「ほっ」と。キャンペーン

忙しいわけでもないのに、わたしの要領が悪いせいでいろいろなことが滞って白目剥きそうだったんですけど、8月はゆったりするんだー!(←抱負)

さて、恒例の本棚整理もしているのですが、今回発掘された1冊です。
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Here, of All Places』Osbert Lancaster著・絵、
Readers Union, John Murray刊

ハードカバーの建築歴史本です。読者層がよくわからないんだけど、子ども向けなのか、青少年向けなのか、大人向けなのか…。

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このように左ページにテキスト、右ページに挿絵という、ひとつの見開きでひとつの建築スタイルを紹介する構成です。雑なんだか丁寧なんだかわからないイラストがいい味出してます。石器時代にギリシア・ローマ時代から、ビザンチン、ゴシック、チューダー、工業団地や現代の高層ビル、モダニズムまで網羅しています。後半にいくにつれ、Jungle-Jungle とか Neo-Victorianといった愉快な分類が登場します。

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巻末には、こんな感じでヴォールトなどの説明図がちょろっとついてる。あくまでちょろっと。

この本、たぶんイラストがよさげという理由で古本屋で買ったような気がするんですけど、読み物としてはあんまり面白くないのがちょっと残念。

見返しがかわいいのでおまけ。
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よく考えてみると、建築の本のはずなのに、なぜファッション!?
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by rivarisaia | 2013-07-30 23:17 | | Comments(2)

先日、日本映画専門チャンネルで放映していて、録画するつもりが目がクギづけになり最後までガン見してしまった1968年の映画。いや、すごかった…。今週と8月頭にも放送日があるみたいなので、みられる人はぜひどうぞ。

』監督:森谷司郎

弁護士・正木ひろしの原作「弁護士」をもとに、森谷司郎が弁護士の執念を描いた作品


だそうで、実際の事件をもとにしているようなのですが、詳しいことはわたしにはよくわからないのですが、あらすじはというと、

戦争中の日本。茨城の炭坑で、賭博容疑で警察に連行された工夫が取調中に脳溢血で死亡する。警察の拷問を疑った同僚らは、東京の弁護士・正木(小林桂樹)に調査を依頼する。


最初、この正木はやる気に燃えているというわけでもなく、書類をまわしてちゃちゃっと検事に解剖をお願いすれば楽勝、楽勝という態度なのだが、会いにいった検事(神山繁)がありえないくらい感じが悪くて、まるで尋問でもされているかのような目に合うし、現地に赴いてみれば、一足お先に解剖が終わっていて「脳溢血でした」という検死結果が出ているし、でもその解剖も怪しくて、医師も信用ならないうえに、地元の警察は別の炭坑の者たちと癒着しているようすなのである。

これさ…やっぱり拷問死なんじゃね? 


と正木弁護士は疑いを抱く。詳しく調査をすればするほど、その疑いは確信へと変わるのだが、証明するには、再度検死解剖をするよりほかない。だがすでに死体は埋葬済みであり、いくら寒い北関東とはいえ、早くしないと腐ってしまう。

で、東大の法医学の教授に相談に行くと、すったもんだあった挙げ句、あっさり

「検死してあげるから、首だけここに持ってきたらいい」


と言われるのだ。しかし墓を掘り返すのも、首を切るのも罪になるし、すでに正木弁護士には警察の尾行がついている恐れがあり、もし生首を持ってるところを捕まったら、大変なことになる。移動は汽車である。時代は戦時中。ヤミ米の取り締まりなんかも厳しく行われているご時世なのだ。

それだけのリスクをおかして、検死結果が拷問死じゃなくてほんとに脳溢血だったらどうする!?と悶々とするなか、正木弁護士は決断を下す。

首を、首を持って帰るぞ、東大に! 弁護士生命をかけて!


ナ、ナンダッテー! いやもうここから手に汗にぎる怒濤の展開。さてはて、正木は無事に首を東大の解剖教室まで持ってくることができるのか。目が離せないよ!

