「ほっ」と。キャンペーン

The Family Fang

短編集『Tunneling to the Center of the Earth』がそこそこおもしろかったので(大絶賛までいかないけど、おばあちゃんの話は秀逸)、長編も読んでみた Kevin Wilson。私はあまり好きではないので感想書かないつもりだったけど、何故か評価高い人が多く、ニコール・キッドマンが映画化権を買ったというニュースもあり、なんで私はいまひとつだったのかなあと振り返ってみました。

b0087556_19163738.jpg

The Family Fang』Kevin Wilson著、Ecco

Caleb と Camiile の Fang夫妻は、一風変わったパフォーマンス・アーティストである。公共の場で周囲をびっくりさせる行為をアートと呼ぶ夫妻は、自分たちの子どもである Annie と Buster も "子どもA" "子どもB" としてパフォーマンスに参加させていた。

そんな両親の芸術に付き合わされて育ったふたりの子どもは、大人になって家を出るも人生うまくいかず、両親の家に舞い戻ってくることに。ところが…


著者はちょっとシュールな設定の話を書く人で、前述の短編集同様、今回もこの家族自体が変わってるのですが、物語全体とうまくかみ合ってないような…。シュールな設定も、物語の中の世界では「実際にありそう」じゃないとあんまりおもしろくないんですが、そこが上滑りしてる感じがしたんだよなー。私だけかなー。

大体からして、この家族がアートと呼ぶパフォーマンス(ショッピングモールで母親がジェリービーンズを万引きするとか、路上でヘタくそな音楽を演奏する姉弟に父親が野次を飛ばすとか、飛行機の中で未婚のカップルを演じる両親が派手なプロポーズごっこするとか…略)が、おもしろくない。笑えた、という感想が多いのだが、私は「なんでこれがアートなのか!?バカじゃないのか?」という疑念が渦巻き、全然笑えなかった…。そして一家のこの"アート"が世間で評判という設定も納得いかない。

ただし、この「アートと呼ぶパフォーマンス」は両親のエゴを示すメタファーかもしれません。親の勝手な行動に付き合わされて、子どもらしい生活を営めなず、問題を抱えて大人になってしまった子どもの成長譚としてとらえると、普遍的な問題をテーマにしてるのかも。

後半、夫妻が謎の失踪をとげ、果たして両親は本当に死んでしまったのか、それともまたいつものパフォーマンスなのか、という事態に子どもたちが翻弄されるあたりから、急にトーンがシリアスになっていきます。

これ読んでいる間、頭の中をちらちらしてたのが、ウェス・アンダーソンの映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で、うまく映画化したらそれなりにオシャレな雰囲気の映画にはなりそうですけどね。

不思議な家族の話といえば、ジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』がありますが、ジョン・アーヴィングは変なことが起きても物語の中ではありえることとして違和感なかったので、Kevin Wilson にはやはりまだ何かが足りない気がする。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-31 19:17 | | Comments(0)

怪奇ヘビ男

私の東京国際映画祭は、これだけは絶対に外せない!と思っていたカンボジア映画で多幸感に包まれ終了。

カンボジアでは誰もが知っている作品らしいのだが、想像以上に大傑作。ホラーあり、コメディあり、お色気あり、ロマンスあり、冒険あり、歌もあり、さらには本物のインコ大活躍!という大変にエンターテインメントな作品で、すばらしかった。

60年代はカンボジア映画の黄金期で、東南アジアで大人気だったらしいのだが、クメール・ルージュがフィルムのほとんどを没収し、焼却してしまい、また映画人は粛正された(こちらの記事をどうぞ)。本作は、監督自身が亡命先であるカナダに持ち出すことができた6本の作品のうちのひとつ。

怪奇ヘビ男(The Snake Man/Puos Keng Kang)』監督:ティ・リム・クゥン

夫の暴力に耐えて幼い娘とくらしている女性が、大蛇(ケンコン蛇、という名称である)と一晩過ごす約束をするハメに。ところが、暴力夫よりも大蛇のほうが好きになってしまい、その後何度も大蛇と密会。やがて妊娠してしまう。

怒った暴力夫は大蛇を殺害。スープにして妻に食べさせた挙げ句、妻の腹を切り裂き、あふれ出る大量のヘビも叩き殺すが、1匹だけ難を逃れたヘビがいた…


ここまでは、有名な伝説がもとになっているそうです。
(参照:カンボジア民話「大蛇ケーンコーン」

そうそう、しゃべるカラス、映画にも登場したよね!

