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ある女流作家の罪と罰

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ある女流作家の罪と罰(Can You Ever Forgive Me?)
監督:マリエル・ヘラー

1990年代のニューヨーク。かつては注目を集めていた伝記作家のリー・イスラエル(メリッサ・マッカーシー)は、いまやすっかり落ち目になっていて、生活費にも困るありさま。以前有名人が自分宛てに書いてくれた手紙を古書店に売るなどして、なんとか生計を立てていた。あるとき、著名人の手紙がその内容次第では高額で売れることに気づいたリーは、ついに手紙の捏造に手を染めてしまう。

2008年に出版されたリー・イスラエル本人によるメモワールが原作。未読ですが、出版された当時、とてもおもしろいという好意的なレビューと、自分の犯罪をネタにしてお金を稼ぐのかという批判的なレビューを読んだ記憶があります。

映画はとてもよかった。特に主演のメリッサ・マッカーシーと彼女のたったひとりの友人ともいえる存在だったジャック役のリチャード・E・グラントのふたり。どちらも本当にどうしようもないくらいダメなんだけど、これまでのいろいろな出来事が重なった結果、こうなってしまったんだな……という人物を巧みに演じていた。見てるとつらい。

リーがしたことは許されることではないのですが、かなりの文才があったんだろうなとも思う。それにしてもリーときたら生活は荒れまくっているし(家の中でハエが大量に湧くほど部屋が汚い)、性格も悪いし、お酒ばっかり飲んでるし、友人ジャックに対する扱いもけっこうひどい。せっかく仲良くなれそうだった書店主や過去の恋人に対しても不誠実。おまけに偽造の犯罪もどんどんエスカレートしてしまうけど、もう本人にも止められないのだった。

どんよりと暗い内容ではあるものの、ふたりの孤独や世界での行き場のなさが身につまされてしまい、犯罪はおかしたものの最終的には人生を少しでも立て直すことができたようで(※実際はどうだったかわからないけど、映画内では)、よかったなという気持ちです。

# by rivarisaia | 2020-09-18 23:59 | Trackback | Comments(0)

フォードvsフェラーリ

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フォードvsフェラーリ(Ford v Ferrari)』監督:ジェームズ・マンゴールド

かつてレーシングドライバーで現在はカーデザイナーであるキャロル・シェルビー(マット・デイモン)とイギリス人レーサーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)が、フォード・モーター社からル・マン24時間耐久レースでフェラーリに勝てという依頼に応えるべく奮闘する、というのがざっくりしたあらすじ。

車にもル・マン24時間レースにもまるで興味のないわたし向きではない映画でしたが、そんなわたしでも途中でダレることなく集中して観たし、そこそこおもしろいところもあったので、あたりさわりのない感想を言うなら、よくできた映画なんだろうと思う。

が! フォード上層部のやることなすことが非常に野暮ったくて、そこがもう歯ぎしりするほどイライラしました。現場のふたりが心血を注ぎ挑んでいるのに、社長のヘンリー・フォード2世と副社長のレオ・ビーブときたら一体なんですか? 特にクライマックスでの三台並んで〜の箇所が最低でした。ダサすぎる。当時の単純なアメリカ人は感動したかもしれないが、わたしはあれには盛大なブーイングを送りたいところです。なめているのか。

ジョン・バーンサルが演じていたリー・アイアコッカが、情けないくらいの板挟み系中間管理職で、これまた最低ながらも味わいがあってよかったです。わたしがまだ10代の頃でしょうか、アイアコッカの自伝がベストセラーになっていて、ビジネス系で成功したいクラスメイトがこぞって読んでいた記憶。したがって、これまでふんぞりかえって偉そうなおっさん経営者というイメージしかなかったため(自伝の表紙の写真がそういう写り方だったのです)、若造のアイアコッカ、新鮮!という気持ち。

ヘンリー・フォード2世はフェラーリの社長から、親父にくらべて全然ダメだと評されていましたけど、創業者のヘンリー・フォードも経営者としては才覚があったかもしれないけど、思想的に問題がある人だったからね……。そして劇中では悪役として散々な描かれかただった副社長レオ・ビーブは、実際には人の長所を引き出せる優れた人物だったらしい。

レオ・ビーブにいらいらしてしまった人、以下の記事も読んでみて……。


亡くなっているからって、いくらなんでもかわいそうな脚色ですね。



# by rivarisaia | 2020-09-17 21:45 | Trackback | Comments(2)

来る

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来る』監督:中島哲也


怖い映画なんだけど、心霊的な怖さというよりも、別の意味で怖いホラーでした。あわせて原作も読みました。


菓子メーカーに務める田原秀樹(妻夫木聡)は妻の香奈(黒木華)と幸せな結婚生活を送っていて、娘が生まれてからは”イクメンパパ”として子育てブログを書いている。

しかしあるときから身の回りで怪奇現象が起こるようになり、家族の身を心配した秀樹はオカルトライターの野崎(岡田准一)とキャバ嬢で霊媒師の比嘉真琴(小松菜奈)に助けを求めるのだが、それは彼らの手に負えるものではなかった……


