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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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ブレンダンとケルズの秘密

いいまは無きシネマ・アンジェリカで前に上映したんですけど、そのときは観に行けなくて、今回フィルムセンターでようやくみることができた。『ケルズの書』がテーマなので、どうしてもみたかった!

ブレンダンとケルズの秘密_b0087556_22494582.jpg

ブレンダンとケルズの秘密(The Secret of Kells)』監督:トム・ムーア

ケルズの僧院に暮らす少年ブレンダン。ヴァイキングの襲来に怯える時代、まさにそのヴァイキングに襲われたアイオナ島から、老修道士であり名高い装飾画家であるエイダンが「ケルズの書」を携えてやってきた。エイダンは少年ブレンダンに、写本を完成させるのを手伝ってほしい、と頼むが…


アイオナ島がヴァイキングに襲撃されて、『ケルズの書』がケルズにやってきたのは事実。ただ『ケルズの書』が制作されたのはアイオナという説が有力で、ケルズでも補完されたかもしれないけど、そこは説が分かれるところです。

ブレンダンは修道院長でもあるおじさんから、写本に関わることを禁じられるのですが(修道院長は写本よりも僧院の防壁の建設を手伝ってほしいのだった)、森にインクの原料となるカシの実を探しにいき、白いオオカミの化身であるアシュリンと出会い、友だちになる。アシュリンの歌う歌がいいんですよー。

そう、音楽もケルトらしくてよかったのですが、全体的に色彩が綺麗で、さらに要所要所にケルト模様が出てきてとても楽しい。森を中心とする「自然」が写本の細密画の制作に重要な役割を果たしていることを示している点も、自然と共存してきたケルトらしいなあ。

老修道士エイダンは白い猫を連れてやってくるのですが、その猫の名前がパンガーバン(字幕ではパンガ・ボン)だったのにグッときました。『ケルズの書』のエントリのコメント欄にも書いたけど、アイルランドの修道士が自分の飼い猫パンガーバンのことを詠んだ詩が実際に残ってるだよ。どんな詩かというと、コチラにゲーリック語と英語訳があるのでどうぞ。それにしても映画の中のパンガーバンは猫にしては長生きだ。うちの老猫も見習ってほしい。

アシュリンが少女の姿で現れるのは、子どもの前だけなのかな。ブレンダンがエイダンと一緒に森に入ったときや、成長して青年になったときは、白いオオカミの姿でしか現れなかったもんね。

最後、ブレンダンの手でついに完成した『ケルズの書』のキーローのページ(Folio 34r、ココでどうぞ)がどーんと画面に出たとき、おお!と感動しました。

キーローというのはギリシア語の「X=キー」と「P=ロー」を重ねたモノグラム「」でキリストを象徴しています。

何故「XP」かというと…(ここで忘れたので調べた)、ギリシア語でキリストは「Χριστός」なので、この最初の2文字。キーローって英語だと「Chi Rho」と書くんだよ。ややこしい。

オマケ:本作のプロモーション・トレイラー




アシュリンの歌


by rivarisaia | 2011-06-10 22:52 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)