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家族の映画

TIFFの感想を書き終える前にフィルメックスが始まっちゃった……。東京国際映画祭で最後に観たのがこちら。
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家族の映画(Family Film/Rodinný film)』監督:オルモ・オメルズ

ちょっとヘンテコなチェコの映画です。

クリスマスのちょっと前。父親と母親が、犬を連れて一足お先に南の島に旅行に出発。冬休みになってから両親と合流する予定の子どもたち(姉と弟)は、しばらくは自分たちだけで生活することになります。

親がいないのをいいことに、友人を家に連れてきて自由に過ごす姉と弟なのですが、やがて弟が学校をサボっていることが発覚。大問題となり、叔父(父の弟)が保護者の代わりをつとめることになりました。

いっぽう、ヨットに乗って南の島をエンジョイしていた両親と犬ですが、突然の嵐に巻き込まれ、なんと行方不明になってしまうのでした。

果たして、家族は再会できるのか。そして、犬。犬はどうなったのか??

もうね、この家族、特に両親、はどうしようもなくて、観ている途中でこの人たちがどうなろうが知ったこっちゃない、と思った私ですが、犬、犬だけは!!

嵐に巻き込まれたあたりから、家族の話と並行して、犬のアドベンチャー物語がはじまるんですけども、私にしてみれば後半の主役は犬。あんな人たちだけれども、この犬にはあの家族が必要なのであれば、お願い、この犬と家族をふたたび会わせてあげてーーー。

ということで、この映画のタイトル『家族の映画』の「家族」には「犬」も入ります。

余談ですが、上映後の監督のQ&Aによると、演じた犬は3匹いたそうです。そのうち2匹がメインで、1匹が控え(犬の場合は長時間、集中力が続かないので撮影も大変だったらしい)。いくら似ている犬でも、毛の模様というか配色が微妙に異なっていたので、犬専用のメイクアップアーティストも参加したそうですよ。へええ。



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by rivarisaia | 2015-11-25 16:31 | 映画/洋画 | Comments(2)

ガールズ・ハウス

東京国際映画祭の6本目はイラン映画でした。

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ガールズ・ハウス(The Girl’s House/Khaneye dokhtar)』監督:シャーラム・シャーホセイニ
結婚式を翌日に控えた女子大生サミラが突然死んだ。死の直前まで新居のカーテンを変えていたのに。サミラに何があったのか、二人の友人が調べはじめるが、サミラの家族は口を閉ざし、何が起きたのか謎は深まるばかりで……
映画の前半は、結婚式の前日、披露宴に出席するためのショッピングに出かけた女性大生ふたりが、その日の夜に友人の訃報を聞き、あまりに突然すぎる死の謎を探ろうとするミステリー。

後半は、結婚式前日、幸せだったサミラが死んでしまうまでのいきさつ、つまりは謎の真相を描いてます。ただ前半の友人ふたりには、真相はわからないままなんですよね。

結局、新郎の家族(姑と叔母)の保守的で強引な行為が、サミラの死を招くことになったのですが(ここで、若尾文子の『女系家族』を連想した私である)、新郎自身はサミラのことをとても愛してたようだし、自分の家族の態度に怒っていたので、サミラと電話さえ通じれば、不幸な事態にならなかったのかもしれないな。

昨年の『メルボルン』もそうだけど、TIFFで上映されるイラン映画ってどこかこうファルハディ監督の作品を連想させる、謎が謎を呼ぶ構成になっている気がするのですが、気のせいですかね。だからつい比較してしまうけど、張り詰める緊張感といつまでも心に引っかかって尾を引くラストの余韻は、『メルボルン』のほうが断然すごかったです。



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by rivarisaia | 2015-11-20 00:40 | 映画/洋画 | Comments(0)

神様の思し召し

東京国際映画祭の5本目。これも大変おもしろくて、大笑いした後で、じんわりくる映画だったのですが、日本での公開決まったみたいです。

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神様の思し召し(God Willing/Se Dio Vuole)』監督:エドアルド・ファルコーネ

心臓外科の名医トンマーゾは、頭脳明晰だが傲慢な性格だ。トンマーゾは妻のカルラと息子アンドレアと3人暮らしだが、結婚した長女のビアンカも近所に住んでいて、しょっちゅう実家に入り浸っている。
娘のビアンカと不動産業を営む娘婿に対しては何の期待もしておらず、いやむしろ見下してすらいるトンマーゾだったが、医大に通う息子のアンドレアには、密かに期待を寄せていた。
そんなある日、アンドレアが、家族全員に告白することがあると言い出して……
軽いノリのイタリアのコメディ、と思ってたら、たいそう愉快なうえに(劇場でも何度も大爆笑が起きてた)、なかなかいい話で驚いた。後から考えてみると、構成もとっても上手。そして絶妙なエンディングです。