うわべはそういうスタートなんですけど、幸せな結婚生活にしろ”イクメンパパ”にしろ、田原秀樹が「現実」を箱にしまって自分の好きなようにラッピングしているだけだった。秀樹は心底ホラーな人物で、外面はいいけど何も見ようとしないし、わかろうともしない。そんな空っぽな秀樹を演じる妻夫木聡がうますぎて(いる、絶対いるね、こういう人)とてもいやな気持ちにことうけあい。

そんな秀樹にいちいち変な対抗意識を燃やすなよ、という民俗学者の津田(青木崇高)も最低でしたけど、なんだったんだろうねあの人。

しかし秀樹は秀樹なりに家族を愛してはいるので、必死に妻子を守ろうとします。ただ彼のもとにやってくるモノがあまりにも強大なので、真琴の姉で日本最強の霊媒師である比嘉琴子(松たか子)が除霊をすることになるのでした。

みなが「お祓いフェス」と呼んでいた、壮大なお祓いの様子は原作にはないのですが、この「お祓いフェス」に各地から集結してくる描写がけっこう面白かった。新幹線で移動中に危険を察知して別々に行動しましょうと散り散りになったり、カプセルホテルで神官の格好に着替えたり、そういう細かい描写にわくわくしたのですが、そのあとのフェス自体は特筆することもなく、ずいぶん派手にいろいろやりましたけど後の片付けどうするんだろうな、くらいの感想です。

映画ではよくわからなかった「なぜぼぎわんがくるのか」というくだりは原作には書いてあります。ぼぎわんが来る理由のところ、映画で描かれててもよかったのにな。


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# by rivarisaia | 2020-09-10 23:45 | 映画/日本 | Trackback | Comments(0)

In An Instant

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In An Instant
Suzanne Redfearn著、 Lake Union Publishing


感動して泣いたという感想をちらほら見たので、湿っぽい話なのかなと覚悟して読んだのですけれど、泣きはしませんでしたが、かなり重い話ではありました。

アマゾンなどの内容紹介の1行目に書かれているとおり、乗っていた車が冬の雪山で事故を起こし、主人公である16歳のFinn Millerの人生は一瞬にして終わってしまう。死んでしまった彼女は、同じ車に乗っていた愛すべき家族や友人たちが必死に生き延びようとする様子をなす術もなく見つめることになる。そういう話です。

死者の視点という設定はアリス・シーボルドの『ラブリー・ボーン』に似ていますが、Finnが見つめるのは、雪の中で遭難している人々がそれぞれどんな行動を取るのかということ、そして救出された人々が後悔や悲しみや罪悪感を抱えて生きていくその後の様子です。

車に乗っていたのは、Finn、Finnの両親であるJackとAnn、13歳の弟Oz、18歳の姉Chloeと彼氏のVance、Finnの親友Mo、家族の友人BobとKaren夫妻に娘のNatalie、路上で拾った若者Kyle、それに犬のBingo。重要なので書いておきますが、犬は死にません。

前半の事故直後がかなり過酷で、Finn以外の生存者たちは極限状態の中でどういった行動を取るのか選択せざるを得なくなります。それは最善だったのか、それとも最悪の行為だったのか。

私はあまり選ばれし読者じゃないのかもしれないなと思いながら読んでいたのですが、読了後のあとがきに記されていた著者自身の体験が怖くて、星をひとつ追加する気持ちになりました。

著者は幼い頃、兄と父親、父親の友人であるBobおじさんとその息子ふたりと一緒にハイキング中に吹雪に遭い、みんなで山小屋に避難します。著者の父親は助けを呼ぶためにひとりで山をおりるのですが、救助が来るまでの間、Bobおじさんは自分の息子たちが凍えないように一生懸命手足をさすって励ましていたけれども、著者と兄のことはまるっきり放置。その結果、著者と兄はひどい凍傷を負ってしまう。Bobおじさんの子どもたちは無傷だった。

救助された後、Bobおじさんは結果的には万事OKだったな!とシェリフと大笑いして、まるでヒーロー気取りだったのだ。著者と兄はちっとも大丈夫ではなかったのに。

それは著者にとって忘れられない出来事となり、本書執筆するきっかけとなったのでした。

自分の子供を最優先するのは致し方ないとしても、でもね……というわだかまりが残る話です。本書でのBobおじさんに該当する人物はそれなりの報いを受けるけれども、それでも失われてしまったものはもう戻ってこないからね。


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# by rivarisaia | 2020-09-07 22:45 | 書籍 | Trackback | Comments(0)

棉の花が咲いて収穫してます

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5月によりわけた棉のタネは、7月の長雨で根っこが腐るんじゃないかと心配したけれども順調に育っていまして、花をいくつも咲かせてそろそろ少しずつ収穫しているところ。茶棉と白い棉の2種類を別々のプランターに植えてるんだけど、茶棉のほうが背が低い。しかし花が咲いて棉がはじけてる数は茶棉のほうが多くて、白いほうはまだ2個しか収穫してません。