ところで、東大の教授が「首を切るなら、この人連れていきなさい」と正木弁護士につけてくれたのが、大学の小使いさん

そう、小使いさん。しかし、この小使いさん、肝が据わっており、ただ者ではなかった。首を切り離す場面では、直接的なグロい表現はないのだが、のこぎりを引く小使いさんのアップとギーコギーコという効果音が、もうね…壮絶でしたよね…。

正木弁護士は、戦争中というご時世だから、権力による不当な人権侵害が行われたりするが、平和な世になればきっと社会は変わる、などと言ってましたが、

戦争が終わってみても、やっぱり人間そうそう変わらねえ!!


ということが発覚し、以前にもまして情熱に燃えたぎる弁護士となったようです。そうね、戦争中とかそういうの関係ないかもしれないですね…残念ですが。そしてわたしとしましては、やはり小使いさんのような「動じない心」を見習いたいところです。
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by rivarisaia | 2013-07-25 00:13 | 映画/日本 | Comments(4)

先日、友人とディー判事の小説の話をしていて、そういや映画版の感想書いてないねって言われたんですけども、いやあ、じつはツイ・ハークとは昨今どうも相性が悪くてねえ! はっはっは。

とはいえ、ツイ・ハークは以前と変わらずアトラクション的要素満載の娯楽作品をつくっており、それを楽しめなくなったのはあくまで私の問題である。どうやら洋の東西を問わず、遊園地のアトラクション的な映画に飽きてきたみたいでさー(いつもの定量超えかも)。

余談ですが、したがって私は『パイレーツ・オブ・カリビアン』のシリーズも全然ダメ。あれの続編つくるくらいなら、他のガチな帆船ものをプリーズ…。

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王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件(狄仁傑之通天帝國)
監督:徐克/ツイ・ハーク

さて、そのようなわけで、本作を観たときは途中から私の顔は能面のようになってしまい、キャスティングで陰謀の首謀者がまるわかりだとか、主役が判事ディーである必然性がまるでないじゃんとか、人体発火の原因があまりにファンタジーすぎるとか、大体何なんだよ火炎虫に化身術って、しかも大仏はデカすぎるし、カリーナ・ラウはインパクト強かったけどこれまたさして活躍してないうえに、ディー判事を一生日陰の身にしてどうするのかー!などとぶつぶつ言ってて、感想は自粛したのだった。

だが、しかし。

あれだけ文句言ったってことは、なんだかんだ言ってけっこう楽しんだのではないかという気もしてきたきょうこの頃ですよ。

本作なんですけど、続編というか、若き日のディー判事を主役にした前日譚ができるみたいで、観るかどうかはその時の気分次第とはいえ、これが仮に映画じゃなくて、遊園地のアトラクションとして存在するなら、かなり乗りたいかも。それこそカリブの海賊的な乗り物をイメージしてます。だって『王朝の陰謀』にもかような乗り物を彷彿させる場面があったよねえ。

とまあ、さんざんあれこれ言っていまさらとってつけたようですけども、『ハムナプトラ』のようなアトラクション映画が好きなら本作は楽しいと思います。4DX上映も合うかもしれないな。4DXなら2作目かなり観たい。
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by rivarisaia | 2013-07-22 22:14 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

このブログではしばしば英語の本も紹介していますが、小説などは「英語だと読めないよ…」とお嘆きのかたもいらっしゃるはず。その場合は邦訳が出たらどうぞ〜と思っているのですが、なかなか邦訳が出てたことに気づかなかったり(私が)、気づいてたけど面倒で放置してました。しかしちょっと奮起して、まとめることにしました。

まずは洋書ファンクラブの渡辺由佳里さんが主催していて、私も参加している「これを読まずして年は越せないで賞」の候補作&受賞作で、邦訳が出ているものリストです。

この夏の読書リストの参考にどうぞ!

