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2017年これを読まずして年は越せないで賞 受賞作!

今年の「これを読まずして年は越せないで賞」も無事決定いたしました!

候補作のリストはこちらをどうぞ。

そしてツイッターで話し合った結果は……

I. YA 最優秀作品: 『The Hate U Give』Angie Thomas

YAの最優秀作品は、「ブラック・ライブズ・マター」や、日常の差別や偏見についてがテーマの作品。こちらは私、感想書いてました。

児童書については来年の2月に審査を行う予定です。

II. ノンフィクション 最優秀作品:『Born A Crime』Trevor Noah

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南アフリカ出身のコメディアンで、2015年からアメリカの「The Daily Show」のホストをつとめているトレヴァー・ノアの回想録です。幼い頃から笑い事じゃないくらい大変な人生を送っているんだけれども、それをユーモアを交えて語っていて、悲惨なのに笑ってしまうし、逆境に負けないエネルギーがつまっていて、なぜだか読んでいてとても元気が出る。本人が読んでいるオーディオブックでもう1回読もうかなー。

III. ジャンル・フィクション(SF、ミステリを含むジャンル小説)部門

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「Shades of Magic 三部作」V.E. Schwa

1巻から順に、タイトルは次の通り。
『A Darker Shade of Magic』
『A Gathering of Shadows』
『A Conjuring of Light』

ジョージ3世の時代、灰色、赤、白、そして滅亡したとされる黒と、3つ(4つ)のロンドンが並行して存在する世界が舞台で、そのパラレルワールドを行き来できる魔法使いが主人公。1巻より2巻が、2巻より3巻が面白い。そして登場するキャラクターがとてもいいです! (NetflixかHuluあたりでドラマ化してほしい〜)


IV. フィクション:(大衆文芸)『Beartown』Fredrik Backman
  (文芸小説)『The Tsar of Love And Techno』Anthony Marra

フィクションは迷いに迷って、タイトルも多いので受賞は2作になりました!
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「Beartown」は『幸せなひとりぼっち』の著者フレドリック・バックマンの長編。過疎化が進む小さな田舎町ベアタウンでは、人々にとって非常に重要な位置にあるものがアイスホッケー。町を再び繁栄させるため、アイスホッケーチームを強化させようと取り組んでいる最中に起きた、ある事件。舞台はスウェーデンだけど、日本に置き換えてもじゅうぶん通用する話だし、まさに今の日本でも話題になっているテーマが描かれています。

文芸の『The Tsar of Love And Techno』は、私が絶賛してて感想も書いてますのでどうぞ。Marraは物語の構成はもちろんのこと、文章もとてもいいのです。



そして2017年の栄えある大賞は『Born A Crime』に決まりました!

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誰が読んでも心に残る箇所があるはず。明るい気持ちにもなるし、本当におすすめ。

ツイッターでの審査の経過は由佳里さんがTogetterに今年もまとめてくださったので、ゆっくりお読みください。



それでは、みなさん、よいお年を! 来年こそは、短くてもできるだけこまめに感想書くようにしたい(毎年言ってる気がする来年の抱負)。



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by rivarisaia | 2017-12-30 23:57 | | Trackback | Comments(2)

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

観てから1か月くらい経ってる気がしてるし、それどころかすでに10回以上鑑賞した気にもなってるけど、ぜんぜんそんなことはなくて、2週間前に劇場で観た、というだけなんですが、何度も何度も反芻しちゃう。
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スター・ウォーズ/最後のジェダイ(Star Wars: The Last Jedi)』監督:ライアン・ジョンソン

本当はもう1回観に行きたいけど、これは難点として、やっぱね、尺が長いです。

今回、文句があるとしたら、私の場合は2つなんですけど、そのうちの1つが上映時間の長さ。スター・ウォーズのシリーズは、自分がそうだったように、ちびっこにもみてほしいから、できれば今後は2時間以内におさめてほしいです。

あと、基本的に私にとってスター・ウォーズは歴史的事実と同等であり、描かれている内容が気にいるとか気に入らないとかナイ。だって、遠いギャラクシーで起きた現実なんだから。ジャー・ジャー・ビンクスだって、好き嫌い抜きにして全面的に受け入れる構えです。

