「ほっ」と。キャンペーン

今年も「これを読まずして年は越せないで賞」の決定ツイッター会議が無事終了。

気づいたら5時間半もやってたみたいで、主催の渡辺さんはじめ、審査員の@monasumiさんと@shokikokiさん、横ヤリ入れてくださったみなさん、横目でTL読んでたみなさん、おつかれさまでした!

ショートリストはこちらです。今年は候補作全部の感想をブログにアップしようと目論んでいたのに、無理でした。来年はがんばるわ…。

1)児童書/YA:『The Screaming Staircase』Jonathan Stroud

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この本は、個人的にもちょうオススメ!! 幽霊退治会社で働く3人の少年少女の幽霊退治物話です。あまりに気に入ってしまったので、いろんな人にすすめたい1冊。年が明けたらちゃんと感想書きます。→感想書いた!

2)ノンフィクション部門:『Lean In』Sheryl Sandberg

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これもまだ感想書いてなかったけど、こちらは邦訳も出ていますので、未読の人はぜひどうぞ。「どうせキャリアのある女性のハウツーでしょ、興味ないね」という人は間違ってます。ツイッターでも言ったけど、働く女性の権利を主張する本ではなく、これからの社会のありかたについて提案する本です。男女問わず読んでほしい。

3)フィクション(文芸小説・短篇集)部門:
『A Tale for the Time Being』Ruth Ozeki


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フィクション部門1は、アリス・マンローかルース・オゼキだったのですが、みんな一致でルース・オゼキ。わたしの感想はこちら

4)フィクション(SF、ミステリ、ラブロマンスを含む大衆小説)部門:
『The Rosie Project』Graeme Simsion


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フィクション部門2は、さんざん迷ったすえに、とても楽しい1冊がベストに選ばれました。わたしの感想はこちら

そして最後に、今年の大賞は…

『A Tale for the Time Being』Ruth Ozeki です!

今年もたくさんの本を読むことができてよかったなー。来年は何が候補作になるかしら。「これ読ま」でピックアップした本を冬休みにでもぜひどうぞー。ちなみに、冬休みに東京の紀伊國屋書店新宿本店に行けば、これ読まの候補作が全部手に入るそうですよー。棚番号はE01。

・5時間半の会議の経過は Togetter でどうぞ:
2013年「これを読まずして年は越せないで賞」決定ツイート会議
・洋書ファンクラブの渡辺さんの記事:
2013年「これを読まずして年は越せないで賞」受賞作発表!
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by rivarisaia | 2013-12-30 23:59 | | Comments(0)

Merry Christmas!

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今年のクリスマス画像は、スロベニアのクリスマス切手1998年(消印付き)。
クリスマスブックレット切手として販売されたものらしく、なんとも可愛らしい絵柄。以前、スロベニアの人から送られてきたクリスマスカードの切手でした。

それではみなさん、Buon Natale!
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by rivarisaia | 2013-12-25 00:32 | 切手・郵趣 | Comments(2)

去年は書けなかったけど、そろそろ書いてもいいかな〜という、若干内容にふれている本の感想です。

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Me Before You』Jojo Moyes著、Pamela Dorman Books

ちょうど昨年フランス映画『最強のふたり』が公開された頃に読んだ本で、「身体が麻痺してしまったお金持ちが、労働者階級の介護者と交流することで、お互いに触発されて云々」という設定は同じですが、内容はまったく違う方向に進みます。

失業して困っていたルーことルイーザは、バイクの事故で四肢麻痺となった男性ウィルの付き添いとして働くことになる。

専門の介護人はほかにいるので、ルーの役割はあくまで「付き添い」だが、ウィルはまったく心を開かず、ルーはほとほと困り果て、仕事を引き受けたことを後悔するのだった。


というところから話がはじまり、しだいにウィルとルーが打ち解けて……というのはみなさんの想像通りです。ウィルは上流階級の人間で、いっぽうのルーは労働者階級。この対比はおもしろく、字幕のついた映画なんて観たことないというルーに仰天したウィルが、ルーに新しい世界を見せてあげようとする『マイ・フェア・レディ』的な展開もひかえていて、すっかり心あたたまる話と思いきや。