以降の展開は監督の創作とのこと。

話かわって、あるところにソリーヤー(ディ・サヴェット)という気だてのよい娘がいた。ソリーヤーの父は意地悪な女を後妻に迎える。そしてこの継母は、ソリーヤーを家から追い出してしまう。

そんなソリーヤーのもとに、前述の「難を逃れたヘビ」が、イケメンの青年(チア・ユットゥン)に成長して登場。ふたりは恋に落ちるが、継母はソリーヤーと青年の仲を裂こうとするのだった…


お色気ムンムンな継母が、アハーンウフーンと男性陣を翻弄する場面はなかなか可笑しい。いっぽうでソリーヤーとヘビ青年の恋のゆくえも、お付きの人々を巻き込んでてんやわんやの喜劇で愉快。

しかしこのあと、継母の協力者としてちょう怪しいホラーな魔女が登場。ヘビ青年の命である「赤い宝石の指輪」が奪われ、ヘビ青年はヘビの姿に戻り、さらに石になってしまうのだが、ソリーヤーのお腹には子どもが宿っていた…。

そして8年後。

えっっ!? 8年!?

ええと、ソリーヤーは娘と洞窟でひっそりとくらしてました。ところで、この娘は髪の毛がヘビなのである。子役の少女が生きたヘビを頭にのっけて演じているのである。うねうねと髪の毛であるヘビが動いているのである。

子役スゴイ!

そんなヘビ髪少女は、くだんの「赤い宝石の指輪」のありかを発見。母であるソリーヤーは指輪を取り戻しに行くが、逆に魔女につかまって気がふれてしまう。綺麗なヒロインなのに、もんのすごい狂いっぷりの熱演である。

そこでインコの助言を得たヘビ髪少女が、母の代わりにがんばるのである。

え、インコ?

ええ、ブルーのセキセイインコ(本物)の一家が登場し、少女が親切を施したら、代わりにいろいろアドバイスしてくれるのだ。インコがアップでベラベラしゃべるシーンかわいい。

ここから最後の大盛り上がり、手に汗にぎるヘビ髪少女の大活躍が!

頭だけでズルズル這い戻ってくる魔女! ガンガンとたらいを叩く気がふれたお母さん! ヘビ髪少女は無事に指輪をゲットできるのか! マッドなお母さんと石になったお父さんの運命は? あと意地悪な継母はどうなるの!?


怒濤の展開でございました。
やはり、人間、善行を積まないとダメですよねーというハッピーエンドで本当によかったです。

本作品、上映前に監督のご挨拶がありました。温和そうな笑顔のすてきなおじいちゃんでした。先日崩御されたカンボジアのシハヌーク国王は映画産業を後援していたそうで、監督から感謝の意が捧げられました。

ポル・ポト派の粛正を逃れて国外にフィルムを持ち出し、何十年の時を経てこうやって東京の映画祭でも上映され、監督のご家族も一緒に多くの人と作品を観賞することができたことが、感無量でございます。本当にありがとうございました。

以下もあわせてご覧ください。

本物のヘビも多数出演 “クメール映画の父”ティ・リム・クゥン監督が語る黄金期のカンボジアホラー

「今回上映される作品にかかわった人で、今も生きているのは私と女優のディ・サベットだけです」の言葉が悲しいです。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-29 00:48 | 映画/香港・アジア | Comments(3)

きょうは映画祭ではなく、映画祭より前に観た劇場公開作品の話(早く書かないと忘れる…)。最近3時間近い映画は長い…と腰がひけてしまう私なのだが、これは観たかったので気合いを入れて行ってきた。前半と後半の間に休憩入ります。4時間26分。

b0087556_2334360.jpg

ミステリーズ 運命のリスボン(Mistérios de Lisboa)』監督:ラウル・ルイス

19世紀前半のヨーロッパ(主にポルトガル、そしてイタリアやフランス)。ディニス神父の修道院に暮らすジョアン少年は、孤児であり、両親を知らない。しかしある日、生みの母親アンジェラと会う機会がやってくる。そして自分の出生の秘密を知り…