最初に想像していた話と全然違っていて、きっとこういう話、きっと次はこうなる、という予想が(いい意味で)どんどん裏切られていくんですが、公開決まったそうなので、内容についてはこれ以上は書きません。

映画の宣伝でどこまで触れるつもりなのかわからないですが、しょっぱなのアンドレアの告白にもかなりびっくりした私であった。

内容について書けないと、困ったことに感想もまったく書けない。ということで、公開されたらもう1回観に行って、また何か書くかも。タイトルが示しているように、「神様」についての映画でもあるんだけれども、その示され方がとっても自然で、窓開けた時に入ってくる風だとか、リンゴが樹から落ちることとか、そうそう、神様ってそういう存在なんだよなー。



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by rivarisaia | 2015-11-16 23:44 | 映画/洋画 | Comments(0)

東京国際映画祭の4本目は、個人的にダントツの作品でした。日本での公開決まったみたいなので、ぜひとも観てほしいです。

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地雷と少年兵(Land of Mine/Under Sandet)』監督:マーチン・ピータ・サンフリト

第二次世界大戦中、ナチス・ドイツはデンマークの海岸に二百万個以上もの地雷を埋めた。そして終戦直後、その地雷の撤去作業に駆り出されたのは、捕虜となったドイツ軍の少年兵たちであった。

実話をもとにした物語(フィクション)です。

かつて友人と死刑制度の話をしてたときに、凶悪な犯罪者の場合は死刑って生ぬるいから地雷撤去させたらどうか、という結論に至ったことがあります。まさか現実にそれに近いことがあったとはつゆ知らず。そんなこと思い出しつつ、軽い気持ちで本作を観た。

かなり冒頭から、ドイツの少年兵たちが地雷撤去のハウツーを叩き込まれる場面があり、そして早々に少年たちは鬼軍曹の待つ現場に送られる。ここから先は、鬼軍曹の下で、ひたすら地雷を撤去する日々がスタートします。浜辺一帯に埋まる地雷をひとつ残らず取り除けばドイツに帰れる!という希望を胸に、黙々と作業する少年たち。帰ったらドイツを復興させるんだ!と未来を夢見る少年たち。

そんな少年たちに厳しく接する鬼軍曹ですが、憎きナチスとはいえ、彼らはまだあどけない少年じゃないか、と葛藤します。果たして彼らにそこまでの戦争責任はあるのか。

実話を元にしていますが、あくまで映画はフィクションであるところがポイント。だから辛いけれども要所要所で救いもある話になっていて、この鬼軍曹の存在は、デンマークの当時揺れ動いだであろう気持ちと、現在の贖罪の気持ちを表しているのかもしれません。鬼軍曹、すばらしいキャスティングですよ。

それにしても、この映画にみなぎる緊張感たるやただものではなく、なにせ扱っているものが「地雷」なので、いつどこで爆発するのかわかんないわけですよ。訓練シーンから、ずーっとドキドキするはめになり、びっくりしやすい私は何度か座席から「ひゃっ!」って飛び上がった。この緊張感を味わってほしいので、できれば映画館を推奨します。

実際に地雷が埋められていた海岸で撮影されており、映画の撮影時にも不発弾が見つかったそうです。白い浜辺と薄青い海がどこまでも美しくて、人間の愚かさとは対照的なのでした。

戦後70年経ったから、ようやく描けるデンマークの暗部。こういう作品が作られるのはすごいよね。今回はあえて予告は貼りません。

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by rivarisaia | 2015-11-14 00:19 | 映画/洋画 | Comments(12)

百日草

東京国際映画祭の3本目は心に沁みる映画でした。思い出すだけでしんみりする……。

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百日草(百日告別/Zinnia Flower)』監督:トム・リン

交通事故で、婚約者を失った女性と、妊娠中の妻を失った男性。ある日突然、大切な人を亡くしてしまった二人が、喪失感に苛まれながらも、なんとか現実を受け入れて生きていこうとする100日間の物語。

百日というのは、初七日、五七日、四十九日……という法要の日数で、百日目は泣くのをやめる日(卒哭忌)だそうです。仏教の習わしに疎い私は、なるほど台湾ではそういう習わしなのかと興味深く思ったけれども、日本にも百ヶ日法要があることを後で知る。