ルーが雇われた本当の理由が明らかになるのですが、それは、ウィルが自殺しないように見張ること、だった。

そう、事故を起こすまで人生を謳歌していたウィルは、身体が不自由となったいま、これは自分の人生ではない、と絶望しており、Dignitas(ディグニタス ※スイスに実在する団体です)に安楽死の申請をしているのでした。これを知ったルーは、なんとかウィルの気持ちを変えようと奮起し、ウィルの家族もそんなルーに期待をよせ…と、じつに重い展開になっていく。

結末はここでは語りませんが、「尊厳死」についていろいろな角度から考えてしまう話です。というわけでロマンチックコメディのようにみえて、中味はすごくビターでずっしりくる小説。ときどき語り手が変わるんですけど、なぜあの人は語り手にならなかったのかな…といまも考えちゃう。

評判になった本なので邦訳も出るのではないかと期待。映画化の権利も売れているので、いずれ映画にもなるかもしれませんが、『最強のふたり』の二番煎じと受け取られるともったいない。というか、『最強のふたり』のリメイクよりも、こっちを先に制作したらいいのにねえ。ただ、映画用に重要な部分が変更されると台無しになるからそれも心配。
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by rivarisaia | 2013-12-20 23:53 | | Comments(0)

ゼロ・グラビティ』にて、サンドラ・ブロックがソユーズの降下モジュール内で葛藤するという、おそらく多くの人が涙ぐんでいたであろう場面で、わたしは「サンドラ、がんばれ!」と心の中で声援を送りつつも、目はコントロールパネルにクギづけ。

だってマイナスねじらしき物体が映ってるんですよ。
(追記:確認しました!ゼロ・グラビティのマイナスねじ

コントロールパネルは映画ではまるっきり重要じゃないので、スクリーンにちらっちらっと出てくるのみ。なのでわたしときたら「そうか、そうか、サンドラ…つらいよね…(で、コントロールパネルもっと大写しで一瞬静止プリーズ!)」と唱えてた。胸に沁み入る場面だというのに。

そこでさっそく、宇宙船のネジにマイナスが使われてるか会議が開かれた。

いやあ、NASAの画像アーカイブがすばらしすぎて、感涙。というか、深夜に写真拡大して真剣にネジ探してる我が家、あたまおかしいとおもう。

さて。

宇宙船といってもパーツはいろいろなので、今回の議題はコントロールパネルまわり。家人は「1本でもネジがゆるんだら一大事なのに、すぐなめるようなマイナスなんて使ってられっかよ」と言うのである。

確かに、アメリカのシャトルはほとんどプラスかポジドライブのようにみえる。アポロの写真もぼんやりしてるんだけどプラスかポジドライブっぽい(たとえばアポロ10号の写真はコチラ)。ただ、よくみるとシャトルの計器の一部にマイナスのようなネジがある。

たとえば「STS-127」の左上の計器を留めてるのがマイナスっぽい。どれか探せるかしら。ふっふっふ。

別角度の写真がコチラにあります。女性が手でつかんでる部分のナナメ左上にある「Line of Sight Rates」という計器を留めてるネジの一部がマイナスみたいなのだ。なんでここだけ?という気もするけど。

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しかもグレーに塗られているのも謎。

STS-116でも「Line of Sight Rates」だけがマイナスっぽい。いずれにせよそれ以外は、アポロ時代からプラスのようなポジドライブのようなネジが主流なのはわかった。

で、映画にも出てきたソユーズなんですが。

コチラとかコチラとかコチラをご確認くださいよ、奥さん!

部分拡大してみますよ。
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ほらー。
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ちょっとマイナスねじ、いっぱい使われてるよね!? コントロールパネル部分じゃなかったりもしますけど、マイナスが主流っぽくない? ロシアだから?

アポロ=ソユーズ・テスト・プロジェクトの写真でもマイナスだよ。

さらにコチラにソユーズの窓の写真があったんですけども。堂々たるマイナスねじ!

