ミステリウム

世の中、いろいろな事件が起こりますけど、真実ってなんでしょうね。結局、本当の意味での真実なんて誰にもわかんないんじゃないの? とつらつら考えたりしたのは、この本のせいかも。

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ミステリウム』エリック・マコーマック著、増田まもる訳、国書刊行会

主人公である「私」は、行政官からある小さな町で起きた事件の調査を依頼される。その町では、「水文学者」である余所者が現れてから、記念碑が壊され、墓地が荒らされ、人が殺され、町中の人が奇病におかされ謎の死をとげる…という奇怪な事件が起きていた…


「私」のもとに届いた、薬剤師の手記。しかしこの薬剤師は信用できない語り手。町に到着した「私」は、真実を追求するために、「死ぬまでべらべらとしゃべり続ける」奇病におかされた町の人々から聞き取り調査を行うが、ここでも人々が真実を話しているのかわからない。そして明らかになる過去の出来事が、さらなる謎を呼ぶ。

真実をつきとめようとする「私」に、人々はみな同じことを口にする。
真実を語ることができるのは、あなたがあまりよく知らないときだけだ


誰もかれもが、主人公の「私」でさえ、信用ならない語り手であり、たとえばタマネギの皮をむいてもむいても中から真実など現れないかのごとく、読者も物語に翻弄され、最後の章では、ものごとの原因をあれこれ探ったり、そこに意味を与えようとしても、それは「架空であるか、まったく表面的」ということに気づかされるのであった。

マコーマックは『パラダイス・モーテル』と『隠し部屋を査察して』の2冊しか邦訳が出てないので、今後もさらに邦訳が出ますように! あ、これまでの3冊のなかでも『ミステリウム』がいちばんおすすめ。
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by rivarisaia | 2011-03-07 23:15 | | Trackback | Comments(0)

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