Room(部屋):5歳のジャックとお母さんの物語

今週末から映画祭に突入してしまうので、その前に最近読んだ本のメモでも。
まずはこれ。

ほのぼのした語が一転してホラー。そしてサスペンスな展開から、救済、成長という物語。一気に読んで、どっときた…。今年のブッカー賞の最終候補作のひとつ。

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Room 』Emma Donoghue著 Picador刊

語り手は5歳になったばかりのジャック。5歳にしてはけっこう頭がいい気もするが(数や単語をよく知ってる)、その割には文法を間違えたりする。

そんなジャックはお母さんとふたり暮らしのようだ。ジャックの誕生日からはじまる物語は、ジャックと母親が仲よさそうに幸せに暮らしているようすを描き出す。部屋の中でゲームをしたり、TVを見たり。

しかし、どうも何かがおかしいのである。

部屋はとても小さくて、天窓しかついていない。そして何故か、ジャックは常にワードローブの中で寝ているようなのだ。なんで?

なんか変じゃないか?と思いつつ読み進んでいくと、早々にうっすらと真相がわかってくるわけですが、そこにはなんともいえない恐怖が。まったくあらすじを知らずに読んだため、顔がひきつった私です。

あまり多くは語らないことにしますが、その後、息もつかせぬサスペンスな展開が待ち受けておりまして(これがかなりハラハラして泣けた)、そしてそれがめでたし、めでたしというところで終わらないのがポイント。「後日譚」といえる部分がけっこう重要で、お母さんもジャックも現実にうまく向き合って生きていかなくてはならないのだった。特に5歳の子どもにとって、外の世界はそれこそ未知なる「outer space」でしかなく、毎日が発見と驚きと吸収の連続なのだった。

語り手がジャックなのでジャック目線になっちゃいがちだけど、よく考えるとお母さんが乗り越えてきたものも凄い。そしてお母さんのジャックに対する愛情も。ラストはこれ以上ないすばらしい終わり方だった。
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by rivarisaia | 2010-10-22 12:06 | | Trackback | Comments(0)

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