tremors)』監督:ロン・アンダーウッド

ストーリーは書くまでもありませんが、ネバダの砂漠に突如現れた巨大なミミズ&蛇のような未知の生物。それはまさしく陸のジョーズ。主演はケヴィン・ベーコン。カウボーイハットにカウボーイブーツ姿のケヴィン・ベーコンがステキ。

砂漠全体で町民全員参加の高オニ大会。しかも鬼はけっこう強い怪物で、つかまったら容赦なく食われちゃう。よっぽど高いところに上らないと引きずりおろされるし、走っても走っても異様なスピードで地中をおっかけてくるんだぞ。こわーい。

しかし、この映画の全体に漂う陽気さはなんだろうか。何人も殺されてて、生き残った人だってピンチに次ぐピンチだっていうのに、なんだか明るくて笑えるシーンも満載である。危機感がないわけでもなく、それなりに大変なのだが、岩場で棒高飛びだの棚のドミノ倒しだのをなんとかクリアして、臨機応変にみんなで協力しつつ、怪物をやっつけちゃうのだ。人間、かくありたいものです。

また、この陽気な雰囲気づくりに貢献しているキャラが、軍オタクのバートとその妻。

バートは今思えば「ファミリー・タイズ」のお父さんですよ。おだやかなマイホーム・パパが、ランボー顔負けのミリタリー野郎として登場ですよ。バートの車のナンバープレートなんて「UZI 4U」ですよ。自宅の地下シェルター(なのか?)の壁一面に、銃コレクション持ってて、夫婦でガンガンぶっぱなしてますよ。頼りになるな、親父!

本作は何度かみているのに、怪物の名前が「グラボイズ」だということを今回初めて意識しました。「トレマーズ」だと思ってた。そしてシリーズ化しているのに、私は第1作しかみていないので、この機会にシリーズ全部みることにした。ひとりトレマーズ祭。今週はトレマーズの感想ばっかりになるであろうことを予告しておきます。

いやもう、未見の人も何度も観た人も、ぜひ観るといいですよ。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-28 00:05 | 映画/洋画 | Comments(2)

アンダードッグ

ちょいと前にDVDでみた映画。これってDVDスルーだったのかしら。プロデューサーがバリー・ウォン/王晶。主演は、私の中では目を剥いてる人という印象がますます強くなりつつあるリウ・イエ/劉燁です。本作でも目をひんむいてたね。

b0087556_2582778.jpg


アンダードッグ(硬漢)』監督:ディン・ション/丁晟

舞台は青島。事故で脳に障害を負い、海軍を退役した青年・ラオサン(リウ・イエ)は、"悪者を退治する正義の味方" として日々暮らしていた。ある時、博物館に年代物の槍が展示されることになる。その槍を狙う骨董好きの香港マフィアが香港からやってきて…


仲間を助けた際の事故で、知的障害者になってしまったラオサン。悪者を倒すのが使命だと思い込んでいる彼は、ブルース・リーのポスターがはってある自室で日々鍛錬し、赤いふさふさのついた槍を背負って、街中の悪者(スリとか)を倒している。悪人を倒すのは、任務を終えた潜水艦のようなすがすがしさだそうだ。しかし、街中であんな武器を持ってて、銃刀法違反で怒られたりしないのだろうか…。

骨董品好きの香港マフィアを演じるのはアンソニー・ウォン/黄秋生ですが、骨董好きのマフィアという設定もおかしいけど、新聞紙をつぎはぎしたようなスーツを着用しているのがさらに変。どこで買ったの、その服。

ちょっとしたトラブルから、ラオサンとマフィアの秋生さんは牢屋で一緒になるのだが、ラオサンの根っからの純粋な正義感ぶりに、マフィアもしみじみとしてしまう…とみえて、しみじみ感じ入りつつもちゃっかりラオサンを利用しちゃうのもマフィアの性分なのだった。

マフィアを追っている刑事も登場し、はたしてラオサンと協力して骨董を守ることができるのか?というあらすじです。

なにもラオサンが知的障害者という設定じゃなくてもいいじゃん、と思ってしまったが、悪を倒すという任務に忠実であれという記憶が脳に刻まれている純粋な青年ということで、そうしたのかなあ。

あとですね、博物館の入り口の表階段を公安の車がふつうに上って行くのにびっくりしました。あんなのアリなんだ…。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-27 03:02 | 映画/香港・アジア | Comments(2)

家(Burnt Offerings)

夕飯食べてそのまま寝てしまい、さわやかに深夜1時に目が覚めた。うん、早寝しすぎるのもよくないね…。

こういう時間に、むかしテレビ東京でやってたような映画を放送してるといいのにな。ということで、急に思い出して、みたくなったホラーがこれ。

b0087556_211466.jpg

家(Burnt Offerings)』監督:ダン・カーティス

邦題が『家』なので、以前アメリカ人にこの映画の話をしようとして「えーっと、原題なんだろう、House? 」とか言ってしまいましたが、Burnt Offerings=(祭壇上で焼かれた)いけにえ、なのか。どうりで伝わらなかったはずである。

