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ホワイトハウス・ダウン

映画館でこの映画の予告が流れたとき、わたしの隣に座っていた外国人と後ろに座っていた男性グループが同時に「ブラックホーク・ダウン…の続編…?」とつぶやいたのを聞き逃しませんでした! わたしも同じこと考えた。

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ホワイトハウス・ダウン(White House Down)
監督:ローランド・エメリッヒ

主人公の警察官ケイルは、シークレットサービスの面接を受けるために、政治マニアの娘を連れてホワイトハウスを訪れる。

面接は不採用に終わったケイルだが、娘を喜ばせるために、ホワイトハウス見学ツアーに参加。しかし、そのとき、謎の武装集団がホワイトハウスを占拠し…


で、アホっぼい警官ケイルが大統領とタッグを組んで武装集団をやっつけます!

結論から言うとすごくバカっぽかったです。あまりにもバカバカしくて、途中から笑いが止まらなくなっちゃった。久々に脳を使わない映画もいいもんだなー。

人々がポカーンと見守るなか、ホワイトハウスの中庭で激しいカーチェイスがはじまり、大統領がロケットランチャー落っことすあたりがたまらなかったです。

いろいろな伏線がちゃんと回収されるのはいいんだけど、最後の渾身の旗振りとかどうなの、あれは…。軍人としてどうなの…。きちんと命令撤回が間に合ってほしかったんですけど、まあいいか!

現職大統領の安否が謎になり、そこからてんやわんやの「大統領権限たらい回し」状態。

いっそのこと謎の武装集団の目的も、もっと単純でよかったのになあ。あと、ほとんど解決した段階で本当の黒幕はコイツだ!とか言われても、名前を覚えてなくて「それ誰でしたっけ?」と一瞬ぼーっとした私です。

『ダイ・ハード』と似たような展開で、そんな本作も面白いんだけど、しかしやっぱり『ダイ・ハード』には勝てなくて、いまさらながら『ダイ・ハード』はうまくできてるなあと再確認もしました。それにしても悪のハッカーが、クラシック音楽を好むのは何でなんでしょうね。時代が進化してるのに、「悪のハッカー」像がぜんぜん進化してないのは何故だ(笑)
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by rivarisaia | 2013-08-30 22:25 | 映画/洋画 | Comments(2)

低俗喜劇

パン・ホーチョン監督が東京にやってきたー! もともと土日は用事があったんだけど、急遽予定が変わったので土曜に会いに行ってきましたよ。

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低俗喜劇』監督:パン・ホーチョン/彭浩翔

これから上映する映画は不快になるかもしれません。それが嫌な人は劇場から出てください、という注意付きではじまるこの映画。幕が開くとそこは大学の講堂で、映画プロデューサー(チャップマン・トー/杜汶澤)が学生たちにむかって映画製作の体験談を語り始める。

苦労の連続のその映画の舞台裏とは…!

確かに下品なんだけど、現実にありそうなこと満載で(って、監督いわくあれもこれも実際に起きたエピソードらしいよ!)、あれもこれもおもしろい。

主人公のプロデューサーは、離婚した奥さんへの慰謝料も払えないし、部下からはセクハラで訴えられるし、なんとも冴えない男なのだが、娘のために奮起して、とある金持ち(ロナルド・チェン/鄭中基)から映画製作への出資を取りつける。しかし、その人物はヤクザなのである。資金ゲットのためには怪しげなお食事会に出席せねばならない。何故か食事の席にはラバも出てくる。何故ラバなのかは…ここでは書かないのでぜひ観てほしい…(笑)

さて無事に資金調達に成功しても、そこには条件があった。

ヤクザが若かりし日に大好きだったポルノ映画を、同じ主演女優でリメイクする。


しかし女優はすでに60歳オーバー。いまさら脱ぐなんてイヤだ、ということで、困りはてたプロデューサーは、はたと思いつく。首から下は若い女優にすげ変えたらいいじゃん!

ということで、身体部分には女優志望の若い女性を起用することに。ちなみにその若手女優は、パチパチ飴というあだ名で呼ばれている。その理由は…ここでは書かないのでぜひ観てほしい…(笑)

さあ、はたしてこの映画は成功するのでしょうか!

