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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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裏切りのサーカス

難解だ、人物相関が複雑だ、といわれてるけど、そうかなあ? 最近の若者向けアメリカドラマのほうがよっぽど難しい気がする。あれこれとおせっかいな鑑賞のポイントや注意事項を見かけるけど、観客はそこまでバカじゃないと思うが。

裏切りのサーカス_b0087556_21582757.jpg

裏切りのサーカス(Tinker Tailor Soldier Spy)』監督:トーマス・アルフレッドソン

1行あらすじ。

引退した諜報員スマイリーは、MI6こと「サーカス」内の二重スパイ「もぐら」探しを命じられるが…


原作の新訳が出てますが、新訳のくせに問題があって非常に読みにくいと私は感じているので(編集者はちゃんと仕事をしたのかと問いたい)、今後修正されるといいですね。

さて。

スパイ物というと、アクション満載のエンターテインメント路線も楽しいけど、本来、諜報活動とは目立たないように影で動き、身バレしたら死が待っているものなので、ひたすら地味で神経すりへって哀愁漂ってる話のほうが個人的には好きです。

さらに、屋根の上で追いかけっこしたり、ビルから飛びおりたりする派手な活躍もいいけど、私がわくわくするのは、じーっと映像や盗聴の分析してたり、ちょっとした書類を受け渡したり、頭でぐるぐる考えてたりという、まるで見映えのしない諜報活動。見映えがしなくていいから、それが見たい。なので、私としては本作はあと30分くらい長くてもよかったなー!

その伸ばした30分で、ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマンの人となりをもう少し詳しく描いてくれたほうが、それぞれの個性とサーカス内部での立ち位置がもっと伝わったのに残念。だってある人なんて、鼻歌以外はほとんど見せ場なかった…。

原作でもっとも好きだったのが、資料保管室からある資料を盗んでくるシーンで、原作ではそこまで手ぬかりナシですか!という描写だったのが映画ではやや省略されていたものの、地味にスリルいっぱいでよかったです。さらに大笑いしたのは、クリスマスパーティの場面。ロシア国歌を全員で歌い(正しくは、全員がちゃんと歌える)、赤い衣装のサンタはアカである。ああ懐かしきかな東西冷戦下。そんな当時の小道具や洋服、インテリアもすてきでした(自動車かわいいよ、自動車。特にシトロエン)。

でもいまいちばん心に残ってるのが、車内にハチが飛んでいてゲイリー・オールドマンが窓を開ける場面だったりもします。あの一瞬で、スマイリーの人格がわかるのだった。

ホモセクシュアルな要素がさらりと描かれるのもいいところで、まあ実際には、彼氏と別れるある人物だけは原作では別れる相手は彼女なんだけど、以前どこかでル・カレが現実に諜報員にはゲイも多かったと言ってた気がしますが何となくわかりますよ…。パブリックスクールで強い友愛に育まれたあと、仲間意識の強い組織に所属して裏切り者の多い社会で消耗したらそうなるかも。

本作はベネディクト・カンバーバッチ君がたっぷり見られるのも見どころ。配役で予想外にピッタリだったのは、リッキー・ター役のトム・ハーディでした。
Commented by fontanka at 2012-06-01 23:22 x
すっかりシブクなったゲイリー・オールドマンを見たい気持ちと(本当は、広川太一郎が吹き替えする、イカレタ感じのゲイリーが好きなんだが)やっぱり、ル・カレは苦手だなという気持ち(うーん原作のことはすっぱり忘れりゃいいんですかね)
スマイリーがカッコイイという時点で、違う作品?

映画館でみるのは面倒なんで、CSでやるのを待つんだろうな自分。
ゲイリー→イカレたゲイリーに会いたい
Commented by rivarisaia at 2012-06-02 19:54
渋いというより、本当に枯れてた! かっこいいというわけでもなくて、枯れてました!!(むしろかっこいいのはピーター・ギラムですが、ピーター役としては実際にはちょっと若いかもしれませんねえ)

ところで、何を隠そう、私もル・カレは苦手なほうです。原作と同じような構成で映画化してるので、わかりにくいといわれればそうなんだけど、それほど難解でもなかったので、むしろル・カレは映像向きかもしれない…とまで思いました。



Commented by chiaki at 2012-06-03 20:36 x
私はル・カレ大好きなんですが、これは難しくて3回くらい挫折してました・・・。訳のせいに違いない、と新訳を切望していたので、今回の新版には狂喜していたのですが、私も今一つどこが改善されたのかよく分かりませんでした。やっぱり読みにくいですよねえ。そしてやっぱり挫折。

