The Family Fang

短編集『Tunneling to the Center of the Earth』がそこそこおもしろかったので(大絶賛までいかないけど、おばあちゃんの話は秀逸)、長編も読んでみた Kevin Wilson。私はあまり好きではないので感想書かないつもりだったけど、何故か評価高い人が多く、ニコール・キッドマンが映画化権を買ったというニュースもあり、なんで私はいまひとつだったのかなあと振り返ってみました。

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The Family Fang』Kevin Wilson著、Ecco

Caleb と Camiile の Fang夫妻は、一風変わったパフォーマンス・アーティストである。公共の場で周囲をびっくりさせる行為をアートと呼ぶ夫妻は、自分たちの子どもである Annie と Buster も "子どもA" "子どもB" としてパフォーマンスに参加させていた。

そんな両親の芸術に付き合わされて育ったふたりの子どもは、大人になって家を出るも人生うまくいかず、両親の家に舞い戻ってくることに。ところが…


著者はちょっとシュールな設定の話を書く人で、前述の短編集同様、今回もこの家族自体が変わってるのですが、物語全体とうまくかみ合ってないような…。シュールな設定も、物語の中の世界では「実際にありそう」じゃないとあんまりおもしろくないんですが、そこが上滑りしてる感じがしたんだよなー。私だけかなー。

大体からして、この家族がアートと呼ぶパフォーマンス(ショッピングモールで母親がジェリービーンズを万引きするとか、路上でヘタくそな音楽を演奏する姉弟に父親が野次を飛ばすとか、飛行機の中で未婚のカップルを演じる両親が派手なプロポーズごっこするとか…略)が、おもしろくない。笑えた、という感想が多いのだが、私は「なんでこれがアートなのか!?バカじゃないのか?」という疑念が渦巻き、全然笑えなかった…。そして一家のこの"アート"が世間で評判という設定も納得いかない。

ただし、この「アートと呼ぶパフォーマンス」は両親のエゴを示すメタファーかもしれません。親の勝手な行動に付き合わされて、子どもらしい生活を営めなず、問題を抱えて大人になってしまった子どもの成長譚としてとらえると、普遍的な問題をテーマにしてるのかも。

後半、夫妻が謎の失踪をとげ、果たして両親は本当に死んでしまったのか、それともまたいつものパフォーマンスなのか、という事態に子どもたちが翻弄されるあたりから、急にトーンがシリアスになっていきます。

これ読んでいる間、頭の中をちらちらしてたのが、ウェス・アンダーソンの映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で、うまく映画化したらそれなりにオシャレな雰囲気の映画にはなりそうですけどね。

不思議な家族の話といえば、ジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』がありますが、ジョン・アーヴィングは変なことが起きても物語の中ではありえることとして違和感なかったので、Kevin Wilson にはやはりまだ何かが足りない気がする。
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by rivarisaia | 2012-10-31 19:17 | | Trackback | Comments(0)

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