このような冒頭のあらすじを振り返ると、ジョアン少年の成長譚のような気がするじゃないですか。ところがどっこい。

気づくと話は、ジョアンの母アンジェラの許されぬ恋の話に移り変わっており、その後、ブラジルからやってきた謎の男、アンジェラが結婚した冷酷な伯爵、と次々に物語と主人公が移り変わっていき、謎にみちたディニス神父の生い立ちを追っかけたりしているのであった。

まさしく、これぞ「めくるめくドラマ」。観賞後に頭に浮かんだ言葉は「mesmerizing」。魅惑的という意味だけど、もともとは催眠術をかけるという意味からきてる単語。ほんとに催眠術にかけられた気分ですよ。私としてはラストが衝撃的で、「ええええーー!?」と呆然としたのだが、後から振り返ってみると、あれもこれも納得である。どうしてかなーと心にひっかかってたんだよ。観てる最中は気にしてなかったけど。もう1回前半が観たくなってしまうではないか、と無限ループにはまりそうな作品である。

そんな本作ですが、映像が大変に美しく、構図も変わってておもしろい。劇中にたくさん絵画が登場して、絵画にも意味がありそうな気がします。

また、すばらしいペーパーシアターが登場し、要所要所で活躍するので、ペーパーシアター好きは是非どうぞ!

imdbで確認したところ、6時間半のTVミニシリーズ版も存在するみたい。ちょっと気になる…。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-26 23:34 | 映画/洋画 | Comments(2)

恋の紫煙2

映画祭2本目は映画祭常連になっているパン・ホーチョン監督の作品。パン・ホーチョンの映画は本当にどれもこれも面白いので、あまり一般公開されないのが残念でならない。ホラーからサスペンス、コメディにいたるまで、さまざまな作品を撮るんだけど、どれもヒネリが効いていて楽しい。

今回はラブコメディです。『恋の紫煙』の続編。

b0087556_2134360.jpg

恋の紫煙2(春嬌與志明)』監督:パン・ホーチョン/彭浩翔

前作で恋人同士になった広告会社につとめる青年ジーミン(余文樂/ショーン・ユー)と化粧品店につとめる女性チョンギウ(ミリアム・ヨン/楊千嬅)は同棲していた。ところが、すれ違いからふたりは同棲を解消。ジーミンは北京へ転勤になり、スチュワーデスの女性と恋仲に。いっぽうチョンギウも北京で仕事をすることになり、新たな出会いがあるのだが…


最初に言っておくと、ラブコメがあまり好きじゃない私がすごく面白い、と思うのだから本当におもしろいのです。

ホーチョンの凄いところは、イラッとくる女性なり男性なりが出てきても、最終的には彼女/彼らが許せちゃうところ。そして、ふつうの恋愛物にありがちな「勝手にふたりの世界にひたってろ!ぞわぞわ〜」という鳥肌ポイントがナイところ。これ以上何かやったら鳥肌立つよ…という寸前で、「は?」という台詞なり行為なりが入り、またそのタイミングが絶妙である。今回の作品でも、私の隣の女性はあるシーンで感極まって泣いていたが、途中泣きながら「ブッッ!!」と吹き出していた。わかるわー。

女性の心理を描くのも上手。ヒロインのチョンギウの行動ひとつひとつに対して、多くの女性が「そうだ、そうだ、そうだ!」と深く頷いていたに違いない。

青年ジーミンは若い上に子どもっぽくて、優柔不断で、本当にダメなところはダメで、年上の女性チョンギウにしてみれば、そんな男はいいかげん忘れたほうがいいとわかってるんだけど、だがしかし。

最後のアレにはやられた。そりゃもう、どっち選ぶかっていったら、もう決まってるよね。いやはや。

「恋の紫煙」は1と2あわせて公開したらいいのにな。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-24 21:06 | 映画/香港・アジア | Comments(2)

シージャック

諸事情により、今年は3本だけなので余裕の東京国際映画祭。今回からチケットの購入方法が変わり、QRコードチケットになったため、いろいろ不安はありましたが、入場はスムースでした。

さて、1本目はこちら。

b0087556_2374670.jpg

シージャック(A Hijacking/ Kapringen)』監督:トビアス・リンホルム

インド洋沖でデンマークの船がソマリア海賊にハイジャックされる。本社はさっそく専門のネゴシエイターを呼び、海賊との交渉を開始。しかし交渉はなかなか進展せず、長期戦へと突入する。