パン・ホーチョンの映画でわたしが愛してやまないところは、オチがピリッとしていて、映画の最後が必ずぎゅうっと引き締まるところ。本作もハチャメチャな展開にさんざん笑ったあとに、え、そうきたか!というオチが複数仕込まれていて、こういうところが、ただの低俗な喜劇で終わらないところだよな~。

それにしても、劇中で製作されてた映画が気になるんですよ。どういうわけかロココな雰囲気でしたよね…。おまけにラバも登場するらしいし、爆発シーンもあるんですよね、きっと。だけどポルノ。どういう映画なの〜(笑)
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by rivarisaia | 2013-08-27 22:38 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

ワールド・ウォーZ

すっかり夏ボケです。夏バテじゃなくて、夏ボケ。バテてはいないんですよ、そこそこ元気なんですけど、その代わりに頭がまったく回転しなくて、たぶん脳が煮えてる。このままではゾンビになってしまう。

ということで、さっさと観ました。

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ワールド・ウォーZ(World War Z)』監督:マーク・フォースター

原作と全然違うとご立腹してた人の意見をチラ見してしまい、不安があったのですが、おもしろかったです。逆に映画がいまひとつだった人は、原作を読んでみるのもいいかも。原作は世界各地のゾンビ状況の報告書という構成になってます。

映画は、突然のゾンビ世界で元国連職員のブラッド・ピットが奔走する、というあらすじ。ゾンビが大量に出てきますがグロいシーンはほとんどないため、血とか内臓がドバーッとかグチャーッというのが観たい人には向いてない。

あと最後までいきおいで突っ走っていく話なので、途中で振り落とされたら楽しめない。あとから考えると「…おや…?」となる箇所もたくさんあるし、最後のオチも理屈としてどうかなあ…という気もするけど、わたし脳煮えてるから、いま。煮えている脳にはちょうどいいスピード感の映画でした。

そう、スピード。

最近のわたしは、走るゾンビに対しては否定的なので、「映画版は走るのか…」というのが最大の不安要素だったんですけど、本作のゾンビは恐ろしいスピードで走るうえに、感染のスピードもちょう早い。噛まれたら12秒で即ゾンビ。どんなウイルスなんですか。

映画もゾンビのスピードにのって、おそろしい早さで展開します。主人公であるブラッド・ピットも、ついさっきまで家族とほのぼの車に乗っていたというのに、気づいたら韓国だのイスラエルだのあっちこっち飛びまわってます。しかもピンチの連続です。ああ、もう!

本作ですごくよかったところは、こうした映画につきものの「余計なことをしでかす人」が登場しても、展開が早くてイライラしないですんだ、という点です。わたし、登場人物のだれかがヘマをしたときに超絶やきもきしてしまうんですけど、本作ではわたしが「チッ!」と舌打ちする間もなく話が次に進んでたわ…。

12秒で即ゾンビの世界では、起きてしまったことにとらわれているヒマなどないのです。生き残るためにはさっさとアタマを切り替えて前に進むのだ。このすばやい切り替え能力、わたしも見習いたいものです。

さて、ゾンビといえば、CLASSICAの飯尾さんが今回も秀逸な考察をしておりますので、ご紹介しておきましょう。
>ゾンビとわたし その28 映画「ワールド・ウォーZ」 : CLASSICA

東京でスピードゾンビが発生したら…わたしは速攻で終了、という感じがいたしますよ。
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by rivarisaia | 2013-08-22 23:46 | 映画/洋画 | Comments(0)

パシフィック・リム

夏休み映画として最高の1本でした。公開日に速攻で観に行ったんですけど、あれから10日が経ってるというのに、毎日1回はこの映画のこと考えてる始末。妄想がふくらんでやまない。すごくおもしろかったからみんなも観に行きなよ!

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パシフィック・リム(Pacific Rim)』監督:ギレルモ・デル・トロ

ざっくりしたあらすじは、

太平洋の底から次々とあらわれる巨大怪獣を巨大ロボットが倒す!


