The Shock of the Fall

先日読んだとある児童書が、とても評判がよかった本なんですけど、個人的には今ひとつで、その理由は (1)私の期待値が高すぎた (2)私の読み方が間違っている (3)高く評価されてるのがおかしい、のどれだろうとふと考えたりしてました。

そんなわけで、この本を読む時も、あまり期待しないほうがいいのかも…と余計な心配したんですけど、確かに私の想像とは違う内容だったけど、後からじわじわくる1冊で、とても良い本だった。2013年のコスタ賞処女小説部門受賞作です。

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The Shock of the Fall』Nathan Filer著、Harper Collins

裏表紙にある文章を読むと、どうやら「主人公の兄が死ぬ」というのがカギとなる話らしいと分かるので、ミステリーかサスペンスか、いずれにしてもダークな展開の物語なのかしらと想像したのですが、言っておくけど違います! ダークではあるけど、サスペンスではないです!(重要)

本書は、兄の死が原因で統合失調症に苦しむ少年マシューの物語です。

いかんせん語り手が統合失調症であるがゆえに、口調が独特で、話や時間軸もあちこちに飛んだりするので、最初のうちは状況がよくわからない。お兄ちゃんは病気だったらしいけど、どんなお兄ちゃんだったのか。事故があったようだけど、何故死んじゃったのか。そしてマシューは今何をやっているのか。最初に出てくる人形と女の子の話はいったい何なのか。

それは読んでいるうちにわかってくるんだけれども、散りばめられた謎が明かされることが重要なのではなく、あくまでもこの物語が描こうとしているのは、いつまでも消えない罪悪感を抱え、幻覚に悩まされる日々を過ごしている主人公の心情です。

主人公のつらい気持ちが、本当によくわかる。でも、ひたすら暗いばかりでもなくて、ユーモアもあるし、家族もいい人たちであるおかげで(特にお婆ちゃん!)読んでいるこちらも救われるし、ラストにも希望が感じられてよいです。

それにしても統合失調症の患者の気持ちがよくここまで描けるね…と思ってたら、著者は精神科の看護師なのでした。


●本日のオマケ

この小説にインスパイアされたショートフィルム。監督は Udo Prinsen、絵はHenk Chabot 。


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by rivarisaia | 2015-03-02 23:55 | | Trackback | Comments(0)

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