立派なのにお安い価格の家に引っ越してきたある家族。そこに住むには、ひとつだけ条件があり、それは家の2階に住んでいる大家の母親に食事を運ばないといけないというものだった。しかしその老女は部屋から一歩も出てこない。やがて奇妙なことが次々と起こり…


家の中には、その家を撮った写真が何枚も飾ってあり(なんで家の写真を?)、そして家の中で誰かがケガをすると家のどこかが新しく直っていたりする。さらに、この家は「自分で自分を掃除する」のだった。

2階に住んでるはずの謎の老女は、誰もその姿を見たことがなく、そして老女の部屋の前にはこれまたたくさんの家族写真が飾ってある。いったい彼らは誰なんだ?

と、家の存在自体が謎が謎を呼び、恐いかというと恐いんだけど、家が、というか、越してきた家族がなんか恐い。プールで突然常軌を逸するパパ(オリヴァー・リード)も恐いし、家族と一緒に同居するおばさんも恐い(ベティ・デイヴィス!)、なにより恐いのは、家に魅入られたママ(カレン・ブラック)の顔である。恐くないのは幼い息子くらいです。

そして途中で登場する、霊柩車を運転して家にやってくる黒い帽子に黒い服に黒いサングラスの男も恐い。あれはいったい誰なんだ。

途中から、家の怪奇現象が恐いのか、人そのものが恐いのかよくわからなくなってくるんですが、最終的にはやっぱりいちばん恐かったのは母親のカレン・ブラックでした。場面は真っ昼間でお化けが出てくる雰囲気は皆無だというのに、カレン・ブラックの迫り来る顔に「ひえええええ!」とのけぞったことを覚えています。お母さん、お母さんが恐いよ! やめてー!

ちなみに、本作は救いようのない終わり方なんですが、そのいさぎよさが好き。なんで家や家族の写真がいっぱい飾ってあるのか、という謎は解けますが、あの家は何なんだ、という謎と、大家はいったいどこの誰だったんだ、という謎は不明です。最初に出てきた大家さんはどこに住んでる人たちなの?
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-24 02:14 | 映画/洋画 | Comments(0)

本日お見せするのは「本の中に豆本」というつくりの本。ずいぶん前に、同僚が「変な本を見つけたよ〜」と教えてくれて、会社帰りに一緒に青山ブックセンターに行って買ったんじゃないかな。

書籍の体裁をとっているんだけど、デザイン・マガジンなんですよね、これ。出版社はドイツとオーストリアにオフィスがあります。私が持っているのは第3号の「Blindtext」。表紙はこんな感じ。
b0087556_21383112.jpg

本の厚さは3センチ、表紙がボード紙のような厚い紙でハードカバーです。ヘンテコな自画自賛コピーのついてる黄色い帯が巻かれてたんですが、帯は切れちゃった(表紙からはみ出てる黄色の紙が帯)。

b0087556_21411983.jpg

中ページはグラフィックデザインの実験という感じで、全ページ、文字組も写真レイアウトも好き勝手なことやってます。文章はドイツ語と英語のバイリンガルです(が、なぜかアラビア語のページもあったりする)。

おもしろいのは、豆本が付いてること。

b0087556_21483694.jpg

表紙をひらくと、このように背の側の下の部分に、パズルのようにピッタリ豆本がおさまってます。

b0087556_21491032.jpg

豆本はちゃんとそれだけで完結した本になってるのだった。

おそらく本文を製本してから、豆本部分をガチャンと型で切って、表紙を付けてるんじゃないかなー。じつは中ページのデザインはそれほど好きではないんだけど、造本はおもしろいと思う。

Rosebud は7号まで出てるみたい。
公式サイト:http://www.rosebudmagazine.com/
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-21 22:00 | | Comments(0)

ビヨンド・アワ・ケン

渋谷でパン・ホーチョン祭をやっていて、パン・ホーチョン/彭浩翔は香港の映画監督なんですけどね、これまでもいくつか感想を書いてますが、毎回趣向が違って、どの作品もとてもおもしろいのになかなか日本で公開されないの。ようやく『ドリーム・ホーム』が公開されることになりまして、パン・ホーチョン祭はその公開記念です。

詳しくは公式サイトをどうぞ。

私が思うに、パン・ホーチョンの映画は香港映画にまるで興味ない人や、香港映画に変な先入観があって避けちゃう人にもおすすめ。

b0087556_2330778.jpg

ビヨンド・アワ・ケン/公主復仇記』監督:パン・ホーチョン/彭浩翔

消防士ケンとつきあっているシャーリーの前に、ケンの元彼女という女性が現れ、ケンと一緒にベッドで撮った写真を取り返してほしいと頼む。やがてシャーリーとその "元彼女" との間には不思議な友情が芽生えるが…