【2012年度これよま(ショートリスト受賞作)】

●ノンフィクション
『The End of Your Life Bookclub』Will Schwalbe
→『さよならまでの読書会: 本を愛した母が遺した「最後の言葉」』
ウィル・シュワルビ著、高橋知子訳、早川書房(2013年7月24日刊行予定)

『Hallucinations』Oliver Sacks
未訳ですが、オリバー・サックスなのでそのうち出ると思います。

●フィクション
『Gone Girl』Gillian Flynn
→『ゴーン・ガール』 上・下 ギリアン フリン著、中谷友紀子訳、小学館文庫

『Defending Jacob』William Landay
→『ジェイコブを守るため』ウィリアム・ランデイ著、東野さやか訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリ

『Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore』Robin Sloan
→未訳です(どこか決まってると聞いた気がするのは幻かしら。しばし待機)

候補作で保留になっていた『Secret Keeper』はケイト・モートンなのでたぶんどこかが出すはず。
『The Gods of Gotham』は『ゴッサムの神々―ニューヨーク最初の警官(仮)』で東京創元社から8月刊行予定です!

●児童書
『The Fault in Our Stars』John Green
→『さよならを待つふたりのために』ジョン・グリーン著、金原瑞人、竹内茜訳
岩波のSTAMP BOOKSから7月26日刊行予定。しかし何故にこんなベタなタイトルになってしまったのか…残念すぎる…。

『Wonder』R. J. Palacio
『Jasper Jones』Craig Silvey
→未訳です。『Wonder』は映画化の話もあるので、たぶん出ると思いますよー。

【2011年度これよま(候補作受賞作)】

●ノンフィクション
『Steve Jobs』
→『スティーブ・ジョブズ I, II』ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳、講談社

『Psychopath Test』
→『サイコパスを探せ! : 「狂気」をめぐる冒険』ジョン・ロンソン著、古川奈々子訳、朝日出版社

『Moonwalking with Einstein』
→『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』ジョシュア・フォア著、梶浦真美訳、エクスナレッジ

●フィクション
『Sister』Rosamund Lupton
→『シスター』ロザムンド・ラプトン著、笹山裕子訳、河出書房新社

『A Visit from the Goon Squad』Jennifer Egan
→『ならずものがやってくる』ジェニファー・イーガン著、谷崎由依訳、早川書房

『The Wise Man's Fear』Patrick Rothfuss
→パトリック・ロスファスは『キングキラー・クロニクル 第1部 風の名前』が白夜書房から出てますが続きは出るのか謎。。。

『11/22/63』 Stephen King
→キングなのでそのうち絶対出ますから大丈夫。

『State of Wonder』Ann Patchett
→アン・パチェットなのでいつか出そうですがいまのところ未訳。

●児童書
『Goliath』Scott Westerfeld
→シリーズ3作とも新ハヤカワ・SF・シリーズから出ています。
『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』『ベヒモス クラーケンと潜水艦』『ゴリアテ ロリスと電磁兵器』スコット・ウエスターフェルド著、小林美幸訳、早川書房

『A Monster Calls』Patrick Ness
→『怪物はささやく』パトリック・ネス著、池田真紀子訳、あすなろ書房

『Wonderstruck』はブライアン セルズニックなのでいずれ出そうですが未訳。

【2010年これよま(候補作受賞作)】

●ノンフィクション
『Just Kids』Patti Smith
→『ジャスト・キッズ』パティ・スミス著、にむらじゅんこ、小林薫訳、河出書房新社

『The Omnivore's Dilemma for Kids』
→子ども版は出てないのですが、元の大人版は邦訳が出ています。
『雑食動物のジレンマ─ある4つの食事の自然史』 上下 マイケル・ポーラン著、ラッセル秀子訳、東洋経済新報社

●フィクション
『Room』
→『部屋』エマ・ドナヒュー著、土屋京子訳、講談社

『Freedom』
→『フリーダム』ジョナサン フランゼン著、森慎一郎訳、早川書房

●児童書
『When you reach me』
→『きみに出会うとき』レベッカ・ステッド著、ないとう ふみこ訳、東京創元社

『Marcelo in the Real World』
→『マルセロ・イン・ザ・リアルワールド』フランシスコ・X・ストーク著、千葉茂樹訳、岩波STAMP BOOKS

以上!
見にくいリストですみません。その他の本ものちのちまとめてみます。
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by rivarisaia | 2013-07-17 18:55 | | Comments(0)

人魚姫で涼んでください

細々した用事と暑さで頭がモーローとしてきたので、きょうもしつこく涼んでくださいシリーズ。

本日の一品はこちらでございます。

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押し入れから発掘された大昔のパズル。70年代初頭のブツと思われる。絵柄は人魚姫です。舞台はおそらく南の海。

