Symptoms of Being Human:ジェンダー・フルイッドの子どもの物語

ジェンダーは男性・女性の二択と考えられがちだけれど、実際にはそうではなくて多様な性別が存在する。男女の間を揺れ動く、「Gender Fluid:ジェンダー・フルイッド」のティーンが主人公の物語。

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Symptoms of Being Human』Jeff Garvin著、HarperCollins

主人公のRileyは、自分のことをある時は男の子、またある時は女の子、はたまた別の時にはその中間と認識していて、幼い頃から自分のアイデンティティについて悩んでいたけれども、15歳の時「Gender Fluid (性別が流動的な状態にある人)」という言葉に出会い、まさに自分はこれだと認識する。

これまで通っていた私立の学校でイジメに遭っていたRileyは、公立の学校に転校するにあたり、「少年っぽい女の子」にもみえるし、「女っぽい男の子」にもみえる「ニュートラル」なスタイルでいくことを選択した(私立の学校では不本意な制服を着せられていた)。

自分の性別について他人にあれこれ詮索されたくないし、父親が議員だということもバレないように気をつけて、とにかく目立たずに周囲に溶け込もうとするRileyなのだが、「あれは男? 女?」と初日からさっそく注目をあびてしまう。

この本がよくできてると感心したのが、読者には最後まで、Rileyの生物学的な性別が明かされないところ。周囲から「男か、女か」と好奇の目で見られる主人公は、「どっちだっていいじゃん。知ってどうするの?」と思っているし、読者である私も「そうだ、そうだ」と共感するのに、それなのに。

読み始めた頃に、私の頭の片隅に「そうはいっても主人公の生物学的な性別ってどっちなのかな」という「好奇心」がよぎってしまったのだった。話の本筋とも関係ないのに。どうしてそれが気になったのか、ちょっと考え込んでしまった。

Rileyは自分が「Gender Fluid」だということを両親にも秘密にしていて、それを知っているのは精神カウンセラーの医師だけ。その医師の勧めもあって、自分の気持ちを正直に告白する場として、Rileyはブログを始める。中傷コメントもつくものの、ブログは共感を呼び、またたくまにフォロワーが増えて支持されるんだけど、それが別の問題を起こすことに…。

「人は見た目でジャッジしがちである」というテーマのほかに、インターネットでの発言に人はどこまで責任が持てるのかという問題や、ネットの炎上や嫌がらせ、そして性的暴行やアウティングといった重いテーマを幅広く扱っていて、いろいろてんこ盛りなので読んでいて辛くなってしまう部分もあるんだけど、Rileyの学校の友人SoloやBec、LGBTQのサポートグループのメンバーたちなど、脇役が魅力的なのがとても大きな救いとなっています。現実世界ではなかなかそうはいかないのかもしれない。でもサポートしてくれる人たちは必ず存在する。巻末には困った時に相談できる各種団体のリストも掲載されています。

著者が本書を書こうと考えたのは、友人と車に乗っている時、トランスジェンダーの少女が、女子のロッカールームを使用する権利を求めて学区を訴えたという話になったのがきっかけだったとのこと。これはもしかするとニコール・メインズの話かな? 次はニコール・メインズの本を紹介しますねー。



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Commented at 2016-11-26 18:42 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by rivarisaia at 2016-11-28 20:15
椿の刈り込み、がんばってー!(というか、我が家もこの冬休みに大きく刈り込む予定でおります)。あと、そちらにコメントいたしました!
Commented by fontanka at 2016-11-29 20:56 x
椿→今、呪かってくらい。背中がはりまして、腱鞘炎がぶり返しそうで、鍼に行って来ました。
今週末はやらないでおこう→プロに頼んだほうがよくないか?
状態です。
プロトン・・・頑張ります!
Commented by rivarisaia at 2016-12-01 18:33
我が家の椿はこの冬休みの課題....(やってみて、無理だったらプロに頼むかもしれないけど....)

そういえば、近所でチャドクガがたかってた小ぶりの椿、あとかたもなく切り倒されてました.....

by rivarisaia | 2016-11-25 23:49 | | Trackback | Comments(4)

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