以前海賊の歴史の本を読んだときに、現代の海賊について自分の中でうまくイメージができなかったので観ることにした1本。どうも私は帆船の時代で思考停止しているもので…。

結論から言うと、とてもおもしろかったです。

乗っ取られた→船自体に価値はなく身代金目的と予測→人質は金ヅルなので殺されないだろう→相手の要求をのむと足下見られてさらにふっかけられるので、粘り強い交渉が必要→1週間で解決すると思うな、最悪1年かかるかもしれない。


という、出だしでなるほどと思った私。積み荷が目的じゃないのね…(それは私掠船)。

かくして4ヵ月にわたる交渉が始まるのだが、なにせ陸上から遠く離れた広い海の上。テキパキと進むわけもなく、「相手が電話かけてくる→話す→切れる→じっと待つ」の繰り返しである。

冒頭で交渉上手の一面を見せる社長ペーターも、長引く交渉にフラストレーションが溜まってくる。当然船の中もストレスが充満する。海賊側には英語を話す交渉役が存在するが、彼以外は言葉が通じないうえに武器を持っている。一体自分たちは助かるのか、本社は助けてくれるのか。

交渉が長期におよぶので、時には海賊と人質が打ち解けて一緒に楽しく食卓を囲んじゃったりする日もある。しかし人質はあくまでも人質であり、和気あいあいも長くは続かない。船側の主人公の料理人ミケルは、だんだん精神的におかしくなってくる。

船内と本社の社内しか映さず、恐ろしい悪者もスーパーヒーローも登場しない本作は一見地味なのだが、その下で張りつめる緊張感と閉塞感に満ちた妙なリアルさが、かなり好き。アメリカでも日本でもこのタイプの物語は撮れないんじゃないかなー。

上映後にQ&Aがありました。

最近ではデンマークも商船内に武装した人をボディガードとして乗せられるようになったし、軍が海上パトロールもしてるのだが、「インド洋は広いので、ヨーロッパ全体をパトカー5台で見回るようなもので…」という例えがわかりやすかった。そうだよね…なにせ海の上だしね。簡単に軍や警察を呼んでどうこう出来るものでもないよね。

映画では実際にケニア沖に船を浮かべて撮影したそうで、使用した船は、偶然にも過去に海賊被害にあった船だったらしい(乗組員にも海賊に遭遇した経験のある人がいたとのこと)。また、ネゴシエイター役の人も俳優ではなく、本職のネゴシエイターなんだって。

近年の海賊といえば、思い浮かぶのはソマリア沖&マラッカですが、Wikipedia をみるとソマリアの記事の充実っぷりが問題の深さを物語ってるので参考までにどうぞ。

ソマリア沖の海賊
マラッカ海峡の海賊
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-23 02:38 | 映画/洋画 | Comments(2)

独身の行方(単身男女)

今年も映画祭の季節です。例年以上にスケジュールがうまく組めなくて(観たい作品の時間が重なってたり、自分の予定とバッティングしてたり…)、今年はちょっとしか観ません。残念!

昨日は、中国映画週間でこれ。

b0087556_2245321.jpg

独身の行方(単身男女)』監督:杜琪峰(ジョニー・トー)

中国から香港にやってきて仕事をしている女性(高圓圓/カオ・ユァンユァン)が主人公。

彼氏に捨てられくさくさしているヒロインだが、ある日ホームレスのような元・建築家(呉彦祖/ダニエル・ウー)と知り合う。彼に励まされ、心機一転したヒロインは、向かいの建物の会社に勤めるエリート(古天楽/ルイス・クー) とデートの約束をするのだが…


アル中気味だった元・建築家は、ヒロインと出会ったのをきっかけに見事立ち直り、立派な建築家となってヒロインの前に現れる。そしてセクシー女性を見ると鼻血を出してしまうエリート男性は、ヒロインとの最初のデートをすっぽかしてしまうも彼女のことが忘れられず、おまけに彼女の会社の社長となって舞い戻ってくる。

かくして、ヒロインをめぐる、建築家vsエリート社長のバトルがはじまった!


というラブコメですが、私としてはヒロインがとても苦手なタイプの女だったうえに、建築家がありがち王子様タイプで気持ち悪かったため(彦祖のせいではなく役柄が)、全体としては正直あんまり好きじゃない。

大体からして、ヒロインは何かにつけて涙をこぼしているうえに、優柔不断で純情ぶってるので

いつまで泣いてんだよ、このバカ女!
さっさとどっちかと付き合ったらいいじゃんか! それでダメだったら別の人にすりゃいいだろ、このドアホ!


