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The Risen

久しぶりのロン・ラッシュ。ラッシュの小説は長編より短編のほうが好きなんだけど、これは中編に近い。さくっと読めるけど、いつまでも苦いものが後に残る。

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The Risen』Ron Rash著、Ecco

1969年の夏。ノースカロライナの小さな町に暮らす16才のユージーンは、兄のビルと川で魚を釣っていたとき、裸で泳ぐ美しい少女を見かける。彼女はすぐに姿を消してしまい、幻か、それとも人魚かもしれない、などとふたりは言い合うのだけれど、少女は実在していた。

ライジーアと名乗る、フロリダからやってきたその少女は自由奔放で、兄弟を魅了する。

しかし突然、夏の終わりに彼女は旅立ってしまうのだった。

それから46年後。ユージーンはアル中の作家としてうだつの上がらない日々を送り、兄のビルは立派な外科医として成功した人生を歩んでいた。

ある日、川底から発見された古い死体の身元がライジーアだと判明し……


成績優秀で真面目な兄 vs 落ちこぼれ気味の弟、当時のヒッピーカルチャーの影響を受けた美少女、ひと夏のできごと、といった全体のモチーフはよくありがちで、少年時代を回想する構成もトマス・H. クックっぽいなと途中までは思っていたけど、事件の真相が判明してから最後のダメ押しまで、とてもロン・ラッシュだった。

最後のダメ押しというのは、ドンデン返しとか衝撃のラストなどではなくて、トドメを刺されたっていう感じ。ロン・ラッシュの小説は、書かれていないことを読んだり、書いてあることが暗にほのめかしてることから察するところが多いので、読み終わってから、もう1度最初に戻ると、見えてなかったことが見えてきてぞっとする。

誰が犯人かということよりも、過去の呪いを永遠に背負って生きていく話だった。小さな町の、独裁的かつ圧政的な祖父に支配されていた家族の物語。

ちなみに「ライジーア」は、エドガー・アラン・ポーの小説から来ています(本名は「ジェーン」という "つまらない名前" なのだった)。また「ユージーン」はトーマス・ウルフの小説の主人公から。

by rivarisaia | 2018-06-07 14:58 | | Trackback | Comments(0)
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