Bestiary:動物寓意譚の現代語訳

久しぶりに今日は写本ネタ! おすすめといえばおすすめなんだけど、つくりが惜しいんだよなあこの本。ということでながらく紹介するのを躊躇していたのでした。

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Bestiary』Richard Barber訳、Boydell Press刊

オックスフォードにあるボドリアン図書館所蔵の『Bestiary (MS Bodley 764)』の英訳版です。

「Bestiary」とは「動物寓意譚」のことで、中世の動物辞典みたいなものですね。当時はいろんな「Bestiary」がつくられておりますが、本書のオリジナルは13世紀半ばに制作されたラテン語の本で、136点の彩色細密画入り。で、本書は原書の挿絵の配置をそのままに、ラテン語の本文を英訳しました、というペーパーバックです。

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基本的には動物や鳥のイラストがあって、その下にその説明がくる、という構成です。たとえば上の写真はビーバーのページですが、ビーバーの絵の下に「ビーバーと呼ばれる動物がおり〜」といった説明がずらずらっと書いてある。

説明文はなかなか愉快で、実在の動物でも突拍子もない説明がされていたり、「この動物の名前の由来はギリシャ語で〜(あるいはラテン語で〜)」といったぐあいに語源を教えてくれたりする。セイレーンやフェニックスといった架空の動物も出てくるよ。

ただ、あまりに惜しいのは、本文レイアウトである。なんだろう、このやる気のないフォント選びとただ流し込んだような文字組は。デザイナー不在だったのか? せっかくなんだからもうちょっと気をつかってほしかったよ。歯ぎしりしちゃうのは、まったくもって読みづらくてたまらない目次ページ。

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ベタ打ちかよ…というようなこの目次ページ。この目次からお目当ての動物を探そうとすると目が泳いでしまうのだった。かえすがえすも残念なデザインだ。

ま、読む分にはおもしろいんですよ。先のビーバーの説明なんてすごいよ。「ビーバーの睾丸は薬としてすばらしい」などと書いてあり、さらには「狩人に追われると、ビーバーは自らの睾丸を噛み切って狩人の前に投げ、その間に逃げるのである」ときた。
えええ!?

しかしその後に「これはまるで、人は悪徳や恥ずべき行いを切り捨て悪魔の顔にそれを投げつけるべきだという神の教えに従って、我々が貞節に生きるがごとく〜」という例え話が続くんですけどね。なるほど。

ビーバーの挿絵を拡大してみると…

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確かに噛み切ろうとしてる様子なのだった。ひー。
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by rivarisaia | 2011-06-05 17:36 | | Trackback | Comments(0)

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