パン・ホーチョンの映画がおもしろいなあ、うまいなあと感じるのは、特に会話です。なんだろう、この会話の妙。勘所を押さえてるとでも言うのでしょうか。本作でも、何気ない台詞が、あとからパシッと的を射る感じなんですよねえ。台詞だけじゃなくて小道具もそうだけど。

微妙な心境を表現するのも上手ですよね。「なんかおもしろくない」という気持ちや「くやしくてつらい」という気持ちとか。

自分の彼氏の前の彼女が現れて、あーだこーだ言ってきたら鬱陶しいけど、主人公のシャーリーは、どういうわけだか前カノと次第に仲良くなってしまい、1人の男をめぐる2人の女性は共謀して秘密を抱えることになり、ついには、あの男サイテーと意見の一致をみるにいたる。

ところが、しかし!

最後の最後で怒濤の展開が待ち受けてます。うっわー。やっぱり女性のほうが策略家というか、男性よりも一枚上手。本作では、そんな策士がふたり揃ってますからね。ふふふふ。

劇場でみられない人にもみてもらえる機会が増えるといいなあと思うので、日本でもDVDが出るといいなあ。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-19 23:33 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

前回、吸血鬼の話でしたが、吸血鬼のライバルといえば最近はもっぱらゾンビですよねえ!

前にオースティンのマッシュアップ本『Pride and Prejudice and Zombies(高慢と偏見とゾンビ)』の話を書きましたが、あの頃からアメリカの出版界にはゾンビブーム到来というほどゾンビ本がいろいろ出てたけど、そろそろ落ち着いたのでしょうか。

『高慢と偏見とゾンビ』は楽しんだものの、その後のゾンビ物は数がありすぎてどれ読んだらいいのかわからない状態で多くをスルーしてきた私ですが、この本はかなりのおすすめ。

b0087556_012369.jpg

Theories of International Politics and Zombies』Daniel W. Drezner著、Princeton University Press

理論を比較する際のベースとしてゾンビを利用して、国際政治理論をわかりやすく簡潔に解説してくれる良書。すなわち、世界でゾンビのアウトブレイクが起きたとして、そのとき各政治イデオロギーはどのような判断を下すであろうか、といった内容をイデオロギーごとにわかりやすく説明してくれる。

たとえば、ゾンビ・アウトブレイクが起きた場合、ネオコンならどういった外交政策を取るだろうか、国際機関の対応はどのようなものになるのか、現実主義理論にのっとれば国家はこう動く、リベラルならこうなる、といった予想がされていて、なかなか興味深い。

ゾンビ・アウトブレイクを阻止すべく、国家間の提携や国際機関の関与が予想されるけど、そのいっぽうで、大企業が利益を守るために隠蔽工作をしたり、はたまた「元・人間」であるゾンビの「人権」を主張するNGOが大々的なキャンペーンを打ってでたりするために、ゾンビ撲滅が難航することも予想される。じゃあ逆に、ゾンビ-人類が共存する道もあるのかも?という検討も行われます。

ゾンビというと荒唐無稽だけど、最大級の国際的な危機やパンデミックとしての位置づけであり、似たような(しかしゾンビよりもマイルドな)シチュエーションは考えられるので、十分ありうるシミュレーションが展開されてます。

笑ったのは、まず理論を展開する際の共有すべき前提条件を決めるにあたり、走ることができる「Fast Zombies」と従来のゆっくりした動きの「Slow Zombies」について、じっくり考察されていること。結論としては動きが速かろうが遅かろうが、いずれはゾンビは国境を超えて世界に広がることには変わりないので、スピードは問題にしなくてよい、ということに。

本書は、国際政治を学ぶ学生向きでもあるので、参考文献リストも充実。本文はかなり短いのでさらっと読めますよ。さまざまな映画や本も登場するので、国際政治に興味なかった人も楽しめます。

吸血鬼ならなってもいいけど、ゾンビは嫌だなー。あの見た目と知性の無さがダメだ。しかし、ゾンビ・アウトブレイクで生き残る自信は皆無です。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-18 00:15 | | Comments(2)

デイブレイカー

なんだか最近、4時に寝るか、早寝して3時に起きるかといったサイクルになっていて、これは一体どうしたものか…。4時就寝って吸血鬼じゃんね!