というものなんですけど、じつは、テレビシリーズ全40話くらいで描いてもいい内容が2時間ちょいに凝縮されています。だから濃いです。映画版にするなら3部作くらいにわけてもいい内容が2時間ちょい。

2時間がワーーッ!となっている間に終わっちゃうので、なんか話が浅いような気がしちゃう人もいるかもしれません。でもあとから反芻すればするほど、スクリーンに詳細が出てこなかった部分の想像がふくらんでじわじわきますよ…。

前フリのあらすじだけで、こんな感じ(以下、読み飛ばしてもらって構いません)

2013年8月、グアム沖の深海の裂け目から突然巨大な「KAIJU」が出現、サンフランシスコを襲う。アメリカはなんとか撃退するが、次々と新たな巨大怪獣が出現し、環太平洋の都市を襲撃するようになる。怪獣の体液は環境を汚染するために、爆弾等でうかつに殺すわけにもいかず、そもそも通常の兵器は役に立たないので、人類は怪獣を倒すため特殊な巨大兵器イェーガーを開発する。

イェーガーの活躍のおかげで人類が優勢になったのもつかの間、怪獣は出現するたびにパワーを増していき、一機、また一機とイェーガーは失われ、各国政府はイェーガー・プロジェクトの凍結を決定、かわりに巨大な防壁を建造することにする。ところが防壁では、怪獣の襲撃を防ぐことはできなかった。

2024年、PPDC(環太平洋防衛軍)の司令官ペントコストは最終作戦を始動。残されたたった4機のイェーガーを香港の基地に集結させ、そして、事情があってパイロットを辞めていたローリーを呼び戻すのであった…。


こんなにいろいろあるのに、これあくまで前フリだから!

しょっぱなから主人公ローリーがパイロットを辞めることになる戦闘シーンが出てきます。ふたりペアになってシンクロする操縦方法がかっこいいのと、怪獣のデカさとイェーガーのガッシャンガッシャンという重厚な動きの表現がすごいのとで、興奮して脳からナニかがびゅうびゅう出ました。やばいです。

メインの話は香港での最終決戦の模様です。

戦闘シーンは本当にすんごくて、夜の戦いばかりなのでわたしには見えにくいところもあったのが難点とはいえ、昼間だとロボットの汚れや傷の表現とか、そこに太陽光線があたって反射するところとか、こだわりの監督デル・トロの下でCGチームが死ぬから勘弁してやってくれ、と家人に諭されました(お前は関係者か、とツッコミたいところ)。

そしてクーロンズ・ゲートのような香港には、怪獣の臓器などを売る闇商人ハンニバル・チャウの店があります。ハンニバル・チャウはロン・パールマン。

チャウの店だけでもお話が1本書けそうだし、それを言ったら、菊池凛子演じるモリ・マコのストーリーでも1本できるし、壁を6年守ってきたらしいロシアの夫婦パイロット、香港のタン三兄弟パイロット、オーストラリアの親子パイロット、それぞれのストーリーだけでいくつもお話ができちゃうし、これまでのイェーガーと怪獣との戦いの歴史だってもっと映像でみたいよ!

ああ、鑑賞後にもいろいろ想像がふくらんでやまない映画、それがパシフィック・リム。

ひとこと書いておくけど、出てくる女性がセクシー要員じゃない描かれかたも最高ですよね。さすがデル・トロ監督。

おまけ映像。ハンニバル・チャウの店のCM。


こちらはどちらかというと映画みた人向け、Twitterで教えてもらってから1日1回はみてる私がここに...。

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by rivarisaia | 2013-08-19 16:44 | 映画/洋画 | Comments(4)

マイナスねじのはなし

世間はお盆休みモードだし、どっちにしても暑くてわたしの頭のねじがゆるんでいるので、前回前々回につづき、しつこくねじの話。

「マイナスネジは日本ではあまり見かけない」と書きましたが、実際に意識してみると、マイナスの割合が低いことがわかります。うちのなかで探してみると、3カ所だけ見つかった。みんなも探してみると楽しいよ。

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左は祖父が使用してた本棚のねじ。右はインド製の扇風機のねじ。

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祖母が使ってた桐ダンスのねじ。ねじの向きをそろえてある!