事故では軽傷ですんだミン(カリーナ・ラム)。婚約者の母親は、息子の死に対する怒りをミンにぶつけてくる。葬儀では遺族側で参列させてもらえず、出せなくなってしまった結婚式の招待状をぼんやり眺め、料理人だった婚約者が残したレシピカードを見ながら食事を作り、そして新婚旅行で行くはずだった沖縄へ、彼女はひとりで旅立つ。

この映画は帳面派でもあるのですが、ミンと婚約者は沖縄で美味しいものを食べ歩くつもりだったらしく、行きたいカフェやレストランをまとめた旅の帳面が登場するんですよ。それを手に、ミンはひとりで黙々とまわっていくのね。曇り空の沖縄を。切ない……。

いっぽうで、怪我を負ったもののやはり自分だけ助かってしまったユーウェイ(シー・チンハン)は、事故を起こした加害者の家に怒りの電話をかけ(でも加害者は死んでしまっているのだった)、クリスチャンだった妻の友人たちの、無神経な言葉に憤り、腫れ物に触るように接してくる同僚に苛立ちを覚える。

やがて彼は、自宅でピアノを教えていた妻が受け取っていた月謝を返すために、妻の教え子たちの家を一軒一軒訪ねてまわるようになる。

ミンとユーウェイは、山のお寺で行われる法要の場で顔を合わせ、少し言葉を交わすだけの間柄で終わります。

百日の間に、淡々と時は流れていくようでいて、じつはいろいろなことがあり、自暴自棄になったり、自殺を考えたり、なんとか踏みとどまったり、怒ったり、泣いたり、そうしていくうちに時間が少しずつ傷を治していくのでしょう。傷痕は決して消えることがないにしても。

ハンカチ忘れると劇場で大変なことになりますが、本当にしみじみとよい映画なので公開されるといいなあ。では、予告をどうぞ。




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by rivarisaia | 2015-11-12 23:28 | 映画/香港・アジア | Comments(0)

東京国際映画祭で観た2本目は香港映画で、ロードレースの話。

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破風(To the Fore)』監督:ダンテ・ラム  *(公開時タイトル:疾風スプリンター)

香港映画だけど、舞台は台湾。自転車ロードレースのチームでアシストとして活躍する2人の新人が主人公。タイトルの「破風」は風除け=つまりはアシストを意味しているそうです。

公開されるといいなと思うので、詳しいあらすじは伏せておきますが、前半はツール・ド・台湾(多分そんな感じのレース)で好成績を収めているチーム・ラディアントで、エースのために頑張るアシスト2人の活躍っぷりを描いています。

その後、事情があってエースと二人のアシストはそれぞれ別のチームで新たな道を進むことに……。

ロードレースが全くわからない人も、大好きな人も、ともに楽しめるような作りになっていて、とにもかくにもレース中の映像に迫力があってとてもよいです。いや普通それはないだろ、みたいな部分もあるんだけれども、そこはほら、映画だから。

RRが好きな人は、観終わった後にお友だちと「ああいうことはナイナイ!」とか「ああいうこと、あるある!」と盛り上がるのも楽しいのではないでしょうか。毎回エースが勝たないといけないような演出になってたけど、あれはおそらく、区間優勝はこの人で総合順位で上位はこの人などとやりだすと混乱するからだと思う。

私は映画の最中に、なぜだか本当のレースを観ているモードになってしまい、「ちょっと待て、いま先頭と集団はどのくらい離れてるのか?」「ゴールまであと何キロ?」などとたびたび画面スミにそれらの表示を探してしまい、表示はナイよ、だって映画だからね!って自分にツッコミ入れてたね……。

そして落車があるたびに「あわわわわーーー! 大丈夫〜?」とおうちで観てる時のように椅子から立ち上がりそうな衝動に駆られ、だからこれは映画だからね!!って自分に……(以下略)。

鑑賞後に、監督にサインをもらう機会があったのですが、その時「本当のレースを観ている気分になってしまいました。。。」と伝えたところ、ダンテ監督ちょっと嬉しそうでした。

全体的にとっても爽やかな映画で、唯一不満があるとすれば、女子との恋愛ネタが超いらない!という点くらいです。というわけで、予告編を貼っておきますねー。






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by rivarisaia | 2015-11-05 18:40 | 映画/香港・アジア | Comments(4)