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Astray: エマ・ドナヒューの短編集

ちょうど『ルーム』公開つながりで、エマ・ドナヒューの短編集を紹介。これ、感想書いたつもりでいたけど、気のせいだったみたい。読んだり観たりしたらすぐ書くようにしたい……(これ言うの何度目)。

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Astray』Emma Donoghue著、Little, Brown and Company刊

タイトルの「astray」は、「道に迷った」という意味で、本作は「Departures」「In Transit」「Arrivals and Aftermaths」の3つのパートに分かれており、移民、逃亡者、放浪者、弁護士や彫刻家などなど、様々なさまよえる人々が主人公の短編が14話収録されています。

どの短編も、現実に起きた出来事が元になっていて、ひとつひとつの物語の後に、実際の出来事について紹介するページがある。それは新聞に掲載された小さな記事だったり、どこかに保管されていた記録だったり、断片的な情報しか残っていないけれど、彼らは確実に存在していた。そんな人々の、もしかしたらこんなだったかもしれない物語。

短編集の常として、心に残る話とあまりピンとこなかった話が混在してはいるものの、特に印象深かったものを厳選すると、私の場合は以下の6話。

「Last Supper at Brown’s」
元になったのは1864年にテキサス州で起きた事件。主人を殺害して、その妻と逃亡した奴隷の話。

「Counting the days」
1849年、カナダ。ある移民の夫婦の話。夫が先に移住して、後から妻がやってくるんだけれども……。これはとても切ない。

「Snow-blind」
ゴールドラッシュの時代の、二人の男の友情と別れ。

「The Gift」
以前『Orphan Train(孤児列車)』という本を紹介したけれど、これはその孤児列車がらみの話で、養子縁組団体を介して交わされた、産みの母親と養父の手紙が元になっています。

『Vanities』
1839年ルイジアナ州のプランテーション。従姉妹の死の謎を探る少女の話。

『The Hunt』
アメリカ独立戦争さなかの少年兵の話。1776年末、ニュージャージーやスタテンアイランドにおいて、英国とドイツ軍によって組織的なレイプが行われていたというのを知らなかったので、本書でいちばん衝撃的だった。参考文献としてあげられていた『Rape and Sexual Power in Early America』(Sharon Block著)を読んでみたい。

そのほか、亡くなった時に女性だったことが判明したMurray Hallの話(「Daddy's Girl」*実際にはHallの娘が主人公)や、男装の女性 Mollie Sanger の話(「The Long Way Home」)も良かった。

著者は、実在の人々のその後を調査していたりもするので、事実紹介ページは後日談のようでもあった。フィクションとリアルが交差して、不思議な読後感を味わえる短編集でした。


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by rivarisaia | 2016-04-18 22:39 | | Trackback | Comments(0)

The Thing About Jellyfish

去年のNational Book Awardファイナリスト、NY Timesベストセラー、Publishers Weekly Best Bookなどでちらほら見かけていて、気になっていた児童書。親友を亡くした女の子が後悔の念に苛まれながらも、なんとか立ち直っていく過程を描いた物語。

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The Thing About Jellyfish』Ali Benjamin著、Little, Brown Books for Young Readers

12歳のスージーには親友フラニーがいて、でもそのフラニーは休暇中に事故で死んでしまった。それ以来、スージーは口をきかなくなってしまう。
泳ぎが得意だったフラニーが溺れるなんてありえない。スージーのママは「そういうこともあるのよ」と言うけれど、納得のいかないスージーは親友が溺れてしまった理由を探そうとする。
もしかしたらフラニーは、猛毒のクラゲに刺されてしまったのでは?
自分の内側にこもり、とりつかれたようにクラゲについて調べ始めるスージーだが、彼女にはもうひとつ誰にも言えないことがあった……

ちょうど小学生から中学生になったばかりの微妙な微妙なお年頃の話で、スージーのお兄ちゃんとその彼氏も「一番きっつい時期だよなー」というようなことを言ってるんですが、まったくもって同感である。

今は学校では友だちが全然いなくて、周囲から浮いてる存在であるスージーが、唯一の親友だったフラニーの死、というかむしろそれに付随するクラゲの生態に全エネルギーを注ぐ勢いで執着する理由は、次第に明らかになるんだけれども、大人になってみれば「子どもの頃にはよくあるよね〜」というような事柄だったりする。でも、それは子ども本人にとっては、すごく心が傷つく一大事なのだ。