実際に仕事でねじを使う人いわく、マイナスはあまりに作業効率が悪すぎる、つまり工作で数本しめるだけならいいけど、電ドリとか充ドリで何十本もしめないといけない場合、プラスじゃないとお話にならないということで、マイナスはほぼ使われてません。

使われてないせいか、なかなか売ってもいない(日本では)。

では、マイナスねじの需要はゼロか、というとそうでもなくて、高級腕時計のねじはいまでもマイナスを使うことが多いみたい。前にどこかで売っていた時計の精密ネジセットをみたときは、20本くらいあるうちの2本くらいがマイナスだった。

あとはアンティーク家具の修理にも必要ですね。

ただ日本の古い木製の家具は、ねじを使っていないものも多いです。木と金属といった異なる材質をつなぐならねじが要るけど、木材と木材という同じ材質を接合するなら、ねじもクギも使わないで、接着剤や組むという方法のほうが強度が出たりします。
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左は糸巻きで、これは木を組んである。右はこれまた祖父の本棚ですが、これも木を組んでる。

とまあ、そのようなわけで、マイナスねじのほうが歴史があるけど、あとから出現したプラス(フィリップス)のほうが優勢な日本。しかしアメリカではまだまだマイナスも需要があるらしい。その辺を調べてみるとおもしろいかもしれません。

ちなみにIKEAの家具のねじはプラスに見えるけど、あれはプラスじゃなくてポジドライブです。そんなポジドライブはヨーロッパ生まれ。おそらく私の想像ですが、ヨーロッパではプラスよりもポジドライブのほうが普及してるとみた。実際どうなんでしょう。各国のねじ状況をだれか夏休みの自由研究で調べてみて〜!と他人にふっておしまい!
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by rivarisaia | 2013-08-13 17:41 | モノ | Comments(0)

先日につづき、きょうもしつこくネジのはなしです。オススメの本の紹介。写真は左がむかし出ていたハードカバーの表紙、右が文庫の表紙です。

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ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語
ヴィトルト・リプチンスキ著、春日井晶子訳、早川書房

「この千年で最高の道具(工具)」に関するエッセイを依頼された著者。自宅の工具箱をのぞいてみるものの、発明時期があまりに古すぎたり、何かが足りなかったりして、これというモノが見つからない。そんなとき妻が言うのだ。

「いつも家に置いている道具があるわ。ねじ回しよ」

そこで著者は、ねじ回しと、必然的にねじ、の起源を調べることに!
一筋縄ではいかない、めくるめくねじの世界へようこそ!


というモノの起源の話で、ページ数はそれほど多くないのに濃密な1冊となっています。

ねじ回しもボタンと同じく中世に発明されたのではないか、と仮定した著者は、当時の道具が描かれている銅版画や書物にあたり、マイナスねじが描かれている図版を見つけます。

さまざまな図版を調べて行くうちに、技術革新は武器から始まることが多いよね~と気づいた著者は、ルネサンス期に誕生した「銃(火縄銃)」を調べることに。このとき銃はもちろん、甲冑にもねじ(蝶ナット)が使われていたことも発見するのだった。

16世紀半ばには、さまざまな場面で使用されるようになったねじだけど、それが産業化するにはさらに200年もかかっているらしい。ねじの産業化の過程や、ねじの形状がどのように洗練されていったか、プラスネジことフィリップスねじはいつ誕生したか、など興味深い話題はつきない。

現在でいうところの「ねじ」がうまれたのはおそらく中世なんだけど、それ以前にも「ねじの原理」は存在しており、たとえばグーテンベルクの印刷機はねじ式の圧搾機を利用しているし、ねじの元祖といえるのは、古代ギリシアのアリキメデスが発明したといわれている揚水用水ねじなのだった。

いやあ、ねじって面白いですね!

本書に関してはもうちょっと挿絵や図がほしいところなのだが、いまはインターネットで検索しながら読めるのであまり贅沢は言わない。

中世の採鉱・冶金に関する有名な技術書に、アグリコラが著した『デ・レ・メタリカ(De Re Metallica)』という本があるんですけども、この『デ・レ・メタリカ』にもねじが登場するっていうんですよ。

木版がの左すみに見事に描かれているのはねじではないか。(中略)この木版画から、16世紀半ばにすでにねじが使われていたことが証明されるのである。

ナンダッテー!『デ・レ・メタリカ』英語版はプロジェクト・グーテンベルクにあるので見てみると、

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おおお! ほんとうだ~。

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左下部分にホラ。(ちょっと感動。366ページの図版です)

さてさて。ねじといえば、時計の部品なども連想するんですけど、1550年以前の時計にはねじはまったく使われていないらしく、時計にねじが使われるようになったのは、特に腕時計などの小さい時計の需要が増えたからだそうだ。大型の時計はぜんまいだけなのね。