ということで、楽しみにしてたのに機を逸してDVDでみた吸血鬼映画。

b0087556_2523564.jpg

デイブレイカー(Daybreakers)』監督:マイケル&ピーター・スピエリッグ

突然ですが、私、吸血鬼だーいすきなんですよ。思えば小学生の頃から、しょっちゅう吸血鬼の絵を描いてたけど、私はズル賢いので先生には絶対見せなかった(「お宅のお嬢さんがこんな絵を描いてますが…」などとツマンナイこと言いそうでしょ、学校の先生って。いっぽう親には嬉々として見せてた気がするが)。

本作は新しい視点の吸血鬼映画で、おもしろかったです。

2019年、1匹のコウモリから広がった吸血鬼ウイルスにより、ほとんどの人間が吸血鬼となった世界。問題は人間の減少による血液=食料危機である。製薬企業で代用血液開発にいそしむエドワード(イーサン・ホーク)は吸血鬼としての生になじめず、ある日、人間を助けるハメに。それをきっかけに、エドワードは驚きの事実を知る…


世の中が吸血鬼ワールドになったら、私は進んで吸血鬼になるであろう。ま、現代は吸血鬼にとっては生きにくそうだけど。ところで本作の吸血鬼はスパスパスパスパと煙草を吸っていた。不死身化したから(笑)

しかし主人公のエドワードは煙草をふかすも、吸血鬼ライフをエンジョイしてはおらず、人間の血液なんて飲みたくないナイーブなタイプなのだった。そんなエドワードは「吸血鬼が人間に戻る方法」を知ることになるのである。ここが、ちょっと新しい。へええ、そう来るのか!

ちなみに元吸血鬼でいま再び人間を演じているのがウィレム・デフォーというのもハマリ役な気がしますよ。レザレクション、って感じで(デフォーが昔キリスト役やったからですかね…)。

吸血鬼が血液を飲まないと得体の知れない怪物に進化してしまうという設定もおもしろい。しかし世の中は前代未聞の血液不足であり、血液スタンドの含有血液パーセンテージは下がるいっぽう。開発が急がれる代用血液はうまくいかず、製薬会社社長のサム・ニールはキリキリしている。そんななか、人間に戻れる方法が!

最後の畳み掛けるようなカオスな状況には気の毒…と思いつつも笑っちゃったけど、この後、この映画の世界はどうなるのかなーといろいろ想像させられるところで終わります。んー、私が吸血鬼だったらどうしようかしら。けっこう悩むね。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-17 02:54 | 映画/洋画 | Comments(0)

早寝早起きに憧れているので、昨晩9時に就寝してみたところ、午前3時に爽やかに目が覚めた。

私の理想より、ちょっと早いね…。5時頃がよかったんですけどね。3時って。修道院の朝課みたいだ。今日の昼頃に訪れるであろう睡魔との戦いに勝てるかどうかが不安。せっかくなので早起きついでに、たまりにたまっている洋書の感想でも。

これは大変おすすめで、評判もいいし、おそらく邦訳出るんじゃないかなあと期待。

b0087556_6564754.jpg

The Tiger's Wife』Téa Obreht著、Random House

内戦が続いたバルカン半島のある国。医療活動のため海の近くの孤児院へ向かった主人公の若い女医ナタリアに、祖父の死の知らせが届く。古ぼけた『ジャングルブック』をいつも携えていた祖父。ナタリアは、その祖父と子ども時代に動物園にトラを見に行ったこと、そして祖父が語った肉屋の妻 "Tiger's Wife" の話や、不死身の男 "Deathless Man" の話を思い出し…


バルカンで寓話、というと映画『アンダーグラウンド』を思い出しますが、読後の印象も少し近い。「トラの奥さん」と「不死身男」(デスレスマン、という響きがいい)はふたつとも祖父の体験談なのですが、現実にはありえなそうで意外とありえる、という気がしてくるのも舞台がバルカンだからかもしれません。

「トラの奥さん」は肉屋の夫から虐待を受けているムスリムの聾唖の女性。第二次世界大戦のとき、爆撃によって動物園から逃げだしたトラが村に迷いこみ、人々が恐怖におののくなか、肉屋の妻だけがそのトラと心を通わせたため、村人から「トラの奥さん」と呼ばれて恐れられてしまうのだった。

「不死身男」と祖父が何度か遭遇する話もとてもおもしろくて、川のほとりのホテルのレストランで偶然に不死身男と再会して食事をする場面がなんだか好きだ。読んでいる私も「また会いましたね」と言いたくなった。

しかし、本書でいちばん印象的だったのは、ある夏の夜中、主人公と祖父ががらんとした町の路上で象を見る場面。人生には自分の心に大切にしまわれる瞬間というのがあって、これもそうした大切な瞬間ひとつなのだった。遠く離れた場所に住む人や後世の人など皆で共有される、記録として残る戦争の話とは別に、心の中だけに秘められた個人的な物語というのが人々の数だけ存在して、語られない物語はそれぞれが、きっとこの夜中の象のようにとても美しいものなのでしょうね。
[PR]
by rivarisaia | 2011-06-15 06:57 | | Comments(0)