ただ、スージーが親友に対して「あること」をしでかした件については、かなりびっくりしました。スージー、いくら変わってる子だからって、それってどうなの……。

ちょっと切なくて、ほろっとしながらも、でも最後は明るい未来が感じられて、おまけにクラゲについてのトリビアも得られるという1冊です。オーストラリアに生息する「イルカンジ(Irukandji)クラゲ」怖い! どう怖いのかは、スージーに教えてもらってください。



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by rivarisaia | 2016-03-31 23:03 | | Trackback | Comments(0)

The Marvels

『The Invention of Hugo Cabret(邦訳:ユゴーの不思議な発明)』や『Wonderstruck』のブライアン・セルズニックの新刊。

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The Marvels』Brian Selznick著、Scholastic Press

1766年、難破船でひとり生き残った少年ビリー・マーヴェル。前半400ページほどは、ロンドンの劇場で活躍することになる、ビリーと五世代にわたる彼の子孫の物語が、絵だけで展開します。

そして時は1990年に移り、学校を飛び出してロンドンに住む叔父のもとへやってきた少年ジョセフの物語が、今度は文章で綴られます。

さて、ビリーの一族の物語と、ジョセフの物語はどのようにつながっていくのか、徐々に謎が明らかになっていきます。

イラストだけの最初の400ページが本当にすばらしくて、正直に言うと、テキストパートに突入したとたんに、気持ちが置いてけぼりにされたのも事実です。テキストパートに不満を抱く人々の気持ちもわかる。私も90年代の主人公ジョセフにイライラしたし、途中で明かされた事実には「えー! そりゃないよ!」と文句も言いたくなりました。

だが、しかし。

最後、再びイラストのみで展開する現代のパートがあるのですが、そこを読んだ(見た)ときに、なんだかじんわりしてしまったんですよね。そこには、叶えることのできなかった夢があったから。

児童書として考えてみると、ブライアン・セルズニックはさりげなく難しいテーマをもってきたなーと感じました。最後まで読んだら、もう一回最初のページから読み返してみるといいかも。最初かったるく感じたテキストパートも2度目に読んだ時は印象が変わった。

著者のあとがきにもありますが、ロンドンの叔父さんの家は、実在の「Dennis Severs House」がモデルです。ここ、行きたい!

著者本人が作成した本のトレイラーもいい感じなので貼っておきますね。





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by rivarisaia | 2016-01-26 20:14 | | Trackback | Comments(2)

Everything I Never Told You

想像していた内容とはだいぶ違ったんだけれども、しみじみとよい本でした。

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Everything I Never Told You』Celeste Ng著、Penguin Press

Lydia is dead. But they don’t know this yet.
リディアは死んでいる。でも彼らはまだそのことを知らない。

という文章で始まるこの小説は、1977年、オハイオの小さな町にくらす中国系アメリカ人の一家の話です。

アメリカ生まれの中国人である父ジェイムズ、白人の母マリリン、優秀な兄ネイサン、両親の一番のお気に入りであるリディア、そして目立たない末っ子のハンナ。リー一家は、そこそこ幸せな5人家族のはずでした。

ある朝、リディアが忽然と姿を消し、やがて近くの湖で死体となって発見されます。

冒頭の1文から私は、果たしてリディアを殺した犯人は誰なのか、それとも殺人ではなく事故なのか、はたまた自殺なのか、という謎を解く、ミステリーのような物語なのかなと推測していました。

ところが全然違った。

物語は過去に戻り、リディアが死んでしまった日にいたるまで、家族のそれぞれがどんな人生を歩んできて、どんなことがあったのかを探っていく。大学教授の父ジェイムズはマイノリティであることにフラストレーションを抱えている。出産のために学業を断念し、主婦になった母マリリンは、自分の夢をリディアに託す。両親の夢と希望を一身に背負うリディアの影で、存在感を消されてしまっている兄と妹。

家族ひとりひとりがこれまで抱えてきた問題(そして70年代という時代における、人種差別や女性の社会進出といった事柄が大きく影響している)が、じわじわとあぶりだされていき、最終的にはリディアの死に結びついていく。リディアはどうして死んでしまったのか、それを考えると、とても切なくて泣ける。

ミステリーを期待すると肩透かしをくらうだろうし、読んでいる最中はどんどん重苦しい気分になっていくし、登場人物にイライラしたりもするんですけども、読み終わってみれば、この一家のことがしばらくは忘れられない。幸せになってほしいなあ。



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by rivarisaia | 2016-01-20 23:43 | | Trackback | Comments(2)

2015年これを読まずして年は越せないで賞 受賞作!