そしてよだんですが、本書にさらっと書かれてあったことで個人的に興味津々なのは

紳士にとって旋盤を回すことは、婦人にとっての刺繍のようなもので、18世紀の終わりまで趣味として人気を保っていた。


のくだり。ここ、もっと詳しく知りたい。貴族男性は趣味で旋盤をくるくるまわしていったい何をつくっていたのか。そういやルイ16世の趣味も錠前づくりだったなあ。これって、工作の一環ですかねえ。ねじもつくってたのかな。ナゾだ。
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by rivarisaia | 2013-08-07 23:29 | | Comments(11)

先週観た『風立ちぬ』では、計算尺というしろものがけっこうフィーチャーされておりまして、使い方を習った人やモノ自体を知らない人の間で話題になってたんですが、計算尺は見たことあるけど使い方はわからない私です。便利そうだけど。

わたしが心奪われたのは計算尺よりも、飛行機よりも、なによりもネジ! あと「沈頭鋲(ちんとうびょう)」! リベットの一種を沈頭鋲というらしいんですけどね、すばらしくわかりやすい言葉ですよね。頭が沈んで接合面が平になる鋲ですよ、奥さん。空気抵抗がなくなるわけですよ。

そしてその前に、同じく空気抵抗うんぬんでマイナスの皿ネジが登場してた気がするの。

いまはもう日本ではほとんど見かけない
マイナスのネジ!!


記憶があやふやなので、もう一度確認したいところですが、ネジだけのためにまた劇場で観るのはちょっと…どうなの…これから観る人教えて…。

ネジごときで何興奮してんだって感じでしょうけどね、ネジってすごいんですよ。

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わがやでは、家人が仕事の関係上たんまりネジを持っていたりする。たまにネジ屋に行くこともある。


じつはネジは、1000年に一度の大発見といえるモノなのだ。古代ギリシアではネジの仕組みは存在していて、現代のような使われ方がされるようになったのはおそらく中世ヨーロッパなんですが、中国でも日本でもネジは発明されなかった。

そう、日本は「ネジの無い文化圏」だったのである。この件については、東京大学生産技術研究所の村松貞次郎氏の論文「日本"無ねじ文化史"」が面白いのでご一読ください。こちらにPDFがあります。

ネジは、その歴史も、モノ自体も、非常に奥が深く、1本のネジの背後には、わたしには到底理解できないような、広大なネジの世界が広がっていて、ネジに詳しい人にネジの話をうかがってたらあっというまに時間経っちゃうくらいなんですが、残念ながらこのすばらしいネジの世界をみなさまに伝える力がわたしにナイ。

そこでたま〜にながめているネジ関連のリンクをここで紹介します。なにかのお役に立つこともあるでしょう。

ねじニュース/ばねニュース
金属産業新聞社のサイト。「ねじ」の並びが「ばね」ってところがもうグッときますよね。

ファスニングジャーナル
ねじ業界専門誌(旧全国鋲螺新聞社)のサイト。

ねじJAPAN
ねじの情報&コミュニケーションサイト。
このサイトのねじの学びにある「ねじの基礎知識講座」は面白いのでオススメ! 特に「ねじの歴史1、2、3」はぜひどうぞ。100問の「ねじクイズ」!もあるよ。

ねじ職人のねじブログ
株式会社ヤマシナの職人さんのブログです。わたしの理解は超えてるんですけど、これ読むとその辺のネジに対して畏怖の念すら抱くように。

ハードロック工業株式会社
有名な、絶対にゆるまないネジ、のハードロック工業のサイト。絶対に緩まないナットの話はニッポンドットコム財団の記事がわかりやすいです。

雷電から始まる層流翼と沈頭鋲にまつわるアメリカと日本のエピソードについて
記事アップしてから発見した「沈頭鋲」に関するまとめです。プラスネジの話が!

