Alice:血まみれでバイオレンスな戦うアリスの話
2018年 01月 24日
だいぶ前に読んだ本だけど、悪夢的なイメージが強い印象として残っていてたまに思い出すので、感想書いとこう。
『Alice』Christina Henry著、Ace
『不思議の国のアリス』をモチーフにしているのですが、最初に断っておくと、かなり血まみれバイオレンスで、レイプや殺人や虐待の描写も多く、そんなわけで万人にはおすすめしません。しかし、虐げられた人々のために戦うアリスの話です。
子どもの頃「ウサギ」のティーパーティーに行ったあと血まみれで記憶を失って戻ってきたアリスは、精神に異常をきたしたとして、長いこと精神病院に閉じ込められていた。唯一の友人は、隣の部屋にいて壁越しに話しかけてくる謎の男性「Hatcher」。ある日、病院で火事が起き、そのどさくさにまぎれて、アリスとハッチャーは脱出する。
ふたりが逃げ込んだオールド・シティは、「セイウチ」「カーペンター」「イモムシ」「チェシャー」と呼ばれるボスが牛耳る暗黒街だった……
という調子で、ともにみずからの記憶がおぼろげなアリスとハッチャーは、自分たちの過去を探りつつ、極悪非道のギャングのボスたちと戦い、さらには「ジャバウォック」や「ウサギ」と対決するという展開です(なんだそりゃ)。
マッドハッターならぬ、マッド・ハッチャーは、斧で何人も虐殺した殺人鬼といわれているけど、彼の過去に本当は何があったのか、そして「ウサギ」のティーパーティーでアリスに何が起きたのか。
さまよい込んだオールド・シティは、ワンダーランドどころか、邪悪ランドというありさまで、ダークファンタジーというよりホラーファンタジー色が強い。このあたりが好き嫌いが分かれるところじゃないかと思います。私も好きかといわれると微妙なんですけど、ターセム・シンが映像にしたらすごそうだなと思える部分がちょっとある(『ザ・セル』を連想しています)。
なので、読んでいる最中は、ターセム・シンで脳内に映像化していました。衣装はもちろん、故・石岡瑛子さんで。
本書は「The Chronicles of Alice」シリーズの第1巻なのですが、2巻にあたる『Red Queen』は悪夢的な描写が減ったかわりにロマンスが増えた。このロマンスの展開はかなり安易だと思うし、同じように不満に思う読者も多かったようす。同じシリーズとは思えないくらい、がらりとテイストが変わってしまい、まったく面白くなかったのが残念です。
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at 2018-02-04 15:11
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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rivarisaia at 2018-02-07 11:11
なかなかコメント残せていませんが、ちょくちょく読んでますよ!
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by rivarisaia
| 2018-01-24 23:58
| 本
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Comments(2)