うむ。やはりサンドラさんが乗り込んだ降下モジュールのコントロールパネルもマイナスねじだったに違いない。これから観る人は、確認してみてください。違ったら教えてー。

さて、ここまでさんざん宇宙船のコントロールパネルのネジの話をしてましたが、家人いわく『2001年宇宙の旅』の宇宙船のコントロールパネルには、なんとネジがぜんぜん使われてない。

「そういうデザインで未来を表現したんだとおもうよ。ネジがなくてもモノが留まる世界。それが未来、という発想で」(by 家人)


マジですか。

ざっくり確認してみると本当にネジがない。2001年は無ネジ世界なのだった。

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まったくもってコントロールパネルはのっぺりしてるし。

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HALのメモリーセンターのパネルはリベット留めだし。

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HALの記憶を消去する動作がネジまわしに見えてきましたが、これはカギ。

こうなってくるとスター・ウォーズの世界はネジ社会なのか気になるところですが、それはまたいつか確認します。

【本日のオマケ】
映画みた人向けの宇宙船ガイド:
The Spaceships of 'Gravity': A Spacecraft Movie Guide for Astronauts

アポロ13で、船内にあるもので工作しないといけなかったフィルターの実物
その1その2
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by rivarisaia | 2013-12-17 22:17 | 映画や本の雑記 | Comments(8)

ゼロ・グラビティ

とてもすばらしい映画。忙しさの合間に行ってよかったよ! おかげでヤル気が出た。なぜか邦題は「無重力」になってるけれども、これは反語的なナニカですよね。無重力についての映画だろうか、いや重力だ、という。

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ゼロ・グラビティ(Gravity)』監督:アルフォンソ・キュアロン

話はシンプルです。宇宙にいる宇宙飛行士が、尋常ならざる困難に直面するけれど、なんとか地球に帰還しようと試みる話であると同時に、過去に大変つらいことがあって、現在だって死にたいくらい過酷でも、未来は大地に立ちあがって生きていくんですよ、という話です。

ストーリーは単純なぶん、映像にメタファーがころころ転がっていて絵で語る映画です。しかし宇宙、煉獄みたいだったわよ。煉獄から出るには「神の舟」に乗らなきゃならないしさ…(本当です)。

そして重力から自由になれる世界のほうが人間には不自由で、重力に縛り付けられてる世界のほうがまったく自由な世界なのだった。

日常で重力を意識することなんて滅多にないけど、この映画のラストでは「重力」をすごく実感しましたよ。たぶん、これまででいちばん実感したような気がするし、映画でここまで体感するってすごいよ。ザ・重力、ドドーーン!と全身にきた。こればっかりは、観た人じゃないとわからないので、みんな観てー。

そして、余談ですが、もうひとつ。

本作、ねじとボルトも映ります!(だから何だ、と言われそうだけど)でもね、マイナスねじだとおもう、たぶん。そこで宇宙船のねじの話は次回につづく!(→書いた

ところで、本作はすでに述べたとおり生きることがテーマなのにこんなこと言うのもなんですが、わたし宇宙でほうりだされたら、運動神経的にもいろいろ無理なのでさっさとあきらめるね…。二酸化炭素中毒で意識を失い、そのままくるくると漂流する人になる。

【追記】
確認しました!
ゼロ・グラビティのマイナスねじ(確認)
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by rivarisaia | 2013-12-16 01:21 | 映画/洋画 | Comments(0)

The Storyteller

HHhH』以降、ナチス関連の物語が定量に近づきつつあるので、どうかなーと心配しつつ読みましたが、さすがピコーはひと味ちがった。読み終わったあと、いろいろ考え込んじゃったよ…。

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The Storyteller』Jodi Picoult著、Emily Bestler Books

心を顔に傷を負い、トラウマを抱えて孤独に生きているパン職人のセージ。ある日、彼女はグループセラピーの場で老人ジョセフと出会い、お互いに言葉を交わすようになる。

そんなジョセフは、セージを友人と見込んで頼みごとをする。自分はかつてSS将校だったと告白したジョセフは、ユダヤ人であるセージに死ぬ手助けをしてほしいと言うのだ…


祖母がアウシュビッツの生存者だったということもあり、ジョセフの告白に憤ったセージは警察に連絡しますが、まともにとりあってもらえず、たらいまわしの挙げ句に司法省のレオに相談することに。しかしレオも、確証が得られなければ動けないのでジョセフからもっと証拠を引き出すように、とセージに伝える。

謎の「物語」を間に挟みながら、セージ、ジョセフ、セージの祖母、レオ、と語り手が変わりながら話が進みます。この間に入る「物語」はいったい何なのか、さっぱりわかりませんでしたが、途中で判明します。

セージの祖母の話が読んでいてツラい。すべてのユダヤ人が善人だったわけではなく、すべてのナチスが悪人だったわけでもない。

…when you get close enough to any given situation, you realize that there is no black or white. There are gradations of gray.