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箱に使われているフォントがいかにも70年代な感じである。Hallmarkの傘下にあるらしい Springbok Editionsというメーカーのパズルなのだが、調べてみるといまだにジグゾーパズルの会社として健在だった。創立1963年だって。へー。

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組み立ててみたら、ミッシング・ピースはひとつもなく完成しました。

そしてハタと気づいた。ずいぶん前にアンデルセンの人魚姫よりもディズニーの『リトル・マーメイド』のほうが好きだと書いたことがあるけど、そのルーツはこのパズルにあるな…。

だって絵柄がめっちゃトロピカルじゃないか。カリブ海あたりだよ、きっと。あるいはハワイ。

さらに遠い記憶をたどると、いまもあるのか知らないけどLAのディズニーランドに潜水艦の乗り物があって、このパズルのような宝物箱のぞいてる人魚がいたような気がします。

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タコにフルーツ運ばせていい身分だなー。こういう生活いいな…(遠い目)
それにしてもほんとにアメリカンな配色だよね、ピンク&紫。

ここまで書いてみて、さして涼しげでもないけど、まあいいや。カリブ海、カリブ海でバカンスとかやってみたいよねー。夏っぽくて!!
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by rivarisaia | 2013-07-15 18:29 | モノ | Comments(0)

たまに言ってますが、私はゆるくクマウォッチャー。羆嵐で恐怖にうちふるえ、新版ヒグマ で造詣をふかめ、プロジェクト・グリズリーを笑いつつも自己を戒めたりしているのですが、そんな私のために存在するかのような恐ろしいサイトが!(恐ろしいというのは、時間泥棒的な意味合い)

詳細はカラパイアの記事なんですが。

この季節がやってきた!アラスカのクマのサケ狩り解禁。ライブカメラ映像公開中


えっ!? クマのサケ狩り?

ライブカメラ映像公開中ですって!?

さっそくアクセスしてみた。(詳細は上記のカラパイアの記事をどうぞ)
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やだー。いっぱいいるー。川につかってるよ、クマが、たくさん! 涼しい〜。わたし、かなり何十分もガン見。

そして本日の日本時間夕方4時頃。
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サケがすんごいたくさん川をのぼっているんだが。びょんびょん飛んでて、サケとりほうだいなんだけど!

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なかなかタイミングよくキャプチャが取れないんですけど、サケ食べてます。この人、いやこのクマはくわえたばかりでこれから食べるところー。腹だけたべて、残りポイ捨てだったりする。

作業の合間にクマを見るというか、クマを見る合間に作業するのかもうよくわからないことになってるんですけど、暑いときは根をつめて仕事とかしないほうがいいです。

機会があったらクマをぜひどうぞ。川の映像なのでちょっとは涼しいぞー。時差があるんでね、いつでもクマがいるわけじゃないんだけど。サケは現地の朝っぱらからびゅんびゅん川のぼりしてたね…。

bears: brooks falls - brown bear & salmon cam
bears: river watch - brown bear & salmon cams
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by rivarisaia | 2013-07-11 22:05 | 生きもの | Comments(4)

暑いですね…。今年は1000年に1度の猛暑…などと言う人もいて、なんだそりゃ?と調べたら、気象予報士の森田正光氏の発言のようで、コチラに書いてあるけど、実際にはニュアンスがちょっと違う。

「私は、2010年の記録的大猛暑(東京で真夏日71日・猛暑日13日)のときに、平安時代以来の猛暑ということで「千年猛暑」と名付けて、発言していました。最近、ネット上で「千年猛暑」という言葉が散見されますが、私の真意は「千年猛暑の時代」ということで、ある特定の年の猛暑を言ったわけではありません(森田正光)」


なんだ、森田氏が勝手に名付けただけだった。要するに近年夏はどんどん暑くなっている、という話ですが、NASAもそんなことを言ってたわねー。それにしても平安時代はそんなに暑かったのだろうか。中世の温暖期ってどのくらい暑かったのかな。小氷期よりはマシな気がするんだけど…どうなの…。

