東京大学の学術遺産 君拾帖

本日は、世界に誇る偉大なる帳面派の日本代表に間違いなく選ばれるであろう人物の本です。

b0087556_22513251.png
東京大学の学術遺産 君拾帖』モリナガ・ヨウ著、メディアファクトリー
※クンは、本来は手へんに君

幕末から明治に活躍した偉人・田中芳男。1838年、信州飯田に生まれ、幕末には博物学者・伊藤圭介に師事してパリ万博に参加したり、日本で初めての博覧会を企画したり、上野に博物館や動物園を作ったり、雑誌や本を発行したり、学校作ったり、挙句男爵の称号ももらって、議員なども歴任したという、なんだかすごくえらい人。

そんな田中は100冊近いスクラップブックを遺しており、それが東京大学に保存されている史料「君拾帖(くんしゅうじょう)」です。

日本の博物学の父と呼ばれる田中芳男ですが、帳面に様々な紙モノを貼り付けるという素晴らしい、素晴らしい嗜好の持ち主でした。私は帳面派の師匠と呼びたい。

幕末から大正5年のじつにおよそ60年間にわたって作成された「貼り交ぜ帖」には、引札、領収書、チラシ、カード、名刺、お菓子や食品の包み紙、ラベル、絵葉書、献立表など、さまざまな紙をびっしり貼り付けられています。日本国内だけでなく、パリ万博に参加した時に蒐集した外国の紙モノもたくさん残されており、貴重な史料となっているわけです。

全ページみたいので、デジタル化されてたらいいのになーと思うのですが(その辺まだ調べてない。されているようなら教えてください)、一部をよりすぐってモリナガ・ヨウ氏が紹介しているのが本書です。

どれもこれも興味深いのですが、いくつか印象的だったものは、

  • 絵花火:火薬が紙に塗られた仕掛けつきの刷り物で、たとえば、大砲の絵の先に線香で火をつけると、砲弾が発射されたかのごとく火が動くというもの。
  • 幕末の領収書(印鑑が黒い):朱肉が一般的になるのは明治になってから。長谷川時雨も「印鑑が赤いのは今風で嫌だ」と嘆いているらしいよ!
  • 缶詰ラベル:エゾジカとかクジラはまだしも、亀肉や鶴肉もある。めでたい缶詰扱いだったのでしょうか。キノコの缶詰のラベルもいい感じです。
  • 日本初の液体目薬「精錡水(せいきすい)」:販売者の岸田吟香は、岸田劉生のお父さん。

それから、田中芳男は「モノに紙をあてて炭などでこすって形を写し取る」ということもたくさんやっていて、月餅や煎餅もこすって「拓」を取ってたらしいんですが、パリの石鹸の「拓」もありましたね……。スルメ拓を集めた『鯣(するめ)帖』も残ってるらしいよ……芳男……。

田中芳男の略歴についてはコチラをどうぞ。

東京大学の田中文庫博覧会関連資料目録のページでは、ページの下のほうに画像があります。

じつは今年伊勢に行った際、田中芳男コレクションがあるという神宮農業館に寄りたかったんですけど、改装中で閉まってたんですよね。残念! 今はもう開いてます。





[PR]
トラックバックURL : https://springroll.exblog.jp/tb/25182306
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by rivarisaia | 2015-12-15 22:52 | | Trackback | Comments(0)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
プロフィールを見る