いつもは年末にお知らせしているのですが、今回は遅ればせながら、2015年の「これを読まずして年は越せないで賞」のお知らせです!

年末に行われたツイッター会議とか候補作の詳細については以下をどうぞ!


ざっくりと紹介しておきまーす。

I. 児童書部門:『Blackthorn Key』Kevin Sands

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17世紀のイングランドを舞台に、薬剤師の見習い少年が暗号を解読しながら連続殺人事件の謎と錬金術の秘密を解明するというページターナーな1冊。今年の秋に続編が出るそうです!

I-2. YA部門受賞『Six of Crows』Leigh Bardugo(YA)
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例えていうなら、ゲーム・オブ・スローンズの世界でオーシャンズ11の物語が展開するような話で、三部作の第1作目。

・そのほかの候補作
『Nightbird』Alice Hoffman
怪物が棲む森のそばの小さな町に暮らす女の子が主人公。彼女の家族は大昔に魔女に呪いをかけられていて……とおどろおどろしい設定のようだけど、ほんわかした可愛らしいファンタジー。

『Nimona』Noelle Stevenson(YA)
破天荒な主人公Nimonaが活躍する一風変わったアメコミで、全米図書賞最終候補作。

『What We Saw』Aaron Hartzler(YA)
真実を探ろうとする勇気ある第三者を主役にすえた、レイプをテーマにした作品。

(最終候補からは外れた作品)
『A Darker Shades of Magic』V.E. Schwab(YA)
『Most Dangerous』Steve Sheinkin(YA)

II. ノンフィクション部門:『Missoula』Jon Krakauer
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アメフトチームのメンバーがレイプ事件を起こしたのをきっかけに、数々の暴行事件が明るみにでたという事実を追い、性犯罪に対する私たちの認識を改めさせる必読の1冊。

・そのほかの候補作
『So You’ve Been Publicly Shamed』Jon Ronson
最近のインターネットでありがちな、炎上、すなわち、集団による個人攻撃と、加害者や被害者の心理について探るルポルタージュ

『Modern Romance』Aziz Ansari
コメディアンのアジズ・アンサリが社会学者とタッグを組んだ、恋愛に関するユーモラスで真面目な社会学の本

(最終候補からは外れた作品)
『Rising Strong』Brené Brown
『Being Mortal』Atul Gawande
『Pioneer Girl: The Annotated Autobiography』Laura Ingalls Wilder
『Becoming Nicole』Amy Ellis Nutt(*これはしっかり話し合いたい本なので、来年に持ち越し)

III.フィクション(大衆小説)部門:『Inside the O’Briens』Lisa Genova
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『アリスのままで』の著者が書いた、ハンチントン病を抱えた家族の物語

・そのほかの候補作
『The Lake House』Kate Morton
おなじみのケイト・モートン最新作。

『Circling the Sun』Paula McLain
イギリス生まれでケニア育ちの女性パイロット、ベリル・マーカムの自由奔放で興味深い人生を描いた伝記小説

(最終候補からは外れた作品)
『Last Song Before Night』Ilana C. Myer
『Seveneves』Neal Stephenson

IV. フィクション(文芸小説)部門:『A Brief History of Seven Killings』Marlon James
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今年のブッカー賞受賞作。ボブ・マーリー暗殺未遂事件を軸に、ジャマイカの歴史を独特のリズムのある文体で語る長編叙事小説

・そのほかの候補作
『A God in Ruins』Kate Atkinson
ケイト・アトキンソンの『Life After Life』の姉妹編にあたる、語られなかったもうひとつの物語。

『Fates and Furies』Lauren Groff
ある夫婦の結婚生活を、夫と妻のそれぞれの視点から描いた

『The Buried Giants』Kazuo Ishiguro
邦訳は『忘れられた巨人』

(最終候補からは外れた作品)
『A Little Life』Hanya Yanagihara

そして2015年の大賞は、紆余曲折のすえにどんでん返しがありまして、

児童書部門:『Blackthorn Key』に決定しました!

