ハリウッド100年のアラブ

エジプトは激動の1週間でしたね。火曜にはあんな展開になるとは予想もしなかった。

1989年のときも、ニュースみてて自分の東欧についての知らなさ加減を自覚したけど、今回も相変わらず中近東についてよくわかってないよなーと実感しています。だからちょうど知る機会でもあるわけですが。

ところで。

米国の片田舎にいたときのこと。授業で小テストをやることになった際、私の隣にタイ人の学生が座っていたら「そこの二人は離れて座れ」と言われたのだった。なんで?と聞くと、「言葉が通じるからカンニングするかもしれない」というわけですよ。いや、タイ語と日本語は全然違うよ、漢字を使う中国と日本だって筆談でカンニングするのは難しいよ、という説明を10分くらいタイ人と一緒に行うハメになり、「この人たちバカなんじゃねーの?」と内心思ったわけです。

しかし、そんな私だって、カタールやバーレーン出身の友人に「カタールやバーレーンってどこにあるの?」と聞いたり、他のアラブの友人に「ラマダーンって本当に何も食べないの?」「授業中にお祈りの時間がきたらどうするの?」などと無知まるだしの質問攻めにしていたではないか。懇切丁寧にいろいろ教えてくれた友だちにほんと感謝しています。「こいつバカじゃねーの」と思われても仕方ないよね。

要するに、それまでの私にとって中近東やアラブといえば、ササン朝ペルシャやオスマン帝国、アラビアン・ナイトやアラビアのロレンス、ターバンにスカーフというステレオタイプなイメージしかなかったわけですよ。

でね、一昨年読んだ本のことを思い出した。

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ハリウッド100年のアラブ―魔法のランプからテロリストまで
村上由見子著 朝日新聞社

9/11以降、ハリウッド映画ではすっかり悪役というポジションにあるアラブですが、本書ではサイレント映画の時代から、現代にいたるまで、ハリウッド映画の中でどのようなアラブのイメージが形成され、そしてそれらはどのような時代と国際関係を反映していたのか、ということを分析しています。

映像の力は大きいので、本書に書いてあることを「そうだよなー」とすでに頭では理解して知っていたとしても、同時に、心のどこかで影響を受けてないとはいいきれないよなあと考えさせられるのでした。

映画の本なので、映画好きの人のほうが興味深く読めるはず。私はムスタファ・アッカド監督の『ザ・メッセージ 砂漠の旋風』が観たい。これはアンソニー・クインが出演しているアメリカ映画なんだけど、

唯一の「ムハンマド伝記映画」であり、しかも主人公ムハンマドの姿が一度も画面に登場しない、という点ではほかに例を見ない希有な作品である。

だそうですよ。しかも資金繰りに困ったときに、お金出してくれたのがカダフィ大佐!さらに、その資金の一部がカーペンターの『ハロウィン』の制作にも使われたというのがびっくり。(追記:さっそくみました。感想はコチラ

しかし本書でいちばん驚いたのは、「アラジンと魔法のランプ」のアラジンが、原書では中国人だという話だね…。知らなかったね。今度「千夜一夜物語」ちゃんと読んでみよう。

同じ著者による『イエロー・フェイス―ハリウッド映画にみるアジア人の肖像』もおすすめ。こちらはハリウッド映画における日本人像。あわせて読むとおもしろいかも。
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Commented by のなか at 2011-02-06 17:32 x
これ面白かったですね.「シリアナ」は好きな映画だったのですが,これが本の中で一定の評価をされていて安心しました.
Commented by rivarisaia at 2011-02-07 23:33
これは面白かったです。「誘拐もの」が多いという指摘も、時代背景とともにそうなのか…と考えさせられました。『シリアナ』は私も好きです。
by rivarisaia | 2011-02-05 15:04 | | Trackback | Comments(2)

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