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Devil’s Day

『Loney』が話題になったAndrew Michael Hurlyの2作目。前作は読もうと思っている間に月日が流れて、こちらを先に読みました。表紙は3種類。

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Devil’s Day』Andrew Michael Hurly著、John Murray刊

暗い。そしてテンポがとてもゆったり。桜が咲いて明るい春に読むのには向いてなかったかもしれない。ランカシャーの荒涼とした独特の世界に入り込むのに少々時間がかかってしまった。灰色にどんよりとした寒くて寂しい冬の日に読んで、背筋がうすら寒くなるのを味わうのがよさげ。

毎年秋になると、故郷のランカシャーを訪れるジョン。彼の実家は羊を飼ってくらす農家で、村では毎年秋になると悪魔から羊を守る伝統儀式が行われる。

今年の秋は祖父が亡くなって葬式が行なわれることになり、ジョンは初めて身重の妻キャサリンを連れて故郷に戻ってくるのだが、そこで思いもよらない出来事が……

荒野をさまよう悪魔が羊や人間に乗り移って悪さをするので(過去に人や羊が死んだという歴史がある)、それを防ぐための儀式を行う日がタイトルのDevil’s Dayです。

キャサリンとともに初めて故郷に戻ってきたジョンのパートを中心に、ジョンと息子アダムを描いた現在と、ジョンの子供時代の回想が挿入されるという構成です。

描写は丁寧なのだがペースがあまりにもスローなので序盤はやや退屈したのですが、半分以上きたあたりから不気味さが見え隠れしながらじわじわと加速。田舎にいまひとつ溶け込めない妊婦のキャサリンが唯一打ち解けている少女グレースの謎の言動と霊感。キャサリンしか感じない臭い。明かされる衝撃の事実。野犬に引き裂かれた羊の死体。いくつもの死、死、死。

やだもう、ランカシャーの田舎の村こわい!!

くだんのDevil’s Dayには目隠ししてくるくる踊るという他愛もないゲームをやるんですけど、目隠しを外して開口一番に「彼女、頭に何をかぶっているの?」「何もかぶってないよ」っていうくだりが、もうね、ものすごく嫌でした。やめてほしい。

そしてその後も、ジョンが永遠に心にしまい込んで生きていくのであろうという秘密がいくつか明かされることに。悪魔はいつまでも荒野をさまよい、ときおり人々の中に入り込む。でも恐怖を乗り越えて人は生きていくし、長い冬のあとには春が来る。そんな希望を感じさせる終わり方ではあるのですが、ランカシャーの田舎の村こわいという印象をぬぐいされない……。

by rivarisaia | 2019-04-11 23:57 | | Trackback | Comments(6)
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Commented by 古島 at 2019-04-14 20:03 x
  いつも羨ましく思っています。主殿、翻訳を待つ必要がないんですよねぇ。短篇なら、わたしでも原著で読み通せるでしょうか。
  気が向いたら
「エルサレムから来た悪魔」
を読んでみてください。迫力があります。こちらはケンブリッジシャーが舞台なのですが。
Commented by rivarisaia at 2019-04-22 00:17
英語で読むのが難しいので翻訳を待ちたい本、私もいろいろありますよ〜。つい先日も、邦訳が出ると聞いて読むのをやめたものがあります。

原著で読み通すのは、ミステリーのようにページターナーな内容の本がおすすめです。短編はタイプによって読みにくいものもあるかも。

そして『エルサレムから来た悪魔』読みました! 頭のいい女医アデリアシリーズですよね。最後の巻だけ邦訳が出てない気がするんですけど、もうでないのかな……これも邦訳で読み始めたシリーズなのでできれば日本語で読みたい…
Commented by 古島 at 2019-04-24 08:01 x
おお、あのシリーズご存知でしたか。
日本では人気が出なかったようですね。ピーター・トレメインの作品に劣らないと、私は思うのですが。なにが足りないのか。Sigh。
Commented by rivarisaia at 2019-05-09 23:39
なにが足りなかったんでしょうね。カドフェルシリーズが好きな人とかに向いてそうでしたけどね。。。
Commented by 古島 at 2019-05-18 07:52 x
  気が向いたら
「黒のトイフェル」
も読んでみてください。それから、とっつきやすいところでは
「エーゲ海を渡る花たち」
これは漫画作品でして、そろそろ中世が終わろうかという時代を背景にしています。

  
Commented by rivarisaia at 2019-05-21 23:19
> 古島さん
ありがとうございます! 探してみます!
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