児童書ということもあり、多くの人に読みやすい本でもあるので、英語で何か読んでみたいな、という人にもおすすめですよー。



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by rivarisaia | 2016-01-05 23:36 | | Trackback(1) | Comments(0)

Pioneer Girl: The Annotated Autobiography:大草原の小さな家の誕生秘話

ローラ・インガルス・ワイルダーの「大草原の小さな家」シリーズとリンドグレーンの「やかまし村」シリーズは、子どもの頃の私のバイブルでした。何度読んでも飽きないし、嫌になった時や退屈した時の逃避先であり、ごっこ遊びの際のネタ元でもありました。

その「大草原の小さな家」が、どうやって世に生まれて、どこまでが実話なのか、それを詳しく詳しく研究したすっごい本がこちらです。

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Pioneer Girl: The Annotated Autobiography
Laura Ingalls Wilder著、Pamela Smith Hill編集、
South Dakota Historical Society Press

シリーズの元になったのは、ローラが書いた「パイオニア・ガール」という原稿でした。

本書はその「パイオニア・ガール」を丸ごと掲載し、ひとつひとつの出来事が実際にあったことなのか、脚色されたフィクションなのかを検証し、はたまた登場人物が実在の人物なのか、架空の人物なのかも調査し、さらには歴史的事実なども細かく教えてくれるし、写真も豊富という、まさに「大草原の小さな家」研究の集大成、といった1冊です。

よくぞここまで調べた、すごい!の一言。なにせ、本もデカいし厚いし、重い! こんなに大きな本だとは思わなかったよね……。

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寝っ転がって読んだりできない大きさ。そして注釈の情報量たるや、なかなか全部読み込めない。

とりあえずですね、「大草原の小さな家」の誕生秘話を語るイントロダクションだけでもぜひ読んでください。これまでもローズの伝記等でざっくり触れられてはいますが、本書のイントロダクションはかなり詳細に踏み込んでいます。

はじめはノートに手書きだったローラの原稿を、ローラの娘で作家だったローズが、文章を校正してタイプ原稿を作成し、エージェントに持ち込んだわけです。1930年の春のことでした。

ところが、これが全然売れなかった。

もともと「パイオニア・ガール」は大人向けに書かれたもので、雑誌の連載として売り込もうともしたんだけれども、それもうまくいかず、そこでローズは少年少女向けバージョンを作成し、それを Knopf社の担当者に見せます。すると、Knopf から、8~10才の子ども向けに書き直せば出版できるとの返事が!

ところが出版契約を結ぶ直前、折しもの不況で Knopf の児童書部門の廃止されることになってしまいます。しかし Knopf の担当者が、Harper社の児童書の担当者に原稿を渡してくれたことで、無事 Harper & Brothersから出版が決まったのでした。初版は1932年4月6日に出版されました。

整理すると「パイオニア・ガール」の原稿には5つのバージョンがあります。

(1) 手書きの生原稿
(2) Brandt & Brandt ver.(ローズがタイプしてエージェントに渡したもの)
(3) Brandt & Brandt 校正バージョン
(4) Juvenile バージョン(ローズが作成した青少年版。これを元に現「大草原」シリーズが書かれた)
(5) George T. Byeバージョン(Brandt & Brandt の修正版)

驚いたのはローズの仕事っぷりです。ローズは小説も書いていたけれど、マーケットに合わせて事実を大胆に脚色した「ノンフィクション」も書いてた。ただそのノンフィクションでは、実在の人物の名前や職業だけでなく、性格まで変えちゃったり、ということを平気でやってた。

いいのか、それは……よくないだろ、という感じですが、当然ながらヘンリー・フォードやチャップリンは事実と違うことを書かれて激怒。本が出版できなくなったりもしたみたい。

でも逆に「大草原〜」は、そんなローズの大胆な編集手腕があったから日の目を見たのかもしれません。ローズの腕前はノンフィクションには向いてなかったけど、事実をもとにした読ませるフィクションには向いていた。

出版が決まってから、ローラ自身も、自分の家族の話を元にしたあくまでも「子ども向けのフィクション」という姿勢で書いているので、適切じゃない事柄はさっくり消したりしてますし、複数の人物を合体して一人のキャラクターを生み出したりもしてます(例:ネリー)。

オリジナルの「パイオニア・ガール」自体は、確かに出版がなかなか決まらなかったのもう頷ける内容で、はっきりいうと面白くないのです。でも、このオリジナル原稿が、内容も文章も推敲されて今も世の中に存在する「大草原〜」シリーズになったことが感慨深いし、何より本書が大変に興味深いのは、繰り返しになりますが、オリジナル原稿に対するおびただしい注釈です。

ローラの一家だけでなく、彼らを取り巻くさまざまな人々の人生も追っかけており、庶民の視点でアメリカ西部開拓史を知るのに最適な1冊にもなっている。というか、アメリカの西部開拓史がこんなに身近に感じられる本もなかなかないので、興味のある人はぜひどうぞ。

<おまけ>
日曜日に読むことが許されていた、父さんの本「動物の世界の神秘」は、今ではデジタルで中ページが見られます! デジタルの世界すごいね!