さて。

冬休みに鑑賞する人も多いと思うので、以下、あいまいにぼやかした感想です。

本作は賛否両論だの、衝撃だのと言われているけれども、激しく文句言っている人の意見をみにいくと、ほとんどがズレている感じで同意できない。上映時間の長さ以外で、内容的に私がもやもやする箇所は、

「ハイパードライブのあの使い方はアリ?」

の1点です。全体的にタイムラインがいまひとつよくわからない構成になってたり、レイア姫メアリー・ポピンズ状態の件も「うーん?」と首かしげたけど、後者は火事場の馬鹿力ならぬ火事場の馬鹿理力かな?と思います。

でも、あのハイパードライブがアリだと、デス・スターであんな苦労することなかったじゃんね……。ドロイドを無情に酷使できそうな帝国もファースト・オーダーも無敵になっちゃいそうだしな…………。

しかし、現実に起きてしまっている事実を受け入れないといけないので、一生懸命に海外のディスカッションとか見てるんですけど、納得いく意見が少ない。みんながんばって理屈を探しているので、私も考えてみるね。

ちなみに「今まで誰も思いつかなかっただけ!」という意見が優勢だけど、いや、でもそれはちょっとなー。ということで、この件については、引き続き検討していきたい。

しかし、今回は見事にルークの物語で、私はルークの最後のあれやこれやには鳥肌たちました。すごい。あんなの想像もしなかった。そして、文句を言う人も多いローズとフィンのパートですが、ここもう少しうまく編集できた気がするのは確かだけど、エピソードとしては、いっちばん最後の重要な場面につながるからね。そして私は、今回の最後の場面はとてもよかったと思ってる。

唯一、ローズのロマンス的要素だけは、すっごい余計でした(もっと仲間的な結びつきを期待しました。まだまだSWは『パシフィック・リム』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に追いつけていません! がんばって!)。しかし、ローズ自体は愛嬌があってとてもよいキャラクターでしたよ。私は好き。




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by rivarisaia | 2017-12-27 19:14 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

メリークリスマス!

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妹夫婦からもらったアドベントカレンダー。
全部出そろったところで、メリークリスマス!

Buon Natale!!


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by rivarisaia | 2017-12-24 23:42 | モノ | Trackback | Comments(0)

否定と肯定

アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件の映画化。
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否定と肯定(Denial)』監督:ミック・ジャクソン

ユダヤ人歴史学者デボラ・E・リップシュタットが、ホロコースト否定論者のデイヴィッド・アーヴィングに名誉毀損で訴えられた裁判を描いた映画。

この裁判は、ホロコーストがあったことを証明するのが争点なのではなくて、ホロコーストがあったことは明らかであるからゆえに、歴史家のアーヴィングが、ホロコーストがあったことを知りつつも、自分の都合のいいように嘘を述べていることを証明すること。

わかりにくいかもしれませんが、重要なことです。

裁判を受けて立つことになった当初、リップシュタット教授は、否定論者に真っ向から立ち向かおうとします。自分も証言するし、アウシュビッツの生存者にも証言してもらおうと考える。でも、弁護団にそれは絶対にダメだと固く禁じられる。

ホロコーストがあったことは事実なので、事実を否定する人と対等に議論してはいけないのです。なぜなら、否定論と肯定論をならべてしまうと、まるでふたつの可能性が存在するかのように錯覚させることができるからで、それが否定論者の狙いでもあります。

事実をもとに、細かい部分を検証するのはいいのです。でも根本の事実を否定する論説を、絶対に絶対に対等に扱ってはならない。というのが、この映画を観るとしみじみ伝わってきます(でも邦題や映画の公式サイトはちゃんと理解されてないみたい)。

リップシュタット教授の代わりに弁論を行うのは法廷弁護士リチャード・ランプトン(トム・ウィルキンソン)であり、教授は自分の裁判で勝つために沈黙を守る。

あきらかに好き勝手なこと(おまけに間違っている)を言ってくる相手を前に、ひたすら黙っていなくてはならないというのは苦痛だったろうし、その方針にはじめは苛立っていた教授だけれども、ランプトン弁護士を信頼して一切を任せることにするのだった。

人数が違う、書類が残っていない、写真がない等々を引き合いに出したり、生存者の記憶のあいまいなところを利用したりするところなど、否定論者はどこも似たりよったりですが、とにかく議論の相手にしてはだめ、というのは肝に銘じたいところ。

アメリカの法廷物を見ることが多いので、事務弁護士と法廷弁護士でチームを組むイギリスの法廷はなるほどと思うこともあって、興味深かったです。



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by rivarisaia | 2017-12-19 19:18 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

2017年これを読まずして年は越せないで賞 候補作!!