と言いたくなってしまうのだった。重要な脇役として登場する「カエル」があんな目にあったのも、もとを正せばヒロインのせいである。本気でデートもしてないくせにいきなり結婚とかナイから! そんな性格だから、前の彼氏に捨てられたんじゃないのか、あーやっぱり選ぶのはそっちの無難なほうかよ、と私の中ではさんざんなのである。

やはりラブコメのヒロインは、もっとすっとんきょうでさっぱりした性格じゃないとイヤー。エリート社長は大変笑えるのでナイスキャラだったのに。

と、文句を言いつつも、愉快な場面もたくさんあったので、その点は楽しみました。

そんなことよりも。

2年前の伝説と化した恐ろしい字幕『孫文の義士団(十月圍城)』の悪夢ふたたび。。。

しかも今回はあれを超える凄まじさなのである。映画自体が広東語版でなかったのもショックだったけど(だってイタリア映画やフランス映画に行ったら英語吹替えだったというのと同じよ)、男性がオネエ言葉でしゃべったり、女性が男言葉でしゃべったりするのはもちろん、ですますとだであるも混在し、誤字もいっぱい、意味不明な文章も出現。

上映前に「字幕に間違いがあるのでご了承ください」というアナウンスが流れたけど、あれは「字幕がほとんど変なので」の間違いではなかろうか。

「どう、これイイかな?」というニュアンスはすべて「これ行きますか?」となってた…。ウイスキーもビールだしね…。ラブシーンで入市だしね…(想像ついたけど入市ってナニ?)

ヘンテコ字幕はチラ見にとどめて、脳内で変換して観賞するハメになったので疲れた。日本人のネイティブがチェックするだけでも全然違うと思うんだけど。せめて事務局内で確認作業できる人いないのかな。

これの前の上映作品は比較的マトモだったらしいので、トンチキ字幕かどうかは作品次第かもしれません。私は今年の中国映画週間はこの1本しか観ないんですけど。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-21 22:48 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

個人的にかなりツボ。出だしからずっと含み笑いが止まりませんでした。なんだこの本は!

b0087556_20243395.jpg

Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore』 Robin Sloan著、Farrar, Straus and Giroux刊

サンフランシスコに住む元デザイナーの主人公 Clay は失職中。ある日、彼はヘンテコな古書店に求人募集の張り紙がしてあるのを目にする。

24時間営業のその書店で、夜のシフトに入ることになった主人公。そこではふつうの本も売っているのだが、奥にある天井までの本棚には決して中を見てはならない謎の古書がズラリと並んでおり、時折怪しげな人物たちがそれらの本を「借り」にやってきて…


怪しい書店のバイトが謎が謎を呼ぶ冒険に発展するのですが、紙とコンピュータ、電子書籍に稀覯書、3Dモデリングと糊とカッターを駆使したモノづくり、海賊版にフリーソフト、データ・ビジュアライゼーションに Ruby、活版印刷からグーグルによる本のスキャン、暗号解読、怪しい秘密結社、伝説の活字に謎のフォント会社、巨大な博物館のアーカイブに地下の図書室…と、楽しすぎるキーワード満載の1冊。

なにせ、アルドゥス・マヌティウスも出てくるからね!

このあたりのキーワードがグッとこないと、ノリノリで読めないかもしれないけど、「本」が好きな人ならけっこう楽しめると思う。アナログも好きだし、ハイテクも好き、という人にもおすすめ。書体好きの人も楽しめるはず。

まずもって、主人公のクレイが大変に愉快である。なにせしょっぱなから、求人広告をスキャンしつつ、ついついあちこちネット見ちゃったり、本ダウンロードしてみたり…他人とは思えない。クレイとは仲良くなれる気がする。私、お友だちになりたいです。

クレイが使ってる Kindle は機種が古くてデザインがダサいのだが、『2001年宇宙の旅』のガジェットに似てるよね、とクレイは言うのである。 「so uncool it's cool again」(笑)
しかし24時間書店のコンピュータはもっとすごい。いまだにMac Plusなのである。

