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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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愛の果てへの旅

一大イベントが終了した後の喪失感はぐうの音もでない優れた映画で埋めよう、ということで、前に録画したやつをまた観ちゃった。いやあ、この映画大好きだ。『イル・ディーヴォ』の監督の作品。
愛の果てへの旅_b0087556_1443078.jpg

愛の果てへの旅(Le conseguenze dell'amore)
監督:パオロ・ソレンティーノ

スイスの閑散とした町。その町のホテルに暮らしているらしい謎のイタリア人、ディ・ジローラモ(トニー・セルヴィッロ)。バールの女性のまなざし。老夫婦とのカードゲーム。毎週水曜日に打つヘロイン。定期的に届けられるスーツケース。彼は一体何者なのか?


最初に観たときは、前半、いえ中盤過ぎまで、「これは何なんだ?」と頭の中が「???」でいっぱいになったんですが、あることが起きてから一気にストーリーが動きだし、すべてのパズルピースがピタリとはまる。

場合によっては、そんな前半の展開に眠くなるかもしれませんが、我慢してすべてを見届けておくように。なぜなら、後から「ああ、あの場面、あのセリフはそうか…」と後半につながってくるからです。

ホテルの窓から遠くに見えるクレーン、バールに座っていた若い女性が読み上げる本の1節、点灯していないランプ、20年も会ってない幼なじみの話、さまざまなピースが象徴的。そして、スイスでの場面が全体的に無機質な絵になっているのは、主人公の人生もそして隣室の老夫婦の人生も無機質だからかもしれません。

失った人生を取り戻そうとする主人公。彼の正体が判明した時点で一気にサスペンスフルな展開となりますが、私はラストの「鉄塔の電線工事」の場面がとても好き。冬の鉄塔のてっぺんでふと顔をあげるおじさんの表情に、静かに心ゆさぶられてなんともいえない気持ちになるというか、そこでその場面を持ってくるソレンティーノに脱帽。

これもかなりの侠気映画ではないか、という気もしますよ。

本日のオマケ:後半で使われているOrnella Vanoniの『Rossetto e cioccolato』。この曲が耳について離れないので、iTuneで購入してしまった。けっこうヘビーローテションで聞いてます(いや、一緒に歌ってます)。




映画の予告編もどうぞ。


by rivarisaia | 2010-07-13 02:08 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)