「ほっ」と。キャンペーン

三浦しをんの原作もおもしろかった記憶があるんですけども、映画もとてもよかった! 爽やかな森の樹々の匂いや、切ったばかりの木の匂いがしてくるようなそんな映画。

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WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』監督:矢口史靖

大学受験に失敗し、彼女にもふられた勇気は、たまたま見かけたパンフレットに惹かれて、軽い気持ちで1年間の林業研修に申し込む。しかし、そこは携帯の電波も届かない山奥で、厳しい修行が待っていた……


都会っ子が田舎で苦労して成長する、という王道ストーリーですが、爽やかな青春物語でもあるし、コメディとしてもよくできているし、何よりも「林業」について興味が湧くような作りになっていて、すばらしいですね。観終わったときには、もっと詳しく林業について知りたい気持ちでいっぱい。山に行きたい!

そういう意味で、林業PR映画としても成功しているような気がします。ふだんの生活では、林業について考えることって少ないかもしれないけど、私たちの日常生活と林業は密接に関わっているわけで、さりげなくそんなことも伝わってくる映画なのだった。

(林業は)いい仕事をしたかどうかの結果が出るのが、自分たちが死んだ後、という台詞があるように、非常にスパンの長い仕事なんだけれども、これってもしかすると本当は林業だけに限らないのかもしれないな、とふと思ったりもしました。

主人公の勇気くん(染谷将太)は、イマドキのチャラい青年で、最初の頃は本当にイラッとくることこの上ないのですが、いつのまにやら気づけばすっかり立派な山男になっているのだった。最後のほうのお祭りのエピソードなんて、もう涙流して大笑いしちゃった(いま思い出しても笑える……)。

そう、それから余談ですが、この映画は、立派な「ヒル映画」でもあります(前に書いたコチラを参照)。やっぱりヤマビルはいやだ〜!
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by rivarisaia | 2015-05-27 18:21 | 映画/日本 | Comments(0)

妻よ薔薇のやうに

ずーっと観たい、観たいとおもっていた映画をついに観ました。とっても面白かったです。

妻よ薔薇のやうに』監督:成瀬巳喜男

丸の内で働いている君子は、歌人の母、悦子と暮らしている。君子の父は、ずいぶん前に家を出てしまっていた。長野の山奥に砂金を探しにいった父は、別の女性とくらしており、しかもふたりも子どもがいるのだった。

そんな父を、君子は連れ戻しに行くことになるのだが……


1935年の映画なんですが、30年代はやはりモダンだなあ! 衣装もモダンだし、セリフもモダン、東京の街並みもモダン、ときたもんだ。君子のお母さんは「静かにしてちょうだい。今インスピレーションがあって、いい歌ができそう」なんて言う。インスピレーション!

君子と恋人の会話もとても好き。たとえば恋人が、お菓子をもって君子の家にやってきた時の会話はこんな調子。

ああ、のどかわいた。
あら、お茶が飲みたかったら、あそこにあるからいれてちょうだい。紅茶もあってよ。
へえ、お客様がやるのかい?
ちょっと手が離せないのよ。
何を買ってきたの?
なんだ、お菓子になら手が離せるのかい?
よしてよ、食べたいんじゃないわよ。


この会話は、のちに立場を逆転して、君子が恋人の家を訪れたときに繰り返されるのが、ちょっと可笑しい。そんな丸の内OL君子の月給は45円。恋人の月給は、10円高い55円です。

さて、砂金を探しにいった父親はどうにもダメな男なのだが、芸者あがりの二号さんがなんと大変によくできた女性で、最終的には、ああ、これはお母さんの負けだわと、君子も理解することになるのだった。

君子が父を訪ねて信州に行ったときに、道端で偶然父の息子に出会う場面があるんだけれども、ここでその少年が頭にカバンを乗っけていて、真顔で会話してるのが不思議(笑っていい場面なのか、よくわからなかった……)。ダメ親父の血を引いている息子っていう感じもするけど。二号さんとお父さんの間には娘もいて、こちらは母親似でしっかりしてました。
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by rivarisaia | 2015-05-24 23:36 | 映画/日本 | Comments(0)

東京は、飯田橋(と江戸川橋の間)にある印刷博物館に、ヴァチカン教皇庁図書館の書物がきてますよ! 先日ようやく行きましたー。7月まで開催中。

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ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ 書物がひらくルネサンス