今年も渡辺由佳里さんやモナさんとともに「これを読まずして年は越せないで賞」略して「これよま」を行います! 日程は決まり次第おしらせしますが、年末です。

候補作のリストは以下の通りですが、感想を書いてない本が多いので(よくよく反省して来年はもう少しがんばります)、各タイトルの内容など詳しくは、渡辺さんのサイトをご覧ください! 




I. 児童書/YA(今年はYAオンリー。児童書は来年2月に延期します!)

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The Hate U Give / Angie Thomas
Words In Deep Blue / Cath Crowley


II. ノンフィクション
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Born A Crime: Stories From a South African Childhood / Trevor Noah
Shoe Dog: A Memoir by the Creator of NIKE / Phil Knight
Lost City of Monkey God / Douglas Preston
What Happened / Hillary Rodham Clinton
Fantasyland / Kurt Andersen

III.フィクション(SF、ミステリを含むジャンル小説)部門
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All The Birds In The Sky / Charlie Jane Anders
The Dry / Jane Harper
Shades of Magic三部作 / V.E. Schwab
Jane Steele / Lyndsay Faye


IV. フィクション(文芸小説、大衆小説)

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A Gentleman In Moscow / Amor Towles
The Guest Room / Chris Bohjalian
Beartown / Fredrik Backman
Eleanor Oliphant Is Completely Fine / Gail Honeyman
Little Fires Everywhere / Celeste Ng
Lincoln In The Bardo / George Saunders

どれが賞を取るのか楽しみ! ツイッターで話しながら決めるけど、遠慮なく横ヤリを入れてもらって構わないのでお気軽に参加してくださいね〜。ハッシュタグは #これ読ま です。

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by rivarisaia | 2017-12-17 17:28 | | Trackback | Comments(0)

女神の見えざる手


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女神の見えざる手(Miss Sloane)』監督:ジョン・マッデン

大手ロビー会社で大胆な戦略を武器に活躍していたエリザベス・スローンは、銃規制反対派についた自社の仕事を蹴って、「規制法案」を通すべく小さな会社に移り、元の会社(および巨大な権力)と対決する。味方も欺き、利用する彼女のやり方にはチームから反発も出るのだが、勝利を目前したとき、不正疑惑で彼女自身が聴問会にかけられることに……

観ている最中はぐいぐいとスピードで押し切られて面白かったんだけど、もう1回観たら果たしてどうかなーと思うところもなきにしもあらず。それはたぶん、「銃規制」は小道具にすぎず、あくまでこれは「ミス・スローンの話」だからで、繰り返し観ると物足りなく感じるかも。

ただ、ミス・スローンの、手段をとわず一人孤高に戦うその戦いっぷりは、彼女の行動に共感できないところがあったとしても、感嘆せずにいられないところ。

相手が最後の切り札を切ったあとで、自分の切り札を出す、とミス・スローンは言っているので、当然聴問会でもミス・スローンがぐうの音も出ないネタを出してくるだろうなというのと、途中で「Bug」の話が出たときに絶対仕掛けてる!と思ったので、最後の展開は予想通りだったんだけども、密偵を残してたところにびっくりしました。それ想像してなかったー。驚いた。

最初のほうの一見他愛もない会話で、ミス・スローンがソクラテスの話をするんですが、それがすごく気になっていて、あとでつらつらと考えたんだけど、ソクラテスといえば倫理かな?と思ったんですよ。

ミス・スローンは、個人的な感情や利益抜きにして、倫理的に銃は規制すべき、と考えていて、そこはゆるがないわけだし。

でもそのあとで、そういやソクラテスって裁判にかけられて、有名な反論(ソクラテスの弁明)をするじゃない。結果的には有罪になるんだけども。聴問会にかけられて、最後がっつりと民主主義や正義をふみにじる巨悪なシステムに反論して、ただ有罪にはなっちゃう……って、ミス・スローンのまんまじゃないですかー。

