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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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悪童日記

アゴタ・クリストフの小説の映画化は、まさしく帳面派映画でした。

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悪童日記(A nagy füzet)』監督:ヤーノシュ・サース

戦争がはじまり、ぼくら双子は、魔女と呼ばれるおばあちゃんの家に預けられた。ぼくらは生き残るために、さまざまな「鍛錬」をしなくてはならない。そして父さんからもらったこのノートに、毎日の出来事を正直に書き記すのだ……


原作の空気を壊さずに、ここまで映像化できるなんてすばらしいですね。もちろん性的な描写などは忠実に映像にすると別の映画になってしまうので省かれていて、仄めかされているのを察する感じですが、それでよかったとおもう。何よりも主演の双子(アンドラーシュ・ジェーマントとラースロー・ジェーマント)をキャスティングできたことが奇跡的。よくぞ見つけたね、この二人……。

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戦争の話でもありながら、戦争は直接的に描かれず、汚い大人の世界で生き抜く話でありながら、そうした大人事情も明確には示されない。双子の冷たく乾いた視線でとらえた世界がどこまでも広がっていて、ふたりでひとつのぼくらは、その過酷な世界で淡々と自分たちの信念に沿って生きていくのだった。しかし、理不尽な大人たちにくらべれば、双子の行動は冷酷なようでいて筋が通っている。

『悪童日記(Le Grand Cahier/The Notebook)』は、タイトル通り、双子のぼくらが記す日記の体裁なのですが、映画でもその日記なる「大きな帳面」が効果的に使われていますので、帳面派は必見。『リトル・ランボーズ』の時のように、全ページじゃなくていいから帳面を販売してほしいなー。

おまけとして、webDICEのヤーノシュ・サース監督インタビューをどうぞ

原作は三部作だけど、二部と三部は映画化されないんじゃないかなー。それもいいのかも。二部と三部は小説ならではの構成になってるし、ぜひ本で読んで!

私は小説とは別に、この映画の中の双子がその後どうなったのかが気になって仕方ないです。双子に幸あれ。
by rivarisaia | 2014-10-10 23:11 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)