と、ピコーが書くように、そんな限りなくグレーの世の中でだれかを裁くこと、罪を償うこと、人を許すこととはどういうことなのか。

ところで。

話は変わりますが、以前、ナチス幹部の子孫にスポットをあてたBBCのドキュメンタリーをみました。

ある兄妹は血筋を残さないために避妊手術を受け、ある人は大叔父を糾弾する本を出し、またある者は贖罪行脚を…といった具合で、生まれてくる家庭を選べないというのに大変に気の毒なことになっていたのですが、そのなかで、アウシュビッツの所長だったヘスの孫である男性が、初めてアウシュビッツを訪れるという場面がありました。

おりしもイスラエルからの修学旅行生が来ていて、よせばいいのに男性と対話することに。そこで「どういうつもりでここに来たのか」「いまあなたの祖父(ヘス)が目の前にいたらどうするか」と、厳しい口調で若者に質問されるのだが、正直、ちょっとこの光景が不快だったわけです。

身内がそこで殺されているイスラエルの若者たちの気持ちはわかる。しかし責める相手が違うのではないか。満ちあふれる正義感と断ち切れない憎しみの連鎖がそこに見えて、それが不快の原因の気がするけど、かといって、イスラエルの若者たちが「昔のことは気にするなよ!」と彼にいえるものなのか。

そのとき、ホロコーストをいきのびたというひとりの老人が歩みより、「きみがやったわけじゃない。きみはそこにいなかったんだよ」と話しかけ、ヘスの孫は泣き崩れてしまうのだった。


わたしはこの小説のセージに対し、厳しい口調で質問していたドキュメンタリーの若者たちに抱いたのと同じ不快感を感じていて、これまた彼女のおかれた状況を考えると仕方ないけどさ、確かめもせずにその態度はどうなの…頼むから落ち着いてほしい…とずっとやきもきしていました。

だからこそ、ピコーが用意したラストはすごい。セージは彼女ならそうするだろうと予想した通りの決断を下すんだけど、このあと、彼女はどうなっちゃうんだろう。あんなに苦手におもっていたはずの彼女のことが心配だ。
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by rivarisaia | 2013-12-12 23:59 | | Comments(0)

雨に唄えば

ちょっと前に久々に観たんですが、そういやミュージカル嫌いの家人にみせたらすんごい不評だったという衝撃の記憶がよみがえりました。

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雨に唄えば(Singin' in the Rain)』監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン

いわずとしれたあらすじ。

ヴォードヴィルの人気者、ドン(ジーン・ケリー)とコズモ(ドナルド・オコナー)はハリウッドにやってきた。ワガママ女優リーナ・ラモント(ジーン・ヘイゲン)と組んでサイレント映画の大スターとなったドンは、新人女優のキャシー(デビー・レイノルズ)と恋におちる。

おりしもハリウッドにはトーキーの波が押し寄せ、映画会社はドンとリーナの映画をトーキーにすると決定。ところがリーナの声が使いものにならない。そこで、リーナの声をキャシーに吹替えさせることにするが…


わたしは最初のドナルド・オコナーのアクロバティックな踊りと歌が大好きなのだが、この時点で家人は「彼は無理に明るくふるまってる感じがして、痛々しい」などと言うのである。

そうかなあと内心首かしげつつも、そんなわたしも体調悪いのに仕事の電話にはつい明るく対応しちゃったりすることあるよな……とわが身を振り返り、「ドンは俳優に出世してモテモテだけど、コズモには彼女もいないし……苦悩を表に出してないだけかも……明るい人こそツラいことを耐えたりしてるわけですよ!!」とどんよりした挙げ句に拳を握りしめたくもなってくるのである。