タネのよりわけの記事で「ちょっと計画がある」と書いた件は何かというと、棉のタネを捲く際に「灰をまぶすとよい」そうなので、今年死んだうちの猫の遺灰をちょっとまぶして撒いてみた。だから今年の棉は、猫の棉と言ってもよい。無事に成長してよかった。ふわふわしているのが本当に猫の毛みたいだよ。

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ちょうどお腹のあたりはこのような白い毛がふわふわとしてました。今年は学んでいるので、収穫するたびにタネと棉をよりわけてる。よりわけ機を制作すればまとめて一気にできるんだけど、一度にそんなにたくさん棉にならなそうだから、今のところは手作業です。

そして、ひとつ謎に思っているのは、いくつか花が茎からぼたっと落ちてしまう現象で、咲いたあとに落ちるパターンと、蕾の状態で落ちるパターンとふた通りあります。調べてみると理由がいくつかあるみたいだけどどれに当てはまるのかよくわからない。いったい原因はなんだろうな。



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# by rivarisaia | 2020-09-06 23:40 | 動植物 | Trackback | Comments(0)

黄金の馬車

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黄金の馬車(Le Carrosse d'or/La carrozza d'oro)』監督:ジャン・ルノワール


18世紀初頭、南米のスペイン植民地が舞台。クスコがどうのこうのというセリフがあるからペルーだと思う。総督のフェルディナン(ダンカン・ラモント)がヨーロッパから取り寄せた黄金の馬車とともにコンメディア・デッラルテの一座がやってくる。

旅芸人の一座の花形女優カミーラ(アンナ・マニャーニ)は騎士のフェリペ(ポール・キャンベル)と恋仲だったが、興行を行っているうちに総督フェルディナンと闘牛士ラモン(リカルド・リオリ)がカミーラを気に入ってしまって、さあ大変! 傷ついたフェリペは軍隊に入り、総督は愛人をそっちのけでカミーラに猛烈にアタック。ラモンも負けじとカミーラに言い寄って……という、恋のさやあて物語。


映画が始まるとともに芝居の幕が開き、この映画そのものがひとつの舞台という印象を与えるような話になっている。お屋敷の階段を上下に移動し、開いた扉や窓の向こうには人がいて、舞台からカメラが引くとソンブレロをかぶった観客の頭がずらっと並び、カミーラの滞在している家の部屋から部屋へと登場人物が移動していくので、スクリーンに奥行きがあるような感じ。それもまた舞台っぽい。

アンナ・マニャーニがモテモテのヒロインっていうのはどうなのかしらと最初は謎に思ったけど、それこそ南の太陽のようにエネルギーに満ちた、不思議な魅力のある芯の強いヒロインなのだった。最後は黄金の馬車を手に入れたカミーラが機転を効かせたことでハッピーエンドなんだけど、恋愛が成就してのハッピーエンドではないところがこれまたじんわりとくる終わり方だった。


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# by rivarisaia | 2020-09-04 23:53 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(4)

摂生日記:9月になりました

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長い長い雨のあとには暑い暑い夏になりました。猛暑。今年は冷夏だっていう話はまったくの嘘で、8月からは照りつける太陽! 熱風! ギラギラの日射し! 酷暑! でもマスクは必要!という1か月の東京。さすがに暑いので、屋外で人が密集していない道ではマスクを外して歩いています。

さて、最近のCOVID-19感染状況は、日経新聞のサイトのチャートがわかりやすいので貼っておきます。

わたしは緊急事態宣言のあたりから電車にもバスにも乗ってなくて、用事があるときは運動不足解消も兼ねつつ歩いており、気持ちはすっかり江戸時代の人……半七捕物帳の半七気分ですね……。映画館にも美術館にもレストランにも久しく行けてない。こうした施設の利用自体リスクは低そうだけど、身近にハイリスクの高齢者がいるため自粛しており、もう少し都心の感染状況が落ち着いてくれないと、まだまだしばらくは無理だなー。収束してくれないと、異国にいる家族にも会えないよ。

そんな日本の(特に東京の)感染症対策がどうなっているのかが、最近よくわからなくなってきました。安倍さんなんてやる気ないんじゃないかな、今の状況での首相の仕事は彼には無理じゃない?と思っていたら、8月28日に辞めると発表がありました。そのほうがいいね。しかし自民党は最近ますますダメになってしまっているので(野党もダメですし)、しばらく日本は停滞したままのような気がします。

8月は、モーリシャス島で日本の貨物船の座礁による重油流出事故も起きました。あとレバノンのベイルート港湾地区で大規模爆発事故があった。今年は本当に次から次へといろんなことがある。

写真は3年前の9月1日に訪れていた千葉の海。房総半島です。

# by rivarisaia | 2020-09-01 23:53 | 日々 | Trackback | Comments(0)


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