想像ですけど、ミス・スローンは、電話でソクラテスの話を聞いた時に、最終的に自分が訴えられて罪をひっかぶるところまで計算済みだったんじゃないですかね。密偵のあの人は、どこまで計画知ってたんだろ。映画には映らないふたりのやりとりとか知りたい。

本作は、銃規制についての話ではないけど、職業倫理の話ではあるなと思いました。大手ロビー会社や議員の人たちは、倫理もへったくれもないんですが、ミス・スローンはじめ弱小ロビー会社、スローンの密偵など、倫理を貫く人たちもいる。なかでも印象的だったのは、エスコート・サービスの男性。職業上知りえた秘密は絶対にバラさない。

彼に関してだけは、ミス・スローンは計算外だったかもしれないね。


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by rivarisaia | 2017-12-11 22:31 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

Hate U Give

アメリカでは、警官による黒人殺害事件をきっかけに「Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)」という運動が起きていたことはニュースで見た人もいるかと思いますが、日本ではいまひとつ実感がわかないので、よく理解できなかった人も多いのでは。本書は、そのあたりの理解を深める上でもおすすめ。
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Hate U Give』Angie Thomas著、Balzer + Bray

Starr という16歳の少女が主人公。

スターが住んでいるのは黒人が多く、治安の悪い貧困地域なんだけれど、スターの両親は教育のことを考えて、子どもを郊外の私立学校に通わせている。学校の生徒のほとんどが落ち着いた住宅街にくらしているので、スターにしてみると「学校」と「地元」では世界がまったく違う。

ふたつの世界で、うまくやってるつもりだった。あの事件が起きるまで。

地元の友だちに誘われてパーティに行った帰り、幼なじみのカリルが運転する車が警察に止められ、スターの目の前でカリルは警官に撃たれてしまう。

これまでスターは、黒人だからという理由で誰かが殺されたとき、ハッシュタグをつけてツイートし、タンブラーで写真をリブログし、あっちこっちに署名をして、何が起きたのかを世界に知らしめるべく声をあげてきた。でも、いざ自分が渦中の人になってみたら、とても怖くて何も話せなくなってしまう。

学校の友人に「殺されたのはどうせ麻薬のディーラーなんでしょ、仕方ないよねー」と言われても、「彼はわたしの友だちだったんだけど」とすら言い返せなかったスター。でもそんな彼女が、だんだんと信念にもとづいて行動するようになっていく。

大きな流れは「Black Lives Matter」についての話だけど、日本人にわかりにくいかというとそうではない。むしろ、アメリカで、黒人でいて、警察に車を止められたとき、どんなプロセスが踏まれ、どんな心境になるのか、とてもよくわかる。

また、日常生活にひそむちょっとした差別・偏見についても考えてしまう内容になっている。

言った本人は悪気のない冗談なんだけど、なんだか嫌な気持ちになったり、微妙な心持ちになったりするということはしばしば起こり、

「彼女、いつもこんなジョーク言ってたのかな。で、私は笑ったほうがいいかなと思って、いつも笑ってたのかな」

と、スターは思う。面白いのは、そんなスターにまるで偏見がないのかといえばそうでもないところで、スターの彼氏は白人なんだけど、その彼と事件後にぎくしゃくしてしまい、問い詰められたスターは

「あんたは白人なの、わかる? 白人なの!」

と言っちゃったりする。で、絶句した彼氏に「俺が白人って、それが何だっていうんだよ?」と返される。この彼氏がとてもいいやつなのが救い。

途中、展開がだれるところもあるものの、YAとしては良書で、映画化も決まってます(たぶんいま撮影中)。

最近、日本だと差別の話題になった際に「昔はよかったのに、息苦しい」「悪気はないのに」と怒り出す人がいたりするけど、本書にも似たような人が出てくる。「昔は許されていた」といっても、いやー10年もあればだいぶ人も社会も変化するからね!

たとえばこのブログも10年くらい書いてるけど(怖い)、10年前と今では私も、同じ映画や本に対する感想も違ったりするし、昔とは考え方がだいぶ変わったりもしてるんですよね。逆にいうと、達観してる聖人ならいざしらず、昔も今もまったく思考が変化しないのも、進歩してない感じするよね……。

ちなみに、本書のタイトルはラッパーの2PACの「THUGLIFE: The Hate U Give Little Infants Fucks Everybody」からきています。

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by rivarisaia | 2017-12-07 23:21 | | Trackback | Comments(0)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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