Everything I Never Told You

想像していた内容とはだいぶ違ったんだけれども、しみじみとよい本でした。

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Everything I Never Told You』Celeste Ng著、Penguin Press

Lydia is dead. But they don’t know this yet.
リディアは死んでいる。でも彼らはまだそのことを知らない。

という文章で始まるこの小説は、1977年、オハイオの小さな町にくらす中国系アメリカ人の一家の話です。

アメリカ生まれの中国人である父ジェイムズ、白人の母マリリン、優秀な兄ネイサン、両親の一番のお気に入りであるリディア、そして目立たない末っ子のハンナ。リー一家は、そこそこ幸せな5人家族のはずでした。

ある朝、リディアが忽然と姿を消し、やがて近くの湖で死体となって発見されます。

冒頭の1文から私は、果たしてリディアを殺した犯人は誰なのか、それとも殺人ではなく事故なのか、はたまた自殺なのか、という謎を解く、ミステリーのような物語なのかなと推測していました。

ところが全然違った。

物語は過去に戻り、リディアが死んでしまった日にいたるまで、家族のそれぞれがどんな人生を歩んできて、どんなことがあったのかを探っていく。大学教授の父ジェイムズはマイノリティであることにフラストレーションを抱えている。出産のために学業を断念し、主婦になった母マリリンは、自分の夢をリディアに託す。両親の夢と希望を一身に背負うリディアの影で、存在感を消されてしまっている兄と妹。

家族ひとりひとりがこれまで抱えてきた問題(そして70年代という時代における、人種差別や女性の社会進出といった事柄が大きく影響している)が、じわじわとあぶりだされていき、最終的にはリディアの死に結びついていく。リディアはどうして死んでしまったのか、それを考えると、とても切なくて泣ける。

ミステリーを期待すると肩透かしをくらうだろうし、読んでいる最中はどんどん重苦しい気分になっていくし、登場人物にイライラしたりもするんですけども、読み終わってみれば、この一家のことがしばらくは忘れられない。幸せになってほしいなあ。



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Commented by fontanka at 2016-01-21 18:57 x
実際にはこの本を読んでいないので勘違いになるかもしれませんが、ルース・レンデル「乙女の悲劇」という作品が、もしかすると通じるところがあるのではと思います。

泣けます。ぜひ読んでみてください。
Commented by rivarisaia at 2016-01-26 20:20
ルース・レンデル、好きですが、『乙女の悲劇』は読んでないのでぜひ読んでみますね。ありがとうございます〜。もしかしたら通じているところがあるかもという推測本の紹介も、いつでもお待ちしてますー。
by rivarisaia | 2016-01-20 23:43 | | Trackback | Comments(2)

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