ある首斬り役人の日記

フランスの歴史物推理小説、ニコラ警視シリーズに登場する重要な脇役のひとりが、死刑執行人のシャルル=アンリ・サンソン。ニコラ警視の影響で、ずっと「死刑執行人」という職業が気になっており、立て続けに2冊ほど関連書を読みました。

まず1冊目はこちら。

中世末期のドイツ、ニュルンベルクの死刑執行人フランツ親方の日記。
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ある首斬り役人の日記』フランツ・シュミット 著、藤代 幸一 訳 白水Uブックス

死刑執行人という職業は、忌むべき仕事であると同時に、畏怖をもって受け止められていた仕事として、社会の輪から外れたところに位置しているわけです。彼らに対する差別も半端ではなく、たとえば、死刑執行人と酒を酌み交わしたりしたことがわかると、それがたとえ酔っぱらった席であっても、仲間からつまはじきにされる、といった具合。

そんな職業にプロとして生涯を捧げるというのは、並大抵の精神力ではやっていけないと思う。そういう意味でもすごい職業だ。

そして、死刑執行人には他にもいろいろと業務があり、なかでも代表的なのが「医療業務」。刑の執行には身体を熟知している必要があり、また死体の腑分けも行っていたことから、人体についての知識が豊富だったのでした。

本書は「○月○日、何々の罪を犯した誰それをこういう刑に処した」という淡々としたフランツ親方の記録に補足的な解説が付いた本。1部が死刑で、2部はむち打ちの刑などの体罰となってます。淡々としてはいますが、その背後に当時の社会がおぼろげに浮かび上がってきて、興味深い。

「剣による斬首と綱による絞首では天と地ほどの差があった」と解説にあるように、斬首刑は必ず「お慈悲をもって斬首の刑に処した」と記されています。斬首の方が重い罪のような気もしますが、絞首よりも苦しまずに死ぬことができるという配慮なのでした。

犯罪自体は、殺人、強盗、詐欺、強姦などなど、現代とさして変わりませんが、有効な避妊法がなかったせいなのか、母親による嬰児殺しが多い。あと獣姦もありました(何でバレたのか、密告?)。

ひとつ気になったのは「蚊の粉」。「カの粉末をひき割り、麦の粥や卵焼きに入れて食わせた」とか「蚊の粉を調理して夫に食わせるよう、三度そそのかした」といった記述が何度か見られるのですが、「蚊の粉」って何? 毒なんだろうけど、具体的には何でしょうね。今度調べてみます。

2冊目の感想は明日に続く。※コチラ
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by rivarisaia | 2010-05-07 18:59 | | Trackback | Comments(0)

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