Himself

なんだかどう評価していいのかよくわからなかった本だけど、時間が経ってから、いくつかの場面や登場人物たちのことを懐かしく思い出すので、思ったよりも良い本だったのかも。

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Himself』Jess Kidd著、Canongate Books

表紙はUK版とUS版の2種類。私はUK版が好き。

アイルランド。1950年、赤ん坊を連れた少女が森で殺される。
そして1976年、Mohonyという26歳の青年がMulderrigの小さな村にやってきた。彼は赤ん坊の頃に自分を捨てた母親を探しにやってきたのだ。

という話で、そうか、主人公の過去と昔の殺人事件にまつわるミステリーなのね、と読者である私は思うわけですが、この本がちょっと、というか、かなり変わってるのは、

村には幽霊が満ち満ちていて、主人公には霊が見える。

というところ。あちこちに幽霊だらけ。猫が死ねば、猫の霊が体から抜けて生きてるときのように路地を歩いていくし、書斎にいる老婦人のそばをかつての恋人がふわふわうろついてたりする。パブに行けばそこにも幽霊がいるし、道歩いててもそこに霊がいる。

なんだこの話……。

かつてこの村に住んでいた主人公の母親は、一応は行方不明ということになっているのだが、どうやら村にとって厄介な存在だったらしい(あとでどのように厄介だったのか判明するけど、そりゃ困るね……)。主人公は、かつて舞台女優だった老婦人、Mrs. Cauleyの協力を得て、失踪した母親の謎を探っていくんだけれど、Mrs. Cauleyの立てた作戦はともかくとして、彼女自身はとても印象深いキャラクターで、本書の中で一番好きかも。私はMrs. Cauleyと茶飲み友だちになりたいです!

さて読み終わってみると、いくつかの謎が謎のまま終わった気もするし(Mohonyの父親が誰だったのか、もわからないままじゃないですか?)、ミステリーというよりマジックリアリズム小説といったほうがしっくりくるかも。幽霊はたくさん出てくるし、過去の事件は暗い話だけれど、陰鬱とはしてなくて、ちょっと陽気なところもある話です。




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by rivarisaia | 2017-08-12 18:46 | | Trackback | Comments(0)

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