物語でかなり重要な役割を果たすもののひとつが「フォント/活字」。すべてのMacにプレインストールされているという超有名書体「Gerritszoon」というのが登場。Kindleでもデフォルトのフォントってことになってるんだけど、どんな書体なんだろ。

この書体は、アルドゥス・マヌティウスのもとで働いていたというGriffo Gerritszoon が作成したという設定である(笑)。で、その書体を現在販売しているのが FLC Type Foundry。面白すぎる。

アルドゥス・マヌティウスは実在の人物で、ルネサンスの時代にヴェネツィアで印刷出版を手がけた偉大な人。詳しいことはこの辺を読んでもらうとして、おおざっぱな話をすると、アルドゥスは小型本=文庫を出版、この時にイタリック体を生み出し、非常に美しい組版をしたのだ。アルドゥスさんの右腕となった実在の活字彫刻師が、金細工師の息子フランチェスコ・グリフォ。

だから、Gerritszoon のファーストネームがグリフォなんだなー。

ちなみに、Fontshop.comで Gerritszoon というフォントを検索してしまった私である(当然、実在しなかったけど、他にも検索した人いるだろー)。あと、フォントメーカー FLC も実在しません。ITC Type Foundry という有名な会社はあるけど。

ちなみに実際の Kindleの書体は、おそらく本文は Linotype の Caeciliaだと思う。

本書は「世界は、昔の知識と新しい知識が入りまじって構成されている」「世の中には、埋もれてしまった謎もたくさんある」ということをひしひし感じさせてくれて、読み終わったあとも、とってもわくわくする気分が持続しました。楽しい!
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-18 20:36 | | Comments(0)

古書店で蔵書票の箱を覗き込んでたら、「マネッセ写本風」蔵書票を発見した。

b0087556_23553864.jpg


これは、例のインゼル文庫のマネッセ本に貼りつけたい!(が、私の蔵書票ではなく、ジュゼッペ・ミラベッラさんとやらの蔵書票なので貼らない)

私もつくろうかな…Ex Libris…とちょっと考えちゅう。でも貼るのが面倒といえば面倒だよね。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-17 23:57 | モノ | Comments(4)

最強のふたり

これまた観てからだいぶ日が経つけど、ヒットしているようでよかったですね。ありがちな湿っぽさがみじんもないところがよいところ。

b0087556_21262822.jpg

最強のふたり(Intouchables)』監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ

大金持ちのフィリップは、事故で首から下が麻痺して動かない。住み込みで世話をしてくれる新たな介護人の面接を行っていたフィリップのもとへ、黒人青年のドリスがやってくる…


ドリスは介護人になるつもりはなくて、失業保険をもらうために、就職活動の証明書にサインがほしいだけだった。ところが、フィリップに「1ヵ月の試用期間をあげるからやってみないか?」と言われるのである。フィリップの家は豪邸なので、ドリスもちょっとやってみようかな…というノリで働きはじめる。

これが、長い友情のはじまり、はじまり。

ドリスはフィリップを障碍者だという目線で見ていなくて、あくまで対等なので、ときに乱暴だったり、ズケズケものを言ったりする。だけど、陽気で愉快で憎めない青年なのである。憎めないというのは大きなポイントである。ふつうの人がああいうことをすると、けっこうイラッとくると思う。いっぽうで、フィリップも自分と対等に接してくれるドリスのことを色眼鏡でとらえていなくて、「やつは前科者だから気をつけろ」と注意されても受け流す。

このふたりはただウマが合うだけでなく、お互いにいい影響を与えあうような仲なのだった。ドリスと出会ったおかげで、フィリップも変わるし、ドリス自身にも変化がある。

初対面でナンパされた秘書はもちろん、フィリップの助手のイヴォンヌも最初はドリスにドン引きしていたにちがいないのだが、だんだんと信頼関係ができあがっていたのは、やはりある種の才能のような気がしますよねえ。

ぱーっと話が進んで重苦しい部分はさっと軽く流すようなつくりになっていて、それはそれでいいんじゃないかなーと思いました。いや最近、似たような設定だけど、かなり重苦しい展開になってどんよりする英語の小説を読んだもので…。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-15 21:27 | 映画/洋画 | Comments(4)