たかがネジ、されどネジ。みなさんも、機会があったらネジのことをぜひ考えてみてくださいね!(って、だれに勧めているのか…)このネジの話、また続くかも。
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by rivarisaia | 2013-08-05 22:15 | モノ | Comments(2)

風立ちぬ

上映終了かけこみ鑑賞ばかりのわたしがめずらしく早々に観にいったので、さっさと感想書く。

風立ちぬ』監督:宮崎駿

零戦の設計者である堀越二郎の半生に、堀辰雄の小説である『風立ちぬ』と『菜穂子』をミックスした変な話です。

よい評価と悪い評価のどっちを読んでも、そうだよねーって同意できちゃうアンビバレントな作品だったんですが、好きか、嫌いかで言うと、両方まじってるというこれまたアンビバレント。

好きなところは航空機に関する場面。嫌いというか、個人的にはなくてもよかったのは、堀辰雄部分(ヒロインが出てくる恋愛のパート)。アニメーションの表現として凄かったのは、関東大震災の場面です。

主人公の二郎は、眼鏡を外すと流れ星も見えないくらいの近眼なんだけど、社会生活の面でも近眼的で、設計以外のことはほとんどみえてない。昼食食べてても、サバの骨のアールの美しさに見とれたりする。で、アールを計算したりする。

それのどこがいけないのか、そういう人がいても別にいいじゃんか、と思うのですが、どうもこの設計以外見えてない点をマイナス要素にするために菜穂子を登場させたようにも感じられ、「美しいものを追求する天才的な人は自分勝手で、まわりのことをまるで考えない」という毎度の紋切り型か…とややウンザリもしました。

が、菜穂子は菜穂子で、限られた人生は全力で好きな人に捧げます的な、恋に生きる女性だったため、ふたりは幸せだったんじゃないでしょうか。

何故に菜穂子パートをここまで邪険にするかというと、もともとわたしが、クリエイターがモノつくってる過程には興味があるけど、私生活とかどうでもいい、むしろあんまり知りたくない…という性格だからというのもある。

いっぽうで、航空機関連の話はすばらしいです。

ドイツに航空機の見学に行く話とか、試作機の勉強会の場面とか、現場も初めてだったのでちょっとガタガタの沈頭鋲とか、心わしづかみだよ!!

航空機が壊れるときに、中の骨組みがバキバキってなるところが見えるんだけど、これもすごくわかるわ…。

技術的にはドイツに20年遅れてるし、予算もないという二郎に、夢の中のカプローニさんが「センスが先で技術は後からついてくる」と助言するところなんてグっときました。このセンスという言葉には見た目だけじゃなくて、マイナス要素を乗り越えるための工夫も含まれるんですけど、ここで機体の軽量化の話が出てきて、わくわくする。こういう話をもっと観たかったです。

ところで。

二郎がつくっていたものが「戦闘機」であるがゆえ、設計者としてのモラルを問う人もいるかもしれません。映画の二郎は葛藤してなさげですが、同僚は「武器をつくってるんじゃない、飛行機をつくっているんだ」等々いいわけしてます。

線引きが微妙なのですが、以前『戦争と広告』の話を書いた際は、道徳的にどうなのか悩みました(いまも悩んでる)。しかし広告には思想が入るけど、プロダクトには用途はあれど思想はない。非難されるべきは設計者や技術者、職人などのつくり手じゃないと思うんですよね。

とくに航空機に関しては、当時、飛行機をやりたかったら戦闘機をつくるしかなかった、という状況もあった。もちろんみんなどこかで葛藤はあっただろうけど、だからつくらないという選択肢はまずないよな。で、いまの旅客機だって、そうした数々の戦闘機の歴史の上に成り立っていると思う。

わたし、最初、堀越二郎が零戦をつくる話だと思ってたんですよ。ところが正確には零戦じゃなくて、その前の「九試単座戦闘機」だった(名称はあとで知った)。この試作機こそが、クライアント=軍の無理な要求などがなくて、比較的自由に設計できた夢の飛行機だったからにちがいない。

だから映画が、九試が飛んだところ以降の二郎を語らずに終わるのは、逆にその後のあれこれが容易に想像できていたたまれない。

一機も返ってきませんでした、と二郎が最後にポロっと言ったときに、せっかく技術とお金かけてつくったプロダクトが破壊されちゃうって残酷だよな…と悲しくなりましたよ。これが弦楽器の設計だったら、自分のつくったものが何世紀も大事にされたかもしれないのに。モノづくりも、ほんとモノによってさまざまですよね。嗚呼。

いずれにせよ、航空機の歴史はいちどどこかできちんと知っておきたいと思うにいたったあたりで、きょうはおしまい。
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by rivarisaia | 2013-08-02 23:49 | 映画/日本 | Comments(2)