Serena:アパラチア小説

久々にアパラチアのお時間です。相変わらず、私はアパラチアを舞台にした小説やら映画に興味津々でして、今回もまた、アパラチアといえばロン・ラッシュ。ということでロン・ラッシュの長編です。アパラチアのマクベス夫人、という評もどこかでみましたが、マクベス夫人より冷酷。
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Serena』Ron Rash著 Ecco

『Pemberton's Bride』という短編(中編)から誕生した長編。1929年、ボストンからノースカロライナへと移住してきたジョージとセレーナのペンバートン夫妻。彼らはこのアパラチアで大規模な材木業を営もうとしていた。男勝りで、ビジネスにおいても次々と手腕を発揮するセレーナだが、彼女は冷酷な野心のかたまりでもあった…。


のっけからいきなり殺人。じつはジョージには、セレーナと結婚する前に夜を共にした女性がいて、彼女はジョージの子どもを産んでいた。これが物語上、大きなファクターとなります。

セレーナは、ガラガラヘビを退治するべくワシを手なづけ、夫を襲うヒグマを倒す、というタフな女性ですが、邪悪です。彼女の過去も最後まではっきりとはわからない。本人いわく、家族全員病気で死んでるらしいのだが、それすらも真実かどうかわからない。いっぽうの夫ジョージはタフに見せかけて実際はからっぽな人というか、自分であれこれ決定してビジネスを運営しているつもりになってるんだろうけど、何もかもが妻セレーナの言いなり。

彼女とその夫の野望の邪魔になる人物はどんどん消えていく。

恐いのは、ああ、この人死亡フラグ立ったな…と思うとですね、何ページか先では死んでるんだけど、殺す場面が出てこないこと。時には労働者たちの「どこそこで、ノドかっきられて死んでたらしいぜ」という会話で、殺されたことを知る。

労働者たちは誰が殺ったか知っている。そして自分たちが夫妻の伐採事業により、自然を破壊していることも知っている。残虐非道な人たちの野望により、人が死に、森が荒廃していく。

やがてセレーナ自身が子どもを生めない身体になってしまったとき、しかし夫にはすでに非嫡子が存在するという事実が、すべての歯車が狂い出す要因となるわけですが、最後の最後まで彼女は冷酷非情なのだった。

実は本書は、ダレン・アロノフスキーがアンジェリーナ・ジョリーで映画化するかもというウワサがありまして(参照元)、主人公のセレーナはもはやアンジェリーナ・ジョリー以外考えられない状態で読んでました。あまりにハマリ役すぎる!


●参照:
アパラチア関係のエントリ
『ウィンターズ・ボーン』
『Burning Bright』Ron Rash
『A Walk in the Woods(ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験)』Bill Bryson
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by rivarisaia | 2011-02-16 23:28 | | Trackback | Comments(0)

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