『THE POLAR AND TROPICAL WORLDS』という本で、コチラどうぞ。

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by rivarisaia | 2015-12-26 18:28 | | Trackback | Comments(2)

The Paper Doll's House of Miss Sarah Elizabeth Birdsall Otis, aged Twelve

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The Paper Doll's House of Miss Sarah Elizabeth Birdsall Otis, aged Twelve
Eric Boman著、Thames & Hudson


1884年、ロングアイランドに住んでいた12歳の少女バーディ・オーティスはペーパードールの家を作りました。


バーディのペーパードール・ハウスが一風変わっていたのは、本物の壁紙や、メールオーダーカタログから切り抜かれた家具やデザインをコラージュして作られていたこと。そのすてきなドールハウスを紹介するのが本書です。

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コラージュのセンスがとてもすばらしいので、いくら眺めていてもちっとも飽きない。子供部屋やダイニング、リビングや寝室、キッチンはもちろん、バスルームに温室もあります。
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この見開きは台所。料理している人が配置されている。床はタイルみたいなデザインになってますね。

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バーディはペーパードールの小物類も種類別にまとめて、丁寧に紙に包んでいました。

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さらにこの本、巻末にポケットが付いていて、その中にペーパードールとドレス一式が入ってるので、切り抜いて実際に遊べます。

唯一この本で微妙なのは、本文のレイアウトがあまりよろしくない点ですね……。フォントや文字組はもう少しなんとかならなかったのかしら。

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たとえばこれ左ページはバスルームの画像で、右ページが文章になっている見開きですが、写真で見ると問題なさそうだけど、実際に文章読もうとするとすごく読みにくいのよね。欲をいえば、文章量もさして多くないので、テキストだけ本の前後にまとめるという構成のほうがよかった気もします。まあでもしかし、絵を眺めるにはじゅうぶんすばらしいですよ!


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by rivarisaia | 2015-06-18 22:56 | | Trackback | Comments(8)

NEST

Twitterでもちらっと言ったけど、読後の余韻がいい感じの児童書。『クローディアの秘密』が重要な1冊としてお話の中に登場します。懐かしい!

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NEST』Esther Ehrlich著、Wendy Lamb Books

1972年のケープコッド。11才のNaomiは、精神科医である父、ダンサーの母、姉のRachelとくらしている。
自然に囲まれ、大好きな野鳥を観察しながら、のびのび過ごしていたNaomiだが、母親が難病になってしまい、一家の生活は大きく変わってしまう……
難病になってしまったことで、精神的にも病んでいくお母さん。よかれとおもったことが、どうも空回りしてしまうお父さん。バラバラになりそうな家族のために、なんとか明るく振る舞おうとしたり、母親代わりをせざるを得なくて、いっぱいいっぱいになってしまう子どもたち。それぞれの立場の気持ちがとてもよくわかるので、大人が読むのにも適してますね。逆に私が子どもだったら、Naomiには共感しても、お母さんやお父さんに対しては「なんで?」って思ったかも。

Naomiの心理描写が巧みで、この手の物語にありがちな「よく出来た子」ではないし、ちょっとした出来事を通じて、彼女のやり場のない怒りや悲しみが痛いほど伝わってくるんですよね。Naomiは、これまた家族に問題アリの少年Joeyと仲良くなるんですけど、この少年のキャラがまたすごくよい。Joey大好き。

物語は途中で衝撃的なことが起こり、最後はNaomiとJoeyの冒険譚のような展開となります。そこそこいい話だな〜とのんびり構えてた私ですが、白鳥ボートのくだりでボロ泣き。作者、すごくうまいなー。イイ話にしちゃいそう場所で、そうくるか……。でも現実ってそういうものだよね。




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by rivarisaia | 2015-05-02 23:58 | | Trackback | Comments(0)

The Girl on the Train(ガール・オン・ザ・トレイン)

まだまだベストセラー入りしてるみたいなので、こちらの本の感想書いておこう。売れているということは、そのうち邦訳もでるとおもいます。

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The Girl on the Train』Paula Hawkins著、Transworld