気をとりなおして、平穏に歌やダンスや、かわいい衣装などを楽しみつつ鑑賞を続行し、しかし問題はラストなのであった。

高慢なリーナが、「私の声はずーっとキャシーに吹替えさせる」と言うのだが、それを理不尽だと考えたドンとコズモと映画会社の社長は、みんなの前で「リーナの声は偽物だ!」と暴露することに。

舞台で歌う(フリをする)リーナ。実際には幕の後ろで吹替えのキャシーが歌っているのだが、ドンとコズモと社長トリオは嬉々として幕をあげ、「この人の声はじつは吹替えでーす」と観客にバラすのでありました。


ここで、家人が「ひどい! これじゃあイジメじゃん。いくらこの女優が性格悪いからって、公衆の面前でここまでやる必要があるのか」と怒りはじめ、その後、ドンとキャシーがふたりで歌いながら抱き合って「The End」になると、「なんだよ、こいつら。後味悪くないのかよ。なんかひでえ話だな!」と言い捨てたのであった。

うむ。

その視点でふりかえると、確かにリーナは性格が悪いんだけど、まわりがちやほや甘やかしてきたわけだし、ドンもドンだよなあという気もしてくる。ドンはリーナあっての自分の人気とわかっていて、彼女を利用している部分もあったのかもしれない。

吹替えのアイデアも「このままじゃ俳優人生が終わる」と嘆くドンのためにコズモが考えて、それに乗っかったのは社長だしなー。リーナに隠して進めたのはやっぱマズいよなあ。

ああ、なんだかわたしまで、一生懸命、歌の吹替えしてたリーナが可哀想になってきました…。

そこで。

リーナはがんばってコメディ女優として銀幕にカムバックしたらいいのではないかとおもう。反省したコズモが一肌脱いでコンビを組むというのはどうか。よし、仮に続編ができるとしたら、それでいこう!

ちなみにリーナに同情する人は意外と多いらしく、彼女を応援するサイトもいくつか海外にあったりしたのも発見でございましたよ。がんばれリーナ!
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by rivarisaia | 2013-12-10 22:45 | 映画/洋画 | Comments(4)

北朝鮮を舞台にした小説は読む気がしない、という好みの問題でながらく避けていた2013年ピュリッツァー賞受賞作品。それを読むことにしたきっかけは、自分でもバカバカしい理由なのだが、毎回どこかのサイトやら書店やらで表紙のトラの絵を目撃するたびに「あれ? この本なんだっけ? おもしろいの?」→「ああ、例の北朝鮮のやつか…」ともうろくババアのような状態を繰り返してたから!!

いいかげんタイトルと概要覚えろ、自分! っていうか、ここまできたらもう読んだらいいんじゃない?

で、読んだ。そしたら予想外にすごい本だったのだ。

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The Orphan Master's Son』Adam Johnson著、Random House

本書は、

Part 1: The Biography of Jun Do
Part 2: Th Confessions of Commander Ga


という二部構成である。そして時折、突然に「国民の諸君!」というプロパガンダ放送らしき章が挿入されている。

主人公は孤児院長の息子(Orphan master's son)であるPak Jun Do。美人歌手だったという母親を平壌に奪われ、残された父は孤児を集めた労働キャンプを指揮しており、Jun Doは孤児らとトンネルを掘削しているときに、日本人拉致の工作員としてスカウトされる。

そこでさらなる功績を認められ、英語を学び、スパイとして漁船に乗り込み、大活躍のJun Doだが…


というのが第1部。正直、第1部にはそんなに心ひかれず、やっぱり北朝鮮、興味ないわ~とわたしはやや投げやり気味に読んでいたのだが、いきなり司令官Ga (いったい誰!?)の尋問記録になる第2部で、最初なにがどうなっているのか混乱をきたしたものの、だんだん謎が解けてくるあたりで俄然おもしろくなり、ラストでひっくり返った。こ、これは…マジックリアリズム炸裂のおそるべき小説だった…。

なにせ本書のいうことには、

For us, the story is more important than the person. If a man and his story are in conflict, it is the man who must change.