プロメテウス

観てからだいぶ日が経ったので、そろそろ多少内容ふれた感想を書いてもいい頃ですね。問題は私の記憶がうすぼけてることなんですけども。

b0087556_22181022.jpg

プロメテウス(Prometheus)』監督:リドリー・スコット

不朽の名作『エイリアン』の前日譚のような位置づけのお話。

まず「謎の宇宙人(劇中では仮称エンジニア)」が登場します。この謎の宇宙人がどこかの惑星にやってきて神聖な儀式(にみえる行為)を行い、謎の液体を飲みほしますと、あら不思議。身体がDNAレベルに分解されて、生命が誕生する。その惑星が地球かどうかは謎ですが、彼らは宇宙のいたるところでそういう種まきみたいなことをやってたんだろうと推測。

あの惑星、樹木生えてたからなー。その時点ですでに何らかの生命は誕生してると思うんだけど、あの宇宙人のDNAからは何が生まれるのか? いきなり、ホモ・サピエンス誕生とも思えないので、類人猿から着々と進化していくのだろうか……と、謎が謎を呼びますが、次に進みます。

未来の地球です。

宇宙からのメッセージを解読した科学者たちとパトロン企業の面々が、謎の宇宙人がいるらしい惑星を突き止め、探索にやってきます。さて、この謎の宇宙人なのですが、種まき儀式グループと、その種まきから誕生してあるレベルまで進化した生命体を嫌うグループという2つの派閥があるようす。

後者はつまり「え、お前らプロメテウスみたいに火盗みに来るつもり? 困るよ! 滅びろ!」という考えのグループ。ここで言う「火」は、謎の液体かもしれないし、謎の宇宙人のテクノロジーかもしれません。謎が謎を呼びますが、次に進みます。

ちなみに宇宙人のいる惑星は、映画『エイリアン』でリプリーたちが訪れたのとは違う、同じ惑星系にある別の星。

ところがいざその星についてみると、どうにも様子が変。謎の構造物の中で宇宙人の死体がいくつも見つかるのだ。

さらに謎が謎を呼び、いろいろな出来事がありまして、結局のところ、地球人の面々は謎の宇宙人の実態がよくわからないまま、阿鼻叫喚の図となり、最後ひとり生き残った人物が、謎を追求することに決めるのであった…という話です。

つい、おわりまで説明してしまいましたが、謎、謎、謎と言ってて意味不明だと思うで、どうぞご覧ください。多くの謎は、次に持ち越しとみた(とりあえず、3までつくる気らしいから)。

ついでに書きますと、イカみたいなブツが出てくるので、ゲソ焼きが食べたくなりました。「うわあああ!それはお腹イタタター!」というシーンもあります。あんなに痛い思いをして、飛んだり跳ねたり走ったりできるものだろうか。宇宙まで行く人たちはタフだなあ。

さて、以下は観た人向け。

・ブンッと投げると勝手に建物の中を飛んでいって、3Dで構造体の設計図を起こしてくれるあのボールは何ですか? すごく便利じゃないですか! 「欲しい!」と思った人多数とみた。しかし、なぜ、後の『エイリアン』の世界では、ああいうハイテクガジェットが存在しないのであろうか…と家人と議論に議論を重ねた結果、「めちゃくちゃ高くて生産が割に合わないんじゃね?」という無難な結論に。

・アンドロイドのデイヴィッド君が、あの液体をある人に飲ませた理由がわからないと言う意見をどこかでみたけど、デイヴィッド君、飲ませる前にいろいろ質問してたよ(「もし○○だったら、何でもやる?」みたいな質問)。あれで、アンドロイドにうかつな答えは厳禁!とわたし肝に銘じました。

・そりゃないわ~な場面:未知の病原体やウイルスがいるかもしれないのに、科学者がみんなそろってヘルメットぬぐな!

・「謎の宇宙人=人類の創造主=神」ととらえられそうですが、ゆるいカトリックの私が思うに「謎の宇宙人のDNA=人類のDNA、ゆえに謎の宇宙人≒人類 すなわち 謎の宇宙人も創造した宇宙の創造主こそ真の神」となるんじゃないのかしらね。

・そんなことより、最後に生き残る人がいちばん信仰心の篤い人だった点に、微妙な気配を感じた私ですよ。そして多数の宇宙人が死んだのが2000年くらい前だと!?
えーっと。なんだろ、この安易なキリスト教的暗示…。
[PR]
by rivarisaia | 2012-10-12 22:18 | 映画/洋画 | Comments(2)