なのでこんなかっこいい映画版でようやく話が呑み込めて嬉しい(笑)。あのクリスマスパーティのシーンといい、インテリアとか洋服とか建物とか素敵でしたねえ。トム・ハーディのリッキー・ターも!
ぜひ3部作の残りも同じ監督で映画化してほしいです。
Commented by rivarisaia at 2012-06-04 20:31
新訳とっても読みにくくて、これのどこが新訳…と遠い目になった私です。だからこそ映画のほうがわかりやすかったので、残りもできれば映画にしてほしい! 無理かなあ。

インテリアとか洋服とか建物とかほんとにステキでしたよねえ。ル・カレもわかりやすいのと読みにくいのがあるけど、英語だとどうなんだろう。今度は英語で読んでみようかしら。
Commented by chiaki at 2012-06-10 20:36 x
私は英語だと歯が立たないので、新訳を楽しみにしてたのですが。。。「スクールボーイ閣下」読み始めたのですが早くも挫折しかかってます。『ナイロビの蜂』とか最近のはそんなに読みにくかった覚えがないので、やっぱりつい訳のせいにしたくなったりして。。。
Commented by rivarisaia at 2012-06-10 23:11
もともと読みにくい構成なのかしら。謎ですねえ。残りの2作品は大昔に読んだきり忘却の彼方なので、また読んでみよう〜。
Commented by 大澤遼 at 2014-12-06 23:00 x
ようやく見ました。(^_^)v

初めて素顔を見たけど…、美形ですよね>「配役で予想外にピッタリだったのは、リッキー・ター役のトム・ハーディでした」

さて、
原作の英語は難解と聞いているのですが、どうなのでしょうか? よろしければおしえてください。
Commented by rivarisaia at 2014-12-09 00:03
トム・ハーディ、かっこいいですよね。『インセプション』の時にいいな〜と思ったんですよ(『バンド・オブ・ブラザーズ』や『ブラックホーク・ダウン』にも出てたらしいけど、気づかなかった)

さて、私、スマイリーと仲間たちシリーズは、全部邦訳で読んでしまって結局、英語では読んでないのでどのくらい難解なのかよくわからないんですよ。専門用語が出てくるというのもあると思うのですが、英語自体が難しいというより、構成が入り組んでいるために、何が起きているのかを把握するのが難解なのかも…(なにせ日本語で読んでもわかりにくかったりするので)。
Commented by rivarisaia at 2014-12-09 00:08
あ、でも映画をご覧になってあらかた流れを把握しているから用語にさえ馴れたら大丈夫かも!
Commented by 大澤遼 at 2014-12-09 01:55 x
Tweetもしましたが、Penguin Booksのバージョンが、アマゾンで現在の換算価格の約半額の千円+αで売っていたので、思わずポチってしまいました。(^_^)v

で、「ラマン」と「悪童日記」三部作のフランス語からの英訳版を持っているので、読むのは数ヶ月は先になると思いますが、楽しみです。
+読む直前にもう一度映画を見ます。
Commented by 大澤遼 at 2014-12-09 01:56 x
トム・ハーディが「インセプション」に出ているとは気がつきませんでした。彼が出ているのを知っていた「ダークナイト・ライジング」では顔が隠れていたし…

さて、トム・ハーディの役こそある意味「007」だなと感じ、今夜は「ロシアより愛をこめて」を「裏切りのサーカス」と比べながら見ました。楽しかったです。
*ダニエル・クレイグの次はトム・ハーディでいいんじゃないかな。ダニエルより10歳近く若いし…
Commented by rivarisaia at 2014-12-11 18:48
ぜひぜひ、読んだらどのくらい難解だったか(あるいはそれほどでもないのか)Twitterで教えてください〜。

007と見比べるのも楽しそうですね。私、ル・カレの『誰よりも狙われた男』を見逃したので、どこかで二本立てでやらないかなーと思っているところです。

トム・ハーディ、今度マッドマックスに出ますよね。トム・ハーディの007をこんど想像してみます!
Commented by 大澤遼 at 2014-12-12 02:15 x
新文芸坐あたりで「裏切りのサーカス」」との二本立てがあるかもです。その時はオフ会をしましょう。(^_^)v>「『誰よりも狙われた男』を見逃したので、どこかで二本立てでやらないかなーと思っているところです」
Commented by rivarisaia at 2014-12-16 23:21
確かに!新文芸坐か早稲田松竹あたりでやりそうですねー。
Commented by 大澤遼 at 2014-12-21 22:58 x
来年初めの新文芸坐の二本立て…、やっぱり来ましたよ!(^_^)v>1/31(土)~2/4(水)
追悼フィリップ・シーモア・ホフマン&ジョン・ル・カレ原作2本立て 裏切りのサーカス/誰よりも狙われた男
裏切りのサーカス(2011・英=仏=独/128分/DCP/R15+)
誰よりも狙われた男(2014・米/122分/DCP)
Commented by rivarisaia at 2014-12-22 09:36
さすが文芸座!(しかし、私、行けるのかしら。。。)
by rivarisaia | 2012-05-31 22:02 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(16)