そんな猛暑の我が家ですが、掃除が完了するまで空調を稼働できず、暑くて頭が回らないので、本日はポコちゃん2号の写真でもながめて涼んでくださいませ。

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2号? そう2号です。地震のときに挙動不審で何か予知能力を発揮しそうだったポコちゃん1号は亡くなりました。母いわく「あの金魚は太りすぎだったわよ!」

うっ…エサのやりすぎだったのかな…。

でも魚LOVEの弟からは「あの昔風の金魚鉢でねー、飼育をしようというところがねえ、そもそも間違ってるんだよな」と説教されたね…。

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昔風のガラスの金魚鉢を掃除中のため、北欧の高級花器の別宅でエサおねだり中のポコちゃん2号。エサ控えめを心がけます。どうしよう大きくなったら、もっと大きな水槽を購入せねばならないのか(庭の池もどきに引っ越しという手もあるんだけど)。

ちなみにアゲハようちえんは暑すぎるので休園中です(ケース内がサウナみたいになっちゃうのだ)。
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by rivarisaia | 2013-07-09 21:22 | 生きもの | Comments(0)

第一部で蜂起したセデックの方々がどうなったのか、その続きが描かれるのが第二部。アメリカ・インディアンの虐殺や涙の道にも通じるやりきれなさ感が後半はより強いです。なんとも切ない。

セデック・バレ 第二部 虹の橋(賽德克·巴萊 彩虹橋)
監督:ウェイ・ダーション/魏徳聖

日本軍は直ちにセデック族を制圧しようと試みるが、険しい山の中での戦いは、圧倒的にセデック族のほうが有利であった。神出鬼没のセデック族に翻弄される日本軍ではあったが、武力でセデック族を追いつめていく…


こんなことをいうと身も蓋もないんですが、第一部を観ながら、誇りが大切なのはわかるよ、だけどそれこそ長い目で見た場合、現状を泥沼のなかで耐え忍んでも生き延びて未来につないでいくほうがいいのではないか…と現代人の私は考えてしまうわけで、セデック側にも日本側にも立てずに、こういうときに真っ先に殺される現場の人(たとえば下っ端の兵士とか、駐在の奥さんや子どもとか)がいちばん可哀想だよな…などとぼんやり思っていました。

そんな第2部は「文明で屈服させるつもりなら、野蛮の誇りを見せてやる」とセデック族が奮起すれば、日本軍が「文明を与えてやったのに、反対に我らを野蛮にさせおって」と憤るなか、セデック族の女性陣は壮絶な決意をするという展開になっていた。

いつの世も、男性の誇りをかけた戦いの裏でとばっちりくらうのは女性なのね。セデック語で歌われる歌の歌詞がもうね…やるせないんですけど(涙)

同じセデック族同士で戦わせる(蜂起に加わらなかった部族に、暴徒側の首を狩らせる)という、そりゃまあやるだろうけどでも非道、という作戦も取られて、最終的には武装蜂起は鎮圧されます。第二部で救いだったのは、「生きのびろ」というメッセージがセデックの側から出てきたところ。

本作ですが抗日の映画にありがちな日本が極悪非道という描かれ方にはなっていません。セデック族を何も考えてない蛮族だと思ってた日本の司令官も最後には彼らの心意気を認めるような発言もしたりする(いまさら認められても…もっと早く相手を尊重する気持ちがあればさーとも思うが)。

いずれにしましても、昔の台湾原住民の話はこれまであまり接する機会がなかったし、いまこうした映画が制作される時代になったことは喜ばしい。ますます台湾に興味もちました。

で、余談。

昨年台湾旅行の際に、会いにいった服飾デザイナーのからいただいたお土産がまさに、セデック族が身につけてるやつなのだった。この縞のやつ↓

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首から前に掛けてもよし、肩からかけてもいいし、エプロンみたいにしてもよし。でも巻スカートにするには幅が足りない。

東京で着用したら変かな…(夏場の私の服装は妙な民族衣装もどきが多いので、腰に巻いて近所の買い物に行ってもふだんの格好という気もする…)