ということで、重要なのは人より物語。そこに矛盾が生じるなら変わるべきは人のほう。したがって、ついには現実とフィクションは融合し、挙げ句のはてにフィクションが現実をはるか超越してまさかのアメコミ的展開が待ち受けているという怒濤のラスト。えっと、キーワードは映画『カサブランカ』です。

なに言ってるのかわからないとおもいますが、気になる人は邦訳も文庫で出ておりますので、ぜひどうぞ。

『半島の密使』(上下)アダム・ジョンソン著、佐藤耕士・蓮池薫訳、新潮文庫
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by rivarisaia | 2013-12-06 23:54 | | Comments(0)

オリーヴ・キタリッジの生活』のエリザベス・ストラウトの新刊。『オリーヴ・キタリッジ』は連作短編集で一篇、一篇を読んでいくうちにオリーヴ・キタリッジの人物像がみえてくるという作品でした。今回は長編作品ですが、人物の多面的な描写が相変わらずうまい!

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The Burgess Boys』Elizabeth Strout著、Random House

ジムとボブのバージェス兄弟は故郷のメイン州からNYに移り住んでいた。ジムはやり手の企業弁護士として成功しており、弟のボブはそんな兄をいつも誇りに思っていた。

ある日、故郷に残っている妹のスーザンから、息子のザックが事件を起こしたと連絡がきて、兄弟は故郷に戻ることになるが…


ボブは4才の頃に、父親を亡くすのですが、その父親が死んだ事故の責任は自分にあるのではないかとトラウマを抱えています。父の死は、ボブだけでなくバージェス兄弟(ボブの双子の妹スーザン含む)に暗い影を落としています。

スーザンの息子のザックがほんの出来心で起こした事件は冗談では済まされないもので、ソマリアからの移民に対するヘイトクラムとして大きく波紋が広がります。同時にそれは、周囲の大人たちの差別意識や無理解、ときに悪気のない心ない発言を誘因することになるのでした。

読み進めるうちに、それぞれの登場人物の意外な一面がふっと現れてきて、最初の印象がどんどん変わってきます。ここがすごくおもしろい。ボブがうらやむ、よくできた兄ジムだって誰にも言えない悩みを抱えているし、スマートなジムをみんなが高く評価しているわけではないのだった。

正直、共感できるような好ましい登場人物はまるでいないんですが(脇役のひとりをのぞく)、結局のところ、わたしたちは他人のことを100%理解できやしないし、相手の内面をすべて知ることもできない。同じ家族やごく近しい人の間であってもそうなのだから、言葉や文化、宗教、価値観、住む環境がまったく違う人たちが理解しあうのってなかなか難しい、という、当たり前だけど忘れがちなことを読んで実感するという1冊です。
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by rivarisaia | 2013-12-04 23:58 | | Comments(0)

気づけばもう12月! 早っ!! そしていろいろなことが片付いてなくて(もたもたしているわたしのせいである)、大掃除を小分けにしてクリスマス前に終わらせる件もいまだ手つかずである(これももたもたしているわたしのせいである)。とりあえず年賀状だけ買ってみたけど、その前にクリスマスカードを書かねばならないことをたったいまおもいだすというていたらく。

昨日からアドベントだっていうのに、まだクリスマスの飾りも出してないからねー。

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Krippen im Bayerischen Nationalmuseum

さて、こちらはミュンヘンにあるバイエルン国立博物館のプレゼピオ・コレクションのカタログです。子どもの頃にお土産でもらったのですが、クリスマスが近づくとぺらぺらめくってながめたりしてたので、ページがはがれかかってたりします。

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プレゼピオとは「キリスト降誕の情景をお人形で再現したもの」ですが、プレゼピオという言葉はイタリア語で、ドイツ語ではどうやら「Krippen(直訳:飼い葉桶)」というらしい。

Max Schmederer氏(1854-1917)が、1880年から蒐集したプレゼピオ=クリッペン(ババリア、チロル、ナポリほか)を1892年に博物館に寄付したのがこのコレクションだそうです。

第2次世界大戦の際に、博物館が爆撃をうけてアレンジが壊れてしまったものの、フィギュア本体は破壊をまぬがれ、再びもとのように並びかえられた


とこのカタログには書いてあります。ということは常設で展示してあるのかしら。見応えがありそうなコレクションなのでぜひみてみたいわー。

博物館のコレクションのサイトにちょこっとだけ写真があるのでどうぞ。

そろそろうちもクリッペンを出すか……。
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by rivarisaia | 2013-12-02 23:32 | | Comments(2)