Galore:ニューファンドランド島を舞台にしたファミリーサーガ

クジラの絵とタイトル文字のレイアウトが気になり、内容をまったく見ずに表紙買い。読み終わるのに異常に時間かかった…。永遠にこの本を読んでるんじゃないかと途中で不安になった私である。

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Galore』Michael Crummey著、Doubleday

カナダのニューファンドランド島北部の海岸にある寒村 Paradise Deep を舞台にした、19世紀初頭から20世紀初頭にかけてふたつの家族を中心に物語が展開するファミリー・サーガ。

海岸に打ち上げられた一頭のクジラ。その体内から全身真っ白な男が引きずり出された。死んでいると思われたその男は生きていたが話すことができず、Judah と名付けられ村で暮らすことになる。


すみません。ニューファンドランドといえば、ニューファンドランド犬しか知らない私でした。後になって調べてみると、かなり独特の文化と歴史のある地域なんですね、納得。

というのも、本書はマジックリアリズムといいますか、伝説めいたエピソード満載で、ファンタジーとリアルな日常があいまいに解け合っているからです。さらに、厳しい気候と孤立した貧しい寒村という舞台が背景にあるので、独特の雰囲気に満ちている。おかげさまで、ニューファンドランドにたいそう興味がわいた。いつか行ってみたいぞ!

クジラの体内から出てきたアルビノの男。男を引き取ったのは魔女のような老婆「Devine's Widow」。この老婆の一族は、King-Me Sellers という村の有力者の Sellers 家と因縁があり、物語はこのふたつの一族を中心に展開します。なんとも報われない恋の物語あり、好色な聖職者の話あり、さらには幽霊や人魚が登場したりするんですが、その裏では中世のような暮らしだった村に学校や病院ができ、徐々に近代化していく様が描かれます。そして時代は戦争に向かっていくのであった。

ときが経つにつれ、過去の出来事は本当にあったことなのかどうかだれにもわからなくなり、伝説と化す。そして新たな伝説の誕生とも思えるラストは、そうきたかー!と恐れ入りました。

読み応えたっぷりなので(また文章がやや難解というか読みにくい)、終わった瞬間に放心状態ですよ。

それにしても、Sellers 家の孫息子 Absalom の奥さん怖いよ。気持ちはわかるけど、最後にあんな復讐の罠があるとは。あと、ニューファンドランドの宗教の歴史を知っていたら、カトリックとプロテスタントのパワーバランスの話がもっとよく理解できたかもしれません。
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by rivarisaia | 2012-03-29 23:15 | | Trackback | Comments(0)

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