2015年4月25日(土)~2015年7月12日(日)
10:00~18:00(入場は17:30まで)

印刷博物館(東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川ビル)
入場料:一般800円、学生500円、中高生300円、小学生以下と65歳以上の方は無料

休館日等については公式サイトをどうぞ


「ヴァチカン教皇庁図書館展―書物の誕生」が13年前と聞いて、一気に遠い目になった私ですよ。はああああ。前回は、聖書の写本から活版印刷の書籍までの流れを見せる展示(だったような記憶)でしたが、今回のメインテーマは「ルネサンス」。人文科学の書物がたくさんありまして、どれも興味深い。久しぶりに「本」を見てクラクラしました…。

気になる本が何冊かあるのですが、たとえば中ページを全部読んでみたい本が、バルトロメオ・ミニアトーレの『俗語による親書と返書の書簡集』。俗語(イタリア語)による上手な手紙の書き方や、会話の例文が出ているマニュアル本らしい。いったいどんな例文が出ているのだろうか。

また、日本や東アジア関連のコーナーもあり、天正少年使節からの感謝状やキリシタン関連の書物が展示されています。迫害に苦しむキリシタンからの手紙が切ない。なぜなら、署名をした半数がのちに拷問で殉教しているからです。この手紙は、本文用紙に金泥が使われていて、まるで蒔絵の上に手紙を書いているような印象なんですよね。

図録は買わないと決めて、目に焼き付けるようにじっくり時間をかけて展示をみてまわったのに、図録の製本がステキすぎて、「これは買う、買うよね!」と即決。おかげで、オリジナルマスキングテープを買うつもりだったのに、それをすっかり忘れてしまいました。。。
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by rivarisaia | 2015-05-19 23:33 | 展覧会ほか | Comments(4)

古本を使ったアートの一種に、ブックスカルプチャーというのがあって、有名な作家が何人かおりますが、その中でも私の大好きな作家の展覧会が、日本の東京は銀座で開催中です。やったー! なかなか行けなかったのだが、ようやく観に行った。

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スー・ブラックウェル 「Dwelling -すみか- 」

2015年4月29日(水・祝)-6月14日(日)
11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)
入場無料/会期中無休

ポーラ ミュージアム アネックス
東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階


詳細や作品解説については公式サイトをどうぞ。

スー・ブラックウェルの作品は実物を観たのが初めてだったので、間近でじっくり眺めることができてとても嬉しい。開かれた本のページから、ポワン!と独特の世界が飛び出したかのような作品は、どれも幻想的ですばらしい。

会場構成がユニークで、ひとつひとつの作品が家の形のブースの中に配置されています(作家のブログ記事に写真があるよ)。ブースがやや小さいため、腰をかがめてそこにある秘密の世界をこっそりと覗き込んでるような気持ちになります。不思議。

創作過程の映像も面白かったなー。ボンドは何を使ってるんだろう。会期中にどこかでまた観に行くつもり。

作家のサイト:http://www.sublackwell.co.uk
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by rivarisaia | 2015-05-14 22:01 | 展覧会ほか | Comments(0)

なんだかよくわからない映画なんだけど、考え出すといくらでも意味を見出せそうだし、ふとした瞬間に脳裏に浮かぶ印象的な場面がいくつもある、そんな映画。いつものソレンティーノの映画、といえば、まあそうなんだけど!
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グレート・ビューティー/追憶のローマ(La Grande Bellezza/The Great Beauty)
監督:パオロ・ソレンティーノ

作家のジェップは、ローマで享楽的な毎日を過ごしていたが、どこか虚しさを感じていた。

というのが、主なあらすじで、そこに初恋の人の訃報をはじめ、細かいエピソードが挿入されるんですけれども、 ふと思ったけどセルヴィッロおじさんのプロモーションビデオっぽくもあり、美しいローマと渋いセルヴィッロおじさん、そして少しシュールで透明感のあるソレンティーノの映像美を堪能できます。

フェリーニの『甘い生活』を思わせるところがあるので、みくらべても面白いかもしれません。

夜明けのバルコニーでたくさんの渡り鳥が休んでいる場面で、言葉にできない大いなる美を見ました。楽しいパーティの毎日は上辺だけのもので、人生の本質は、聖女がはいつくばって登っていく長い長い階段のようなものなんでしょうけども、その途中途中で、宝石のような瞬間が転がってたりするわけですね。