毎日、電車でロンドンに通勤しているレイチェル。電車はいつも、住宅街の側で信号待ちをするのだが、その際に、ある一軒家を眺めるのが、レイチェルの密かな楽しみになっている。その家には幸せそうな若い夫婦が暮らしていた。

ところが、ある日のこと、レイチェルを信じられない光景を目撃し……


やたらと『ゴーン・ガール』と比べられている本作ですが、女主人公がまったく信用ならない語り手な上に、ぜんぜん共感できないというところに、共通点があるかしら、程度です。

語り手の信用ならない度数はかなり高い。後出しジャンケンもいいところだ、お前、それもっと早く言え、と何度思ったことでしょう。しかもレイチェルは、ええとこれはすぐに明かされることなので書いてしまいますが、アル中です。「もう飲まない」とか言いながら、飲んじゃう。そして酔っぱらっちゃって記憶をなくしたりするもんだから、信用度はさらにガタ落ちです。

どうにもだらしなくて、自分に甘いレイチェル。まったく共感できないどころか、読んでいて、何度となく

レ〜イチェ〜ル〜! あんた、もう何やってんの! バカバカバカ!!


と、すっごくイライラしどおしだったんですけども、レイチェルへの不満がいつのまにか同情に変わり、最後のほうでは、「レイチェル、がんばって!」と応援していた私であった。何なんだ……。レイチェル以外の登場人物もけっこう酷いです。

ところで、これだけ話題になっていると映画化しそうな気もしますが、語り手はもちろん誰も信用できない!という構成が効いているので、映像にするよりも文章のほうが楽しめる作品ではないかと思います。ラストで、事実が明らかになってからが冗長な気もしましたが、ページターナーで楽しめました!
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by rivarisaia | 2015-04-23 23:55 | | Trackback | Comments(0)

Thank You for Your Service(帰還兵はなぜ自殺するのか)

『アメリカン・スナイパー』に関しては、映画原作あわせて、もやもやしたものをずーっと抱えっぱなしなんですが、映画(フィクション)と原作(現実)は関係ない、と割り切れないものがあるからなんですよねえ。うむー。

私には、イラクに行ってた友人・知人が数名いる。

私と彼らの間では、イラクの(あるいは戦争の)話はタブーのようになっていて、唯一、D君とは「今度イラクに行くことになったんだー」「ええ!?」「まあ、たぶん大丈夫だよ」「そう、気をつけてね」というやりとりがあった。ずいぶん前に。

しょっちゅう顔をあわせてるような付き合いであれば、また違うのかもしれないけど、とてもじゃないけど気軽にイラクの話なんて出せないし、向こうだって何か聞かれても当たり障りのないことしか言えないだろう。

幸いなことに、みんな無事に帰ってきたけど、手放しでよかったねと言えるのかどうかすらもよくわからない。見えないところで苦しんでいるかもしれないからだ。『アメリカン・スナイパー』では原作でも映画でも、戦争は主人公の精神面に大きく影響を及ぼしたわけだけれども、そうした戦争の影響、特にPTSDに関して扱った本がこちらです。

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Thank You for Your Service』David Finkel著、Sarah Crichton Books

アフガニスタンとイラクに派遣された兵士約200万人のうち、50万人が精神的なストレス障害に悩まされており、また、自殺者の数は年々増加している。どうしてそうなってしまうのか。戦争に行く前はとてもいい人だったはずの夫が、帰還後は妻に暴力をふるうようになり、自殺を試み、家族は疲弊していく。戦場から平穏な世界に戻ってきたはずなのに、どうしても日常に適応できない。軍もこうした状況を放置しているわけではなく、何とか対策を立てようとしているんだけれども、うまくいかず、出口が見えない。

戦争に対する自分の意見は極力排除するよう努力した、と著者がインタビューで述べているように(アメリカのアマゾンのページにQ&Aがあります)、思想的なことは一切書かれていなくて、帰還兵とその家族、医療関係者などへの綿密な取材から得た事実だけがそこにあり、戦争の代償であるそれらはとても重い。読み終わった後に、しみじみと表紙を見て、このタイトルが胸に突き刺さってくるような気持ちになりました。

こちらの本ですが、『帰還兵はなぜ自殺するのか』(デイヴィッド・フィンケル著、古屋美登里訳)というタイトルで亜紀書房から邦訳が出ましたので、ぜひどうぞ。

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by rivarisaia | 2015-03-27 23:27 | | Trackback | Comments(9)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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