さらに話がそれますが、セデックの人たちの音楽でビヨヨ~ンビョヨ~ンと口琴が使われていたのも、おお!ってなった。以前、イタリアのスカッチャペンシエリアイヌのムックリの話を書いたけど、あの楽器、形は違えど世界中にあるのね。台湾は画像検索すると竹製で糸がついてるようなのですが、演奏難しそう。

Wikipediaを見てみると、呼び名は口簧琴と書いてあった(ところで日本語の呼び名の「びやぼん」って音をまんま表してて響きがかわいい。今度からびやぼんと呼ぶことにしよう。

また、セデックの人たちの跳ねる踊り方はインディアンのパウワウでも似たようなのを見たことがあって、大陸が離れていても人類共通ですよねー。やっぱりそれぞれの民族の文化はおもしろいな。文明化されても残しておくべき文化はたくさんあるよね。
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by rivarisaia | 2013-07-05 20:55 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

ユーロスペースでもアンコール上映するそうだし、これから上映される地域もあるので、ようやく感想を。おすすめなので未見の方はぜひ。詳しくは公式サイトをどうぞ。

日本統治下の台湾で起きた原住民※による抗日暴動「霧社事件」を描いた作品で、いろいろな点でよくつくったなあと感心しました。日本では、短縮されたインターナショナル版ではなく、第一部と第二部あわせて276分の完全版の公開。長いので腰が引けるかもしれませんが、長さはまったく気にならないです。2本でひとつの作品なのですが、迷ったすえに感想は2回にわけます。まず前編から。

※ 中国語で「先住民」という表記は「すでに滅んでしまった民族」という意味になるため、17世紀の福建人移住前から住んでいる台湾先住民族の正式な呼称は「台湾原住民」となる。これ、ほほう、と思いました。


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セデック・バレ 第一部 太陽旗(賽德克·巴萊)
監督:ウェイ・ダーション/魏徳聖

セデック族は、台湾中部の山岳地帯に住む原住民族で、首狩りの風習もある狩猟民族である。いくつかの集落にわかれており、その一集落を統べる頭目の息子モーナ・ルダオは、勇敢で名高い若者であった。

1895年に日清戦争で清が敗れ、台湾が日本の統治下に入ると、セデック族の暮らす山奥も日本の支配するところとなる。"野蛮な" 原住民族を文明化すべく日本の教育や文化が押し付けられた。

それから35年が経ち、かつてのような狩猟生活を営んではいないセデック族は、日本人から上から目線の扱いを受けるなど、日々抑圧されていた。

そんなある日、日本人警察官とセデック族のひとりが衝突したことをきっかけに、これまでの不満が爆発。モーナを先頭に部族の誇りをかけた武装蜂起を決意する。


この映画がうまくできてるのは、単純な善悪になっておらず、いろいろな立場の人たちを多角的に描いてるところ。どの立場も心情的には理解できるから辛い。

セデックの人たちは日本人に勝つために戦うのではなくて、死んで虹の橋を渡るための戦いだからさ…そこが心苦しいですよ。そして、勝ち目のない戦いに加わったら、文化を受け継ぐべき若者が死んでしまうではないかと反対する頭目もいる。また、日本人と同じように教育を受けて、日本の名前を持ったセデックの若者はどちらを選ぶのか、引き裂かれるような思いをする。

そもそもどうしてこんなことになった…と振り返ると、これまでの"文明"の押しつけだったり、上から目線だったりという、いろんなことの積み重ねが原因ですからね。いまさら取り返しつかない状況なのよね。

日本の理蕃政策(台湾原住民に対する政策)はうまい方法だったとも思えなくて、結果的によい面があったとしても、相手を尊重するやりかたではなかった。だがしかし、いくら文化とはいえ、時代がうつりかわっていくなかで、セデック族もいつまでも出草(首狩り)をしているわけにはいかないし。

先に住んでた人々に対して、後からやってきた人々が自分たちの文化を押し付ける問題というのは、それこそ世界各地で起きた(いまも起きている)問題ですが、日本は明治の近代化の際、欧米に対して激しく劣等感を抱いたことが「次は自分たちが野蛮人を文明化させることで欧米と同じ立場に立つ」感を抱くという方向に向かった気もなきにしもあらず。