ところで、家のバルコニーでしょっちゅうパーティしてたけど、近隣から苦情来なかったのかしら。音が響き渡ってそうだったけどね……。


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by rivarisaia | 2015-05-11 23:32 | 映画/洋画 | Comments(6)

インターステラー

観るている最中は理解しているつもりだったのに、かなり時間が経った今じっくり考えてみると、わかっているようなわかってないような……。いずれ見直して復習したほうがよさそうである。
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『インターステラー(Interstellar)』監督:クリストファー・ノーラン

ええと、SFです。異常気象に見舞われた近未来の地球。人類は滅亡の危機にありました。食料を確保せねばならないので、農業が何より大事。科学にうつつを抜かしているようでは困ります!という世界です。元テストパイロットでエンジニアという化学畑のクーパー(マシュー・マコノヒー)も、今はトウモロコシ農場をなんとか営んでいました。しかも男手ひとつで、息子と娘も育てていた。

そんなクーパー家で、ある日摩訶不思議な現象が起こります。幽霊のせいじゃない?などと言ってたんですが、理系のクーパーはそこに暗号のようなものを見出し、娘のマーフと一緒にそれが指し示す場所に行ってみると、

なんとそこにはNASAがあった。

で、NASAの博士が言うわけですよ。人類が移住できる星を探すプロジェクトを手がけているんだよって。俺たちのマコノヒーことクーパーはそのプロジェクトに参加して宇宙に行くことになります。だけどね、宇宙に行くと帰ってこられるかわからないし、それに地球に残った子どものほうが早く年取っちゃう。

それでもクーパーは、ほかの科学者たちとともに宇宙に旅立った。さて、クーパーは無事に帰ってこられるのか。移住できる惑星は見つかるのか。地球に残った子どもたちはどうなる!?

という話です。

光速に近い速さで移動すると時間がゆっくりなるという(合ってる?)ウラシマ効果とか、重力が時間の進みに影響することとか、ワームホールとか、五次元の世界とか、なんとなく知ってる知ってる!というものがてんこ盛りで、鑑賞中はわかるわ〜と言ってたのにさ、なんか辻褄が合ってるんだかどうなんだか、Beyond my 理解、という有様ですね……。

でもね、すごく面白いのよ! よその惑星の過酷な大自然も、ワームホールも五次元空間もすばらしい映像。次元が階層になっている感じ、同じノーランの『インセプション』思い出したりもしました。いやあ、宇宙って壮大でいいよね! (非常にざっくりとしたまとめで終わりにします)


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by rivarisaia | 2015-05-08 20:20 | 映画/洋画 | Comments(2)

NEST

Twitterでもちらっと言ったけど、読後の余韻がいい感じの児童書。『クローディアの秘密』が重要な1冊としてお話の中に登場します。懐かしい!

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NEST』Esther Ehrlich著、Wendy Lamb Books

1972年のケープコッド。11才のNaomiは、精神科医である父、ダンサーの母、姉のRachelとくらしている。
自然に囲まれ、大好きな野鳥を観察しながら、のびのび過ごしていたNaomiだが、母親が難病になってしまい、一家の生活は大きく変わってしまう……
難病になってしまったことで、精神的にも病んでいくお母さん。よかれとおもったことが、どうも空回りしてしまうお父さん。バラバラになりそうな家族のために、なんとか明るく振る舞おうとしたり、母親代わりをせざるを得なくて、いっぱいいっぱいになってしまう子どもたち。それぞれの立場の気持ちがとてもよくわかるので、大人が読むのにも適してますね。逆に私が子どもだったら、Naomiには共感しても、お母さんやお父さんに対しては「なんで?」って思ったかも。

Naomiの心理描写が巧みで、この手の物語にありがちな「よく出来た子」ではないし、ちょっとした出来事を通じて、彼女のやり場のない怒りや悲しみが痛いほど伝わってくるんですよね。Naomiは、これまた家族に問題アリの少年Joeyと仲良くなるんですけど、この少年のキャラがまたすごくよい。Joey大好き。

物語は途中で衝撃的なことが起こり、最後はNaomiとJoeyの冒険譚のような展開となります。そこそこいい話だな〜とのんびり構えてた私ですが、白鳥ボートのくだりでボロ泣き。作者、すごくうまいなー。イイ話にしちゃいそう場所で、そうくるか……。でも現実ってそういうものだよね。




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by rivarisaia | 2015-05-02 23:58 | | Comments(0)