それ考えると、話は全然変わりますけど、古代ローマ帝国ってすごい。属州に対し自分たちの文化や考えを押し付けないって簡単そうで実際にやろうとすると難しそうなのに。

さて、第一部は蜂起したセデック族が、霧社(当時の地域名)のあちこちの駐在所を襲い、霧社公学校で行われていた運動会を襲撃して日本人のみを約140人殺害する、というところで終わります。女性も子どもも容赦なく殺される。

阿鼻叫喚となった現場で、セデックの女性が「どうしてこんなことをしたの…」と泣きながら訴える姿に胸がつまる気持ちで第2部に続く。
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by rivarisaia | 2013-07-03 20:20 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

夏です! ツールの季節ですよ、みなさん!(ジロ・デ・イタリアで夏がはじまり、ツール・ド・フランスで夏まっさかり、そしてブエルタ・ア・エスパーニャで夏が終わる、というサイクルである)

今年のツールは100回記念。史上初のコルシカ島スタートです。何度も言うけど、自転車レースの醍醐味はレースだけでなく、家にいながらにして観光名所や史跡や風光明媚な景色を堪能できるという点にもあります。

JSPORTSを見られる人は、JSPORTSの中継がおすすめ。今年は100回記念なこともあって、公式サイトにツールの歴史やエピソード紹介コーナーやフランス観光情報のコーナーもあるので、チャンネルがみられない人もコチラをチェックしてみるといいかも。

NHKでも「まいにち ツール・ド・フランス!」というダイジェスト番組をBSで毎日放送中で、自転車クラスタの方々にはいまひとつ評判が冴えないとはいえ、ソチラもどうぞ。

あとはネットで探せばどこかで異国の生中継が見られたりしますので、がんばって探してみてください。

さて、そんな100回記念大会がはじまってて、水を差すようなことを言うつもりは毛頭ないので、なにもいま紹介しなくてもいいのかとすごく迷ったんですけども、いまだからこそ紹介したほうがいいかもしれない、ということで。ランス・アームストロングの件はほとほとうんざりかもしれませんが。

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シークレット・レース
タイラー・ハミルトン、ダニエル・コイル著、児島修訳、小学館文庫

ランスのマイヨジョーヌ獲得に貢献した自転車選手タイラー・ハミルトンの暴露本です。ドーピングがどのように組織ぐるみで行われてきたのか、具体的にどのようにドーピングをやってきたのかという告白で、正直読むのがかなり辛かった。

EPO(エリスロポエチン、赤血球を増やす薬)を打つのもキツイのに、血液ドーピング(事前に血液を抜いておいて、試合前に身体に戻す)はもっと大変そうで、読んでる私も具合が悪くなってくるほどだった…。そんなことまでして絶対に勝たなきゃいけないものなのだろうか。

もちろんドーピングすれば勝てるというわけではなく、人一倍練習しないといくら薬を使ったってダメなんですが、ドーピングのせいでそれまでの練習の積み重ねをふいにしてしまうのも非常に残念なことです。ただまあこの問題はいろいろ複雑で根が深いこともあって、選手だけを責めるわけにもいかないんだけど。

いずれにせよ、最近はアンチドーピングの風潮があって、SKYのようにクリーンな点を打ち出すチームが出てきたりするのもいいことだと思う。ドーピングはアンフェアだし、何よりも、別にね、連覇しなくてもいいんだよ。タイムだって早くならなくたっていいじゃない。有力選手が毎回勝たなくてもいいんだよ。

実際、ここ最近では全体のタイムなどは(ドーピング全盛期よりも)遅くなってるらしい。いつも勝つ選手が減ってるのもそういうことかもしれないよね(そしていろんな選手が活躍するほうが楽しい)。

そんなランスですが今回のツール前に「ツールをドーピングなしで勝つことは不可能だ」と発言して物議を醸してましたが(のちにそれは1999〜2005年のことで、現在はどうかしらないと言い訳した)、少しだまっとけ。

2011年に優勝したエバンスさんは「僕の考えは正反対だ。僕自身が(ドーピングなしで勝てると)証明している」と反論。ツールもこうしてよい方向に変わっていくといいですね。
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by rivarisaia | 2013-07-01 19:44 | | Comments(11)